浅野 学真の暗殺教室   作:黒尾の狼牙

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お久しぶりです。忙しいのとスランプでなかなか書けませんでした。それと謝罪。前回、次回予告を『女の子の時間』としてましたが、書いていくうちにそれっぽくなくなってきたのでタイトルを変更しました。大変申し訳ありません。31話の方も訂正します。それでは、久々にどうぞ。


第32話 悪夢の時間

『この世界は、残酷です。』

 

 

ーーーやめろ…

 

 

 

『こんな世界では、私は一生迫害される』

 

 

 

ーーーやめてくれ…

 

 

 

『もう、何も信用できない』

 

 

ーーー言うな…

 

 

 

『誰も助けてくれない。誰も救ってくれない。そんな世界に、私は耐えられない』

 

 

 

ーーー聞きたくない…

 

 

 

 

『生きていくことを諦めて、私はこの命を絶ちます』

 

 

 

 

 

 

ーーーお前のその言葉なんて…

 

 

 

 

『さよなら、学真くん』

 

 

 

 

ーーー聞きたくないんだよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐあ!!…はっ…!っっ!」

 

 

 

まただ、また見てしまった。例の夢を…

ベットから跳ねるように起き上がる俺を見ると、心配する奴が殆どだろう。冷や汗もかなりかいてるし、息が少し激しい。それは、あの夢が原因なのだろう。

ある日を境に、俺は周期的にある夢を見ている。その度に俺は苦しみながら起き上がる。

夢の正体は、何となく…いや、ハッキリと分かっている。

 

 

 

 

アレは…俺の罪だ。

 

 

 

償いたくても償えない、忘れたくても忘れられない、俺に永劫取り憑かれると言っていいほどの大きな罪の象徴。

あの時の光景が、ハッキリと頭に浮かび上がる。俺にとっての悪夢は、その記憶だ。皮肉にも、鮮明に記憶している。その度にこの脳を鬱陶しく思う。

多分この記憶は、一生消えることは無いだろう。というより、忘れてはいけないこととして脳に埋め込まれているのかもしれない。

恐らくそれが、俺に対する罰だろう。それで許してくれるとは思ってない。あんな事をしておいて、許されるはずがないだろう。というより、俺自身が許せない。一生悔いても足りないほどに。

 

 

 

この罪を償える方法があるならば、どれだけ楽だろうか。

 

 

 

そんな事を考えながら、俺は学校に行く支度を整えた。

 

 

 

 

 

「この問題に添えば判別式は正なので頂点はx軸より下になります。そして次にy=0を解くとどちらも正となるのでx軸との交点はどちらもy軸より右側で交わっている筈です。以上のことをまとめるとグラフは大体このような形になります。

この様に分かる事から徐々に整理していくと最終的には全体像が見えてきます。これは情報整理と同じです。渚くんが先生の情報を1つ1つ調べ、徐々に先生がどういう生物なのかを把握する。調査というものはそう言うものです。

という訳で情報整理の練習という事でこの問題を解きましょう。この問題を解き終わった者から、今日は帰って良し」

 

学校では普通に授業を受けている。あの夢は引きずらないことにしている。クラスメイトを心配させたくないからだ。

とは言っても精神的に来るものはある。朝1番にアレを見るもんだから、キツいもんはキツい。平静を取り繕うにも時間がかかる。それも並の平静じゃダメだ。渚の観察力は異様に鋭い。何故かは知らないが、違和感をいち早く気がつくほどだ。

だからいつも通りを取り戻すために時間を大量に要する。しかもチャイムというタイムリミットがあるから、いつまでもとはいかない。限られた時間で平静を取り戻さないといけないから、朝から精神的な体力を使う。正直、平静かどうかも不安だ。

まぁ、こうしていつも通りの学園生活になってるから、なんとかなってはいる。

 

今日の最後の授業は数学だ。二次関数はゴチャゴチャしていて難しいんだが、殺せんせーの授業のお陰で何とか理解出来ている。

最後にあの問題を解いて今日は終わりらしい。という訳でその問題に取り掛かる。やはりというか流石というか、数十秒後にカルマは解き終えて帰ってしまった。ホント、天才ムカつく。

漸く俺も解き終わって帰る。俺は10番目だ、遅い方からな。

 

◇三人称視点

 

「帰りにショッピングに寄ろう」

「いいね〜」

 

3年E組の授業が終わり、矢田と倉橋は一緒に帰っている。彼女らは一緒に行動する事が多い。いわゆる、仲良しグループなのだろう。

 

「何を買うの?」

「ビッチ先生にさ、オシャレな服装を教えて貰ったんだ。だから、それに伴って、色々と試してみたいの」

「あ〜なるほど」

 

矢田はビッチ先生から大人のオシャレについて教わった。3年E組の中では彼女が1番、ビッチ先生の授業を聞いている。話し方も接し方も、更には堕とし方も色々と教わった。その中で、服装について教えて貰ったので試してみたいとの事だ。勿論、露出があるのは除外している。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで、最近桃花ちゃん妙じゃない?」

 

 

 

 

 

 

「へ!?何が…?」

「何というか…落ち着きが無いよね。修学旅行あたりから。何かあったの?」

 

ショッピングセンターに向かう途中、倉橋の突然の質問に矢田は一瞬焦る。平静を装うにも、声量が大きくて焦っている事がバレバレだ。

 

「そ、そうかな…」

「うん、なんか…ソワソワしてるのかな?て思って」

 

バクバクと心臓が鳴っているのを矢田は感じた。倉橋の言ってる事に心当たりがあるからだ。他の生徒には気づかれなかったが、いつも一緒にいる倉橋だから分かったのだろう。

 

「…多分、学真くんの事だと思う。修学旅行に行った時に不良に絡まれて…そこを学真くんに助けられたの。その時から…かな。変に学真くんを意識し始めちゃって…」

「…へぇ〜ひょっとして、恋じゃ無い?」

 

矢田の話を聞いて、倉橋は恋じゃないかと言った。矢田の言ってる事からするとそれ以外に考えられない。その話を聞けば誰でも恋じゃないかと思う。だが、その返事は意外なものだった。

 

「あ、いや……それは…分かんない。……でも、意識し始めると、不思議に思うんだ」

「不思議?何で?」

 

その倉橋の問いに対して返ってきたのは、肯定でも否定でも無く、分かんないという言葉だった。倉橋はそれについて詳しく聞こうとしたのだが、その後の矢田の言った事の方が気になったので、そっちを聞いてみた。

 

「学真くんが、何でE組に来たんだろうって思うようになったんだ。成績は、E組の中ではいい方だし、カルマくんみたいに素行が悪いわけじゃ無いし…落とされる要素が、全く見当たらないんだ。だからかな…不思議というより…心配になってきたの」

 

矢田は段々と表情が曇る。

クラスの前の自己紹介の時、印象はよく無かった。何か悪い事をしたわけでは無いが、理事長の息子という事が引っかかったのだろう。

修学旅行の時は、少しだけ気になり始めた。自分を敬遠してきた人を守ってくれるという事に、少しばかり魅力を感じた。

梅雨の時は、少し焦った。前原がやられた事に対する仕返しのために、自分を頼ってくれた事が、とても嬉しかった。

日が経つにつれ、学真の印象は良くなってきた。だが、好印象を持てば持つほど、何でE組に落ちたのだろうと考えるようになった。

それを知ろうとするのは野暮だ、とは思っている。人には知られたく無い事はあるし、無闇に探ろうとすると傷つけてしまう事もある。だから、そっとしておく方が良いのだろう、とは思った。

だが、本心ではそう思えず、その真実を知りたい、とも思うようになってきた。葛藤する感情に、矢田は悩んでいるのだろう。

 

「そっか…」

 

矢田の話を聞いて、倉橋は特に何か言ったりはしなかった。倉橋も、矢田の言っていたことは納得するところがあった。彼女の目から見ても学真はE組に落ちる要素は見当たらない。ひょっとするとクラスメイト全員がそう思っているのかもしれない。

 

「あ!見えてきたよ」

 

そのような事を話していくうちに、彼女らが目指しているデパートにたどり着いた。そこの店の中には大抵の店が並んでいる。矢田たちが向かっているのはその中の女性用の服屋だ。探そうとすれば、直ぐに見つかりそうなものである。そこに行くために、入り口から入ろうとした。

 

 

 

 

 

「ねぇ、お姉さんたちって、店の場所分かる?」

 

すると、彼女らに声が掛かった。入ろうとした瞬間に後ろから声をかけられた構図になっている。

2人が声のした方を見ると、小さな女の子の姿があった。見た目で大体、小学2年生だろうと思える身長で、黒い髪は肩にかかるかというぐらいの長さだ。

彼女の手には小さなメモがある。恐らくは、何か買おうとしている最中なのだろう。

 

「ん〜、何回か行った事あるから、少し分かるかな」

 

倉橋も矢田も、何度かここに来たことがある。なのである程度の店の配置は分かっていた。

 

「ゴメンなさい。食材が売ってある場所ってどこですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここかな?スーパー」

 

女の子に尋ねられて食材が売られている場所に着く。食材に関して見所があるわけでは無いが、それなりに食品が揃っている。適当に買い物したい時にはうってつけだろう。

 

「ありがとう、お姉さんたち。1人だとちょっと不安だったんだ」

「良いよ。私たちのお買い物は後でするから」

 

本当は矢田の洋服を買いに来たのだが、それは後にする事にした。会った事無い子どもだが、折角だし手伝おうと思ったのである。

 

「ところで、お名前何て言うの?」

 

名前を聞いていなかった事に気付いた倉橋が、買い物している途中にその女の子に尋ねた。

 

「名前?優里香(ゆりか)だよ」

 

少女は答えた。聞かれた事に素直に答える辺りから、かなり躾がされているのだろうと思った。なかなか素直でいい子だ、と矢田も倉橋も感じた。

 

「そっか〜、優里香ちゃん偉いね〜。1人で買い物に行くなんて」

「うん、怖いけど、頑張ってみたかったんだ」

「分かる分かる〜。チャレンジしてみたくなるもんね〜」

 

 

倉橋は、優里香と名乗った少女とコミュニケーションが取れている。明るく天真爛漫な彼女は、子どもは関わりやすいのだろう。彼女の生物好きの趣味も、子どもの気を引きやすいものなのだろう。既に倉橋と有理香は、仲良くなっていた。

 

 

 

 

 

「これで終わりかな?」

「うん、全部買い終わった」

 

スーパーで買う予定のものを全てカゴの中に入れたようだ。中には食材やら調味料やらが沢山ある。一般の専業主婦が買う量に比べると劣ってしまうが、小学生が買うものとしては多いほうだろう。後はレジに並ぶだけだ。

 

 

 

 

「それじゃ、お金払おっか〜」

「うん、色々とありがとう」

「じゃあ、桃花ちゃんは少し待ってて。後で行くから」

 

 

倉橋に言われ、矢田は少し離れた。流石に3人でレジに並ぶのは気が引ける。倉橋と優里香がレジに並び、矢田はレジの出口で待つことにした。

 

 

「よう…矢田」

 

 

 

 

そう、一人きりになった時に、矢田は声をかけられた。出口付近で、1人の男が矢田に声をかけたのだ。黄色い髪を立たせており、骸骨の模様をした服を見ると、とても不気味に思ってしまう。

 

 

「…!金宮センパイ…!」

 

 

矢田はその男を知っていた。この男は、かつて椚ヶ丘中学校の生徒で、去年卒業した男であり、彼女は面識がある。

 

 

 

 

 

「久しぶりの再会じゃねぇか…語ろうぜ、2人っきりで」

 




2人のオリキャラ登場です。女の子の方はかなり出てくると思います。金宮は今回のオリストーリーのみの登場になると思います。
オリストーリーは6話ぐらいを想定しています。この『浅野学真の暗殺教室』ではかなり重要な内容になると思います。

次回『ブチギレの時間』
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