1 ~人間サイド〜
この世界には
人間のみを喰らい、人間の中に微量に含まれるRc細胞を摂取して生きる。
普通の刃物では傷一つ付かず、身体能力も人間よりも上である。
これに対して、人間は「CCG」と呼ばれる喰種対策局を設立し、喰種の搜索及び駆逐を主な目的とした。
CCGはあらゆる喰種との激戦を繰り広げてきたが、一つ、謎の出来事があった。
2006年「ヘブンズフォール」と呼ばれていて、多くの死者負傷者を出した。
だが、ターゲットの喰種は軍勢を引き連れてきたわけではない。
たったの1体だったのだ。
何の前触れもなく現れ、巡回中の捜査官を襲ったのだ。
連絡を受けて捜査官たちが現場に向かい、攻撃を開始した。
ところが、その喰種は普通の喰種と違い、金色の光を放っていて、クインケでは傷一つ付かなかった。
そして次々と捜査官をなぎ倒していった。
光を放つ喰種が優先だったのだ
が、その喰種は突然動かなくなり、騒音のような唸り声を上げ
"爆発" したのだ。
この爆発により、優秀な捜査官を始め多数の捜査官が命を落とした。
事件後様々な搜索が行われたが、この喰種にはわからないことが多すぎる。どこから出没したのか、捜査官を襲った理由、そもそもあの光は何だったのか。
聞き出したい情報はいくらでもあるが、爆発のおかげで喰種の姿はおろか肉片一つ残っていない。
「現段階ではSSレートとし、……」
「カーム、何読んでるの?」
1人の男性が近寄ってくる。
「よぉ、伊奈帆。今これ見てたんだ」
カーム・クラフトマンは界塚伊奈帆に書類を見せる。
「あぁ、このレポートか」
「そう。この光を放つ喰種ってホントに謎だよなぁ。これ以来同種は発見されてないし」
カームは背もたれにもたれ、伸びをする。
光を放つ喰種はあれ以来確認されておらず、時が経つにつれこの存在を忘れていく者も少なくなかった。
「なぁ伊奈帆、光を放つ喰種ってまだいると思うか?」
「どうだろう。否定はできないけど、この10年間同種は現れてないし、微妙なところだね」
「そうだよなぁ。現れる根拠もないし」
「でも、10年か……」
2016年、今年でヘブンズフォールから10年になる。
この間、科学技術は進歩し、新たなビルなどが次々と建つ。
老若男女かまわず死に、新たな生命が生まれる。
古いものは消え、新しいものが生まれる。
常に変わっていくのだ。
けれど、この世の中は変わっているようで案外何も変わってないのかもしれない。
太陽の光を雲が遮断した。
少し冷たい風が流れ、カラスの声が異様に五月蝿い。
そう、あの喰種が現れた日も、空は曇っていた。