とりあえずゴールは見えてきてるし、やらせたい事もいくつかあるので未完というオチはないでしょうが、近頃色々と忙しいので遅くなりますが生暖かい目で見守ってください。
さらっと流されたが、カルマ達はバッジを8個手に入れている。
つまりはその気になればいつでもポケモンリーグに赴き、四天王、そしてチャンピオンに挑むことができる状態となっていた。
一日、メガシンカの慣らしをし、もう一日休み、あの騒動から二日。
「オマエがチャレンジャーか?」
「はい」
四天王の一人目、カゲツ。
あくタイプの使い手である。あくタイプはエスパータイプに強いが、フェアリーには弱い。カゲツにとって幸か不幸か、サーナイトはフェアリー技をほとんど習得していない。
さらに言えば、エリートであるジムリーダーよりもさらに格の高いエリート中のエリート、それが四天王である。
相性の不利を覆すのなど日常茶飯事、むしろその程度の事もできないようであれば四天王ではいられない。
「……覇気のない顔してんな」
「いや、この旅が今日で終わると思うと感慨深くてですね」
「気に入らねぇな、始まる前から勝ったつもりかよ」
カルマの物言いに露骨に顔をしかめるカゲツ。
舌打ちを一つし、手で弄んでいたボールを宙に放りそれを再びつかみ取る。その時には既に元の怪訝そうな表情に戻っていた。
「……ふん、ここにいる以上実力はあるんだろうさ。だがあんまり舐めてると火傷すんぞ?」
その目はやたらと物騒な光を帯びていたが。
審判の合図と共にボールを投じる。
カゲツはグラエナを、カルマはお馴染みのサーナイトを繰り出した。
「かみくだく!」
指示と共にサーナイトに飛びかかるグラエナ。
それを見てサーナイトはほくそ笑み――
――飛びかかる寸前に放たれた光がグラエナを跳ね飛ばした。
「チッ、ダイゴが言ってた奴はオマエだったのか」
その言葉に曖昧に微笑むカルマ。
やがて光が晴れ、そこには人間で言うところのドレスを着たかのような姿となったサーナイト、メガサーナイトが立っていた。
「もう一度かみくだく!」
再びサーナイトに駆け寄り、その白い体に食らいつこうとする。
しかし、あのサーナイトがそれを易々と許すはずもなく顎が閉じたころには既にその姿を消していた。
どこに行った?
グラエナとは違い、フィールド全てを視界に収める事ができる位置にいるというのにカゲツはその姿を見失っていた。
突然、重い音が響いた。
文字通り地から沸いたかのように現れたサーナイトが、指示を待っていたグラエナの横腹を蹴り飛ばしたのだ。
「っなー!?」
蹴り飛ばされてもなお、グラエナの目には戦意が炎のように煌いていた。
だが、地面に足のつかない空中を飛んでいる以上ほとんど身動きができずそのまま追撃を許す。
テレポートで追いつき、連続で放たれる蹴りと拳。
一発一発は軽いものの、積み重なれば多大なダメージとなる。
「……大口叩けるだけの実力はあるようだな」
口の端を釣り上げ笑うカゲツ。
グラエナと入れ替わるようにして現れたのはサメハダ―。
触れた相手を傷つけるさめはだが特徴的なポケモンだ。
「アクアジェットだ!」
どこからともなく現れた水がサメハダ―を勢いよく打ち出しサーナイトに迫る。
それに対し、テレポートを用いずに普通に躱すサーナイト。
それによってサメハダ―は既に相手のいない空間を直進し――物凄い音を立てて止まる。
メガシンカによって増えたサイコパワーをふんだんに用いたリフレクター。範囲を狭くする事ではがねタイプのポケモン並みの硬度を発揮したそれに勢いよく突っ込んだサメハダ―は一瞬意識を飛ばした。
当然その隙をサーナイトが見逃すはずもなく、動きを止めたサメハダ―目がけて10まんボルトを撃ち放った。
相性の不利以前に、そのサーナイトは強かった。
続けざまにダーテングもノクタスも倒され、一体のポケモンを残すのみ。
姿を消してからの急襲のからくりはノクタスの活躍によって解けたものの、追い込まれている事に変わりはない。
しかし、カゲツはまだ笑っていた。
時折現れる挑戦者には言葉にはしないものの歯ごたえのなさを感じ、かと言って手近な強者であるチャンピオンは多忙で元チャンピオンは趣味に生きている。
そんな彼にとってカルマは久しぶりに対峙する強者であった。
最後のボールから繰り出されたポケモンがサーナイトと同様の光を放ち、地に降り立った。
りくじょうグループによく見られる四足歩行の姿にとりポケモンのような翼を背負ったポケモン、わざわいポケモンアブソル。そのメガシンカした姿がそこにあった。
「ふぶきだ!」
放たれる強烈な冷気の渦。
広範囲を薙ぎ払うように放たれた技はテレポートによって躱された。
「飛び上がってつじぎりだ!」
攻撃の終わった瞬間、アブソルの影から飛び出すサーナイト。それを向かい打つかのように放たれるつじぎり。
お互いの攻撃が、相手のそれを打ち消しあい動きが止まる。
だが、それは攻撃ができないことを意味するのではない。
角が使えなくとも口と体が、片腕がなくとももう一方の腕とそのサイコパワーが。
衝突するエネルギー。
それぞれから放たれた熱の奔流がお互いを飲み込みあい――サーナイトの技が打ち勝った。
が、アブソルはそれを予期したのか横に転がって回避する。
獲物を見失った
仕留められなかったと見るや、再びテレポートし息を吐いているアブソルの脇に現れ――先ほどのように振るわれた角を受け止める。
追撃に放たれた尾を屈んで躱し、その手に炎を迸らせ打つ。
それを跳び上がって躱すアブソル。
「ふぶき!」
そのまま叩き付けるように放たれる冷気。それに構うことなくサーナイトはアブソルに腕を伸ばし――
――放たれる五本の光線。
それらは別々の方向に向かい、中途で曲がり絡め取るかのようにアブソルを襲った。
「確かに強いな……ただの大口ヤローじゃなかったか」
カゲツはしみじみとした表情でそう言った。それに対しカルマは曖昧に笑みを浮かべるだけ。
「……うん、お前らならユウキの奴の所まで行けるかもな。それにしても手持ちを一体しか使わないとはな」
「こいつが嫌がるんで、こいつ以外の手持ちを持てないんですよ」
「それでリーグに挑むなんざ俺たちを舐め過ぎた……と言いたいが、ユウキのところまで行けそうなのがなぁ」
カゲツはため息を吐く。
「とりあえず応援ぐらいはしておいてやるよ。ほら、次の部屋に行きな」
重々しい音と共にカゲツの背後の扉が開く。
相性が有利だったから戦いを優位に進める事ができたが、次もそう上手く行くとは限らない。
負けるなサーナイト、挫けるなカルマ。
栄光までは秒読みだ!