第1話ー始まり
コーネリア陥落から10日後 惑星コーネリアから約一万光年の位置に、コーネリアを脱出した脱出船団がその護衛と共にいた。
そして、その船団の中でも一際大きい船に、コーネリアの王太子と王女が乗船していた。
「船長、今どの辺りかな?」
宇宙船の船橋にて、豪華とは行かないまでも、どこか品のある装飾を施した服を着た青年が初老の船長へ声をかけた。
「……さあ、この辺りは資源探査船も来たことがない様な宙域ですからなぁ……我々としても未知の宙域ですから、何が起きてもいい様に注意だけしておいてください。」
「そうか……なあ船長…私は、いや私達はこれで良かったのだろうか?」
「………殿下、其れは一体どの様な意味で仰っているのか測りかねるのですが?」
青年の問いに船長は厳しい顔で問い返しす。
「…いや、……国を見捨て逃げ出すのが王族として正しいことだったのかと、ふと思ったのだ」
青年は少し俯きながら船長へ話し、拳を掌が白くなる程に強く握りしめる。
其れを見て船長は正面を見据えながら少し息を吐くと、口を開いた。
「…殿下、其れは私には答えられません、何故なら私は王族でもないただの軍人だからです……しかし、一つだけ言えることがあります。」
「……其れは一体?」
船長は諭す様に話し出した。
「其れはですね殿下、殿下や妹君、そしていま我らと共にいる民草を逃すために犠牲となった者達がいる事を忘れないこと、そしてその犠牲を無駄にしない様に……いやしてはいけないと言う事を殿下には分かっていただきたいのです。」
「…其れは……いや、そうだな…すまない船長、ありがとう」
「いえいえ、殿下に年寄りのお節介と言われるかも知れませんな!はっはっはっ!」
「いや、そんな事はない、船長これからもよろしく頼む。」
その言葉に船長は青年の方に向き直ると笑顔で敬礼する事で返した。
ーー
その頃…惑星コーネリア占領軍司令部
惑星コーネリアを占領した軍の司令部として使われている戦艦で一人の男…地球人、コーネリア人とも違う見た目の男が、通信機越しに聞こえてくる声に体を震わせていた。
『デール少将、コーネリア制圧の任務、先ずはご苦労だった。』
デールと呼ばれた男は通信越しに聞こえてくる声に顔を俯かせる。
「は、ありがとうございーー」
『だがな少将、コーネリアごときに損失を出した事は頂けないな……我らの目的をよもや忘れた訳ではあるまい?』
「っし、しかし数の差が有りーー」
男は冷や汗を流しながら反論しようとするが、其れも遮られてしまう。
『少将…私はその様な事を聞きたいのではないのだよ。例え駆逐艦数隻とは言えコーネリアに撃沈されたことが問題なのだ。帝国の目的である銀河制覇を成す上で、君を期待して渡した新鋭駆逐艦が撃沈された…これは君の評価を見直さなければならんかな?』
男の瞳に恐怖が浮かぶが、其れを押し殺す様に男は言葉を紡ぐ。
「そ、それは……」
『…ふん、まあいい、今回は陛下も機嫌がよろしい様でな…今回だけは見逃してやろう、所で次の標的だが………ガルマー大将が攻略の指揮を執ることになった。君はその指揮下に入る、失敗を挽回するチャンスだぞ?』
「あ、ありがとうございます。」
『さて、その次の標的だがな、地球と呼ばれている星間国家を知っているかね?』
その言葉に、男は首を傾げながら問い返す。
「地球…ですか?聞いたことありませんが…」
『そうか、いやな…数日ほど前に我が軍の部隊がある惑星を調査しに行き、その際に接触し戦闘になった艦隊がなんでも地球所属とか言っていたらしくてな、我らに楯突いた奴らの母星を征服しようと言う陛下の意思でな』
「は、そういう事でしたか…」
『ああ、君はその攻略に加わってもらう、ガルマー大将はあと一ヶ月程で其方に到着するからな、準備しておけよ?では私はこれから陛下の所へ行かねばならんから失礼する』
そう言って通信は切れた。
「……ふう、また一つ国が滅びるか………我が祖国と同じ様に………」
男のその呟きを聞いた者はこの場には居なかった………。
感想お待ちしています。