王太子、ダルク・ド・コーネリアは、マルド将軍から“話してみる価値あり”との事で、目の前にいる艦隊の指揮官と話をする事になり、早速通信回線を開いた。
「私が、コーネリア公国王太子、ダルク・ド・コーネリアです。話し合いに応じて頂きありがとうございます。」
まずは、王太子、ダルクが自己紹介をした。そして、ライアン大佐は王族が自ら先に名を名乗った事に驚いたが、それはライアンは王族は先に名乗る事はないと思っていたためで、文化が違うのかと納得した。
そして、ライアンも緊張した面持ちで口を開いた。
『初めまして殿下、私は地球連邦軍 航宙警備局空間護衛隊群 第91空間護衛隊司令、レイモンド・ライアン大佐です。』
「大佐、大まかな事は将軍から聞いたが、マルコ恒星系と言うのが君達の母星がある恒星系なのか?」
『いいえ、マルコ恒星系は地球連邦の治める恒星系ではありますが、母星、本国がある恒星系ではなく、連邦が領地としている複数ある恒星系の一つにすぎません。』
ライアンの言葉に今度はダルクや、通信を聞いている宇宙船 フリースの船橋にいる、船長を含む乗員達も驚く。
「なんと……本国以外にも恒星系を有するとは、其れほどの大国ということなのか?」
『大国?いえ、其れは私には判断できません、其れは価値観の違いからそう見えることもあるでしょうし…。』
「なるほど、そういう事もあるか…。其れともう一つ聞きたいのだが、その領有している恒星系はどの様に領有したのだ?」
その言葉にライアンはダルクが何を言いたいのか分からず、少し困惑しながら説明を始める。
『……は?、あ、いえ申し訳有りません、そうですね、連邦が本国以外にどの様に恒星系を領有したのか、ですか? ……其れはですね、私は大まかにしか説明できませんが宜しいですか?』
「構わない、説明をお願いする。」
『分かりました、簡単に説明すると、連邦は資源採取のために本国の恒星系以外の恒星系を調査する為に探査船団を派遣し調査を行い、資源が有り、人類が生存できる環境、又は環境に出来そうな惑星を見つけ開拓し領有と言ったところですかね。ただ、開拓において生物がいた痕跡は未だに見つけてはいない様ですが…。』
「…そうか、いや、気分を害したならすまないが、我が母星は敵の占領下に有るので、少し疑り深くなっていた様だ。」
「ライアン殿、私からも良いかね?」
今度は船長がライアンに話し掛けた。
『はい、何でしょう?』
「貴方方が今向かっている恒星系は此処から近いのかな?将軍から貴方方がマルコ恒星系と言う恒星系へ向かっていると聞いていたのだが。」
『はい、約一万八千光年の距離が有りますが……、二回の長距離空間転移にて友軍のマルコ恒星系方面警備隊の基地が約一万二千光年先にあるので、その基地の哨戒空域に転移し、そこで艦隊を応急修理し、其れからマルコ恒星系へ向かう事になっております。』
ライアンが機密に触れない範囲で答えると、船長はそうですかと頷き、少し待ってほしいとライアンに伝え、一度通信を切るとダルクに話しかけた。
「……殿下、彼らを頼りませんか?」
ダルクは船長の言葉に怪訝な表情をする。
「頼る?船長、どう言う意味だ?」
「殿下も分かっているはず、このままでは今、共に行動している民や兵達が遠からず限界を迎え、取り返しのつかない事に成りかねない事を、ならば、祖国を奪還する為に彼らを頼り、亡命政府として受け入れて貰うのが良いのではないかと思ったまでです。」
船長が話し終えると、ダルクは顎に手を当て、考え込むが、数十秒して何かを決意したような表情で頷き、巡洋艦ヴァイパーのライアンに再度通信を入れた。
『話は纏まりましたか?』
「ああ、ライアン大佐、待たせて申し訳ない、」
『いえ、其れは構いませんよ。』
「ライアン大佐、私はコーネリア公国を代表して貴国、地球連邦への亡命政府と、避難民の受け入れを要請したい。」
その言葉にライアンは、矢張りかと、米神を抑えたくなる衝動を抑えながら返答する。
『殿下、申し訳ありませんが、私ではその様な判断は出来ないのはお分かりのはずです、一度上層部へ連絡するので少しお待ちください。』
「分かった、ライアン大佐すまない、手間をかける。」
ダルクが言うと、ライアンは気にしないでください、と言って通信わ切った。
ーー
巡洋艦ヴァイパーの中で、ライアンは超長距離通信でマルコ恒星系方面駐留軍司令部へ通信回線わ開き、事のあらましを説明していた。
『…うーむ、すると前の報告にあった敵に占領された国家の亡命政府が、地球連邦へ受け入れを要請していると?』
通信機のモニターに映るのは金髪の40〜50代くらいの紳士風の男性で、肩には中将の階級章が付いていた。
「はい、私では判断が出来ないため、連絡致しました。」.
ライアンの言葉に、中将は少し考え込み、ライアンへ少し待てと伝え、通信機のモニター越しにケータイで何処かと連絡を取って居るのが、見て取れる。
中将は、連絡が終わると、再度通信モニターに向かい、口を開いた。
『…待たせたなライアン大佐、今このマルコ恒星系の行政長官と連絡を取ったのだが、取り敢えず本国政府へも連絡するとの事でな、君にはそのコーネリア公国の亡命政府をこのマルコ恒星系まで連れてくる様にと言っていた。すまないが、頼めるか?途中でこの方面の警備隊が演習中だから君達に合流する様手配する。』
「分かりました、では直ぐに彼らへ伝え、そちらへ向かいます。」
『うむ、頼んだぞ.ライアン大佐』
通信が切れるとライアンは、コーネリアの船団へ回線を繋げるとさ、先程の通信の内容をダルク達へ伝え、直ぐに空間転移の準備に取り掛かった。
コーネリア船団とは空間転移のシステムリンクが無いため、コーネリア船団を護衛隊の艦艇や、探査船団が牽引して転移する方法を取った。
また、牽引システムは空間転移にも耐えれる様になっている為、コーネリア船団を置き去りにすることは無い。
「艦長、機関出力安定、空間転移システム作動、転移準備完了です。」
「よし、僚艦の準備状況に合わせ転移する。」
「コーネリア船団への牽引システム正常、僚艦とのシステムリンクも正常、全艦転移準備完了です。」
「分かった。……司令、艦隊の転移準備完了です。」
ライアンは艦長の報告に頷き、号令を出す。
「全艦、転移開始」
そこからは特に問題もなく、警備隊と合流も果たし、第91護衛隊と探査船団、コーネリア船団は、5日程でマルコ恒星系へ到着するのである。
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