試験が終わり、普通の授業が行われてる。ま、ターゲットに逃げられなくてよかったー的な感じだが…今回の件で殺せんせーも充分に感じたはずだ…親父の冷酷さを…
並大抵の努力ではあの人には勝てない。倒すんなら、それこそ頂点を摘み取る勢いじゃないと無理なんだ。俺はそれを…15年経験した。
これから期末テストに向けてどうすべきか……今必死で考えてる最中だと…
「労働に関する法律として、労働基準法というものがあり、経営者は雇用者に対して充分な賃金を提供する義務があるんです。つまりろくすっぽ情報を渡さずに賃金もあまり出さないこの理事長はどっからどう見たって労働基準法違反です」
…いや、根に持ってるわ。てゆーか此処(暗殺教室)で法律の話は不味くね?
◇カルマ視点
学校が終わって渚くんと一緒に家に帰っている。1年生のころから同じクラスだったからか、渚くんと一緒にいることが多い。はたから見れば只の小動物に見えるけど…俺には興味をひく部分がある。
1番最初に殺せんせーにダメージを与えたのは俺だけど、意表を突いたのは渚くんだ。一学期初めて間もない頃、国語の授業で俳句の実習をやった時に暗殺を仕掛け、ナイフを振りかぶってからの殺せんせーにしがみついて、寺坂の用意した手榴弾(オモチャだったけど)で自爆。身体を封じられた殺せんせーは、緊急脱出の為に月に一度の脱皮を使ったらしい。
同じこと言うようだけど、1番最初に意表を突いたのが渚くんだということ。あの場には、渚くん以上の実力者がいる。烏間先生に鍛えられた結果だけど、ナイフ術では磯貝や前原、射術では千葉や速水さんがいる。パワーだけでいうなら寺坂が1番強い。バカだけど。ひょっとすると今あげた奴らの誰かが1番最初に仕掛けたかもしれないのに、そいつらを出し抜いて渚くんが仕掛けた。
みんなは普通に接しているようだけど、渚くんを見てると、虎の威を借る狐ならぬ、人間の皮を被る悪魔に見える。だから、渚くんとつるむ様にしている。いずれ、その皮を剥いでみたいから…
「うーん…」
「どうしたの?あのタコに良い手が見つかった?」
「あ、いや…テストのことなんだけどさ…」
ああ、中間テストのことか。
「カルマくんは4位だったけどさ…黒崎くんが2位を取ったのはすごいなと思ってさ…」
確かにね…黒崎は成績が良かった訳じゃない。並み、て感じ。まさか上位、それも2位にいるなんてね。
「あ、でも学真くんが前言ってたけど、今度の期末ではA組も対策をねるだろ、て言ってたから……今度どうなるんだろ」
………………
「まぁ、カルマくんが上位を取るのは変わらないだろうけど、黒崎くんも頑張って欲しいな…2人が互いに高め合うのを見てみたい。あ、学真くんも上位だし…」
「渚くんさぁ…」
俺が話しかけると、渚くんは口を閉じた。俺の言葉待ちだろう。
「最近浮いている、てこと知らない?」
「え…何で…?」
「だってさぁ、最近渚くん 学真と結構つるんでるじゃん。それってE組の中では微妙なんだよね。理事長の息子、て聞いて平然としているのって、渚くんぐらいだよ」
「…でも……学真くん、そんなに悪い人じゃないよ。この前、杉野とキャッチボールしてたし…」
「それは渚くんの印象でしょ。印象と性格が一致するとは限らないし、寧ろ一致しない方が多いよ。当然、別人との印象も同じ事が言えるよ。渚くんが思ってるようにみんなが思ってる訳じゃないんだ。俺の推測だけどさ…殆どの奴らが悪印象持ってると思うよ」
渚くんはそれっきり黙ってしまった。昔からこういうやり取りは苦手だしね。
ま、恐らく渚くんが思っている方が正しいんだろうけどさ。みんなの印象を変えたいんなら、学真の方が変わらないといけないんだけどね。
俺たちはそうやって話に夢中になって…後ろの人影に気づかなかった。
◇学真視点
……ヒマだ。
渚も杉野も帰っちゃったし、やる事がない。かと言って家に帰んのもなぁ…
ん?あぁ、理科室の前に来たのか。そいや余り学校見学してないな…ブラブラついでに覗いてみるか。
俺はその扉を開ける。
《ガラガラガラガラ》
すると中から紫色のガスが……て!?
「ぬお!?ゲホッ……ガ……」
《バタッ》チーーン
「…や!?……くん!?……かりして…」
「……う、まった……よ…」
「…りあ……れを飲ま……」
「……に毒を飲ませてどうするの!?」
薄れ行く意識の中、声が聞こえた…可笑しいな…途切れ途切れの筈なのにとんでもねぇ発言が聞こえた気が…
◇
目を開けると2人の女性と1匹のタコが顔を覗いていた。
「気がつきましたか…良かったぁ……このまま意識が戻らなかったら危うく免停されるところでした」
「も〜…あの扉に進入禁止の紙を貼っとかないからよ」
おれは理科室の机(長いため人が寝れるくらいの広さはある)に寝てた。理科室にいるのはタコとカエデと…
「あの……大丈夫ですか…?」
確か…奥田 愛美
メガネを掛けた三つ編みの女子。理科は強い、特に化学が得意だが、国語が苦手。俺が来る少し前に「毒です!」と言って毒を差し出したのが原因で利用されたらしい。殺せんせーの新技、液状化(はぐれメタルのような姿になり、如何隙間に潜り込めるようになる)を身につけさせてしまったらしい。
「あぁ、大丈夫だ。ところで何を…?」
「あ、毒の研究をしてたんです。前は失敗したけど、次こそ殺せんせーに効く毒を創り出したいんです」
あぁ、成る程……それで毒ガスか…確かに暗殺にはうってつけだよな…目には写りにくいし、何よりごまかせる……良い手だ。
「で、何でそのターゲットが協力してんだ」
その様子をこのタコに見せたら逆効果なんだが…
「いやねぇ…生徒の頑張る姿は直で見たいんですよねぇ。共に頑張って達成する。その快感こそ、教師の特権ですから」
……相変わらず教師バカだな。
《しょげないでよbaby♪》
「あ、悪りぃ電話」
「……今の着信音何?」
携帯が鳴ったんで携帯電話を開く。あれ?渚か……
「はい、学真で…」
『学真くん、今何処にいる⁉︎』
うお!!携帯から渚の声が大音量で響いた。鼓膜が破れるかと思ったぜ…
にしても…渚の声は若干焦ってるようにも聞こえた。
「えっと…俺は今 学校にいるけど」
『ど…どうしよう…僕……何も出来なくて……』
「落ち着け!一体何があった」
何やらテンパってる。こりゃ相当だぞ…
『カルマくんが…攫われた……』
……ハァッ!?カルマが!!?
「どういう事だ。一体……」
『相手は不良で…カルマくんに恨みを持ってて……後ろから強襲したんだ。…そ、それに……僕を狙おうとして……カルマくんが……庇って……
そのまま連れてかれているのに……僕は呆然として……』
…そうか……この近くには沢山の不良がたむろってるから、それに狙われた、てことか……
『どうしよう…このままじゃ、カルマくんが……』
「おい、渚……」
『………助けてよ、学真くん…』
………………
電話越しで……何がなんだか分からなかったが…
ハッキリと分かる。
渚は今、『助けを求めた』。
「渚……今何処にいるか分かるか?」
『え?…学真くん?』
「ここら辺で不良が溜まりそうな場所なら記憶している。どこら辺か当たりをつけてくれれば、直ぐ見つけれるさ……」
久々だな…本当に……
まさか、怒りに任せて戦う時がまた来ようとは…
「助けてやるさ……カルマも……お前も」
まさかのカルマくんが誘拐、次話ではその様子を書きたいと思います。
次回 『カルマの時間②』