夜になっても、街灯やビルから漏れる光などが東京を眠らせない。
店の勧誘をする者、仕事終わりに一杯やっていくサラリーマンたち、部活が終わり腹を空かして我が家へ向かう学生たち。
多くの人が行き交う。
そこから少し離れたところに喫茶店がある。
どこからどう見ても普通の喫茶店だが、実はとある喰種の組織のアジトである。
本部は地下にあった。
1人の男性がコーヒーを入れる。
コーヒーの香りが部屋に広がる。
「アセイラム姫、どうぞお召し上がりください」
「ありがとう、スレイン」
アセイラム・ヴァース・アリューシアはスレイン・トロイヤードに笑顔を向けて、コーヒーを飲む。
「今日のコーヒーもとても美味しいです」
「ありがとうございます」
スレインも自然と笑顔になる。
すると、
「そうだスレイン、また地球について教えてくれませんか?色々なことを、もっと知りたいんです!」
アセイラムの目が輝く。
ある時、アセイラムが一人で寂しそうにしているのをスレインが気にかけ、動物や植物、海や宇宙のことなどを教えてあげたのだ。
そうしたらアセイラムはとても興味を持ったらしく、たびたびスレインに教わるようになった。
「そうですね……ではこれを」
スレインは大きい本棚から、『世界の絶景』と書かれた本を取り出し、アセイラムの隣の席に座る。
目的のページを開き、アセイラムに説明する。
「ここはウユニ塩湖と言ってですね、雨が降ると雨水が溜まって一面鏡のようになるんです」
「わぁぁ、とっても綺麗。でもどうやって雨水が溜まっているのですか?どこかへ流れてしまいそうですが」
「ここは高低差がほとんど無い平らな土地なので、雨水が溜まって薄い膜を作るんです。このように空を映し出しているので『天空の鏡』と呼ばれています。」
「天空の鏡!空を映し出し、神秘的な景色を生み出す平らな土地!素晴らしいです!私も行ってみたいなぁ……」
アセイラムは本に載っている写真に夢中だ。
こんな場所では見ることもないその絶景が彼女を虜にする。
そんな姿をスレインは嬉しそうに見つめる。
すると突然ドアが開き、男が一人入ってくる。
スレインの顔から笑顔が消え、緊張が走る。
「ここにいましたか、アセイラム姫。もう夜も遅いですし、明日もやることがありますのでお休みになられてください」
「……はい、わかりました」
アセイラムは少し寂しい表情を浮かべながらも、席を立ちその男、クルーテオの元へ行く。
「スレイン、今日はありがとう。機会があればまた教えてくださいね」
「はい、おやすみなさいませ」
アセイラムはクルーテオと共に部屋を出た。
部屋のドアを閉めるまで、クルーテオは冷たい眼差しをスレインに向けていた。
ドアが閉じると、ホッと息をつく。
アセイラム、スレインは共に喰種である。
しかし、普通の喰種とは違う。
アセイラムの場合は彼女にしかない力を持ち、それを組織に役立てていた。
だか、スレインの場合は組織のほとんどから嫌われていて、相手によっては殺気を出すまでだ。
いや、単に嫌いなのではなく、
人間側と喰種側2つ少し情報を出したかったのでプロローグが2つになりました。
次回から本編に入ります。よろしくお願いします。