花遊び   作:月茜

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 転生した主人公が主要人物と関わっていく話。
 続く予定


スキップビート1

「はぁ……」

 人が行きかう通りのベンチで一人の女性が憂鬱とした雰囲気を醸し出していた。

 艶やかな黒髪は首のあたりでゆるく結ばれ腰までながれている。サングラスで隠れた瞳は白い肌に映える青色。手足はすらりと長く、モデルだと言っても信じられるような体系だ。事実通りを歩く人は彼女に目を止め思わず立ち止まってしまっている。

「ねぇ、ねぇ、あの男の人(・・・)かっこよくない?」

「え、あの人女の人じゃないの?」

「え~、絶対男だよ」

 そう遠くない位置から聞こえてきた会話にもう一度溜め息を吐きだした。

 ある世界に転生トリップをして18年、混乱もしたがなかなかに上手くやってきたという自負がある。もともと割りと良かった容姿を磨き、知識も詰め込めるだけ詰め込んだ。

 父がアメリカ人であることを理由に大学はアメリカへ行き16歳で大学へ飛び級をした。飛び級組でも異色だった私への嫉妬は色々と面倒だったが、まぁ上手くやってきた。もうすでに卒業できる単位は取ってしまっているが、周りから残ってくれといわれまだ学生をエンジョイしているのもいいだろう。

 そう、例え昔の知識から書いた小説がすごいヒットを飛ばそうが。某動画サイトで歌っていたのにこっちに来てから歌えていないストレスを屋上で爆発するというどこの漫画だと言う感じのことをやらかし、見事にフラグがたとうが。

 ……いいわけなかろうが!!

 書いた小説がヒットしてしまったあのいたたまれなさ。たしかに、うろ覚えなため実際のものと多少違う作品になってしまったけれども! すいません、私が元じゃないです。パクリです。言いたいけれども言えないもどかしさ。

 それも3年もたてば気にならなくなったけどね! ええ、開き直りましたとも。だってこの世界にはないんだし。私は好きな作品が読みたいんだ。その作品をこの世界の彼らが演じてくれるというのは、だたの私のご褒美ですありがとうございます。今ではちょっとしたお金持ちになった。

 1つ目の問題はすでに私の中で処理できた。しかし、2つはダメだろ。

 確かに生まれてから磨きに磨いた容姿は普通を超越している。そして歌もまぁまぁ上手いという自身もある。だからって何故歌手として売り出されることになるんだ。中性的な容姿を活かした男装シンガーってなに!? 私を羞恥で死なせたいのか? 元は一般人の私にテレビに出ろとか、ライブとか。無理だろ。やったけど、負けず嫌いですけどなにか(・・・)

 Pruuu……。

「はい、もしもし」

『あ、スイ?』

「死ね」

『あははは、相変わらず口悪いなぁもう。スイが日本に帰りたいって言うから日程組んだのに』

「私はお前のいない日本に行きたいといったんだ。なのに日本の番組にでることになっているし。どんな嫌がらせ?」

『行かせてあげたんだからいいでしょ~? それに数日フリーにしてあげたんだからさぁ。これからは、日本の仕事が増えるから慣れといてね。スイパパとママはこっちにいても、祖母はそっちにいるんでしょ? あいさつしておきなよ』

「わかってるっつーの」

『あ、そうそう。スイが会いたがっていた彼、そっちでかなり人気みたいだね。こっちでも知ってる人いたよ。妹が羨ましがってた。絶対スイとのツーショット撮るってよ』

「……妹ちゃんが暴走しないようによろしく」

『あはは、頑張りま~す』

「で? 私はいつまでここで君を待てばいいんだ?」

『ん? あれ? 言ってなかったけ? その近くで撮影やってるんだけど、そこに我が叔父であり天然記念物であるLMEプロダクション社長ローリィ宝田が出現するはずだからそこいって』

「は?」

『こっちから衣装用意しても良かったんだけど、叔父さんが用意してくれるって言ってくれてね。番組の後のモデル撮影でお世話になるよう予定で、だったらほとんど用意してくれるって言ってね。条件というかアレなんだけど、叔父さんのお遊びに付き合って欲しんだってさ。まぁ、楽しんだらいいよ』

「……マジか」

『ああ、そうそう。なにか変なこと言われたら1つも漏らさず報告してね?』

「(変な事ってなに)わかった。適当にあったことを報告する」

『うん。じゃあね。俺は明日にはホテルに着くから』

「はいはい、んじゃあね」

『じゃ』

 プーと会話が切れたことを知らせる音を聞きながら、ピシリと固まったまま動けなかった。

 え、なに。あのローリィに会えるの? 最初に会える主要人物があの人?

 やばい、後ろから変なエネルギー出てる気がする。京子ちゃんチックになってたらどうしよう。いや、どっちかっていうと黒より、ピンク系の何かが出ている気がする。

 ピシリ、という携帯の音で我に返った。少しひび割れが入ったホルムを撫で(ごめんよ携帯君)、ポケットにしまう。す、と立ち撮影場所まで歩いて行く。

 (流れるような歩行、顔は前を見据え、格好良く……)

 頭の中で念じながら、歩いて行くのだった。

 

 その背中にはお花が散っていたそうだ。

 (いいことあったのかな、あの人)(かわいいー)(あ、見て今笑ったわ。きれー)(きっと芸能人よ!)

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