SAOからログアウトできたプレイヤー【リメイク】 作:アズマオウ
では、どうぞ。
「くっ……!」
大きな鎌が俺――ロックァの横をかすめる。かすかに、血に似たライトエフェクトが俺の頬にできた傷から出てくる。俺は朱色に染まった愛剣《フェニックス・カリバー》を中段に構え、目の前の敵を見上げる。
今俺が戦っている敵の名は《The Skull Reeper》という。意味は骸骨の狩り手、だそうだ。言ってしまえば、こいつは骸骨のさそりみたいなものだ。しかも、前足2本(正確にはそれに似たもの)が異常なほどの攻撃力を持つ大鎌で出来ており、さらに、後ろ足が大量に生えている。こちらも侮れず、降り下ろされれば一発で吹き飛ばされてしまう位の威力をもつ。
俺は仮想の冷や汗を掻いていた。死の恐怖が俺の背中を撫でていく。今の俺のHPバーは、5割を切っているため、イエローにそまっている。こいつのHPバーは5本あってなんとか2本減らしたが、正直状況はやばい。俺のHPを回復するポーションも切れ気味であり、さらに俺の剣も刃こぼれが激しくぼろぼろになりかけてる。そして何より、こいつは、多人数向けのボスであることが状況をますます不利にさせていく。ちなみに戦っているのは俺1人だけ。
「完全にやべえな……死ぬかも知れない……」
俺は力を緩め、剣をだらんと下ろして呟いた。鎌の陰が俺を覆う。絶望と諦めが俺を凍らせた。俺はあの怪物の奥にある小さな部屋をただみつめた。あそこにある、黒いオブジェクトが異様な存在感を放っている。第1層の地下ダンジョン最奥で俺は散るのだと、そう思った。
そんなとき、俺は頭に"過去"が浮かんだ。そう、"あのゲーム"が始まったこと、"愛剣"を手に入れたこと、そして"彼女"に出会ったことが走馬灯のように頭の中を駆けめぐってきた。
ーー時間が遅くなっていく。俺は鎌が遅く見えた。絶望という感情が振り払われた。ただ、頭にあるのは、懐かしさや愛おしさだけだった。でも相変わらず、生存欲はわかなかった。言うなれば……アルバムを手にしたような、静かで穏やかな気持ちだった。
「ねえ、ロックァ! この服かわいいっしょ?」
彼女の声が聞こえた。いや、幻覚だ。暖かくて、心地いい幻だ。
「ねえ、ちゃんと、生きて帰ってこれるよね……?死なないよね……!?」
(……はは。死ぬんだろーな俺)
俺は願った。せめてこの鎌が降りて、俺を裂くその瞬間までは、この暖かい思い出に浸らせてくれと。
敵にそんな願いが通じたかどうかは分からない。だけど最後の瞬間だけは絶対に来るのはわかっていた。だから俺は目を閉じ、思いを馳せる。すべてを終わらせる一撃を待つ、そのあまりにも短く、しかし、長く感じるその時間の中で。
最初はまあ1000文字程度にしてます。ほんとはもっと肉付けしたいですが今後の展開に影響が入るのでやめました。