浅野 学真の暗殺教室   作:黒尾の狼牙

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個人的に好きな話。原作でこの話を読んだ時色々と考えさせられたので。


第43話 流される時間

事件は突然起こった。片岡の一件が終わり、俺は教室で昼食を食っていた。

 

「おい!みんな来てくれ!プールが大変だぞ!」

 

岡島が何やら焦った声で言っていたので、俺たちはプールに行った。すると、プール台が壊れていて、ゴミも捨てられている。完全に荒れているとしか言えない惨状だった。

 

「メチャクチャじゃねぇか!」

「ゴミまで捨てて…酷い、誰がこんな事…」

 

プールの惨状を見てクラスのみんなが嫌そうな顔をしている。俺もそうだ。ここまで酷い事するなんて、一体どこの誰がこんな事したんだ。

 

 

「あーあー、こりゃ大変だ」

「ま、いーんじゃね?プールとかめんどいし」

 

 

ここまで酷い事するなんて、一体どこの誰がこんな事したんだ寺坂組は何を考えてるんだ。

 

「おい!あからさまに訂正しましたみたいなアピール止めろ!」

「いやだってあんなあからさまに『犯人は私です』みたいなセリフ吐かれると、訂正してくださいと言われてんのかと思うじゃん」

「なんだその訳わからん論拠!」

 

寺坂が俺の胸ぐらを掴んで叫んでいる。俺が思いっきり寺坂を犯人だと決めつけた事が腹立ったのだろうか。とは言っても俺が文句を言われる筋合いは無い。だってあんなあからさまに『犯人は私です』みたいな…

 

「もういいわその下り!」

 

「やめなさい。犯人探しなんてしなくても良いです。はい、これで元どおり、いつも通り遊んで下さい!」

 

騒いでいる俺と寺坂に殺せんせーが声をかける。すると殺せんせーはあっという間にプールを元どおりにした。相変わらずハイスペックだな。

 

「…チ!」

 

寺坂は舌打ちをしてその場から離れていく。…なんつーか…感じ悪いのは確かなんだけど…

 

 

 

 

「寺坂の様子が変?」

「うーん、元々あの3人は、勉強も暗殺も積極的な方では無かったけど、特に彼が苛立っていると言うか…プールを壊したのも、主犯は多分、寺坂くんだし…」

 

さっきの騒動からひと段落ついて、俺と杉野とカルマと渚で集まって話している。

渚は寺坂の様子が変だと言っている。まぁ、そうだろうなと思う。さっきの様子もそうだ。かなりイライラしているようだ。

つーか…この教室に来てから未だに寺坂とかとは話してないんだよな…いやまあ、寺坂は俺のことが気にくわねぇんだろうし。

 

「放っとけよ。いじめっ子で通してきたあいつ的には面白くねぇんだろ」

「殺していい教室なんて、楽しまない方が勿体ないと思うけどね〜」

 

杉野とカルマは特に気にしていないようだ。別に気にする必要は無いということなんだろう。

 

 

「…学真くんはどうするの?」

 

渚が俺に聞いてくる。恐らくは俺と考えている事が同じなのだろう。

 

「…ちょっと調べてくるわ」

 

それだけ言って、俺はとある場所に向かった。さっき寺坂が歩いて行った方向に。寺坂に直接話をしにいくという訳では無い。俺が話をしたいのは、その隣にいた奴だ。

 

 

《ドン!》

 

歩いて暫くすると、大きな音が聞こえた。割と近い。俺は物陰に隠れながらその様子を見た。どうやら、寺坂が村松を投げ飛ばしたようで、さっきの音は、村松が木にぶつかった音だ。

 

「ケッ、成績欲しさに日和りやがって裏切りモンが!」

 

寺坂はそう叫んで、教室の方に向かって行った。内容はよく分からないけど、2人の間で喧嘩が起こったようだ。

 

「…くそ、さっきからアイツ自分勝手すぎんだろ」

「自分勝手?」

「ああ、あのタコが言っていた『模試直前放課後ヌルヌル学習』に参加して成績が上がったんだけどよ、それが気にくわねぇらしいんだ」

「なるほどな、さっきのプールを壊したのも寺坂が主犯か?」

「ああ、突然言いやがってよ。けどなんの意味もねぇから考え方変えねぇかって言ったら…てうお!いつの間に俺の後ろに!?」

「最初から…と言いたいけど、お前が木に投げ飛ばされた時からだ」

 

ベラベラ喋ってくれたお陰で何となくわかった。村松が殺せんせーの言っていた補修授業に参加したのが気に食わなかったらしい。てかなんだその卑猥な名前は。

地面に紙が落ちているのが見え、その紙を見る。それは、模試の結果が書かれてある成績表だった。

確かに成績が上がっている。前のテストではあまり良い成績じゃなかったが、今回のテストでそこそこの点数になっている。さすが殺せんせーだな。教え方がかなり上手だ。

 

「…寺坂は何がしたいんだ?」

「しらねぇよ。知る気もねぇし」

 

…どうやら村松は完全に寺坂を気にしない事にしたようだ。渚の言う通りだな。あの3人組の中でも、寺坂が特に酷い。まぁ、どう見たってガキ大将って感じだし、杉野が言う通り、教室の雰囲気が面白く無いんだろう。

…てゆーか、そもそもなんでこの学校に来たんだ?ポスターにE組の事は書かれていなくても、かなりの進学校だから、寺坂のような奴が来たいと思える学校では無いはずなんだが。

 

まぁそんな事考えても仕方ないかと割り切る事にし、俺と村松は学校に入っていった。

 

 

校庭から俺と村松は教室に入ろうとしている。すると正面から寺坂が来る。

 

「どけよ!」

 

俺らを押しのけて寺坂はどこかに移動する。教室でまた何かあったのか?

 

教室の扉を開けて中に入る。その中はハッキリ言って空気が悪い。まぁ、予想していた通りなんだが…

違和感はそれだけじゃ無い。床にはなんか木片が散らばってるし…殺虫スプレーの缶みたいなのがコロコロと転がっている。

 

その後杉野から話を聞いた。吉田と殺せんせーがバイクの話で盛り上がっていたら、寺坂が殺せんせーの作っていたバイクの模型を壊し、みんなで怒っていたら、寺坂は嫌がらせみたいに殺虫スプレーを撒き散らしたらしい。

その後、カルマが寺坂を挑発して、一度歯向ったは良いけど難なく防がれて、寺坂は怒って教室を出たようだ。

 

まぁなんと言うか…子どもっぽいとも思えるが、幾ら何でも酷いよな。イタズラにしても度が過ぎている。クラスのみんなが距離を開けるのも当然だろう。

 

…どうしたものかね。

 

 

 

◇寺坂視点

このE組は大したクラスだ。成績最下層の掃き溜めと言われながら、中間テストじゃ妨害にも負けず平均点を大きく上げた。

球技大会じゃ、暗殺を通じて養った力で野球部に勝っちまった。

環境も向上してる。最近じゃE組専用のプールなんてのが出来る有様だ。

 

だからこのクラスは…居心地が悪い。

 

全てあのモンスターのせいだ。あいつが来るまでダメ人間の集団の中に入れたのに。

 

気にくわねぇ。どいつもこいつもあのタコに取り込まれやがって。最初の頃は、俺と同じように気にくわねぇ奴が結構いたのに。

 

地球の危機とか、暗殺のための自分磨きとか、落ちこぼれからの脱出とか…正直な所どーでもいい。

その日その日を楽して適当に生きたいだけだ。

 

だから俺は…()()()の方が居心地が良い。

 

「ご苦労様。プールの破壊、薬剤散布、薬剤混入、君のおかげで効率よく準備することが出来た。はい、報酬の10万円、また次も頼むよ」

 

あの教室から出た後、夜の裏山で言われた通りの物をプールに入れた俺に、シロが声をかけた。俺はソイツから報酬を受け取る。

 

「なにせあのタコは鼻が効く。外部の者が動き回ればすぐ察知してしまう。だから寺坂くん、君のような内部の人間に頼んだのさ。

イトナの性能をフルに活かす舞台作りを」

 

シロがいると言う事は当然イトナもいる。俺は1つ違和感に気づいた。

 

「…なんか変わったな。目と髪型か?」

「その通りさ寺坂。君、意外と繊細な所に目が行くね。

髪型が変わった。それはつまり触手が変わった事を意味している。

前回の反省を活かし、綿密な育成計画を立ててより強力に調整したんだ」

 

イトナの目と髪型が変わっていたようだが、触手が変わったという事か。後はよく分からんから聞き流した。

 

「寺坂竜馬。私には君の気持ちがよくわかるよ。

あのタコにイラつくあまり、君はクラスで孤立を深めている。だから君に声をかけ協力を頼んだ。

安心しなさい。私の計画通り動いてくれれば、すぐにでも奴を殺し、奴が来る前のE組に戻してあげよう。

その上お小遣いももらえる良い話だろ?」

 

そうだ、あんなクソみてぇな生活はゴメンだ。

 

テメェをぶっ殺して、終わらせてやるよ。

 

 

◇三人称視点

 

シロが寺坂と話し終え、彼はその場から離れていこうとする。準備をするためというより、寺坂のところから離れようとするように。

 

「やぁ、君の方は終わったかい?」

 

寺坂が完全に見えなくなるところまで移動したシロは、草陰に声をかける。すると草むらから、黒い装束を羽織った1人の人間が現れた。体格から、すぐに男だと分かるだろう。

 

「終わったよ。それよりも上手い事口が回るね。あんな事を言ってその気にさせて」

「嘘はついていないさ。詳しく言ってないだけだよ。寺坂くんはあの教室の中で1番扱いやすい人間だ」

 

その黒装束の男の質問に、シロは答える。シロの言っている言葉から、男はシロが良からぬ事を企んでいる事が直ぐに分かる。

だからと言って別に気にはしない。シロの目的は、標的の暗殺だ。暗殺のためにあらゆる手段を使う事、それは正しい。だから止めはしない。この作戦は彼の思う通りにしている。

 

「それよりも、君は明日は参加しないんだね?」

「ああ、暗殺は俺の目標じゃ無い。俺のターゲットは別だ」

 

急に黒装束の男の目が変わった。彼もシロとは別の目的がある。そのためにシロと手を組んでいるようなものだ。

 

もちろん、目的はあの校舎で教鞭をとっているあの教師では無い。

 

 

彼の目的は、教室にいる1人の()()男だ。

 

 

◇学真視点

 

寺坂が意味不明な事をして次の日、寺坂は来なかった。学校に来る事をボイコットしたのだろうか。クラス全員がそう思っただろうし、それを気にかける奴も居なかった。まぁ、昨日あれだけの事をしているからな。

 

今は昼食時間だ。だが昼食を取れる状態じゃ無い。それよりも気になることがあるからだ。

 

さっきから殺せんせーが涙をドボドボと出しているようにも見える。だがそれは鼻水らしい。目と鼻が同じような場所にあるからややこしいが…

それにしても、そんなに鼻水を出す事があるだろうか。殺せんせー自身も原因がよく分かって居ないようだ。なんつーか…不安だな。

 

ガラガラ、と教室の扉が開く音がした。ドアの方を見てみると、そこには寺坂がいた。

 

「おお寺坂くん!今日は登校しないのかと心配でした!」

 

寺坂の顔を見た瞬間に、殺せんせーは寺坂にしがみつく。だが殺せんせーの出している鼻水で寺坂がどんどんと濡れていく。すげぇばっちぃ…

 

「昨日君がキレたことなら心配なく!もうみんな気にしてませんよ、ね?」

「う、うん…汁まみれになっていく寺坂くんの顔の方が気になる…」

「昨日一日考えましたが、やはり本人と話すべきです。悩みがあるなら後で聞かせてくれませんか?」

 

殺せんせーは寺坂がみんなと仲直りしてほしいようだ。悩みがあるなら話してくれないかとは言っている。

すると寺坂は、殺せんせーから頭を話して、殺せんせーの服で頭についた鼻水を拭き取る。

 

「おいタコ、そろそろ本気でぶっ殺してやんよ。放課後プールに来い。弱点なんだってな、水が」

 

寺坂が殺せんせーに言ったのは、暗殺宣告だ。別にこの教室では珍しいことではない。そんなのしょっちゅうあるようなもんだし。

けど…寺坂が言うのは少し違和感がある。昨日まで暗殺に積極的じゃなかったから、突然すぎな気もする。

 

…なにかあるんじゃねぇか?寺坂が言っているこの宣告に…

 

「テメーラも全員手伝え!俺がコイツを水に叩き落としてやっからよ!」

 

寺坂がクラス全員に一緒に来るように言う。けどそれに快く返事する奴はいなかった。そりゃそうだ、昨日の今日だし。

 

「寺坂。おまえずっと皆の暗殺には協力して来なかったよな。それをいきなりおまえの都合で命令されて、皆が皆『ハイやります』て言うと思うか?」

 

前原がみんなの気持ちを代表して寺坂に言った。その通りだ、クラスのみんなは寺坂の言う事に従おうとしない。むしろ嫌悪みたいなのが寺坂に向けられている。

俺もその1人だ。悪いけど今回は参加しない。俺たちが3ヶ月も狙い続けて未だに殺さない生物を、寺坂の指揮の元で成功するとは思えないし、そうじゃなくても、あんな暴挙をした寺坂の言うことに従いたくはない。

それにさっき言ったとおり、寺坂の言うことは何かおかしい。何か裏がありそうな感じがする。だから参加したくない。

 

結局のところ、クラスのみんなが行きたがらないのを、殺せんせーが説得(ほぼ強制みたいなもんだが)して、放課後プールにいく事になった。ちなみに、まだプールに入ることが出来ない俺は不参加になったけど。

 

 

放課後、俺と渚は校舎の外に出た。寺坂と話をするために。

 

「寺坂くん、ホントに殺るの?」

「んだよ、当たり前だろーが」

「だったら、ちゃんと皆に具体的な計画話した方が良いよ。1回しくじったら同じ手は使えないんだし」

 

渚は寺坂に計画をもっと詳しく話してほしいと言った。そりゃそうだ。寺坂は『殺せんせーをプールに落とす』しか言ってない。何の情報も無しに暗殺を始められても、やらされる方からすると不安しかない。

 

「具体的な計画なんて…いや」

 

…?なんか言おうとしてなかったか?

 

「ウルセェよ。弱くて群れるばっかの奴らが、本気で殺すビジョンもないくせによ。俺は奴らとは違う。楽して殺すビジョンを持ってんだよ」

 

計画については話してくれなかった。話したのは、クラスの罵言と…殺すビジョン?みたいな事だった。

ビジョンって…将来像みたいな言葉だっけか。殺すビジョンってのは、つまり殺せんせーを殺す展開みたいな言葉か。

 

…だとすれば、明らかに分かることがある。

 

「…本当に、自分が殺すビジョンを持っていると思っているのか?」

 

「…あ?何が言いたいんだ」

「そのままの意味だ。お前に殺すビジョンがあると思っているのかと聞いてるんだよ。昨日まで乱暴していて、今日あんな風に無理やり暗殺に協力するように命令する、そんな奴が、ビジョンとか持っているとは思わないよ」

 

俺の言葉にカチンと来たのか…それとも何か引っかかることがあったのか、寺坂は俺を睨みつける。俺はそれに構わず話を続けた。

正直コイツに殺すビジョンがあるとは到底思えない。昨日あんな酷い事をしておいて、何も言わずに暗殺に協力しろって言うことがその証拠だ。あの時寺坂が何を言ってもクラスのみんなは参加しようとしなかった。協力するようになったのは、殺せんせーが協力するように言ったから、つまり殺せんせーがそうなるように動いてくれた訳で、寺坂1人ではみんなに協力させることは出来なかった。

あの様子を見て、寺坂がしっかりとビジョンを持って行動出来ているとは言えない。むしろそれが見えてない人の行動だ。

 

正直、この暗殺も成功するとは思えない。絶対に失敗すると思う。

 

「ガタガタウルセェんだよ!リッチな家でのほほんと生活しているだけのバカが。テメェもビジョンがねぇからE組に落ちたんだろうが」

 

…今度は俺への批判か。まぁ、俺にビジョンとやらが無いのは分かっているから何も言わない。

けど…ひとつ気づいた。さっきからは寺坂は、ビジョンがあるとか無いとかの話しかして来ない。

恐らく寺坂自身が、ビジョンと言うものを分かっていないんだろう。そのセリフは恐らく、どこかの誰かから借りて来たんだろう。テレビか本か、それとも直接誰かに話されたとか。

 

だとすれば、一つ言っておかないといけないことがある。

 

「ああ、お前の言う通り、俺はビジョンが見えないよ。だから本校舎から、このE組に落ちることになった。それは否定しない」

「…なんだそりゃ?ビジョンがねぇ奴が偉そうなこと「けどな」」

「試した事は何回かある。それこそ親父が当然身につけるように言われたことだからな。『先が見えない奴は上に立てない』てな。

だが何度やってもそれが見えることはなかった。自分なりに考えようとしても、それはかなりボヤけてる」

 

コイツは分かってはいない。なぜ先を見ることが出来る奴が優れているのか。それは、誰にでも簡単に出来る事じゃないからだ。万人に出来るんだったら誰も苦労しない。

だから寺坂が、ビジョンがあるとか言うのは危ない。大抵軽はずみな行為になりがちだ。

 

「寺坂、これだけは言っておく。ビジョンとか予測とかを持つことは、今のお前が出来るほど簡単な事じゃねぇぞ」

 

俺は寺坂を真っ直ぐ見て言った。自分の言いたい事を言うときは、相手の目を見てハッキリと言わないといけないと言うことは既に学習している。

 

「…チッ!」

 

寺坂は掴んでいた俺の服を話してプールに向かった。あの様子だと俺の言いたい事が伝わってなかったな。こうなった以上後は備えるしかない。

 

 

みんながプールに行った時、俺は校舎で待機している。…カルマと一緒に。

 

「…おまえ、サボりかよ」

「だって寺坂の言いなりとか嫌だし」

 

…こいつ本当に良い性格してるよな。自分に素直っつーか…なんと言うか…

 

「それよりも、学真くんは寺坂の暗殺をどう見てる?」

 

突然、カルマが聞いてきた。寺坂の暗殺…いや、性格には、寺坂の様子について聞かれている。

 

「…なんか、アイツの行動には、しっかりとしたものが無いように感じる。どこか漠然としているというか…」

「…そうだね。まぁ見た目通りバカだから何も考えてないようだけど」

「…まぁ、確かに…」

 

やはりカルマも寺坂の様子に違和感を感じたようだ。色々と賢いコイツのことだし、俺よりも何か見えているのかもしれない。

 

 

 

《ドゴォォォォン!》

 

 

 

 

 

 

「……!?」

 

 

 

 

 

学校から離れた方向から、爆音が聞こえた。しかも音が聞こえた方向って確か…

 

「…プールの方だね」

 

やっぱりそうだ。寺坂がクラスのみんなを連れて行った場所だ。

おかしい、いくらなんでも爆音が響くことは無い。俺の聞いた話じゃ爆弾を用いた暗殺が通じなかったし、殺せんせーに仕掛けたものじゃ無い。

…じゃあ、あの爆発は一体…?

 

 

 

◇寺坂視点

 

「よーしそうだ!そんな感じでプール全体に散らばっとけ!」

 

プールでE組の奴らを散らばせる。これで良いはずだ。

順調に進んではいるが、かなりイライラしている。さっきの学真との会話せいだ。大して何かしてるわけじゃ無いクセに、あんな偉そうな事を言いやがって。

このタコを殺したら、俺が逆に言い返してやる。『これが、ビジョンがある奴とねぇ奴の違いだ』てな。

 

「なるほど、先生を水に落としてみんなで刺させる作戦ですか。それで君はどうやって水に落とすんです?ピストル一丁じゃ先生を一歩も動かせませんよ」

 

ケッ…タコ風情が、偉そうな事を言いやがって。確かにただのピストルじゃコイツを水に落とすことはできねぇ。

だがこれはピストルじゃなくてシロやイトナに合図を送る発信機だ。引き金を引いた時、イトナが水にコイツを落とす。前にタコの触手を落としたアイツのことだし、そんぐらいは余裕でできるだろ。

 

発信機として使うピストルの銃口を、タコに向けた。

 

「…覚悟は出来たか、モンスター」

「もちろん出来てます。鼻水も止まったし」

「ずっとテメーが嫌いだったよ。消えて欲しくてしょうがなかった」

「ええ、知ってます。暗殺の後でゆっくりと2人で話しましょう」

 

ナメやがって…誰がテメーと話すかよ。

 

来い、イトナ!

 

 

 

 

 

引き金を引いた。これでイトナがタコを…

 

 

 

 

《ドゴォォォォン!》

 

 

 

「…え?」

 

 

引き金を引いた瞬間、大きな爆音が聞こえた。振り向くと、プールの壁が破壊されている。

 

 

破壊された壁から、水が流れ出る。プールに入っていた奴らは、その水の流れに流されていく。

 

 

「皆さん!」

 

 

 

あのタコは慌てて、流されていく奴らの救助に向かう。

 

 

 

 

待て…なんで壁が…?まさか、このピストルは、合図を送る発信機でもなく、あの壁を破壊するスイッチだったのか…?

 

 

 

おい、嘘だろ…?

 

 

こんなことするなんて…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聞いてねーよ…

 

 

 

 




シロの作戦にまんまとかかった寺坂、彼の運命やいかに!?

…まぁ、原作知ってる人は展開が分かっているとは思いますが…

次回『寺坂の時間』
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