いつもありがとうございます。
なんか予約投稿が新しくなっててびっくり。
周知の通り、カルマは木の実のブリーダーをしている。
彼の店には主力として扱う木の実の関係か、コーディネーターやエリートと呼ばれるレベルのトレーナーが多く訪れる。
トレーナーはポケモンを強く育て、バトルで勝利することを目指す。
コーディネーターはポケモンを磨き上げ、コンテストでの優勝を目指す。
2つの道は違っているように見える。
実際、ポケモンに求める能力が違う。
だが、両者がポケモンを扱う者である事に変わりはない。
道は並行でさえなければ、どこかで交わるものだから。両立もできるはずだ。
ここに両方の分野で成功を修めた男がいる。
トレーナーとしてはチャンピオン昇格がささやかれていたジムリーダーとして、コーディネーターとしてはトップクラスの実力者として君臨。
「久しぶりだね、カルマ君......そうか、結構ご無沙汰していたんだね」
「俺の所よりいい店でも見つけたんですか?」
「いやいや最近は色々と忙しくてね。好きでやっていることだけど、二足のわらじは辛いね」
「まあ、今日はきのみブリーダーではなくトレーナーとして来たので......お手柔らかにお願いしますね、ミクリさん」
「それとこれとは話が別だね」
ルネシティ。
隕石が落ちた時のクレーターだとか、海底火山の爆発でできたとか色々と言われているが、結局のところ自然の力ってすげー!! を体現したかのような町である。
町の周囲を高い岩壁が覆い、さらにその岩壁の向こうには青々とした海が広がっている。
白い岩肌と、青い海の作り出すコントラストは美しいが、その代わり色々と不便そうな町である。
ここルネのジムリーダーが件のミクリであり、今回対峙する相手である。
「それで、結局何をするつもりなんだ?」
『大丈夫です。大船に乗ったつもりでいてください』
「心配だから聞いているんだ......」
『こういうのは口で言うよりも実際に見せた方がいいに決まっています』
半日ほどどこかにテレポートしていたサーナイト。
何らかの成果を得られたのか、その表情は晴れやかだ。
「それでは、日頃の感謝を込めて――水のイリュージョン、心行くまで楽しんでいってくれ!」
『そうですか、こちらはさしずめ超能力ショーといったところでしょうか?』
「いいから......バトルに集中してくれ」
カルマの不安を抱えたまま、戦いの幕が上がる。
大きな水音と共に、水柱が立ち上る。
水面に現れる大きな瞳と鋭い角。ミクリの一番手であるアズマオウだ。
「たきのぼり!」
猛烈な勢いで水がかきわけられ、加速した勢いそのままにサーナイト目がけて襲い掛かる。
陸地に立っているサーナイトに攻撃する関係上、飛び上がる必要があったがそのタイミングでサーナイトが何らかの技を行使した。
結果としてアズマオウは何か硬い物にぶち当たったかのような音を立てて、水面に叩き付けられた。
「......リフレクター」
アズマオウは怪訝そうな顔をしながら再び浮き上がった。
大したダメージを負っているようには見えない。
サーナイトがアズマオウに向かって手のひらを向けた。
言うまでもなく、技の予備動作である。
次の瞬間、アズマオウは周りにあったはずの水から切り離されていた。
突然の事態に慌てるアズマオウ。
さらに気が付けば、普段見慣れた高さよりも高いところに浮かべられていた。
不意に浮遊感が襲い掛かる。
「アズマオウ! 左だ!」
珍しい焦った声。
ミクリの指示に従い左を見れば、緑色の影が迫っていた。
「まさか、リフレクターにそんな使い方があるとは......」
迎撃、攻撃、拘束。それらはわざわざリフレクターを用いなくとも他のエスパー技でもできる事だ。そもそもリフレクターは変化技に分類される技だ。攻撃力など本業のサイコキネシスやサイコショック等に比べたら皆無に等しい。
だが、攻撃力がない代わりに攻撃技にはできないことができる。
強烈な衝撃を与えて怯ませる迎撃手段。
自由に動ける代わりに音を遮断する牢獄。
とうとう搦め手にまで手を伸ばしだしたサーナイト。一体、どこを目指しているのだろうか。チャンピオンだったな。
二番手はナマズン。
みずタイプのジムだからでんきタイプでラクショーと舐めプしている挑戦者を分からせるポケモンだ。
「みずのはどう!」
口から大量の水が放たれる。
それをひかりのかべで受け流すが、その隙にナマズンはサーナイトとの距離を縮めた。
「もう一度、みずのはどう!」
再び放たれる水の塊。
今度は防ぐのでなく、テレポートでの回避を選択したようで、みずのはどうが着弾した時には既にその姿は消えていた。
では、どこに跳んだのか?
突然、ナマズンの周囲の水が掻き消えた。
アズマオウの時が球体ならば、今回は円柱。
ナマズンの真下に跳び、水を押しのけるようにリフレクターを展開する。
片や、二重に体の自由を奪われ身動きの取れないポケモン。
片や、自由に動き回れるポケモン。
どちらが有利かは言うまでもないだろう。
「じしんだ!」
アズマオウの時のように、ナマズンを覆われていなかった事が幸いした。
指示は過不足なく通じ、予想外の事に戸惑っていた瞳は闘志の火を灯し眼下のサーナイトを睨む。
体を丸め回転。
重力に従って落ちていた体が加速し、サーナイトを押しつぶさんと距離を縮める。
ジムに鈍い音が響き渡った。
水をせき止めていたリフレクターが消えたことで、空いた空間を埋め尽くさんと水がなだれ込む。
じしんをかわす為か、サーナイトは空中に跳んでいた。
少し間を置いて水の中からナマズンが顔を出す。
同じ方法を取り続ければ千日手になりかねず、そうなればポケモンの少ないカルマ側が少なからず不利になる。
そのためか、手早く仕留めるために至近距離に跳ぶサーナイト。
その手を振り抜く寸前に、ナマズンのひげ状の触手がサーナイトの腕を捕らえた。
『なっ!?』
一瞬の硬直の後、すぐさまもう片方の腕で反撃を仕掛けるがそれよりも早くナマズンはサーナイトを自らの頭上に振り上げた。
「サーナイト!」
水面をたたく音と共に、二体の姿が水中に沈む。
テレポートをする間も与えないとばかりの猛攻が水面を震わせる。
水中は言うまでもなく、ナマズンの土俵。
その重みは行動の幅を狭め、空気のない環境が長期戦を不可能にさせる。
さらに彼の腕には触手が絡みついたまま。
二重の拘束の中でもがく彼を屠ればいいだけ......彼が普通のサーナイトであったならそれで終わりだっただろう。
しかし、このサーナイト。周知の通り普通のそこらにいるようなサーナイトではない。
触手に引っ張られるようにして向かった先はナマズンの正面。体当たりが通過する進路上。
硬い音と共に水面が揺れる。
自由な方の腕を中心にして光の膜が形成されていた。
サーナイトの体を振り回しながら果敢にぶつかっていくが、どんなに態勢を崩そうともサーナイトは完璧に、正確に攻撃をリフレクターで防ぎ続けた。
一際大きな衝撃と共に渾身の一撃が弾かれる。
苛立ちのためか、少しばかり力を込め過ぎた一撃。当たればサーナイトに大きなダメージを与える事ができただろうが、防がれたためダメージは皆無。反面、大振りをすかされたためナマズンは大きな隙を見せてしまった。
志向性を持った力の波がナマズンの体を撃ち抜く。
「大丈夫か?」
『はい......』
オボンのみをかじりながら、サーナイトは小さく頷いた。
二体倒して、ほとんど無傷と言っていい状態。
しかし、ナマズンの戦いの中で水の中に引きずり込まれた事で少し疲れが見える。
ミクリのポケモンは残すところあと2体。
無事残り2体を下し、バッジを獲得することはできるのか、次回に続く。
ナマズンがアニメでひげを使ってジャンプしたり、相手ポケモンを捕まえてたりしていた覚えがあります。
触手としか表現しようがなかった...。