とあるゲームセンターにて、椚ヶ丘中学校の3年E組のメンバーがいた。それは、潮田 渚、杉野友人、赤羽 業だ。修学旅行以降、この3人で行動する事が多い。今日は修学旅行後の休日、3人で散歩に行ってた。
「楽しかったね、バッティングセンター」
「ああ、久しぶりに思いっきりバットを振れたぜ」
「その割には飛ばなかったけどね。精々内野フライ?」
「うるさいな!久しぶりだから感覚忘れたんだよ」
3人でバッティングセンターに行ってたようだ。元野球部の杉野にとっては久々にバットが振れて楽しかったようだ。
「これからどうする?俺特に用事が無いけど」
「そうだな…」
これからどうしようかと話し合う。すると…
「?ねぇ、誰か困ってない?」
渚が道路で困っている人物を見つける。道路で四つん這いになり、アッチコッチの地面を調べている。
「ホントだな…何だアレ?」
「落し物でも探してるのかな?」
不思議に思って近づいてみる。すると…
「あれ?学真くんじゃない?」
それが彼らのクラスメイト、浅野学真である事を知る。
「あれま、アイツ何してんだろ」
「さぁ…おーい、学真くーん!」
学真に向かって大声で呼びかける。学真もその声に気づいて渚たちを見た。
「お…おう、その声は…渚か…」
「…声……?」
「え…と…背後にいるのは…渚と一緒にいるところからすると…杉野とカルマか」
「…何言ってんだコイツ…?」
何処となくおぼつかない。その正体は直ぐわかった。
「…コンタクト…落とした」
「……へ?」
◇
話をしよう、あれは今から3時間…いや、2時間前の話だったか…まぁいい、私にとっては「そういうおふざけいらないから」…はい。
俺は買い物に行ってたんだよ、5時間前に(思い出した)。だってほら…今日は安かったんだよ、ブリ。そりゃいかねぇといけねぇだろ。あ?「主婦かコイツ」とか言うんじゃねぇ。
でだな…買ったは良いんだが急ぐサラリーマンにぶつかって倒れたんだよ。商品やらは無事だがその拍子でコンタクト落としたんだ。おかげで全く見えねぇ。あのサラリーマン…謝罪もなしにどっか行きやがって。
一生懸命探してもコンタクトはみつからねぇ。いくら見慣れた土地とは言ってもこの見え具合で家に帰れるか不安だった時に渚が声をかけてくれた。
因みに渚らは遊びに行ってたらしい。何で俺を誘わなかったんだと聞いたところ『誘ったけど電話に出なかった』て返された。すみません。
「それにしても…お前、コンタクトだったのか」
「あぁ、視力両方0.1以下だ。もうボヤッとしかみれねぇ。今にも渚の頭がカニに見える」
「カニ⁉︎」
ホント情けねぇ。こんな所でお披露目とは…
「しょうがねぇ、取り敢えずこのまま家に帰るか」
「…平気か?」
「大丈夫だ、幾ら何でも見慣れた土地で何かにぶつかったりはブホォ!?」
顔面に激痛。一体何が…
「電柱にぶつかってて説得力皆無だよ」
…よく見りゃ細長い管が目の前にある。何でこれに気付かなかったんだ。
「…じゃあ、送ろうか」
「…良いのか?」
「あぁ、任せとけ」
杉野のガッツポーズが分かる。物理的には見えんけど絶対してるよな、杉野だし。まぁ…この有様だ。しょうがねぇ、送ってもらうとしよう。折角だし部屋に上がらせてお礼でもすればいいか。
「それじゃ、送ってもらうとしようか。頼むぜ杉野」
「俺カルマだけど」
◇
てな訳で俺は今運ばれてます。ホントに助かった。1人で此処まで来れたかどうか…
「その角を左に行ってくれ。その後突き当たりが俺の住んでるアパートだ」
いつもの見慣れてる角が見える。ボヤッとしか見えんけどそれでも分かる。何度も通りゃあ直ぐわかるだろ。
「アパート…?てことは、部屋があるよね」
「あぁ、205だ。鍵はコレ」
漸く帰れる…何で5時間も外に居なきゃ行かんのだ。おのれサラリーマン。
◇
「漸く着いたな。まぁ上がってけよ。礼くらいはするから」
ドアを開ければいつもの我が部屋。此処までくれば流石に大丈夫だ。取り敢えずコンタクトがある洗面台まで行くか……
「ええええええええええええ!!?」
うお!何々!?
「ちょ…広くない⁉︎」
…は?
いや…何言ってんだ渚。別に二十畳くらい広くないだろ。
「いや普通じゃないよ⁉︎1人で20畳のリビングなんて何処にあるの⁉︎」
…そうか?
まぁいいや、取り敢えずコンタクト取りに行こう。…あ!コンタクトが無い!どうしよ…
◇
…学真くんの家に着いて色々とビックリしたけど、1番驚いてるのは…うん……
「あいつ…感覚がズレてんな」
杉野の言う通り、かなり庶民感覚が鈍ってる。ビッチ先生ほどじゃ無いけど。
忘れてたけど、学真くんは理事長の息子だった。よく分からないけどあの人かなり裕福そうに見える。その家に住んでれば鈍るのはしょうがないかもしれない。
「家具も豪華そうだよね。この材質なんか絶対高いよ」
確かに…一つ一つの物がかなり高そう。後カルマ君、人の物勝手に触るのやめようよ。
…あれ?
ボヤッと見渡した時一点だけ異様なものに気づいた。これは…写真…?
「何だ、どうしたんだ渚…?」
床に落ちている写真を拾うと、杉野も側で写真を見てる。写真に写ってるのは…凄い格好をしている男だ。長い金髪とメガネが特徴的で、人相がそう良く無い。服(椚ヶ丘中学校の制服)もかなり荒々しく着てる。これって一体…
「おい、人の物何勝手に物色してんだ」
…あ、学真くんが来た。どうやらコンタクトが見つかって…あれ?
「どうしたの?そのメガネ」
「コンタクトが無くてよ。しょうがねぇからメガネで代用してるんだ」
ああ、なるほど。それでメガネをかけてたんだ。
ん?そのメガネは……
◇
コンタクトが無いため俺は戸棚にあるメガネをかける。だってしょうがねぇんだもん、無いんだから。
視界がハッキリとしたところでさっきのリビングに戻る。すると渚らが何かを見てやがる。あいつら…家に上げたが好き勝手していいとか言った覚えはねぇぞ。
「おい、人の物何勝手に物色してんだ」
取り敢えず注意する。以上
「どうしたの?そのメガネ」
「コンタクトが無くてよ。しょうがねぇからメガネで代用してるんだ」
あいつらは一体何を見て…
げ!!あれって…
「なぁ学真、これ誰だ?」
杉野が聞いてくるが、いや…ちょっと待て。何でそれを持ってんだよ。ひょっとして床に落ちてたとかか…?
じょ…冗談じゃねぇ。それは……
「……………だよ」
「え?」
「………俺だよ、それ」
◇三人称視点
学真の言葉に一同は固まった。渚が持っている写真に写っている、メガネ金髪の男が学真だという事に、一同揃って沈黙している。
「………まじで?」
「…………ああ」
学真は勿論嘘をついてない。それは、2年生の時の学真の姿なのだ。
「…………………………」
気まずい空気が流れる。驚きと、羞恥のどちらかで全く口を動かせて無い。その空気は暫く続き…
「………………ぶっ」
その空気が溶けたかと思えば
「だーはっはっは!いや、おま、全然似合ってな…ぶははは!」
杉野が大声で笑いだした。
「テメェ!何笑ってやがるんだ!」
「いやだって似合ってなさすぎ…ヤバイ苦しすぎて死ぬ」
「ヤロウ…」
金髪に染めてる学真が余りにも似合わなかったのか、ツボにハマって大笑いだ。学真にとっては恥ずかしいこと限りない。
「………ぶっ」
「渚くん!?」
渚まで吹き出す始末。これはどうしようも無い。しかも穏やかな渚に笑われるのは杉野よりダメージがデカい。
さて、一方…
「こんなもの見つけたよー、2年生の頃の写真集」
「カルマテメェェェ!!」
カルマは写真集を見つけてしまう始末、最早やりたい放題である。飛びかかってくる学真を避けてカルマはそれを渚たちに見せる。
写真集には、昔の学真の写真が結構あった。去年の体育祭や文化祭、更には何処かへ旅をしていた頃の写真がある。普通は唯の思い出の記録だが、学真の頭のせいで、笑いどころしか見当たらない。
「テメェら、人の黒歴史を面白がってんじゃねぇ!」
「良いじゃねぇか、減るもんじゃ無いし」
「減るんだよ俺のライフが!とっとと返せ!」
学真はその写真集を取り上げた。
すると、それから一つの写真が落ちる。それは渚の近くに落ちた。
(……?コレって…)
その写真集から落ちた写真は、当然学真が写っている。だが、彼だけでは無く、もう2人写っていた。
それをハッキリと見ようとした時、学真に取り上げられてしまった。
「この話はもう止めろ。それより…菓子があるんだが食べるか?」
「え?いいの?」
「良いよ、さっきの礼だ」
学真は戸棚からケーキを取り出した。それは近くの有名なケーキ店のものだ。味が良く見た目が綺麗な為、かなり人気がある。そうは言っても価格がかなり高いため、食べたことは無い。そのため初めて食べることになる。
「凄い!あの店だよね?初めて見た」
「…そうなのか?まぁ良い、紅茶出すから」
学真が紅茶を淹れる。何度もやってきたのか、かなり慣れている。
その紅茶と一緒にケーキを口に入れる。
「!おいしい!」
「そうだろ?俺の知ってるケーキ店の中ではこの店が1番だと思うぜ」
「こんなに甘いの初めて食べるぜ。流石だな」
「まぁな」
学真もケーキを取り出して食べる。学真の家にて、4人と1匹は楽しそうにケーキを食べていた。
「ってオイコラァ!いつの間に侵入してケーキ食ってんだ侵入ダコォ!」
「良いじゃ無いですか〜。このケーキ店の商品なかなか食べれないから、一つくらい頂いても」
「ふざけんじゃねぇ!返せケーキ代!」
「にゅや!?今金欠なので…」
困った顔をする殺せんせー、ケーキ一個も払えない状態のようだ。
《ドヒュン!!》
学真がナイフを振るも一瞬で何処かへ行ってしまった。
◇
「いや〜、美味しかったよなあのケーキ」
「そだね、学真くんは意外とグルメなのかも」
学真の家から渚、杉野、カルマは帰っている。
「そいえばさ〜、渚くん、さっき何見てたの?」
「ん?あぁ、あの写真かな」
カルマが渚に問いかける。写真集を収められる時、渚は1枚の写真を見ていた。カルマや杉野はその写真に何が写っていたのかは見えなかった。
「学真くんの写真だったけど…それ以外に2人ほど写っていたかな」
「あ〜、やっぱり昔の写真なわけね」
何か別のものが写っていたかと期待していたカルマは少し残念そうに言う。
「でもさ…1つ不思議に思ったよ」
「?何が?」
「今まで見てきた写真はさ…基本学真くんしか写ってなかったけど、あの写真だけは学真くん以外の人が写っていたから意外に思ったよ」
「…偶然じゃね?」
「…そうかもしれない」
渚は一つだけ疑問に思った事があった。落ちてきた写真だけが、学真以外の人を写していたことが。
もちろん写真集の中の全部が1人だけ写ってるとは限らない。誰かと一緒に撮った写真は他にも数枚あり、その中の1枚が落ちただけかもしれない。
だが、彼は学真に対して気になることが1つある。修学旅行先で『気になる女子』を聞かれた時、一瞬だけ微妙な顔をしていた事を覚えている。ひょっとするとさっきの写真が、その一部を映しだしているのかもしれない。
(…………考えすぎかな)
これ以上考えても何も分からないと思い、渚はこれ以上追求する事を止めた。
◇
「ハァ…久々に楽しめたな。家に上げるのなんていつぶりだっけな」
3人(と1匹)が帰った頃、学真は部屋の片付けをしていた。
「結局は…ハマってしまっているのかもな。あの教室に」
3年E組の教室、言わば暗殺教室により、彼が思っているよりも影響を受けている。以前よりも楽しく過ごせてる気がする。
「……………お前らがもし、彼処にいたら、楽しく暮らせたのかな」
少し暗い顔になり、彼は1枚の写真を見る。それは、先ほど写真集から落ちた1枚の写真だった。昔の学真と一緒に写っている、2人の友人を見て呟く。
「なぁ……如月…日沢…」
学真くんの追加情報
・視力が弱くコンタクトをつけている。
・浅野家に住んでいたせいか庶民感覚が鈍っている。
・割とグルメ
・2年生の頃かなりやさぐれている。
・如月と日沢という人物の関係性…
いよいよあの子が暗殺教室に⁉︎
次回『律の時間』