問題児たちが異世界から来るそうですよ?with死から逃げる少女   作:ただの遊び人外

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ここら辺って変えること、少ないですよね・・・。


箱庭の説明

 

心翠が地面に着地し数秒後、おそらく自分と同じように空中から放りだされたであろう少年少女が湖から出でくる。

 

「信じられないわ!引きずり込んだ挙句に空に放り出すなんて!」

 

「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜ。これならまだ石の中に呼ばれた方がまだ親切だぜ」

 

「・・・いえ、石の中に呼び出されては動けないでしょう?」

 

「俺は問題ない」

 

「そう、身勝手ね」

 

二人の男女がフン、互いに鼻を鳴らして服の端を絞る。もう一人の少女が服を絞りながら、

 

「・・・此処、どこだろう?」

 

「さあな、落ちてくる途中に世界の果てっぽいのが見えたし、どこぞの大亀の背中の上じゃねえか?」

 

「それはおかしいと思うよ」

 

「そうか?まあいい。間違いないと思うが一応確認しとくが、もしかしてお前達にも変な手紙が?」

 

「そうだけど、その“オマエ”って呼び方訂正して。私は久遠(くどう) 飛鳥(あすか)よ。そこの猫を抱えた貴方は?」

 

「・・・春日部(かすかべ) 耀(よう)。以下同文」

 

「そう、よろしく春日部さん。次に空から地面に落ちて無傷な貴方は?」

 

「魂椋 心翠です。ちなみにあれは練習すれば誰でも出来ますよ」

 

「練習したの?それは凄いけど。まあいいわ。そして?最後に野蛮で凶暴そうな貴方は?」

 

「高圧的な自己紹介をどうもありがとよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻 十六夜です。粗野で凶暴で快楽主義と三拍子揃った駄目人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれ、お嬢様?」

 

(人間に対する用法と用量ってなんだろう)

 

「そう。取扱説明書をくれたら考えてあげるわ、十六夜君」

 

「マジかよ今度作っておくから覚悟しとけよ、お嬢様」

 

心からケラケラと笑う逆廻 十六夜。

 

傲慢そうに顔を背ける久遠 飛鳥。

 

我関せず無関心を装う春日部 耀。

 

目を閉じ何を考えているのかわからない魂椋 心翠。

 

そんな四人を物陰から見ていた者は思う。

 

(うわぁ・・・なんだか問題児ばっかりみたいですねぇ・・・)

 

勝手に召喚しといてアレだが、彼らが協力する姿が想像出来ず深くため息を吐くのだった。

 

 

 

数十分たった後、十六夜が苛立たしげに言う。

 

「で、呼び出されたのはいいけどもなんで誰もいねえんだよ。この状況だと招待状に書かれていた箱庭とかいうものを説明する人間が現れるもんじゃねえのか?」

 

「そうね。なんの説明もないままでは動きようがないもの」

 

「・・・。この状況に対して落ち着き過ぎているのもどうかと思うけど」

 

「まあまあ。慌てたからといって結果が変わるわけでもないですし、いざとなればさきほどからこちらを見ている方に聞けばいいだけですし」

 

心翠の言葉をきっかけに全員が一点の方向に視線を集める。

 

「なんだ、心翠さんも気づいていたの?」

 

「気づくもなにも隠れてないでしょ。なんか耳みたいのも出ていますし。あれで隠れているつもりだったら驚きですよ」

 

「そうだな。耳も出てるしあれで隠れているつもりなわけないだろう」

 

「もし隠れているつもりだったらただの馬鹿」

 

心翠の言葉を筆頭に問題児の言葉が物陰に隠れていたものの心に刺さる。

 

「や、やだなぁ、御四人様。別に黒ウサギな隠れてなんかいませんよ?ただ、ただ出るタイミングを計っていただけですよ。ええ、ええ。隠れてなんかいませんでしたよ。ですからここはこの話は置いておいて黒ウサギの話を聞いていただけたら嬉しいでございますヨ?」

 

「隠れていたな」

 

「隠れていたわね」

 

「隠れてた」

 

「隠れていました」

 

「そこは無視して欲しかったのですよ・・・」

 

黒ウサギは見るからにがっかりしている。

 

そんな中、耀が黒ウサギの横に立ち、黒いウサ耳をを根っこから鷲掴み、

 

「えい」

 

「フギャ!」

 

力を込めて引っ張った。

 

「ちょ、ちょっとお待ちを!触るまでなら黙って受け入れますが、まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きに掛かるとは、どういう了見ですか!?」

 

「好奇心のなせる業」

 

「自由にも程があります!」

 

「へえ?このウサ耳って本物なのか?」

 

今度は十六夜が右から掴んで引っ張る。

 

「・・・。じゃあ私も」

 

「ちょ、ちょっと待――!」

 

今度は飛鳥が左から引っ張る。左右に力いっぱい引っ張られた黒ウサギは、言葉にならない悲鳴を上げた。

 

 

 

「――あ、あり得ない。あり得ないのですよ。まさか話を聞いてもらうために小一時間も消費してしまうとは。それにそこの方!」

 

「は、はい!」

 

黒ウサギは心翠を指差す。

 

「なぜ止めてくださらなかったのですか!」

 

心翠は黒ウサギの耳引っ張りに参加することなくただ傍観していただけだった。

 

「いや、止めようとしたんですが逆廻さんが「こういう性癖なんだ」って」

 

「明らかに嫌がってたじゃないですか!」

 

「いいから勧めろ」

 

黒ウサギは心翠にツッコミを入れるが待たされて少し機嫌が斜めの十六夜に止められる。

 

それに半ば本気の涙を浮かべるものの気を取り直し咳払いをし、

 

「それではいいですか、御四人様。定例文で言いますよ?言いますよ?さあ、言います!ようこそ“箱庭の世界”へ!我々は御四人様にギフトを与えられた者達だけが参加できる『ギフトゲーム』への参加資格をプレゼンさせていただこうかと召喚いたしました!」

 

「ギフトゲーム?」

 

「そうです!既に気づいていらっしゃるでしょうが、御四人様は皆、普通の人間ではございません!その特異な力は様々な修羅神仏から、悪魔から、精霊から、星から与えられた恩恵でございます。『ギフトゲーム』はその“恩恵”を用いて競い合う為のゲーム。そしてこの箱庭の世界は強大な力を持つギフト保持者がオモシロオカシク生活できる為に造られたステージなのでございますよ」

 

黒ウサギは大きく両手を広げて箱庭をアピールする。飛鳥が質問をする為に挙手した。

 

「まず初歩的な質問からしていい?貴女の言う“我々”とは貴女を含めた誰かなの?」

 

「YES!異世界から呼び出されたギフト保持者は箱庭で生活するにあたって、数多とある“コミュニティ”に必ず属していただきます♪」

 

「嫌だね」

 

「属していただきます!そして『ギフトゲーム』の勝者はゲームの“主催者”が提示した商品をゲットできるというとてもシンプルな構造となっております」

 

「・・・“主催者”って誰?」

 

「様々ですね。暇を持て余した修羅神仏が人を試すための試練と称して開催されるゲームもあれば、コミュニティの力を誇示するために独自開催するグループもございます。特徴として、前者は自由参加が多いですが“主催者"が修羅神仏なだけあって凶悪かつ難解なものが多く、命の危険もあるでしょう。しかし、見返りは大きいです。“主催者”次第ですが、新たな“恩恵(ギフト)”を手にすることも夢ではありません。後者は参加のためにチップを用意する必要があります。参加者が敗退すればそれらはすべて“主催者”のコミュニティに寄贈されるシステムです」

 

「後者は結構俗物ね・・・チップには何を?」

 

「それも様々ですね。金品・土地・利権・名誉・人間・・・そしてギフトを賭けあうことも可能です。新たな才能を他人から奪えばより高度なギフトゲームに挑む事も可能でしょう。ただし、ギフトを賭けた戦いに負ければ当然――ご自身の才能も失われるのであしからず」

 

「そう。なら最後にもう一つだけ質問させてもらっていいかしら?」

 

「どうぞどうぞ♪」

 

「ゲームはどうやったら始められるの?」

 

「コミュニティ同志のゲームを除けば、それぞれの期日内に登録すればOK!商店街でも小規模のゲームを開催しているので、是非、参加していってくださいな」

 

「・・・つまりギフトゲームとはこの世界の法そのもの。と、とらえてもいいのかしら?」

 

お?と驚く黒ウサギ。

 

「ふふん?なかなか鋭いですね。しかしそれは八割の正解、二割の間違いです。我々の世界でも強盗や窃盗は禁止ですし、金品による物々交換なども存在いたします。ギフトをもちいた犯罪等もってのほか!そんなふていな輩は悉く処罰します。ーが、しかし、ギフトゲームの本質は全くの逆!一方の勝者だけが全てを手にするシステムです。店頭に置かれている商品も、店側が提示したゲームをクリアすればタダで手にすることも可能だということですね」

 

「そう。中々に野蛮ね」

 

「ごもっとも。しかし主催者は全て自己責任でゲームを開催しております。つまり、奪われるのが嫌な腰抜けな初めからゲームに参加しなければいい話でございます」

 

黒ウサギは一通りの説明を終えたのか、一枚の封書を取り出した。

 

「さて、皆さんの召喚を依頼した黒ウサギには、箱庭の世界における全ての質問に答える義務があります。しかし、それら全てを語るには少々お時間がかかるでしょう。新たなる同士候補の皆さんを何時まで野外に出しておくのはいささか忍びない。ここから先は我らのコミュニティでお話させていただきたいのですが・・・よろしいですか?」

 

「待てよ。俺達がまだ質問してないだろ」

 

今まで静聴していた十六夜が、威圧的な声を上げて立ち上がる。ずっと顔に刻まれていた軽薄そうな笑顔が消えている事に気付いた黒ウサギは、構える様に聞き返した。

 

「・・・どういった質問です?ルールですか?それともゲームそのものですか?」

 

「そんなのはどうでもいい。腹の底からどうでもいいぜ、黒ウサギ。ここでオマエに向かってルールを問いただしたところで何かが変わるわけじゃねえんだ。世界のルールを変えようとするのは革命家の仕事であって、プレイヤーの仕事じゃねえ。俺が聞きたいのは・・・たった一つ、手紙に書いてあったことだけだ」

 

十六夜は黒ウサギから視線を外し、自分とともに呼び出された三人を見まわし、巨大な天幕によって覆われた都市に向ける。

 

そして・・・

 

「この世界は・・・面白いか?」

 

そう問いかけた。

 

「――――」

 

他の二人(・・・)も無言で返事を待つ。

 

彼らを呼んだ手紙には、確かにそう書かれていた。

 

『家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨てて箱庭に来い』と。

 

それに見合うだけの催し物があるのかどうか。三人にとってそれは最も重要な事だった。

 

「――YES。『ギフトゲーム』は人を超えた者達だけが参加できる神魔の遊戯。箱庭の世界は外界より格段に面白いと、黒ウサギは保証いたします♪」

 

そんな中、心翠は黒ウサギの説明の途中から一つのことを考えていた。

 

(自分の恩恵(ギフト)を失うことがある・・・?もし、強制的にそういったことが出来る物がいたのなら・・・私は)

 

心翠のこの考えが正解かどうかがわかるのは、もう少し先のことだった。

 

 

 




オリジナルいれるのはもう少し先かな・・・。

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