精神病院に行ってみようかな。
とある山奥。
そこには一つの建物が。
「う〜ん、最近面白いネタが無いな〜。」
椅子の背もたれに寄りかかり、椅子を前後に揺らし難しい顔をしている少女。
彼女は「射命丸 文」
幻想郷のちょっとした新聞記者だ。
最近、事件も何も無くて困っているらしい。
「平和で良いじゃないですか。」
悩んでいる彼女の隣で白髪の少女が言う。
彼女は「犬走 椛」
彼女の部下であり友人でもある。
「といってもね〜。
新聞記者にとっては困るのよね〜。」
確かにそうだ。
記事を書けない記者などただの無職と同等だ。
「何か、こう、面白いネタでも降ってこないかな〜。」
そう彼女が言い終わった直後。
「ガサッ、パキパキ、ゴトッ」
近くで草木が揺れ、枝が折れ、何かが落ちた様な音がした。
「何の音でしょう?」
椛が外を見渡す。
「何か見つかった?」
文が聞くと。
「文さん、来てください。」
「どうしたの?」
彼女に呼ばれ、見に行く。
そこにあったのは。
「これって、あれですよね?」
「う〜ん、金庫?」
金庫だった。
錆付き、有刺鉄線が巻かれたそれは、文の気を引く。
「むむむ、何か特ダネの予感!!」
彼女はそう言うと懐からカメラを取り出し、金庫を撮影する。
「これはきっと神様が私に与えてくれた特ダネかもしれない!!」
文はさっきとは別人の様なやる気に満ち溢れた顔になり、記事を猛スピードで書く。
椛は暫し唖然としていたが、正気を取り戻し手伝いをする。
数時間後
「出来た!!」
文は成し遂げた様に両手を突き上げガッツポーズをする。
「どれどれ?「空から謎の金庫が出現!?これは一体!?」ですか。」
出来立ての記事を見る椛。
「謎の金庫が出現って、そんなことあります?」
文に聞く。
「少しぐらい盛っても良いじゃない。
最近ネタが無かったんだし。」
記者としてどうかと思うが、それが彼女の面白いところなのだ。
だが彼女の脚色は現実となる。
「ゴトン、ゴトン、ゴトゴトン」
また外から音がする。
「まさか、また金庫でしょうか?」
椛がまた見に行く。
そこにあったのは。
金庫。
それも一つや二つではない。
5〜6個は転がっている。
「むむむ、これは一体……。」
文はカメラを持ち、椛に告げる。
「少し周辺を見てきますね。」
「え?あ、はい。」
文は猛スピードで飛び立ち、何処かに消えてゆく。
暫くして、彼女は帰って来た。
「予想通り、同じ金庫があちこちで見つかりました。
それも何百と。」
彼女はこの「金庫の大量出現」について考えていたのだ。
「外の世界で生産中止にでもなったのでしょうか?」
椛がそう彼女に聞く。
「いえ、これはきっと。
異変ですよ!!」
彼女は自信満々にそう言うが。
「たかが金庫が大量出現しただけで異変になりますかね〜?」
文にジトーっとした目を向ける。
「き、きっと誰かしら動きますよ!!
ほ、ほら、あの博麗の巫女なら動きそうじゃないですか!?」
彼女はきっと「彼女は金に絡んだものなら動くだろう」と思っているのだろう。
「とにかく、このことを記事にして、公開しますよ!!」
彼女はそう言うと、夢中で記事を書き続けた。
『幻想郷中で謎の金庫が大量出現!!これは異変か!?』
完成した記事の見出しには大きくそう書かれていた。
いたるところに金庫、金庫、また金庫。
これは一体!?
次回、あの方が動き始めるか!?