俺と彼女のハイスクールライフ   作:”アイゼロ”

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はい、どうも、アイゼロです。

40話突入。

サブタイトルが相変わらず思い浮かばない。文字数を少なくしたデメリットがここにもあったか。大分無理があると思うが、プレパレーションは準備という意味だ。ほぼ的外れだな。すまんぼう

それではご覧ください。


40話:俺と彼女の夏季休暇前プレパレーション

夏休みが刻一刻と迫る日々。浮かれる者もいれば受験勉強でピリピリしている者もいる。大学に進学する人、就職をする人はこの夏はあまり暇にはならないだろう。無論、俺達生徒会役員も受験対策で遊ぶ暇もない。

 

場所は違えど全員この夏は予備校に通い、大学に向けて入試対策を行う。凛からは「八幡と風音って予備校行くんだ……」と驚かれたのが心外だった。俺だって行きたくないよ。こんな暑い中、歩いて勉強しに行くなんて。けど、行け行けと風音がうるさいから仕方なく行くだけだ。入試対策や過去問、予想問題などはあちらの方が優れているから、風音もそれが目当てというか狙いだ。

 

今の時期、生徒会の仕事はそれほど多いわけではなく、精々終業式で軽く演説する程度だ。会長の席から見えるのは飛鳥、凛、風音がスマホの画面を見せ合いながら、話に花を咲かせている光景だ。何でも最近駅の近くに大型ショッピングモールができたらしい。風音が俺にその画像を見せてきたが、中々に大きて綺麗だ。できたばっかだから当たり前か……。

 

「今度彩加も連れて行かない?」

 

風音からの提案だ。夏休みも近いし、皆が集まれる余裕は十分あるから問題ないだろう。それに、画像を見せられた俺も気になってしまった。

 

後ろの窓を見やると、そこにはテニスコートが広がっている。その中にはこの炎天下でラケットを振るテニス部部員。俺の視線は自然と彩加に移る。……ちょうどいい、喉が渇いていたから、ついでに彩加に差し入れ渡すか。

 

 

 

 

マッカンを煽りながら、片手にスポーツドリンクを携え、テニスコートに足を運んだ。彩加の姿を確認すると同時に、あちらも俺の存在に気づき、こちらに駆け寄ってきた。

 

「八幡、来てたんだ?」

「ちょっと通ったからついでにな。練習抜けて大丈夫だったのか?」

「すぐ戻るから、大丈夫」

「そうか。なら手短に。ほれ、差し入れだ」

「ありがとう!八幡」

 

差し入れのスポドリを受け取ると、それはもう嬉しそうに笑った。何この笑顔。この笑顔が見れるならもう毎日のように差し入れするぞ。天使超えて女神だ。いや、男だから男神だ。これなんて読むの?おしん?だんしん?おがみ?どっちなーんだい!

 

「僕、こうやって友達に差し入れ貰うのって憧れてたんだよね」

「初めてなのか?」

「今までは、なんていうか社交辞令的な感じだったから、純粋に友達から貰うのは初めてなんだ」

 

早速スポドリを口に運ぶ彩加。

 

「八幡、テニスやってく?」

「ん?あー、そーだなー」

 

この後戻っても読書かスマホを弄るだけだし、それはそれでありかもしれない。そういや、前もテニスに誘われたことあったっけな……。

 

ふと俺は一年前の事を思い出した。まだ俺が彼女しか信じられなかった時期。体育で1人で壁打ちをしている時、あのべぇべぇ野郎の戸部の球を後ろ向きで打ち返した出来事を。その日の昼、彩加にどうやったのか聞かれた事を思い出した。

 

「少しやってくわ」

 

 

 

 

 

ジャージに着替え、ラケットを握りテニスコートに入る。対峙しているのは彩加。

 

お互いラリーを続ける。ここで驚いたことがあった。普段運動していないせいか、振っている腕が重くなり、俺は肩で息をし始めた。対する彩加は息1つ切らしておらず、余裕綽々とラケットを振っている。一年前は筋トレでばてていたのに、相当な努力を続けてきたのかと尊敬の意を向けた。

 

じゃあ、そろそろ見せるか。

 

ボールを打ち返した俺は咄嗟に後ろを向いた。彩加に背中を見せる形になっている。【ロットアイ】

 

「え、八幡!?」

 

彩加は驚きの声をあげたが、しっかりと球を打ち返した。そして俺は、一年前と同じようにボールを見ず、後ろ向きで打ち返した。

 

「あー!八幡飛ばし過ぎ!」

「え……、あー」

 

加減したつもりだが、俺が打ち返した球はレーザービームの如く、一直線に明後日の方向へ向かってしまった。

 

後で取りに行かなきゃ。

 

 

あれから吹っ飛んでいったボールを戻し、彩加に見せてくれてありがとうと、何故かお礼を言われた。運動不足のせいか、ロットアイを使ったのは数秒だったのにも関わらず、若干疲れてしまった。だけど、運動する気はさらさら起きない。不思議だね~。

 

生徒会室に戻ると、先程までスマホを見せ合っていた風音達は、何故かどこから持ってきたか分からない旅行雑誌を開いていた。楽しそうにしている風音達の離れた来客用のソファには、総武高で理事長と校長を掛け持ちしている人物がいた。

 

「比企谷君。待っていたよ」

 

相変わらずの碇ゲンドウ似の声である。

 

「何かあったんですか?」

 

生徒会役員が旅行雑誌を広げている原因を理事長だと決めつけ、質問をした。しかし、理事長が言葉にするよりも先に風音が俺の目の前まで近づき、ある物を見せてきた。白の封筒に習字のような達筆な文字で黄金賞と書かれている。いや、そこは普通に金賞でいいだろ……。

 

「見てこれ!理事長が当てたんだって。温泉旅行のチケット」

「温泉?」

「実は新しくできたショッピングモールで抽選会が行われていたんだ。それに当たってね。だけど、都合が悪いから、君たちに譲ったんだ」

 

新しいショッピングモールといったら、さっき風音が俺に見せてきたアレか。それにしても、理事長は随分と強運なんだな。

 

「もらっちゃっていいんですか?」

「構わないよ。取っておくのも勿体ないからね」

 

それに色々と学校行事に貢献してくれているので、そのお礼という意味もあるらしい。ここまで言われてしまったら、貰わないという方が失礼だ。ありがたく受け取ろう。

 

用はそれを俺に伝えるだけだったらしく、理事長は生徒会室を出た。

 

 

 

温泉旅行にはもちろん彩加も誘い、旅行の準備はあの新しくできたショッピングモールに行くこととなった。

 

最初に話していた受験の話は一体どこへ行ってしまったのだろうか…。

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。

このシリーズは八幡たちが高校を卒業すると同時に完結になります。というか、作者的には今年中に完結させたい所存。

また次回。

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