俺と彼女のハイスクールライフ   作:”アイゼロ”

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はい、pixivにも投稿しようかな~?とか色々悩んでるアイゼロです。

3話突入。



3話:俺と彼女の小説クリティシズム

《放課後》

 

今日も何事もなく放課後を迎え・・・、いや何事はあった。昼休みに少しいざこざがあった・・・。

 

その説明をしよう。

 

 

俺のクラスには、いつも教室の後ろで騒いでいる集団がいる。男子4人と女子3人というずいぶん華やかなグループだ。その中に由比ヶ浜も属している。

 

その集団が昼休みに揉めていたのだ。

 

どうやら由比ヶ浜は雪ノ下と昼食をとる約束をしていたらしく、その場を離れようと試みたが、空気に流されなかなか抜け出せていなかった。

 

今度こそ抜け出そうとしてその場を離れたら、おそらく女子のリーダーであろう金髪の人、仮に金髪ドリルと呼ぼう。そいつに『最近、付き合い悪くない?』と言われ、阻止された。

 

その質問に由比ヶ浜は困惑気味の顔で曖昧に返事をした。それにシビレを切らしたのか金髪ドリルは質問攻めを始めた。

 

由比ヶ浜は言い返せず『ごめん』の一点張り。クラスの雰囲気は最悪。飯もまずくなる。おい、そこの男子はなぜ止めないんだ?友達なんじゃねぇのかよ、なに床に視線を落としてんだ。

 

すると時間になっても来ない由比ヶ浜の様子を調べに来たのか雪ノ下が現れた。突然の来訪者に金髪ドリルは文句を言うが、見事に論破された。少し清々しかったな・・・。

 

そのあと、由比ヶ浜は雪ノ下に何か言われたのか、ちゃんとあいつらと向き合って話をしていた。表情から見るにどうやら仲直りできたようだ。どうでもいいが・・・。

 

説明終了

 

 

とまぁ、そんなことがあったんだ。そう考えてるうちに部室が見えてきた。

 

ん、なんだ?三人とも扉の前で立ち尽くしている。何かあんのか?

 

俺は早歩きで近づき、風音に聞いた。

 

八幡「どうした?風音」

 

風音「え、ああ八くん。実は部室に不審人物が・・・」

 

風音が手を握って誘導してきた。部室を覗くと確かに誰かいる。はぁ、こんな何もないところに不審者なんて来るのか?

 

雪乃「比企谷君、ちょっと様子を見てきてちょうだい」

 

ま、風音が不安がっている以上無碍にはできない。最悪ほんとに不審者だった場合は、『アレ』を使うか。アホ毛センサーは引っかかってないから大丈夫だと思うんだけど。

 

少し警戒しながら部室に入った。視界に広がったのは、床にちりばめられた大量の紙、そしてそこに佇む一人の男がいた。その男は、もうすぐ初夏だというのに汗をかきながらコートを羽織って指ぬきグローブはめてるし。

 

?「クククッ、まさかこんなとこで出会うとはな。・・・・待ちわびたぞ。比企谷八幡」

 

八幡「・・・・・・・・・・」

 

どう反応したらいいんだよ・・・。

 

風音「知り合い?八くんのこと知ってるような口ぶりだけど」

 

俺の後ろに隠れるように問いてきた。・・・そうだな、とりあえず。

 

八幡「いや、こんな奴知らん。本当に不審者だ。通報しとくか」

 

そういって俺は携帯を取り出すと、男はあわてて弁解をする。

 

?「まま、待て!?我だ、この相棒の顔を忘れるとは、見下げ果てたぞ、八幡」

 

結衣「相棒って言ってるけど・・・」

 

由比ヶ浜は俺を冷ややかな視線で見る。やめて、俺をあんな奴と同類扱いしないで・・・。

 

?「そうだ相棒。貴様も覚えているだろう、あの地獄のような時間をともに駆け抜けた日々を・・・」

 

八幡「体育でペア組まされただけじゃねぇか」

 

こいつとの会話はほんとに疲れる、さっさと本題に入ろう。

 

八幡「何の用だ、材木座」

 

材木座「我が魂に刻まれし名を口にしたか。いかにも我が剣豪将軍・材木座義輝だ」

 

バサッとコートを力強く靡かせて、ぽっちゃりとした顔にきりりっとやたら男前な表情を浮かべる。

 

とりあえず、説明するか・・・。

 

八幡「こいつは、材木座義輝。・・・体育で一緒にペア組んでるやつだ」

 

そう説明すると雪ノ下は怪訝な顔で俺を見た。

 

雪乃「驚いたわ、あなたが人の顔と名前を覚えているなんて・・・」

 

八幡「さすがに体育でペア組んでたら嫌でも覚えちゃうだろ?」

 

風音「すごいね八くん。この人高校2年生になった今でも中二病こじらせてるよ」

 

風音の正直な発言に、材木座は胸を押さえ仰け反る。こいつメンタル弱いなぁ。

 

雪乃「その、中二病というのはなにかしら?」

 

結衣「病気なの?」

 

聞き耳立てていた由比ヶ浜も気になったのか質問してきた。

 

八幡「いや、マジで病気なわけじゃない。スラングみたいなもんだ

 

・・・中二病というのはアニメや漫画のキャラ、もしくは自分で作った設定に基づいて行動する奴のことを言う。例えば、主人公が持つ不思議な力に憧れを抱き、自分にもそうしたものがあるかのように振る舞う。そういう感じだ」

 

由比ヶ浜はおそらくわかっていないだろう、う~んと唸っている。逆に雪ノ下は理解したのか顎に手を当て頷いた。

 

雪乃「ふぅん、つまりお芝居をしてるのね」

 

八幡「そういう解釈でいい。あいつは、室町幕府の十三代将軍・足利義輝を下敷きにしているみたいだ。名前が一緒だったからベースにしやすかったんだろう」

 

風音「でも彼、八くんを仲間としてみているようだけど」

 

八幡「八幡っつー名前から八幡大菩薩を引っ張ってるんじゃないか?清和源氏が武神として厚く信奉してたんだ。鶴岡八幡宮って知ってるだろ?」

 

風音にそう説明すると、雪ノ下は大きな瞳を丸くしてこちらを見ていた。な、なんだ・・・。

 

雪乃「驚いた。詳しいのね」

 

八幡「まぁ、昔風音と歴史に関するゲームをしてたからな。その時に覚えたんだよ」

 

風音「あ~、あれ懐かしいね。まだ家にあるよ」

 

物持ちいいな。

 

雪乃「それで、依頼というのはその病気を治すことでいいのかしら?」

 

義輝「・・・。八幡よ。余は汝との契約の下、朕の願いを叶えんがためこの場に馳せ参じた。それは実に崇高なる気高き欲望にしてただ一つの希望だ」

 

雪ノ下から顔を背けて、材木座は俺の方を見た。一人称も二人称もブレブレだ。どんだけ混乱してんだよ。

 

雪乃「話しているのは私なのだけれど。人が話しているときはその人の方を向きなさい」

 

冷たい声音でそう言って雪ノ下が材木座の襟首をつかんで無理矢理正面を向けさせた。

 

義輝「・・・モ、モハハハ、これはしたり」

 

雪乃「そのしゃべり方やめて」

 

その後も、材木座は雪ノ下の質問攻めにあった。この時期にコートがどうとか、指ぬきグローブがどうとか。そのたびにしゃべり方を言われ、材木座は、声が小さくなっていった。

 

雪乃「それで、依頼内容はその病気を治すことでいいのかしら?」

 

義輝「あ、いや別に病気じゃなくて」

 

材木座は雪ノ下から目をそらしてすごい小声で言った。

 

完全に素だ。

 

見てらんねぇ・・、可哀想すぎる。さすがに見過ごすわけにはいかねぇから助け舟をだそう。

 

八幡「んで、ほんとはなんの依頼なんだ?」

 

すると材木座は、目を輝かせ立ち直った。こいつ俺のこと好きすぎるだろ。気持ち悪いからやめてほしい。

 

義輝「依頼というのはこれだっ!?とくと見よ」

 

そう言って材木座は床に散らばった紙を集め俺達の前に差し出した。

 

結衣「これは?」

 

雪乃「原稿用紙ね。何か書かれているわ」

 

風音「これって小説じゃない?」

 

八幡「ああ、そうだな。しかも見るからにラノベの類だ」

 

そう、材木座が持っているのは自分で書いたであろう小説だった。

 

義輝「ご賢察痛み入る。如何にもそれはライトノベルの原稿だ。とある新人賞に応募しようと思っているのだが、友達がいないので感想が聞けぬ。読んでくれ」

 

雪乃「何か今とても悲しいことをさらりと言われた気がするわ・・・」

 

中二病を患ったものはラノベ作家を目指すようになるのはそこまで不思議じゃない。あこがれ続けたものを形にしたいという思いは実に正当な感情だ。加えて、妄想癖のある自分なら書けるっ!と考えたっておかしなことはない。さらに言うなら好きなことで食っていけるならそれはやはり幸せなのだろう。

 

だから材木座がラノベ作家を目指していても不思議じゃない。

 

でもなんで俺達なんだ?

 

八幡「投稿サイトとか投稿スレにでも載せたらいいじゃねぇか」

 

義輝「それは無理だ。彼奴らは容赦がないからな。酷評されたら我死ぬぞ」

 

・・・心弱ぇ。

 

でも確かに顔の見えないネット越しの相手なら斟酌せず言いたい放題だしな。・・・でもなぁ

 

俺はため息交じりに言った。

 

八幡「投稿サイトより雪ノ下の方が容赦ないぞ?」

 

 

 

 

 

≪八幡の部屋≫

 

22:00

 

八幡「はぁ、結構ページがあるな。今夜は徹夜か」

 

風音「うん、そうだね。でも依頼だしちゃんと読まなきゃ・・・」

 

俺と風音は、ため息をつきながら材木座の原稿を読み始めた。

 

ちなみに何故この時間に風音と一緒に俺の部屋で読んでいるかというと、風音はあまりラノベに寛容じゃないのだ。俺の持ってるのは読んだことあるが、まだそこまで理解しているわけじゃない。そのため、一緒に読もうと風音が提案したのだ。ちなみにそのまま泊まってくらしい。

 

小町には「お熱いね~、ヒューヒュー」とからかわれたが無視した。

 

・・・・・・・・・・・

 

しばらく読んで、俺は風音を横目で見た。今のところ問題ないようだな。

 

・・・しかし、いくら風音でも年頃の女子だからちょっと緊張するな・・・。

 

そう思いながらも俺は再び原稿に目を戻した。

 

12:30

 

また、しばらく読みふけっていると、風音が小さなあくびを漏らす。

 

八幡「さすがにもう眠くなってきたか・・・」

 

風音「・・・うん。・・ふぁぁ」

 

読者が眠くなるということはおそらくそこまで面白くないんだろう。俺も若干集中力が落ちてきた。

 

けど、依頼である上に人が頑張って書いた物語だ。俺は姿勢をたてなおし、風音にはもうちょっと頑張ってもらおうと思い声をかける。

 

八幡「今夜は寝かさないぞ」

 

風音「!?///え、ええ、ははは、八くん!?////それってど、どういう!//」

 

あ、やべ、さすがに今の言い方じゃ紛らわしすぎたか!?

 

八幡「あ、いや、今のはそういう意味じゃ・・・」

 

風音「い、いきなりそんなこと言われても///まだこ、心の準備が!?///」

 

八幡「お~い、風音さ~ん」

 

風音「で、でも八くんも男の子だし///そ、そういうことに興味あるのは仕方ないと思うけど!?//」

 

八幡「まぁ興味なくはないが・・って違う違う」

 

風音「そ、それにお互い愛し合ってるからあまり問題ないよね!?////わ、私八くん大好きだし!?」

 

いや、年齢的に少し問題があるから!?

 

風音「バ、バッチコーイ!///」

 

えええええええええええええ!?

 

暴走した風音はそのまま俺のベッドの上で大の字になり顔を赤くしながら仰向けになった。

 

・・ど、どうしよう、とりあえず落ち着かせるか・・。襲いたい気持ちも少しあるが抑えよう。

 

俺は風音の横に立ち肩に手を置いた。

 

八幡「目、覚めたか?」

 

風音「え?・・・あ、うん/」

 

ガバッっと体を起こした。眠気は去ったみたいだな。まだ若干顔赤いよ。

 

八幡「よしっ!あと少しだ、頑張ろうぜ」

 

風音「うん!」

 

ラストスパートをかけて、残り数枚となった原稿を読む。・・・途中ちらちらと風音は見ていたが気にしないことにした。

 

AM2:00

 

八幡「ふぅ・・終わった・・」

 

風音「こっちも読み終わったよ・・・ふぁぁ」

 

さすがに二人とも限界だ。もう寝よう。

 

八幡「じゃ、おやすみ」

 

風音「おやすみ~」

 

電気を消し、俺達はベッドに入った。ついでに言っとくと一つのベッドに二人使っている。やはり少しドキドキするが、眠気の方が勝っているため、さっさと寝た。

 

 

 

 

《朝》

 

 

パシャッ、パシャッ

 

俺は謎のシャッター音で目が覚めた。ん、なんかとても柔らかいものを抱いている・・何だろう・・・。

 

だんだんと意識が戻ってくると、目の前には風音の顔があった。近い近い!鼻と鼻の先が当たるくらい近い!?

 

抱きしめていた柔らかいものの正体は風音だった。

 

パシャッ

 

そしてシャッター音の方へ目を向けると、我が妹、小町が写真を撮っていた。おおい!何やってんの!?

 

八幡「こ、小町ちゃん・・・何をしているんだい?」

 

小町「いやぁ~、御二方、朝から熱いもの見せつけてくれますね~」パシャッ

 

風音「ん、あ、八くん・・おはよ~」

 

八幡「お、おはよう・・」

 

対する風音も俺を抱きしめていた。それも結構強く。

 

風音現状確認中・・。そして今の状況がわかった途端

 

風音「!?///あ、あれ、八くん///ここ、これは・・//」

 

と顔を真っ赤にして慌てていた。ちょっと面白いからしばらくこうしてようと思ったが、風音が離れてしまったためできなかった。少々名残惜しい・・・。

 

風音はベッドに座り、俯いてしまった。

 

小町「この写真はあとで二人にあげるねー。それじゃあ」

 

そう言って小町は下の方へ降りて行った。

 

風音はまだうつむいたままである。うーん・・こういう時はどうすればいいんだ?・・・そうだな、とりあえず。

 

八幡「風音」

 

風音「!?・・な、なに八くん」ビクッ

 

八幡「柔らかくて抱き心地最高だったぞ」

 

正直な感想を言った。そしたら風音は、ぽかぽかと叩いてきた。あまりの可愛さに俺は頭をなでた。

 

―――――数分後

 

 

俺達は着替えて、小町の待つリビングへと向かった。さすがに着替えは別々の部屋だからね。

 

小町「あ、お兄ちゃん、風姉おはよう。朝ごはんできてるから食べよっか」

 

相変わらず出来のいい可愛い妹だ。ありがたくいただこう。

 

八幡&風音&小町「「「いただきます」」」

 

風音「小町ちゃんのごはん、やっぱり美味しいな~」

 

小町「にしし、ありがとう風姉」

 

こうして他愛もない話をしながら、朝食を口に運んだ。途中小町が『夜はお楽しみでしたね』とからかってきたが無視した。

 

登校時間になり、三人は家を出た。しばらく歩き、小町の通う中学校に着いた。

 

小町「それじゃあお兄ちゃん、風姉、行ってくるであります」

 

どこの軍曹だお前は。

 

八幡「おう、行ってらっしゃい」

 

風音「行ってらっしゃ~い」

 

俺達は手を振って小町を見送った。

 

八幡「俺らも行くか」

 

風音「そうだね」

 

 

 

 

《放課後》

 

今日は時間が短く感じた。それもそのはず・・。

 

起きたら帰りのSHRが終わっていたのだから。

 

どうやら、朝席についてそのまま寝てしまったようだ。幸いにも現国の授業がなかったため平塚先生から呼び出しを喰らうことはなかった。

 

あ、昼飯も食ってねぇや。・・・・部室で食うか。

 

俺は教室から出て部室へと向かう。

 

結衣「ちょー!待つ待つっ!」

 

特別棟に入ったあたりで、俺の背中に声がかかった。振り返れば由比ヶ浜が薄っぺらい鞄を肩にかけながら追いかけてきた。

 

・・・こいつやけに元気だな。

 

結衣「ヒッキー、元気なくない?どしたー」

 

八幡「いやいや、あんなの読んでたらそりゃ元気なくなるだろ・・・。すげぇ眠い。っつーか、むしろなんであれ読んでお前が元気なのか知りたいわ」

 

結衣「え?・・・・・あ。だ、だよねー。や、あたしもマジ眠いから」

 

八幡「お前絶対読んでないだろ」

 

由比ヶ浜は、口笛を吹いて窓に目をやった。後で絶対読ませてやる。

 

 

 

≪部室≫

 

ガラララ

 

八幡「うーっす」

 

結衣「やっはろー」

 

部室に入ると雪ノ下が穏やかな顔で寝息を立てているのが目に入った。

 

風音は机に突っ伏している。

 

八幡「お疲れさん」

 

俺が声をかけると、雪ノ下が目を覚ましこちらを向いた。

 

雪乃「・・不思議ね。あなたな顔を見ると一発で目が覚めるわ」

 

うわぁ・・・。俺も今ので目が覚めたわ。どうやら俺の顔は、人を目覚めさせる力があるようだ。また新しい能力を見つけてしまった・・・。できれば見つけたくなかった。

 

一方風音はピクリとも動かない。熟睡状態だ。まぁ、こいつ基本早寝だからな。徹夜に慣れていないんだろう・・。

 

そっとしておこうと思い、俺は静かに椅子に座る。由比ヶ浜も、雪ノ下の隣に座った。

 

結衣「かざねんどうする?」

 

八幡「いや、しばらくこうさせてやれ。材木座が来たら起こそう」

 

そう言って俺は鞄からさっき買ったMAXコーヒーを取り出して飲む。

 

――――――数分後

 

 

まだ材木座が来ない・・・。あいつ何やってんだ?放課後しゃべる相手とかいないくせに・・・。

 

俺がそんなこと考えていたら風音が起きだした。

 

風音「んぅ・・ふぁぁ・・・あ、八くん」

 

小さなあくびを漏らし、トロンとした目でこっちを見た。やべぇ、あまりの癒しオーラに浄化されそう。

 

八幡「おう、おはよう」

 

風音「お~、八くんおはよ~」ダキッ

 

挨拶をし返したと同時に俺に抱き着いてきた。どうやらまだ寝ぼけているようだ。

 

八幡「ほら、これ飲んで目覚ませ」ナデナデ

 

俺は、片方の手で風音の頭をなで、もう片方の手でさっき飲んでたマッカンを差し出した。

 

今更間接キスで動揺するほど童貞こじらせていない。童貞だけど・・。

 

風音「・・・・ふぅ。ありがと~八くん」

 

ほんわかした口調で俺から離れマッカンを返した。まだ中身が残っていたため一気に飲み干した。うん、さっきよりも甘く感じた。理由は察しろ・・。

 

その様子を一部始終みていた由比ヶ浜は、あわわわわわと口と体を震わせている。え、お前パーキンソン病なの?お気の毒に・・・。

 

結衣「ヒ、ヒッキーとかざねん何やってんの!?」

 

八幡「?何って何がだ?」

 

こいつ何言ってんだ。マジわけわかめ。

 

風音「え?・・・私たち何かやった?」

 

どうやら風音もわかっていなかったらしく、俺達は由比ヶ浜に問いかける。

 

結衣「えぇっ!だ、だから、なんでかざねんがヒッキーに抱き着いたりヒッキーが頭撫でたり、か、間接キスしてるのってことだよ!?」

 

由比ヶ浜は、顔を赤くし大きい声で捲し立てている。その中には少し怒りが混じっているように聞こえた。

 

あ、そうか。今は部活動中だった。きちんと弁えろって意味か。

 

八幡「悪い悪い。場所を考えろってことだよな。これからは気を付けるわ」

 

結衣「ちっがーーう!?そうじゃなくて何でそれをしたか聞いてるの!・・・そういうのって恋人同士がやることでしょ!?」

 

八幡&風音「「・・・いや、だって恋人同士だし」」

 

結衣「えっ?」

 

・・・・・・・・・

 

数秒の沈黙

 

結衣「えええええええええ!?」

 

一拍おいて由比ヶ浜が甲高い叫んだ。おいうるせぇよ、思わず耳防いじまったじゃねぇか。

 

結衣「え!二人とも付き合ってたの?」

 

風音「うん、あれ?言ってなかったっけ?」

 

結衣「聞いてないよ!?何で黙ってたの?」

 

八幡「聞かれなかったからな」

 

結衣「そ、そうなんだ・・。ちなみにいつから?」

 

そんなこと聞いてどうすんだ?と思っていたら風音が答えた。

 

風音「う~ん・・もうかれこれ5,6年だね。それがどうかしたの?」

 

結衣「へ、へぇ・・そうなんだ・・・あはは」

 

由比ヶ浜は引きつった笑顔で納得した。

 

八幡「そういや由比ヶ浜、もうすぐ材木座来ると思うから今のうちに原稿読んどけ。読んでないんだろう?」

 

俺の言葉に由比ヶ浜はハァと溜息をついて鞄から例の原稿を散りだす。折り目の一つもついてないきれいな保存状態だった。由比ヶ浜はそれをぺらぺらと異様に速いスピードでめくる。

 

ほんっとつまんなそうに読むなこいつ。

 

―――――――数分後

 

 

部室の戸が荒々しくたたかれる。

 

義輝「たのもう」

 

材木座が古風な呼ばわりとともに入ってきた。

 

義輝「では、感想を聞かせてもらおうか」

 

材木座は椅子にドカッと座り、その顔は自信に満ち溢れていた。

 

対して正面に座る雪ノ下は珍しく申し訳なさそうな顔をしていた。

 

雪乃「ごめんなさい。私にはこういうのよくわからないのだけど」

 

義輝「構わぬ。凡俗の意見も聞きたいところだったのでな。好きに言ってくれたまえ」

 

そう、と短く返事をすると、雪ノ下は小さく息を吸って意を決した。

 

雪乃「つまらなかった。読むのが苦痛ですらあったわ。想像を絶するつまらなさ」

 

義輝「げふぅっ!?」

 

一刀のもとに切り捨てやがった。

 

その後も雪ノ下のダメ出しが続き、由比ヶ浜の番になった。材木座はすでに瀕死だ・・。

 

結衣「え、えーと・・・。む、難しい言葉をたくさん知ってるね」

 

義輝「ひでぶっ!」

 

八幡「とどめさしてんじゃねぇよ」

 

作家志望にとってその言葉は禁句である。褒めるところがそれしかないってことだからな・・・。

 

八幡「んじゃ次、風音」

 

風音「う~ん・・私、本の感想とか苦手なんだけど・・・面白くなかった。先の展開が読め過ぎて、わくわく感がない」

 

義輝「ひぎゃぁ!」

 

よ、容赦ねぇな風音・・。

 

風音「じゃあ最後、八くん」

 

義輝「ぐ、ぐぬぅ。は、八幡。お前なら理解できるな?我の描いた世界、ライトノベルの地平がお前にならわかるな?愚物どもでは誰一人理解することができぬ深遠なる物語が」

 

材木座の目が『お前を信じている』と告げていた。

 

ここで答えなきゃ男が廃る。その思いで俺は優しく言った。

 

八幡「ふぅ。で、あれってなんのパクリ?」

 

義輝「ぶふっ!?ぶ、ぶひ・・ぶひひ」

 

材木座はごろごろと床をのたうち回り、壁に激突すると動きを止めて、そのままの姿勢でビクともしない。うつろな目で天井を見上げ、頬に一筋の涙が伝う。南無三!

 

雪乃「・・・あなた容赦ないわね。私より酷薄じゃない」

 

雪ノ下がすごい引いている。

 

八幡「逆に気を遣われる方が酷評よりダメージが大きいんだ。これでいい。それぐらいお前もわかっているだろ?」

 

俺の言葉に雪ノ下はそうね、と短く同意する。

 

しばらくして材木座が立ち上がり、埃をぱんぱんとはたいてまっすぐ俺を見る。

 

義輝「・・・また、読んでくれるか?」

 

俺は驚いた。あんだけ言われてなお書き続ける意思があるのか。

 

義輝「また、読んでくれるか?」

 

今度は雪ノ下達に向かって力強く言った。

 

八幡「お前・・・」

 

結衣「ドMなの?」

 

ちげぇよ。そうじゃねぇだろ。

 

八幡「お前、書き続けるのか?」

 

義輝「無論だ。確かに酷評はされた。もう死んじゃおっかなーと思った。むしろ、我以外死ねとも思った」

 

そりゃそうだ。あんだけ言われりゃ、かなり心にクるだろう。

 

義輝「だがそれでも嬉しかったのだ。自分が好きで書いたものを誰かに読んでもらえて、感想を言ってもらえるというのはいいものだな。この想いに何と名前を付ければいいのか判然とせぬのだが。

・・・・読んでもらえるとやっぱり嬉しいよ」

 

そう言って材木座は笑った。

 

それは、剣豪将軍の笑顔ではなく、材木座義輝の笑顔。

 

この言葉と表情に、俺は感銘を受けた。他人に興味を示さなかった俺が・・。

 

―――なるほどな。

 

こいつは中二病ってだけじゃない。もう立派な作家病に罹っているのだ。

 

書きたいことが、誰かに伝えたいことがあるから書きたい。そして誰かの心を動かせたのならとても嬉しい。だから何度だって書きたくなる。たとえそれが認められなくても、書き続ける。それを作家病というのだろう。

 

だから、俺の答えは決まっていた。

 

八幡「ああ、読むよ。出来たらここに来い。楽しみにしてるぜ」

 

読まないわけがない。だって、これは材木座が中二病を突き詰めた結果たどり着いた境地なのだから。病気扱いされても白眼視されても無視されても笑いものにされても、それでも決して曲げることなく諦めることなく妄想を形にしようと足掻いた証だから。

 

義輝「また新作が書けたら持ってくる」

 

材木座はそう言い残して、堂々とした足取りで部室を去った。

 

・・・面白い奴だ。

 

 

 

 

 

《帰り道》

 

風音「材木座くん、すごい人だったね。あの八くんが興味を持った程だもん」

 

八幡「あ、やっぱ気づいてたか。・・そうだな、あいつには硬くて強い芯が通っている。誰にも曲げられない、そんな芯がな・・・。俺もそこに惹かれちまったのかもしれねぇ」

 

風音「やっぱり八くんはすごいや、他の人にはない観察眼があって」

 

八幡「別に特別ってわけじゃねぇさ。・・ただ人より多くいろんな人を見てきただけだ」

 

風音「・・ふふっ、確かにそうだね」

 

 

 

 

―――――数日後

 

《体育の時間》

 

俺と材木座は相変わらずペアを組んでいる。そこは変わらない。

 

義輝「八幡よ。流行の神絵師は誰だろうな」

 

八幡「気が早ぇーよ。賞取ってから考えろ」

 

義輝「売れたらアニメ化して声優さんと結婚できるかな?」

 

八幡「そういうのいいから。まずは原稿をかけ、な?」

 

俺と材木座は会話をするようになった。

 

 

 

 




八幡と風音は、あまりベットリせず、純愛に書いていこうと思ってます。

pixivは考え中。一応アカウント持ってるし。


また次回。
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