アルドノアグール   作:柊羽(復帰中)

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Episode.2 飲み込む鬼

数日前

 

「21区……ですか?」

 

「ああ、今度はそこを狙う」

 

クルーテオは目の前の机に広げた地図を見ながら言った。

 

「ですがクルーテオ様、次は10、12区から広がるように攻めていけ、と上から命じられたのではないのですか?」

 

「問題ない。そちらにはブラドたちを送る予定だ。それに乗じてこちらの縄張りも増やしておくんだ。なに、広げすぎなければよい。少しずつ、だ」

 

「なるほど、わかりました」

 

命令を受けた喰種は立ち上がる。

 

「この私、トリルランが成し遂げて差し上げましょう」

 

トリルランは高らかに宣言した。

 

「うむ、頼んだぞ。そこは人間の数が多い。後で下っ端を少し送ろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして再び襲撃が開始された。

 

今度は11区。

 

12区を襲った甲赫のグールだ。

 

これに対しCCGは他の区から増援を直ちに送り、抗戦した。それと同時に、住民を速やかに避難させた。

 

先の経験からもう一体近くで出現するとにらみ、12区周辺の区にも厳重警戒がしかれた。

 

しかし、これは大外れになる。

 

 

 

午後0時、真昼間から戦闘の連絡があり、21区も一応警戒とのことだった。

 

その一応が戦闘態勢に変わるのにはそう時間がかからなかった。

 

 

 

 

「また始まったか、そのうちここにも来るんだよな」

 

「ハッ、何言ってるんですか。その前に殲滅すればいいだけじゃないですか」

 

二人組の捜査官が町を歩く。細い体つきの上等捜査官、佐々木宏人と、がっしりした体型の一等捜査官、増田正樹だ。

 

昼間とはいえ、喰種の襲撃があったせいか、人通りは少なかった。

 

すると、突き当たりの角からもう一組の捜査官が歩いてきた。

 

上等捜査官の鞠戸孝一郎と二等捜査官のカームだ。

 

「おう、そっちは異常ないか?」

 

鞠戸が尋ねる。

 

「特に何も。鞠戸さんのほうは?」

 

「こちらも特に、な」

 

「やっぱしヤツらが突然こっち来るわけないんですよ。徐々に範囲拡大って感じだとオレは思うんですがね」

 

「おいおいカーム、そう油断してるといざって時に何もできな……い…」

 

「鞠戸上等?」

 

鞠戸が一点を見たまま動かなくなった。

 

一同がその方向を見ると、一人、建物の陰から出てきた。

 

それは明らかに”人間”ではなかった。

 

そいつは喰種がつけるような紫と赤のマスクをつけていた。だが、ヤツは普通の喰種ではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、そのマスクはSレートの喰種のものとして知られていたからだ。

 

そして報告によれば、10区を襲ったのはまさにそいつ、マスクからつけられた呼称″紫オーガ″だった。

 

「カーム、すぐに連絡だっ!」

 

 

 

 

 

 

 

午後0時5分、21区対策局にこのことが伝わった。

 

予想が大きく外れたが、そこは冷静に対処する。

 

発見現場に近い捜査官たちを向かわせ、遠い者たちに住民を守らせ、避難させる。

 

伊奈帆たちは前者だった。

 

「急ぐよ、ナオ君!」

 

「うん!」

 

2人は伝えられた場所へと全速力で向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方鞠戸たちは、すぐ駆けつけた複数組の捜査官たちと戦っていた。

 

佐々木とカームは羽赫でできたマシンガン型のクインケを出す。佐々木のはSレート、カームのはAレートのクインケだ。

 

2人は高速で撃ち始める。

 

放たれた弾はブレることなく飛んでいくが、紫のオーガことトリルランは素早い動きで避ける。

 

そこに増田の持つ甲赫でできた刀型のクインケを振るう。

 

素早い振りで、ブォン、と音が鳴る。

 

大柄の増田は素早さも人一倍あったが、トリルランはその攻撃をも避ける。

 

鞠戸も甲赫でできた金棒型クインケを振るうが、ギリギリのところで避けられる。

 

トリルランは避けた先にあった壁を使い、そのまま勢いをつけて二階建ての建物の上に登る。

 

「クソッ、なんて速さだ。俺の攻撃が当たらないなんて」

 

増田は驚きと悔しさが混じりつつ、トリルランの方向を睨む。

 

「ククク、前のところよりも強いやつがいるねぇ。感心感心」

 

トリルランは首を鳴らし、ニタニタ笑う。

 

 

 

 

「さぁて、こいつらなら俺を楽しませてくれそうだ」

 

すると突然、トリルランから霧のようなものが発生する。

 

RC細胞が出ているのかと一瞬思ったが、どうやら違うようだ。

 

 

その色は薄紫色をしていて、トリルランの体を包み込む。

 

「なんだよ...あれ」

 

「これは.....まるで...!」

 

 

この姿を見たものは全員、ある喰種を思い出していた。

 

″光を放つ喰種″.....!!

 

だがその薄紫のオーラは一気に消え、先ほどと何ら変わらないトリルランがそこに立つ。

 

「……?な、なにも起こってない」

 

「気をつけろ!見た目は変わってないが何かパワーアップしたのかもしれない!」

 

鞠戸はクインケを強く握りしめ、自分に言い聞かせる。

 

――今度こそ、戦ってやる!もうあの時の逃げ出すような俺じゃないんだ!

 

トリルランはそのまま地面へ降りてくる。

 

「さぁ、こいよ愚民ども」

 

捜査官に向かって指を曲げ伸ばしして、挑発する。

 

「ハッ、驚かせやがって!オレらを甘く見るんじゃねぇ!!」

 

「バッ……!」

 

カームはクインケをトリルランに向け、発砲した。

 

発射した弾は炎をまとい、トリルランの腹部へ一直線に進んで着弾

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

したのだが、弾はまるで体に吸収されるように消えた。

 

 

 

「え……?」

 

「な...弾が消えた、だと?!」

 

今起こった現象に誰もが困惑した。

 

「クソッ!」

 

佐々木のクインケから雷をまとった弾丸が、上半身から顔面方向へと複数連射された。

 

トリルランは手を顔の前に出すようにし、全弾丸を不気味な吸収音と共に飲み込む。

 

「な、ならば!!」

 

応援に来た捜査官が大剣のようなクインケで斬りかかる。

 

しかしトリルランの体に触れた部分だけ消え、あっという間にガラクタと化してしまった。

 

 

 

 

 

 

刹那、トリルランは裏拳のように腕を横に振り捜査官の頭に当てる。

 

そのまま振り切ると、その捜査官は顔の目から上の部分と、首から下の体のみとなってしまった。

 

重力により()()()()()はビチャッ、と音をたてて落ち、血が流れ出す。

 

「うわああああああっ!!!!!」

 

「そ、んな!!」

 

今この場で起こっていることに頭が追いつかない。

 

突然発生した霧、その直後トリルランの体に触れるものはすべて跡形もなく消える。

 

こんなのは前代未聞だ。

 

鞠戸は考える、考えるがどうしようもない。

 

鞠戸は佐々木の方を見るが、彼もお手上げ状態だ。

 

 

「おいおい、もうおしまいか?これを見たらコイツみたいに勇敢に立ち向かう気力も失せたかな、喰種捜査官サマ?」

 

トリルランは皮肉ったが、誰も言い返せず、全員顔を青ざめたまま後ずさりする。

 

 

「...はぁ、興ざめだな。10区よりマシな奴がいると思ったけど、この力には誰にも勝てないわな。さ、ちゃっちゃとここも終わらせますかなァ!!」

 

トリルランは突如走り出し、捜査官たちのところへ飛び込んでいく。

 

「うわあああっ、こ、こっち来るなァァ!」

 

焦りと恐怖でいっぱいの捜査官たちはクインケで立ち向かうも、トリルランの拳や蹴りにより無残に肉片になる。

 

逃げる捜査官も、トリルランがすぐに追いつき体を真っ二つに割く。

 

 

 

 

「はは、こんなのに、勝てっこないだろ...」

 

カームは戦意喪失、地面にへたり込み、捜査官たちが殺られていく様を虚ろな目で見ていた。

 

 

「カーム!逃げろ!」

 

鞠戸の声に気づいた時にはすぐそこまでトリルランが迫って来ていた。

 

――クソッ、間に合ってくれっ!

 

鞠戸が全速力でカームのもとへ走るが間に合いそうもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ガッッ.........ドゴォォォォォォォォォォン!!!

 

 

突然響いた音と共にコンクリートがめくり上がり、トリルランがバランスを崩しそうになる。

 

そのまま危なげなく後ろへ飛び退いた。

 

「な、なんだ!?」

 

 

 

 

「鞠戸准特等、遅れてすいませんでした!」

 

「大丈夫、カーム?」

 

そこにはふたりの捜査官、ユキと伊奈帆の姿があった。




まだどのくらいの文字数が丁度いいか模索中
難しいです(ง ˙ω˙)ว 
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