クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 銀河の守護者 作:オービタル
森の中へ逃げ回る陽弥は愛する我が子をドレギアスが送って来た魔蟲から守っていた。
「(ここまで逃げれば……もう、追ってこないだろう。しかし……)」
陽弥は翼の中で守っていたマナ、オリバー、ライラを見る。三人共ぐっすり寝ていた。
「(まさか…双子の姉弟ができていたなんて……そうか、マナはもう、お姉ちゃんか……。)」
陽弥がそう思っていると、寝ていたオリバーが泣く。陽弥はそっと頭を撫でると、オリバーが泣くのを止め、キョトンとした表情で陽弥を見つめる。
「?」
「あう?」
陽弥が首を傾げ、オリバーも首を傾げる。陽弥はそっと顔を近付けると、オリバーがはしゃぐ。
「あ~〜〜!!」
オリバーが陽弥の頭に乗っかかり、陽弥はそっと見守る。すると今度はライラが起き、陽弥の手にしがみつく。
「♪」
陽弥は笑顔になると、長女のマナが陽弥の顔をまじまじと見る。
「(……何?)」
「…………ぱぁぱ?(…パパ?)」
「(何っ!?……マナ!俺の声が分かるのか!?)」
「う〜!(うん!)」
突然の事に陽弥は驚く。
「(何で俺の声が分かるんだ!?……って言うか、マナ…ベラベラ喋るなぁ…。)」
「たぁ〜…(分からない…何でかなぁ♪)」
「(………これが親子の絆…か…。)」
陽弥がマナの天然に呆れると、オリバーとライラが泣き出す。
「(ありゃ……腹が減ってんのか…)」
陽弥は今、ここにエミリアがいない事に困る。
「(困ったなぁ……エミリアの"あれ"がないと……。)」
「(パン♪)」
「(パン!?お前もう離乳食を得られたのか!!?)」
「(うん♪)」
「(俺が居ない間……成長したな……アハハハハ……ん?)」
すると陽弥が匂い嗅ぎ始める。
「(この匂いは……ムニエル?)」
陽弥は匂いのする方向を探り、茂みから顔を出す。
「(あれは……)」
茂み乗っかかり先に見えたのは、交易が盛んな『ヴァランドール皇国』であった。
「ヴァランドール皇国…ちょうど良い、粉ミルクを買うのに…………よく考えたら俺、金なかったぁぁぁぁ!!!!どうしよう!!!???」
陽弥が焦っていると、マナがある事を言う。
「……(……勇人お兄ちゃんとシンディお姉ちゃんの気配がするよ。)」
「(勇人が!?)」
「(うん)」
「(ナイス!)」
陽弥は銀河の翼の中に泣いているオリバーとライラ、マナを隠し、粉ミルクと哺乳瓶を買うために勇人とシンディを探しに、ヴァランドール皇国へと入った。
その頃、エルシュリア王国城内……荒れ壊された子供部屋を取り調べている兵士達。マナ、オリバー、ライラ……三人が子供達が行方不明に、エミリアは絶望していた、
「…ごめんなさい……ごめんなさい……マナ…オリバー…ライラ……」
絶望するエミリアに、レオンやサラ、ルナが励ます。シンとヒルダは行方不明の孫達の手掛かりを探っていた。すると、崩れた天井の木柱の下に一メートルもある幼虫の死体を見つけた。
「ドルガワーム…!?」
シンは頭部が何かに握り潰されたドルガワームを見る。
「……やっぱり」
「何がですか?」
レオンが問うと、シンはドルガの事について、説明する。
「このドルガワーム…………ドレギアスの軍用魔蟲だ…。」
「え!?」
「恐らく、オリバーとライラにも……陽弥と同じインフィニティソウル、クアンタニウムハート、アーククリスタル、グリゴリが宿っていたかもしれない………となると、目的は…」
「……拉致」
レオンの返答にシンが頷くと、レオンが壁に向かって拳をぶつけた。
「クソッ!!ドレギアス!!」
「……悔やむのは後だ。ドルガやワーム達はそこまで遠くへ行っていないと思う。」
「何でですか?」
「恐らく……ドルガやワーム達は輸送船に乗り込む。そこがある場所は大抵ヴァランドール皇国の宇宙港なんだ。だとしたら……」
「したら…?」
「うん………私の予測だと思うが……ヴァルキュリアスの内部に……スパイがいると思う。ソイツが、ヴァルキュリアスの輸送船にオリバー達を収納して、逃げるつもりだと思う。」
「なら、急ぎましょう!!」
レオンはアーサセイバーを持ち、ヴァランドール皇国へと向かった。シンはドルガワームを見ていると、口からあるものが落ちた。
「ん?」
それは、5ミリの小型遠隔装置であった。シンはオムニツールで小型遠隔装置を拡大して調べると、遠隔装置に会社のマークが表示されていた。
「コーパス?」
『コーパス』と言う名を知ったシンはこの時、新たな勢力がいることに気付きもしなかった。
その頃、ヴァランドール皇国を観光している勇人達は飲んだり食ったりの観光していた。
「色々見て回ったなぁ…」
「Yes♪」
「(師匠もいたら……)……考えても仕方がない、久し振りに、師匠が教えてくれた雑貨屋に行くか♪」
勇人は雑貨屋に行き、中に入る。中には色んな物が置いてあり、さらに護身用兵器までも売られていた。
「あ!これが良いなぁ♪」
勇人が目を付けたのはマグナムと綺麗な刀身をしており、火焔のような刃紋を持った異形な刀と短刀であった。
「おばさーん!これいくら?」
勇人は雑貨屋の店主に聞き、買おうとしていると、店のドアが開く。現れたのはマナであった。勇人はマナが来てる事に、驚く。
「あれ?マナちゃん!?」
「あ!」
そして勇人は雑貨屋の外で待っている怪物(陽弥)と再会し、勇人に頼み、泣いているオリバー、ライラの為にミルクを作り上げた。オリバーとライラは美味しそうに哺乳瓶のミルクを飲む。勇人は現状を把握する為に、陽弥に問う。
「……本当に師匠?」
陽弥は首で頷く。
「え〜〜っ!?」
勇人は驚く。凛々しく逞しい陽弥が、こんな醜く穢れた化物になっていた事に……。すると陽弥が唸り声をする。
「も、もしかして、怒っていますか?」
勇人がそれを言うと、陽弥がさらに唸り声を上げる。
「ごめんなさい!無意識で嫌気が出てしまって!」
その直後、陽弥が勇人に飛びかか、爪で顔を引っ掻く。
「痛い!?(かなり…怒っている~!!)」
勇人は引っ掻かれた顔を擦ると、勇人の所に二人のスーツの者達が近付く。
『もし?新川 勇人さんですね?』
「え?…はい…」
『あぁ!良かった~♪実はエルシュリア王国でオリバー様とライラ様が誘拐されたのですよ』
「え!?」
勇人が驚くと、もう一人が陽弥の翼の中にいるオリバーとライラを見て、微笑む。
『おや?その怪物の翼の中にいられるのは……もしや、オリバー様とライラ様?』
「え?」
『おぉ!それは良かったです♪……勇人さん、率直ですがあなたにお願いがあります……。』
「はい…?」
勇人は首を傾げ、陽弥は二人を警戒していると、勇人と陽弥の所に直方体形をしたヘルメットを被っているスーツの者達が集まる。その手にはレーザーライフルやレーザーハンドキャノン、レーザースナイパーライフル、レーザーミニガン、照射ライフルを持っていた。さらに一人に二体ずついる二足型歩行戦闘ロボット『モア』や領域制御と捕縛攻撃に特化した防御型の『バーサ』、飛行するロボットユニット『オスプレイ』が配備されていた。
そして勇人の目の前にいた二人のスーツの者がレーザーハンドキャノンとレーザーライフルを突き付ける。
『オリバー様とライラ様を……我等"コーパス"に引き渡してくれませんかね~?』
「っ!!?」
勇人は警戒し、周りの人々が悲鳴を上げ、逃げていく。
「お前ら!グリニア帝国か!?」
『グリニア帝国?いえいえ、我々はそんな野蛮な武装集団国家ではありません……そう、我等コーパスはあらゆる貿易、商業、工業利益の為に立ち向かう商業崇拝者…。』
「つまり…武器や奴隷などの貿易品を商売している商人か!」
『えぇ、我々はクアンタ人のテクノロジーを見つけ、色んなロボットも開発しているのです。その為には……ヴァルキュリアス総統の陽弥・ギデオンの妻"エミリア・ヴァルネア・ギデオン"婦人と姉の"エスメラルダ・レグレシア・クアンタ"、そしてマナ・ギデオン、オリバー・ギデオン、ライラ・ギデオンの身柄の確保します。後、グリニア帝国皇帝からクアンタ人である新川 勇人の抹殺を依頼されているのですよ。』
「屑が!」
勇人が刀を抜刀しようとした直後、後方にいた陽弥が尾を伸ばし、鋭く尖った尖端でコーパスクルーマンの腹部を貫通した。そして持っていたレーザーライフルを奪い取る。
「あ〜……言っておくけど、お前たちはここで終わる……何故なら、ここにその話を聞いて切れている人物がいるから…。」
「ガァァァァァァァァァァァ!!!!」
陽弥が吼え、レーザーライフルを乱射する。
『新川 勇人とあの怪物を殺せ!何としてでも、マナ・ギデオンとオリバー・ギデオンとライラ・ギデオンを捕獲せよ!!』
コーパスクルーマン達が攻撃を開始した。ヴァランドール皇国内での戦闘により、国民が逃げ惑う。シンディや真里亞、雄二、知彦、志歩、瑠璃、彩乃、玲二は押し寄せる民に巻き込まれ、流される。
「勇人ぉぉぉぉ!!」
コーパスクルーマン達は標的である勇人の抹殺とマナとオリバー、ライラの身柄の確保に必死であった。勇人は異形な刀を抜刀し、スタンロッドを持ったクルーマンが迫って来た。勇人はスタンロッド振り下ろして来たクルーマンの攻撃を防御する。
「クッ!」
勇人はクルーマンを蹴り飛ばした直後、二人のクルーマンが勇人を抑える。するとスタンロッドを構えたクルーマンが言う。
『抑えておけ!』
クルーマンがスタンロッド振り下ろそうとした直後、頭部にレーザー弾が炸裂した。
『『!?』』
そこにはレーザーライフルを構えた陽弥がいた。
「ガゥゥゥゥッ!!(俺もいるって言う事……忘れんな!!)」
陽弥は吼え、抑えて付けているクルーマンにドロップキックを浴びさせる。っとそこにシンディ達が駆けつけて来た。
「勇人!」
「シンディ!」
すると陽弥がシンディ達に近付き、銀河の翼の中に隠していたマナ、オリバー、ライラを預ける。
「oh!?」
そして陽弥は戦いに戻り、クルーマンを叩き付ける。
「ガウゥゥッ!!(借りるぞ!!)」
陽弥は二人のクルーマンの腰に収納していたスタンロッドを奪い、得意の二刀流の構えをする。
「グルルルルルルル!!!(護星神陽弥・ギデオン!!再臨!!)」
陽弥がスタンロッドを二刀流でクルーマンに打つ。華麗な戦法、アクロバティックかクルーマン達を翻弄する。
「!?」
ボディカラーが青の射撃精度の高いレールガンを搭載した"レールガン モア"とボディカラーがグリーンの最も一般的なタイプのモアがレーザー砲を構えていた。
「フンッ!(フッ!ドロイドで相手するつもりか?甘すぎる!!)」
陽弥はそう言うと、口から大出力のプラズマビーム砲を放った。
「グウゥッ!!(終わったな!!)」
陽弥がそう思った直後、領域制御と捕縛攻撃に特化した防御型のオレンジのバーサ。"ディナイアル バーサ"6体と青緑色の小型オスプレイ"シールド オスプレイ"がディナイアル バーサ12体が集まり、シールド オスプレイからシールドエネルギーが放出され、ディナイアル バーサに付加させる。そして陽弥のプラズマビームがバーサに直撃したが、オスプレイのシールドとバーサの防壁により、プラズマビームが吸収されていく。
「ッ!?(シールド!?そんな膨大なエネルギーを放出出来るなんて……あっ!)」
陽弥はシールドエネルギーが自身のエネルギーとマナのエネルギーが使われていることに気付く。するとクルーマンの一人がスタンロッドを振り下ろし、陽弥の背中に炸裂した。
「ガァッ!」
陽弥はスタンロッドの電磁波により、倒れる。
「師匠!」
勇人が刀を振り回し、クルーマンを薙ぎ払い、ホルスターからマグナムを取り出す。
「師匠から、離れろ!!」
勇人は陽弥を襲っているクルーマンに向けて、マグナムを発砲する。クルーマンを撃ち殺すし、陽弥に駆け寄る。
「師匠!大丈夫ですか!?」
「ウ…ウウ……」
すると陽弥と勇人の周りにクルーマンやロボット、マナとオリバーとライラを拐おうとしたドルガワームとドルガ成虫体が現れる。さらに、コーパス キャリア2隻が現れ、コーパスの戦闘機"ローカストドローン"が展開され、レーザーマシンガンが向けられる。
「クッ!」
「グルルッ!!(ここまでか!)」
二人が諦めた直後、キャリアの外殻にビームが炸裂する。
『何だ!?』
『シン・ギデオンだぁぁーー!!』
コーパスクルーマンの叫びと共に、ヴァランドール皇国城壁外からシンのパンドラメイル"ペルシウス・オーバーライズ"がディメンジョン・ヴァルキュリアを構える。
「貴様等!家の孫達に手を出した事、後悔せ!!」
シンは精密射撃で正確にドローンを撃墜していく。
「ライトソードビット!」
ペルシウスからライトソードビットが射出され、陽弥と勇人を取り囲んでいたクルーマンとロボット、ドルガワームとドルガ成虫体を駆逐した。
『マズイ!退け!退けぇ!!』
恐れたクルーマン達はキャリアに乗り込み、ヴァランドール皇国から立ち去り、ホライゾンを脱出した。
新たな勢力『コーパス』と言う商業教団を知った勇人達は、グリニア帝国やコーパスの警戒宣言を発令。幸いな事に、ヴァランドール皇国の民達全員に怪我人はいなく、陽弥がスタンロッドで気絶させたクルーマンを捕らえることに成功。
「誰の命令だ……」
冷酷な表情を浮かべるシンとヒルダは捕虜のクルーマンに尋問する。
『し、知るか!お前らの様な呑気な軍に!』
その時、ヒルダがナイフを取り出し、身動きが取れないクルーマンの足に突き刺した。
『アアアアアアァァァァァッ!!!!』
クルーマンは余りの痛さに悲鳴を上げると、ヒルダがクルーマンの胸ぐらを掴み上げる。
「ザッけんなよ!!この悪党が!!アタシ等の孫達を拉致して殺そうとしたじゃねぇか!!」
「とっとと吐いた方が良いぞ………ヒルダの奴、お前達を殺す気満々だから…。」
「言え!グリニア帝国の中の雇い主は誰だ!!?」
『……フフフ、教える事はないよ♪』
すると捕虜のクルーマン達が笑い、歯を噛みしめた。シンは彼らの行動直後に気付いた。
「コイツ等!!おいっ!!」
他の兵士達がクルーマンの顎を抑えつけるが、クルーマンが死んでいく。
「ど、どうなってんだ!?」
「遅かったか…、コイツ等…口封じに歯の中に毒薬を組み込まれていたんだ……。」
事実を聞かされたヒルダは死体を蹴り飛ばした。
「クソ!!」
ヒルダが悔しがっている中、勇人はヴァランドール皇国から去ろうとしている陽弥を止めようとする。
「師匠!」
「teacher!」
勇人とシンディの呼び声に、陽弥は振り向く。
「………」
「「……」」
二人の緊張が高ぶってると、陽弥が勇人とエミリアに近付き、耳元で話す。
「勇人……シンディ…………エミリア達を頼む……俺はまだ……やり残した事がある……。」
陽弥は小声でそう言うと、銀河の翼を拡げ、飛び立った。
惑星ホライゾンの成層圏まで来ると、陽弥の目の前に太陽神ラーと時空神クロノスが龍の姿で待っていた。
「ラー様に…クロノス様?お二人は何用で?」
陽弥は問うと、クロノスが言う。
「ミッドガンドの護星神……アステカ神族が守護するテスカトリポカの世界に…グリニア帝国が現れた」
「何っ!!?」
クロノスの言葉に陽弥は驚く。そしてラーが説明する。
「他の神族達がテスカトリポカの世界へ援軍として、向かました……陽弥・ギデオン…あなたの能力の一部を解放します。」
太陽神ラーは持っていたスタッフを掲げ、呪紋を唱える。すると陽弥の体が光だし、姿が変わっていくと共に大きくなっていく。そして陽弥の姿が怪物から、バハムディアと同じドラゴンへと変身した。
「行きましょう」
太陽神ラーがそう言い、陽弥はクロノスと共にテスカトリポカの世界へ向かっていった。