気が付けば異世界   作:パパドプロス

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勇者召喚

 ここはどこだ? 真っ暗で何も見えない。

 体も動かせない、ゴワゴワした布に巻かれているようだ。

 かなり厳重に巻かれてはいるが息苦しさはない。

 この違和感はなんだ、体を横にされてる感覚ではない、立てて運ばれている。

 それでいて……この浮遊感はなんだ、吊るされているのか?

 どうなっているんだ、拉致されてるのか?

 クソっ、思い出せ、俺は何をしてた、どこから記憶が途切れている?

 思い出せる所から……俺は確か、自分の部屋でブログの更新をしてたんだ。

 いや、更新は終わって、そう、コメントを読んで、それから……それから。

 そうだ! JKだ! そう、十六歳の女子高生からのコメントがあったんだ。

 内容は……、『いつも楽しく拝見させてもらってます、今度二人っきりでオフ会でもやりましょう』

 URLがあったから嬉しくなって、つい、それを踏んだ。

 そしたら……エロ動画サイトに飛ばされたんだ……スパムだったんだよ。

 知ってたよ、そんなうまい話は俺の所に来るはずないってさ。

 ワザと釣られてやったんだよ! でも、まあ、良質なオカズが無料だったんだ。

 だからティッシュの箱を横において良質なオカズのチェックを始めたんだよ。

 俺が最後に見た動画はケモノ耳の女と盗賊みたいな男のコスプレ擬似レイプものだった。

 なんか作りがやたらリアルだったな、耳とか本物みたいだったし。

 嫌がり方も本気みたいだった、だからそれで抜こうって決めたんだよな。

 良質なオカズだと気持ち良さもひとしおだ。

 あんな感覚初めてだった、イッた瞬間目の前が真っ白になって……

 それで、今に至ると。

 俺は家の中で拉致られたのかよ……どうしてこんな事になってんだよ。

 誰かが喋ってる声が聞こえる。

 

「うー、しかたねえ、ここでやっちまうか」

 

 え! 殺っちまうってなんだよ! 俺のこと殺す気かよ!

 なんだよ! 意味分かんねえよ! 身代金要求とかじゃないのかよ!

 順序ってものがあるだろ!

 クソ……、母ちゃん、ごめん、今まで、ありがとう、俺なんの恩も返せてないよ……まだ死にたくなよ。

 

「ん~んんん~」

 

 眩しい! 殺さないでくれ!

 

「うう~、やべえな、急がないと」

 

 え? うあああああああああああ、死ぬ、高い高い高い、怖い怖い怖い……

 

「よっと、そ~れ」

 

<ドボドボドボドボドボドボドボドボドボドボドボドボドボドボドボドボドボドボ>

 

「はあ~うう~」

 

 え? 何? なんか体から大量の液体が流れ出てる。

 なんか、力が、ぬけてく、おれしんだわ。

 

「はあ~すっきりした~」

 

 あれ、生きてる、俺死んでないわ。

 つかチンポだわ。

 俺の体チンポになってるわ。

 体というより、体の一部になってるわ。

 いや、おかしいだろ、何でよりにもよってちんぽなんだよ。

 俺ってなんなの? いや、確かにチンポだよ?

 そうじゃなくてさ、俺の脳みそはどこなの?

 今の俺はどうやってもの考えてるのよ。

 どこまでが俺なの?

 俺の目はどこなの? どこから見てるの?

 俺の耳はどこなの? どこから聞こえてくるの?

 鼻はどこなの? ああ、息は吸ってないのか、だから息苦しくなかったのね。

 はは、浮遊感の謎も解けたわ、そりゃあ、こんな風にブラブラぶら下がってたらね。

 はは、ワロス、ワロス。

 涙出るわ。

 はは、涙腺ないから無理だわ、出たのはションベンですから。

 振り回すな、振り回すな、俺も振り回すな!

 ふざけんな、ふざけんな、ふざけんなよ!

 

『おい! てめぇ、なんなんだよ!』

「え?」

『どこ見てんだよ、後ろじゃねえよ! こっちだよ!』

「は? え? どこ?」

『下だよ、てめぇ、こっちだよ!』

「気味が悪いな、どっから聞こえてきてるんだよ」

 

 うわっ、こいつ俺の先ちょ濡れたまましまいやがった。

 クッソ、ベトつくじゃねえかよ。

 マジ、許せねえ、許さねえぞ!

 

『おい、てめぇ、止まれ』

「うう、なんなんだよ」

『おい、人の話を聞けコラ!』

 

 いや、ここはちんぽの話を聞けか?

 

「聞こえない、聞こえない、何も聞こえない」

『聞こえてんじゃねえかよ!』

「……」

『あーそう、そういう態度とるわけね、無視しちゃうんだ』

「……」

 

 チンポだからって馬鹿にしてんだね。

 俺がチンポだから何も出来ないと思ってるんだ。

 すでに俺はお前のチンポであって実はそうじゃないんだよ。

 自分がちんぽだと自覚してから、なぜか自分自身(チンポ)の能力が把握出来てしまった。

 まず一つ目、今使ったテレパシーだ、ただし使える相手は限られるようだ。

 でも、こんなものはオマケに過ぎない。

 それをこいつに思い知らせてやる。

 

 ◇

 

 どうやら家に帰る途中だったようだ。

 あれから浮遊感を味わうこと、二、三時間といったところか。

 ここからはタイミングが重要になる。

 

「ただいま、エリー」

「あなた、おかえりなさい」

「パパ、おかえり~」

「ああ、ただいま、マリカ」

「あなた、品物はどれくらい売れたの?」

「フフ、完売だ、相場より高く売れた。エリー何か必要なものはあるか? 少しくらい高くても買ってやるぞ」

「そうね、どうしようかしら……」

「パパ~、あたしも! あたしも!」

「分かった、分かった、マリカにも一つ買ってやる」

「やったー」

 

 楽しそうだな。

 俺も混ぜてもらおうかな。

 

「パパ、なにそれ」

「何がだい、マリカ?」

「あなた、ズボンから何か溢れてるわよ」

「へ?」

 

 さあ、何が溢れてるんだろうね。

 

「な、なんだ、これは……」

「あなた、どうしたの?」

「い、いや、なんでもない、大丈夫だ、ちょっと着替えてくれるよ」

『おい、俺の能力、強制放尿《ラヴシャワー》の感想は?』

「え? どこだ! どこに隠れている!」

「どうしたの、あなた急に大きな声なんかだして」

『隠されてはいるが別に隠れてるわけじゃないんだがな』

「出てこい!」

「あなた、落ち着いて、どうしたの!」

「この声が聞こえないのか!」

「私達以外の声なんて聞こえないわよ……どうしちゃったのよ、あなた」

「パパ、だいじょうぶ?」

『やはり俺の声はお前にしか聞こえないみたいだな』

「お前はどこにいるんだ! 姿を現せ!」

『俺はお前のチンポだよ、いや、すでに俺のチンポと言っていいのかもしれないがな』

「ち、ん、ぽ?」

「あなた?」

「パパ、ちんぽってなに~」

『おい、おい、子供にナニを教えてるんだよ、パパさん』

「嘘、だ、そんなことあるわけがない……」

「あなた、しっかりして!」

「ねえ、パパ、ちんぽってなに! ちんぽってなんなのおしえてよ!」

「黙りなさい! マリカは部屋行ってなさい!」

「うぅ、ママなんてだいっきらい!」

 

 強制放尿《ラヴシャワー》セカンド

 

「あなた、また、ズボンから溢れてるわよ……」

「これは、……ションベンだ。どうなってしまったんだ、私は……」

「あなた……」

『これで分かっただろ? 今のお前にちんぽの制御権は無いんだよ』

 

 ◇

 

 あれから泣きじゃくる奥さんをこいつがなだめ、ズボンを履き替え現在はトイレの個室の中だ。

 

「お前は本当に、その、ちんぽ、なのか?」

『強制放尿《ラヴシャワー》食らってもまだ駄目か、他の能力も味わうか?』

「い、いや、分かった、お前はちんぽだ、確かにちんぽ以外ありえない」

『おい、チンポ、チンポ連呼してんじゃねぇよ!』

「す、すまない、なんて呼べば」

『そういえば、自己紹介がまだだったな、お前名前は?』

「ハウゼンだ」

『変な名前だな、日本人じゃないのか』

「ニホンジン? とはなんだ?」

『お前は何語で喋ってんだよ、舐めてんのか』

「獣人語だが」

『ん? ジュウジンゴ?』

「私は獣人だからな」

『ああ? ケモノ耳でも生えてんのか?』

「勿論生えている」

『……顔を見せろ』

「誰に?」

『俺以外に誰がいんだよ!』

「わ、分かった、ど、どうすればいい」

『チンポを出して顔を近くに寄せろ……』

「……」

『早くしろ』

「分かった」

 

 辺りが明るくなった。

 ズボンを下ろしたようだ。

 そして目の前にオッサンの顔が現われた。

 確かに猫の耳みたいなの頭の上に付いている。

 

『その猫耳は本物か?』

「はい、この通り」

 

 ピクピク動いている、本物のようだ。

 俺はただチンポになったわけではなく、俺の知らない世界へと飛ばされていたらしい。

 まあ、チンポに憑依しているんだ、今更、そんなことに驚いてもしかたがない。

 

『異世界来たあああああああああああ』

「はい? な、なんですか?」

『いや、なんでもない、気にするな』

 

 まさかの異世界である。

 冒険の匂いがする。

 ハーレムの予感。

 勇者召喚である、でもチンポだ。

 なんでだよ、異世界と言えばチート持ちで召喚がデフォだろ……

 よりにもよって何でチンポなんだよ。

 あれかな。

 

 チートって十回言ってみて?

 

 チート、チート、チート、チート、チート、チート、チート、チート、チート、チート。

 

 君の股間に付いてるの、なーんだ?

 

 チンポ!

 

 そりゃ、チンポだわ、間違いなくチンポだわ。

 完全にチンポだわ、間違えようがないわ。

 

「あの、あなたのことはなんとお呼びすれば良いのでしょか?」

『そうだな、ご主人様で頼むわ』

 

 こうして俺の異世界での新たな第一歩が……、あ、間違った。

 こうして俺の異世界での新たな第一チンポが始まったのだった。

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