さて、今回から2回かけてオリ回になります。
今日は日曜日。俺は出発の支度を終え、ある場所に向かっていた。ビッチ先生のあの暗殺を見て、これからの暗殺の為に色々とスキルアップが不可欠だと思われるからな。
因みに今俺は道着姿だ。行く場所が道場だしな。かつてお世話になったが、辞めて何ヶ月くらい経つんだろうな。
まぁ取り敢えず、今後の為にも行っとこうと思い、向かっているというわけだ。
◇
「変わってねぇな、ココも」
少し歩いた所にデカデカと武道館がある。住宅地とは少し離れていて、少しサビつき始めてる。何年もある訳だし当然だな。
まぁ…
看板に『雑食魂』ってデカデカと書いてある所以外は普通の武道館だ。
さて、正面の扉から中に入る。なぜか知らないけどかなり重いから開けるのに苦労する。木造建築なのに何で扉は鉄製なんだよ…
「お、来たね学真くん」
中に入ると爽やか系の男が声をかけてきた。
こいつの名は
「それにしても驚いたよ。突然此処に再び通いたいと言った時は。あの時以来、お前が此処に来る事は無いと思ってた」
「ハハッまぁ…色々とあるんだよコッチも」
「そうか、まぁ立ち話も何だ。中に入ろうか」
「おう」
仕事もスムーズで心情厚く、深くまで聞こうとしない。こういう所は磯貝に似ているかもしれない。
中に入るとかなり賑わっていた。各自が自主練に励んでいて、活気溢れる空気がする。ま、此処じゃ当たり前かもしれないがな。
「誠ォ!ボウっと突っ立ってんじゃねぇ!」
あ…この声は…
「気持ちから既に負けとんじゃろうがコラァァ!!」
…1人の男(
「…まだいんのか、元気だなあの人。もう70超えてただろ?」
「そうだねぇ…先週75になったかな?」
「な…75!?相変わらず衰えを感じねぇなあの人」
さて…そろそろ紹介しておこう。
あの老人の名前は
ああやって常に監視していると意識させているから、門下生は物凄い勢いで上達していく。そのせいか、かなりの実績を叩き出しており、周りからは強者を生み出す道場として広まっている。
当然そのような指導について来るような人も少ない。入って早々止める奴が多く、残ってる奴はかなり稀だ。親父が5%を落とすだけ落として残り95%を上げる教育者なら、この人は優れた5%を洗い出して極めるタイプの指導者だ。
因みに此処は武術なら何でも行える。剣術、柔術、槍術、弓術、砲術と言った古武道は勿論、少林寺を含んだ拳法も出来る。何でも貪欲に取り入れるから『雑食』と言うわけだ。…普通に見て道場とは思えんだろうが…
「…ぬ?」
あ、コッチに気づいた。そして八幡さんはコッチに近づいてくる。
「聞いてた通り来たな学真。最初聞いた時は何の冗談かと思ったが…」
…ウゲェ…この人に真正面から話されるのはかなり胃が痛い…
「分かってると思うがここは生半端な覚悟じゃついては来れん」
「…押忍」
「昔のように辞めてしまっては困る。今のお前は、昔のお前とは違うと証明できるか?」
…いきなり第一難関だ。それは、この人の『問いかけ』。この人は俺の覚悟を見計らう。もし此処でヘタなことを言えば、『超拳骨』が飛んでくる。
「…言えます。昔の自分は、強さの必要性を感じずに取り組み、自分の弱さに怯えて此処を去ってしまいました。
ですが、それはもう2度としません。
今の自分には、今以上の力が必要で、何より強さが必要です。その為に此処にきました。お願いします。俺を…強くしてください」
誠心誠意、真剣に語る。怯んでは行けない。この人には、真っ向から言わないと伝わらない。
「……どうやら、その目に曇りはねぇな」
…!それって…
「良いだろう、存分に鍛えてやる。弱音も吐かせねぇからな。覚悟しろよ」
「…!押忍!」
そんな訳で俺はこの道場の特訓に付き合う事になった。
◇
「で、師範に認められ晴れて練習に入った…は良いけど」
「ゲホッゲホ!ハァッ…ハァッ…し、死ぬ…」
「あっという間にダウンとは…情けないねこりゃ」
う…ウルセェ…鬼レベル高すぎだろあのジジィ。
とは言ったものの…多川はそんなに乱れてない。寧ろ平然としてる。…キツそうにしてんのは俺だけですかそうですか。こりゃ…体力アップに励む毎日だな暫くは。
「それにしても…ホントに一体どうしたんだい?師範はアッサリと納得してたけど、急に猛特訓するなんて普通は無いよ。何かあるの?」
うっ…それを聞いてくるか。どうする?あのタコは存在自体が国家機密だ。決して外に漏らすなと言われてる。
とは言ってもなぁ…いろいろと鋭いコイツの事だ。何げにウソを見抜いたりするから嫌なんだよ。悟り妖怪か、ってレベルで。
どう言おうか…
「…今俺の学校で、デッカい事やってんだ」
「デッカい事?制作か何か?」
「そんなとこだ。クラス全員で一致団結してそれを卒業までに達成する、てのが重大課題だ。その為には…色々と力が必要になる。だから、此処に来たんだよ。もっと力をつける為に」
頭を使える限り使って説明する。深くは話してないが嘘もついてないだろ。…どうだ?
「…へぇ〜…とんでも無い事やってんだ、お前らのとこ」
…ふぅ…何とか納得してもらったようだ。
「椚ヶ丘…だっけ?やっぱ名門校なだけあるな」
「まぁ…そうか?」
そいやそうだな。周りから見ると椚ヶ丘中学校は突出した名門校にしか見えねぇだろうな。あり得ないほどの進学率がある。側から見れば夢のような学校に見えるだろう。
実際は違う。それを可能にしている1番の要因はあのE組制度だ。あれがあるから、恐ろしい程の進学率を出せるんだ。…此処で愚痴ろうとはしないがな。
「…あれ?そういや椚ヶ丘中学と言えば、アイツも居るんじゃないか?」
「アイツ…?」
「えーと…
黒崎って男」
………ッ!!
「な…黒崎だと…⁉︎」
「やっぱり知ってんのか!暫く見てないからなぁ…」
ウソだろ…コイツ、黒崎の事を知ってんのか…⁉︎
「お前…何で黒崎を…」
「あぁ、一時期此処に通ってたんだ。アレは…正真正銘のバケモノだね。アイツがもし通い続けてたら、俺の立つ位置も無くなってたよ」
黒崎もこの道場に…⁈まさか…
「…八幡さんは何処に…⁉︎」
「ん?休憩中は…外でタバコでも吸ってるかな?」
「ちょっと悪りぃ、話してくる」
「あ、ちょっと!」
多川が呼び止めようとするが俺は構わず外に向かった。ひょっとすると…あの人ならアイツの事を詳しく知ってるかもしれねぇ。
◇
「オラ〜こんな村イヤだ〜♪オラこんな村イヤだ〜♪東京へ〜出る〜だ〜♪
東京へ出た〜なら〜♪銭コアためて「八幡さんンンンン!!」ヌオオオ!!!?」
「ちょっと話したい事が…」
《ドッゴォォォォォン!!》
「話したいもクソもあるか!急に後ろに現れて大声で叫びやがって!心臓が縮むだろうが!」
「す…すみません」
八幡さんに聞こうとしたら拳骨を食らった。ビックリさせ過ぎたようだ。そう言うのが苦手なのか?…にしても頭が痛い。
「…それで?一体何だ」
ちょいと不機嫌そうにして尋ねてきた。…悪かったから機嫌損ねないでくれよ…
「…黒崎 裕翔が、此処に通ってたんですよね」
「…あぁ、アイツか」
…やっぱり知ってた。じゃあ…
「ちょっと話してくれませんか?黒崎がどういう人物で、どのような事があったのかを…」
黒崎の正体は、結構前から疑問に思ってた事なんだ。もし、八幡さんが黒崎の相手をしていたなら…何か新しい事が分かるかもしれない。
「黒崎について話してくれと言われても、俺は詳しくはしらねぇよ」
…それもそうか。何を期待してんだ俺。何でもかんでも知ってる人なんている訳ないのに…
「ただ、ひとつだけ分かってる事がある」
…?いったい何を…
「アイツは、両親を3月に失っている」
◇三人称視点
椚ヶ丘の裏町、その暗さの所為なのか、不良の溜まり場となっている。
大きな声で響く笑い声。側に人がいれば、思わず耳を防ぎたくなるほど不快な音だった。
「どうだお前ら!昨日の稼ぎは」
「ガッツリ稼いだぜ!何たって20万も貰ったんだからなァ!」
「昨日のジジィは相当金持ちだったようだ。何で手ぬるいんだろうなああいう連中は!おいこれで新車買おうぜ!」
「またバイクか!?もう少し別のを買おうぜ!例えば…ゲームとか⁉︎」
「お前アッタマ悪いのにどうやってルール覚えんだよ!」
「まったくだ!ぎゃはははは!!」
盗んだ金で何を買おうかを話している連中は、かなり柄が悪い。黒い服に長い髪を殆どの人がしている。それがこの集団の特徴としているのだろう。
「静かにしろ!お喋り会もそこまでだ」
高らかに笑う男らの近くで、その高笑いを強制的に終わらせた男が1人現れる。笑い声が止まり、不良たちは先ほどの声のした方を向く。そこには、袴を着ている男が1人だけいた。髪はかなり短く、その目つきは人によっては怖がるものだろう。その男の手には、長い鉄の棒が備わっている。
「あぁ!?何だテメェ…」
突然現れて自分らの目の前に立ちはだかったのが不快なのか、1人の男が声を荒げる。だが、睨まれている男は怯みなどはしてなかった。寧ろ…落ち着いている。まるで、その男の声が聞こえてないと言っているように感じる。
この男はその集団を恐れたりはしていない。彼にとって、それは今まで戦ってきた猛者に比べれば足元にも及ばないと思えたからだ。
「お前ら、『梟仮面』だな。依頼により、お前らを取り押さえに来た」
黒崎 裕翔
椚ヶ丘中学校の風紀委員長であり、椚ヶ丘付近の暴力団を倒していく男の名である。
新キャラとして多川くんと八幡さんを出しました。まぁ…登場回数はそんなに無いと思います。
次回は…いよいよ黒崎くんの戦闘シーンです!…書けるかな…
次回 『黒崎の時間』