アルドノアグール   作:柊羽(復帰中)

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前回投稿から2週間以上たってしまいましたすみません
なにせ遅筆なもんで(;・∀・)
その代わりと言いますが今回は結構長めです
では本編どうぞ!


Episode.5 月夜に輝く騎士

21区。時刻は22時を過ぎている。あたりはもうとっくに闇に包まれた。普通ならもう少し賑わっているが、ここ最近は喰種の戦闘により他区に移動している人が多いので落ち着いている。

 

そこに人が一人、忍者のごとくとあるビルの壁を静かに上っていった。いや、そんなことをする時点で人じゃない、喰種だ。

 

「ブラド様、全戦闘員指定の配置につきました」

 

屋上に着くと、そこにいたブラドに片膝をついて報告をした。

 

「よし、すべての準備は整った」

 

ブラドは笑う。

 

「さあ始めようぞ、人間」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぃー、終わったー」

 

起助は肩を回しながら背もたれに体をあずける。

 

「ッたく、まとめる書類多すぎなんだよな」

 

「起助、おつかれ」

 

ライエは起助の机にお茶を置く。

 

「お、サンキュー。ライエはもう終わったの?」

 

「もちろん。むしろ起助が遅いんじゃない?こういうパソコン作業は高校の時から苦手よね」

 

「うっ、うっせーよ!しょうがないだろ、俺は喰種をブッ倒すためにここにいるんだからねっ」

 

「こういう作業も喰種を倒すための立派な仕事よ」

 

二人が会話をしていると、

 

「二人ともおつかれー」

 

「あー、つっかれたー!」

 

「あら韻子にカーム、巡回お疲れ様」

 

ここ一帯は喰種捜査官たちが当番制で夜も巡回している。

 

「にしても、これからする伊奈帆やユキさんたちは大変だな」

 

「少しでも警戒するに越したことはない、って伊奈帆は頑張ってたよ」

 

韻子は自席に着き、ここに来る前に買った缶コーヒーを開けた。

 

「……やっぱ伊奈帆はすごいな。俺らとなんか違うっつーか。前に喰種と戦ったときも伊奈帆は恐れるどころか、相手を分析しながら戦ってた。それに比べて俺は………」

 

「何言ってんだよ!確かに伊奈帆はすごい才能を持ってっけど、オコジョは伊奈帆じゃない、お前はお前。自分なりに頑張ればいいんだよ。喰種をブッ倒すんだろ?」

 

カームが起助に言う。こんなことを普段言われないものだから、起助は少し戸惑ったが普段通りに戻り、

 

「そ、そうだ。そりゃそうだ。ハハ、ありがとう。お手柄カーム10ポイント」

 

皆笑いがこぼれる。

 

だが、まもなくこの雰囲気を壊すかのように警告音が響き渡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一組の捜査官たちが、ビルとビルの間から何かが動いたのを見つけた。怪しいと思って近づくと、突然巨大なトゲのような物が飛び出してきた。

 

それをうまくかわした捜査官たちは、今の攻撃が()()による攻撃と断定した。

 

「こちら西A-2!喰種発見、数は3……5体!至急応援を求む!」

 

1人が対策局に連絡する。と同時にクインケを出し、開けた場所へと移動する。

 

捜査官一人一人に小型無線が配られているが、そこにGPS機能もついている。それを利用して場所がはっきりしてないところでも増援を送ることが出来る。

 

だが、対策局の人たちは頭を抱えていた。

 

 

 

 

 

 

送り出せる捜査官が足りないのだ。()()()()()()()()()()()()

 

あの捜査官たちが喰種と対峙したのとほぼ同時刻、夜巡回していた捜査官のほとんどが喰種と居合わせていた。最初はそこらにまだ遭遇していない捜査官や対策局にいた捜査官、カームや韻子たちを出したが、その捜査官たちも喰種に遭遇していた。

 

「こちら東Bー6、また喰種だ!さっき出くわした喰種もまだ残っている!他に余裕のある捜査官はこの辺にいないのか?」

 

「南Cー4!南Aー5と合流!まもなく他の戦闘場所に向かえます!」

 

「こちら北Bー3!ぐっ、か、数が多すぎる!援軍はまだか!?」

 

「こちら東Cー2!こちら喰種すべて駆逐完了。あとどこに行けばよい?」

 

「こちら………」

 

………………

 

対策局では無線が入り乱れていた。数が多すぎて一人で何組もの捜査官に指示を与えなければならなかった。

 

その中にはニーナの姿もあった。

 

「は、はい!そのまま北に向かってください!……えっと、あ、こちらは東に500メートルいくと戦闘場所があります。……す、すみません、増援を遅れない状態です!えっと、北に300メートルのところに戦闘中の捜査官たちがいます。そちらと連絡をとって合流してください」

 

次から次へと指示を求める捜査官の無線が来る。ニーナはもう頭がパンクしそうだった。

 

「一体どうなってんのー!?」

 

 

この情報班の副班長を務める筧至剛(かけいしごう)、久保田も状況を全く理解できていなかった。

 

「筧、どうなっている?」

 

「今現在、21区全域で大量の喰種が同時に出現。巡回に行っている捜査官たちが対応していますが、数が多いため人員が全く足りていない状況です!下手したらここまで押し寄せてきます!」

 

久保田は腕を組む。

 

突然の奇襲。大量の喰種。やはり喰種は組織になって行動しているようだ、と確信できる状況だ。

 

「……ですが、喰種たちは民間人には全然相手にしていないようだ、と連絡がありました。どうやら我々捜査官のみ攻撃してきているようです」

 

「何?捜査官だけ?」

 

それを聞いて不思議に思った。民間人という”肉”が簡単に手に入るのにもかかわらず、捜査官だけを狙っている。

 

ーー何かがひっかかる。なぜ?どういう狙いがある?それに喰種の組織であればおそらく1体は………!

 

久保田は一つ、重要な、とても大切な、このことなら必要不可欠な”アレ”の存在に気づいた。

 

「おい、アレの発見はしたのか?」

 

「アレ、とは?」

 

「アレだよ………光を放つ喰種」

 

「!あっ、ま、まだ発見していません!」

 

久保田は素早く全捜査官の現在位置を映し出すモニターを見る。そして、確信する。

 

「よくよく見りゃ、喰種の発見場所はほぼ全部ここから遠い場所にある。そして、これがここの捜査官の技量や人数の把握でないのなら、わざと人を遠くに分散させここを手薄にする狙いなら、そのうち来るかもな、光を放つ喰種が」

 

この言葉を聞いていた者は息を呑む。

 

ここがやられれば情報を捜査官たちに伝えられず、状況が悪化する。それどころかCCGの情報が喰種たちに渡ってしまう恐れもある。

 

だが、そうこうしているうちに確実に迫ってきていた。久保田の予想通りに。

 

 

 

 

 

 

 

 

「.......なぁ、距離はどんくらいだ?」

 

「少しかかるな。ついさっき対策局を通り過ぎたからな」

 

捜査官6人が指示を受けた場所に移動していた。

 

「よし、なら急がないと.....ん?」

 

「どうした?」

 

捜査官の一人が何かを発見したようで立ち止まる。

 

「おいおい、立ち止まるなよ!早くしないとあっちがやら……れる…」

 

一番先を走っていた捜査官が声をかける。だが、立ちすくして見ていた方向に目をやると、誰かが歩いてくるのが見えた。

 

遠いので正確にはわからないが、高身長だ。そして、一本角がついた白の仮面を被っていた。

 

 

喰種だ。

 

 

しかもあの仮面、Sレートの喰種である騎士(ナイト)だ。

 

「!!」

 

「あいつは!な、何でここにいる!?」

 

騎士はいつも単体で数々の名だたる捜査官を倒してきた、手強いヤツだ。

 

しかも今日、大量の喰種の襲撃が起こっている。これが組織の攻撃として、重要な存在、光を放つ喰種がまだ姿を現してない。

 

「……つーことは、あいつが今回のリーダーらしいな」

 

「私は対策局に連絡します」

 

このグループの一人、不見咲カオル准特等捜査官が無線を飛ばす。

 

 

 

「こちら西Aー2。緊急事態、移動途中にS~レート、騎士を発見」

 

『なに?………まさか!』

 

無線の先で、久保田は気づく。

 

「はい、おそらく今回の騒動のリーダーはあいつでしょう」

 

久保田はすぐにモニターを確認する。

 

今通信している不見咲がいる場所を見ると、明らかに大量の喰種が出現している場所よりも対策局に近かった。

 

これで騎士はリーダーであると確信した。

 

だが、まだ光を放つ喰種であるとは断言できない。普通の喰種かもしれないからだ。

 

「だが焦るなよ、不見咲。まだあの光を見てはいない。たまたまここに来た喰種かもしれないからな。もしホンモノだったならどんな能力かわからない、慎重に相手の動きを観察しろ」

 

『了解』

 

通信が切れる。他の捜査官たちはみな顔が青ざめていた。無理もない。だが、久保田は違っていた。

 

 

 

「さあて、相手はどう出てくるかなぁ」

 

彼の癖である行為、爪を噛みながらニヤリと笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不見咲たちはついに足を止めた。騎士も同じく足を止める。

 

ある程度距離を保っている。足音が止まった今、聞こえてくるのはヘリの飛ぶ音や他のところで行われている微かな戦闘で起こる音だけである。

 

少し間があく。それを破ったのは騎士の方だった。

 

 

 

「……貴様らは、」

 

ガタイのいい喰種だけあってか、しっかりした少し低い声。

 

「喰種捜査官だな?この区の砦はあの図太い塔で間違いないな?」

 

「……だったら?」

 

先頭の男性捜査官が返答する。

 

「あそこを潰し、捜査官をあらかた倒してここを無力化するのが我々の目的だ。ここを通してくれれば特別に貴様らだけでも助けてやるが?」

 

騎士はゆっくり右手を出し、人差し指を捜査官たちに向けた。

 

「ハッ、簡単に通すとでも思っているのか?」

 

隣にいた男性捜査官が少しいらつきながら言う。

 

「ククク、そうだな、ここで易々通すわけなかろう。じゃなかったらへっぽこ捜査官だからな。いや、どうせ我に敗北するのだから意味ないか」

 

「なんだと!?」

 

先ほどの先頭の捜査官が騎士の発言に食いつく。騎士ほどではないが、彼もガタイは良い。そのしっかりした拳は怒りで強く握りしめられている。

 

「すぐにでもわかるさ。さぁ、私は戦いたくてウズウズしているんだ!砦を守りし兵たちよ、死ぬ間際まであがけ!!」

 

騎士が声を張り上げると同時に、右の肩甲骨あたりから三本の触手のようなものが出る。それは三つ編みのように腕に巻き付き、手首からは一つにまとまって刀状に変形した。甲赫だ。

 

それを見た捜査官たちはすぐさまアタッシュケースからクインケを出す。

 

甲赫は金属質の赫子で、重量が最もある。だがそれ故にスピードが遅くなる。それを捜査官たちは当然知っているので、相手の動きをしっかり見極めて攻撃する

 

 

 

 

 

はずだったが、騎士は違うようだ。

 

 

騎士が一歩踏みしめた途端、甲赫の喰種とは思えないほどのスピードで接近してきた。彼らは驚くが、いろいろ考えている暇なんてない。すぐそばまで来ていた。

 

騎士の赫子が捜査官たちめがけて振り下ろされる。彼らは素早くその場から離れる。

 

振り下ろされた地面はコンクリートにもかかわらず、ひびが入り砕ける。

 

飛び退いた捜査官たちは騎士を取り囲むように立つ。不見咲は羽赫製のクインケを構える。

 

ーーとてつもないパワー。それに尋常じゃないスピード。コイツ、かなり強い……!

 

続いて鱗赫製の剣型クインケを持った捜査官2人が仕掛ける。

 

1人が騎士に向かって斬りかかるが、甲赫で防がれる。そこにすかさずもう1人ががら空きの左側に斬撃を繰り出す。が、お見通しのようで最初の捜査官を甲赫であしらい、避ける。

 

そのまま今度は最初の捜査官めがけて甲赫を横に振るう。クインケでガードするが、そのまま吹っ飛ばされる。

 

たたみかけるようにもう1人にも攻撃する。それを羽赫クインケを持つ男性捜査官が注意を引きつけるように射撃。これも避けられる。

 

 

 

「チッ、目障りな」

 

すると騎士は今撃ってきた捜査官の方へ走り出す。

 

「行かせるかよ!」

 

背後から斬りにかかるが避けられてしまう。突進してくる相手に恐怖を感じ、クインケを連射する。それを甲赫で防ぎ、多少足などにあたってもひるむことなく迫ってくる。

 

「まずい……、逃げろ!」

 

他の捜査官たちもフォローに行くが、相手のスピードが勝っていた。

 

「うわああああああああああああ!!」

 

恐怖で動けなくなったのか、叫びながら連射を続ける。

 

「飛び道具ではなく」

 

騎士はボソリと呟くと高く飛び上がる。

 

「直接ぶつかり合おうぞ、人間」

 

そう言い放つと、クインケごと捜査官を左肩から斜めに切り倒した。早速羽赫クインケの1人を失ってしまった。この羽赫クインケは攻撃範囲が広いのでチーム内では重要なポジションなのだ。これの力量で戦死率が大きく変わるほどだ。

 

だが、このチームはそうでもない。”不見咲カオル”がいる。

 

 

 

 

不見咲がクインケを使う。連射された弾は騎士に向かって飛んでいくが、いち早く気づいた騎士は甲赫で防ぐ。

 

それにもかかわらず、騎士の足に傷がつく。さっきのではない。騎士が防いだのは不見咲の()()()()()()()()()()()()。着弾したのは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だ。

 

このクインケは無音で発射することができ、トリガー部分はカバーで覆われていていつ引くかは見えない設計になっている。

 

「ほう、二つのクインケを操るか」

 

スキをみて他の捜査官も攻撃に参加する。これを防ぎつつ避ける。が、再び足にダメージが入る。

 

「ッ!またあいつの!」

 

無音で発射されるので聴覚を使えない。発射音が聞こえれば反応出来るが、無いと直接見なければ対処できないのだ。かといってそちらばかり見ていても他の捜査官たちの攻撃を対処出来なくなる。

 

 

少しだが、足のダメージが効いているようだ。動きが少し遅い。踏ん張りにくいためだ。

 

このまま増援も来れば勝利はこちらに転がりそうだ、そう思った。

 

 

「………っらあああああ!」

 

騎士は突然大きく甲赫を振ると、そのまま下がって距離を置く。

 

「なるほど、貴様らは強い。我と対等だ。だが、()()()()()()()、だ」

 

「!?」

 

捜査官たちは目を見開く。まだ敵は本気を出していない、ということだ。そして彼らは思い出す、騎士からにじみ出るようにして現れたオーラを見て。

 

「褒めてやろう、私に本気を出させたことを。そしてひれ伏せ、この”アルドノア”の輝きに!!」

 

騎士が言った”アルドノア”は右手の甲赫に集まる。

 

 

「抜刀!」

 

 

その言葉と同時に、右手の水色のオーラはまるでビームサーベルのように形成された。

 

 

 

 

 

 

「神聖なるヴァースの一員、ブラド。いざ、参る」




ブラドとの戦闘は続きます
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