「学真、班決まった?」
んあ?あぁ、片岡か…
片岡 メグ
女子の学級委員でスポーツができ、リーダーシップもかなり強く、女子を纏めてる存在。磯貝に劣らないイケメン女子、通称『イケメグ』。
「班?」
「忘れたの?修学旅行だよ。決まったら学級委員の私か磯貝くんに言ってね」
…そいやそうだったな。すっかり忘れてた。
「全く、3年生も始まったばかりのこの時期に修学旅行とは…先生余り気乗りしません」
「大量に荷物を詰め込んだバック持って何言ってんだ!ウキウキじゃねーか!明らかに要らないもの入ってるし!」
ラジコンとか黒ひげ危機一発(黒ひげじゃなくてミニ殺せんせーがいるけど)とか修学旅行に持って行けねーだろうが!
「バレましたか。正直先生、君達との旅行が楽しみでしょうがないのです」
この親バカ先生とE組で行く修学旅行、正直俺も期待で胸を膨らませていた。
◇
先ほど烏間先生から説明を受けた。今回の修学旅行の行き先でもある京都、そこでも暗殺を行うそうだ。旅行先で班別行動の際に殺せんせーも一緒に回るから、その機を狙って射殺…というわけだ。早い話、国が手配した狙撃手にとって絶好の射撃スポットを提供するようにとのこと。
それ、てかなり難しいよな…京都について余り知らないから、射撃スポットなんて選べるんだろうか…
「学真くん、一緒の班になろうよ」
「ん?おお、いいぞ」
取り敢えず俺は渚と一緒の班になった。つーか他に頼る相手がいない…えーと、同じ班には、渚、茅野、奥田、杉野、カルマか……
「……大丈夫かカルマ、向こうで問題起こしたりしねぇだろうな」
班のリストを見てカルマに不安を感じた俺は間違ってないはずだ。
「へーきへーき」
呑気に言いながらカルマは1枚の写真を取り出した。…あれ?こいつ、てこの前の…
「旅先のケンカはちゃんと目撃者の口も封じるし、表沙汰にはならないよ」
「……おい、止めようぜこいつと行くの」
「うーん、でもまぁ気心知れてるし」
カルマを助けに行った時いつの間にか敵のボスと目撃者(俺は気づかなかった)と一緒に写真を撮ってる。…しかも身分証付きで。確かに口封じになるなこれ。つーか『気心知れてる』とかお前も相変わらずだよな渚…
「……ところで、渚のところは7人班だろ?あと1人はどうすんだ?」
確か…クラス人数が27人だから、6人×1班及び7人×3班という構成になる。6人班は寺坂のところのみになるから、俺らのところはあと1人必要だが…
「へへ、俺を舐めんなよ。この時の為に大分前から声かけてたんだ」
おお、杉野の奴やけに自信満々だ。そう言って杉野は1人の女性を呼んだ。
「クラスのマドンナ、神崎さんでどうでしょう」
「おお!異議なし」
成る程、神崎さんか……こりゃ頑張ったな。
神崎 有希子
穏やかな性格で、クラスの人気者。お淑やかな性格ゆえか、話しかける男子勢も多いはずだが…杉野が勝ち取ったと言うわけか。
「よろしく、学真くん」
ほら、クラスの中でかなり浮きかけている俺にこのお淑やかな対応だ。人気なのは当たり前だな。
ところで、後ろでビッチさんが何やら叫んでいる。『私抜きで…』て聞こえるし恐らくは……
ビッチさんが楽しそうに計画を練る生徒をバカにする。
↓
生徒は無視
↓
そのまま計画を練る生徒を羨ましく思う
↓
ビッチさんが文句を言う
て感じだろ。想像できる。
《ガラガラガラガラ》
「1人1冊です」
《ドサ!》
ぬお…重!いきなりこんな重たい本…て分厚い!?なんだこれ
「修学旅行のしおりです」
「辞書だろこれ!」
「イラスト解説の全観光スポット、お土産人気トップ100、旅の護身術入門から応用まで、昨日徹夜で作りました」
「どんだけテンション上がってんだ!そろいもそろってうちの先生は‼︎」
こんな重いしおり持っていけるかよ…中身ナナメ読みして家に置いて置こう。
ともかく、普通より盛り沢山になるだろう修学旅行に俺もテンションが上がってた。
◇
学校が終わり、俺は所謂ショッピングモールに来ている。当然、修学旅行に必要なものを買うためにだ。着替えとか、洗面用具とか、買うものは色々とある。
え〜っと…
着替えは基本下着だけでよかったよな。バックは…この黒いエナメルバックでいいか。タオルはこれとこれ…ハミガキ粉とか言うのはホテル側が揃えてくれるから良いとして…お菓子を少々……
よし、全部揃ったな。腹も減ったし目の前の定食屋で食べるか。
おれはその暖簾をくぐる。
「おお!いらっしゃい」
「どうも、1人空いてるか?」
「ん〜〜っと…ありゃ、相席しか無いけどいいかい?」
「別に構わねぇ」
「そりゃ良かった。じゃ奥に座ってくれ」
店の中は結構賑わっていた。基本的にサラリーマンが多いな。時間的には仕事帰りか?そんで俺はおっちゃんに言われた通り、奥の席に座る。言われた通り、目の前には男が1人いる。さて、メニューは…
あれ?こいつ……
「!浅野 学真じゃねぇか」
「……黒崎!?」
全校集会で会った、黒崎裕翔で間違いなかった。
「え…お前、何でここに……」
「お前な……近々あるだろ、修学旅行。その為の買い出しだよ」
…あ、それもそうか。こいつも…つーか本校舎の生徒も来るんだ。そんで買いに行った場所も同じで、ついでに食事も一緒のところに食べに来た、的な感じか。
「うな重のお客様、お待たせしました」
「ありがとうございます」
どうやらうな重を頼んだらしい。ボリュームある方が好きなんだな。
黒崎は出されたお盆を机の上に置き、鞄からマヨネーズを取り出してうな重にかけた。
「……は?」
え…ええ!?マヨネーズ!?うなぎにマヨネーズ⁉︎合うの⁉︎その組み合わせ
俺の動揺を気にも掛けずに黒崎はマヨネーズが思いっきりかかったうな重(つーかうなぎが見えねぇ)を食べだした。うわ…ジャイ◯ンがカツ丼食う感じで食べてるけど…ボリュームあるどころか味が濃すぎると思うんだが…
「ほら、ボーっとしてないで何か頼めよ。メニューはそこにあるだろ」
「お…おう」
俺は急いでメニューを開き、何にしようか慌てて考える。その間に黒崎はお吸い物にマヨネーズを入れて…
て汁物にもマヨネーズ!?おいおいおいおい、マヨネーズが中で溶けて白い液体になってるよ。お吸い物はボリューム高めに作られてないはずなのに、それどころかドロドロの液体に…う……吐き気が…
「ご注文は何になさいますか?」
店員さんが俺に注文を聞きに来た。だが黒崎の食事を見た後の俺は食欲をなくし…
「……りんごシャーベットを…」
頑張ってデザートを食べることにした。
◇
なんとかシャーベットを食べ終えて一息つく。感想、シャーベットってこんな重い食材だっけ?
「大丈夫か?そんなんで腹を満たせるのか?」
「あ…いや、今日はそんな飯いらねぇんだ」
心配してんのは有難いけど原因はこいつだ。一体どんな味覚してんだよ。あんなドロドロのものを食ってる人を見る目になってみろよ…
渚、てこういう変人ばかり友達になるのか?カルマ含め
さて、と……
「なぁ…あん時は周りが居たから聞けなかったけど…お前、何者なんだ?」
黒崎に一つ聞きたい事があった。殺せんせーのことについて知っていたこと…それをずっと疑問に思っていた。
「何者…てどういう事だ」
「普通の人間が、俺たちの先生のこと知ってる訳じゃねぇだろ。どうやって知ったんだよ」
「…………」
暫くの沈黙、この待機が異様に長く感じる。
「悪いが黙秘する。コッチもそんなに大っぴらに言えないんでな」
残念ながら情報を得ることは出来なかった。やっぱりそう簡単にはいかねぇか…
「それより、お前らには一つ忠告する事がある」
「……何が?」
突然黒崎が真剣な顔で言う。忠告、ねぇ……まさか…
「決まってるだろ、修学旅行だ」
やっぱりそうか、当たってしまったか。ま、現状況で言えることとしてはそれぐらいしかねぇしな。
「今回の修学旅行は、椚ヶ丘以外の学校と時間及び行き先が被っている。その中には不良校も混じっているはずだ。そして……お前らはそいつらに遭遇する確率が高い」
「何でそんな事…」
「あくまで推測だ。それに……」
「?」
「いや、何でもない。兎に角気をつけろ。旧友と仲が良いらしいからそのよしみでな」
黒崎の忠告。それを聞いて、修学旅行が不穏に見えてきた。
黒崎の言ってることの意味とは?まぁ、原作知ってる人なら分かると思います。
次回、『修学旅行の時間②』