『織斑一夏君に続きまたしても日本で男性のIS適合者が発見されました! 二人目の男性IS適合者の名前は四門空色人君と言い、四門空色人君は界境防衛機関ボーダーに所属しているB級隊員です。高いトリオン能力を持ちながらISを起動を起動できたのは彼が初めてで……』
「………はぁ」
あの悪夢のIS適合検査の日から数日後。俺はボーダー本部の食堂にあるテレビで俺のことを報道するニュースを見て深いため息をついた。ため息をつけばその分幸せが逃げると言うが、もう俺の幸せは大きく減ったので今更幸せが減っても大して変わらないだろう。
IS適合検査の日にISを起動させた後は本当に大変だった。
突然の出来事に呆然としていた俺は、何処からか現れたISを装着した数名の警備員によって強引に何処かの研究所に連れ去られ、そこで血を抜かれたり様々な検査を受けさせられた。
それからしばらくしてボーダーからの迎えが来てようやく解放されると思ったら、今度はボーダー本部でも血を抜かれたり様々な検査を受けさせられた。
そして今日までの数日間。俺は「保護」という名目でボーダー本部に閉じ込められて自宅に帰ることもできず、一日に何度も検査かテレビ局からのインタビューを受ける日々を送っていた。……本当にもう疲れたよ。何て言うか、この数日間で身体がというより精神的に疲れたよ。
「………はぁ」
「よう。どうした? ため息なんかついて」
もう一度ため息をつくと額に青のサングラスをかけた茶髪の男が話しかけてきた。
「迅さん」
話しかけてきたのはボーダーでも二人しかいないS級隊員、迅さんだった。
「ぼんち揚食う?」
そう言うと迅は左手に持っていたぼんち揚が入っている袋をこちらに差し出してた。ぼんち揚をこよなく愛するしている迅さんは、まるで挨拶代わりにぼんち揚をすすめてくるのだ。
「……いただきます」
迅さんが持つ袋からぼんち揚を一つ取り出して食べる。……うん。美味しい。
「しっかし最近大変そうだな」
「本当ですよ。毎日毎日検査とインタビューばっかりでモルモットか珍獣になった気分ですよ。……いや、実際にそうか」
「そんな顔するなよ。皆お前に期待しているんだぜ? 何しろお前のお陰でトリオン技術とIS技術が一気に進むかも知れないんだからさ」
落ち込む俺に迅さんが励ますように声をかけてくれる。
「それに悪いことばかりじゃないと思うぞ? 四門って春になったらIS学園に進学するんだろ?」
「ええ、そうですけど」
ISを起動させた俺は政府とボーダー上層部両方からIS学園に入学するように言われていて、すでに手続きも完了している。ボーダーの外務・営業部長の唐沢さんの話によれば、俺がIS学園に入学してそこで得られたデータを提供することを条件に国連はボーダーに資金援助をしてくれるらしく、「キミのお陰でボーダーの財政が潤うよ」と言われた。
「IS学園に進学するとそこらじゃ滅多に見られない綺麗な同級生や上級生との出会いが沢山ある。そしてそこでお前は沢山の綺麗な女の子達と親密な関係になれる。俺のサイドエフェクトがそう言っている。羨ましいな、この色男」
からかうように俺の肩を軽く叩いてくる迅さん。そういえばこの人って、賢と同じくらい女の子が好きだったっけ?
サイドエフェクトというのは高いトリオン能力を持つ者が極稀に目覚める超感覚で、迅さんは未来を知るという反則じみたサイドエフェクトを持っている。その迅さんが言うには間違いだろうが、俺にはあまり興味のない話なんだよな……。
「迅さんまで賢みたいなこと言わないでくださいよ……。別に俺、そういうのはいいですから」
「若いのに枯れたこと言うねぇ……」
迅さんはやれやれと言った風に肩をすくめると不意に真面目な表情となって俺を見てきた。
「それはともかくIS学園に進学したら気をつけろよ? 今はまだ何とも言えないがIS学園でお前は中々面倒そうなトラブルに巻き込まれそうだ。俺のサイドエフェクトがそう言っている」
……マジですか? 何だか今からIS学園に行くのがイヤになってきたんですけど……。