ゲンジさんはカット。ただの蹂躙で書いててつまらなかったので。
やりたいネタはあるので、完結自体はすると思います……今後もそこそこ忙しいのでいつになるかはわかりませんが。目標はサン・ムーンが出るまでに。
「……見事!」
重い音と共にメガボーマンダが地面に落ちる。
うめき声を上げ、変化が解ける。
「流石はここまで辿り着いただけの事はある、大切な物を理解しているようだ」
「大切な物?」
「うむ……トレーナーの心の持ちようだ。そう構えるでない……正しい心を持つ事だ」
「正しい心?」
「そうだ、ポケモンにとって一番身近な人間とは誰だ? そう、自らのトレーナーだ。よくも悪くもポケモンはトレーナーの影響を受けて育つ」
「……」
「特にサーナイトらはサイコパワーによってトレーナーの心を読み取るという。トレーナーの影響は顕著だろう」
「励ましですかね?」
「何分、老人というのはそういう性を背負っている物でね。悩める若人を見ると放ってはおけぬのだ。そのサーナイトを真っ当に育て上げただけでも君はトレーナーとしての資格を十分有しているとわしは思うがね……」
『何度も申し上げている通り、私はご主人様のためを思って技を磨いてきました。その熱意の原動力となったのはご主人様をお守りしたいという思い。よそはよそ、私たちは私たち。それでいいじゃないですか。何を遠慮する必要があるのです?』
「……お前には敵わないな」
『私はご主人様のパートナーですから』
「迷いは晴れたようだな」
「そうですね……いつまでもうじうじしてるようじゃ、倒して来た方々に失礼ってもんだ」
その手は傍らに立つサーナイトの頭を撫でる。
サーナイトは心地よさそうに目を閉じる。
「うむ、先ほどよりはマシな面構えになったな。よし、この先に進むがよい」
軽く頭を下げ、先に進む扉――チャンピオンの部屋に繋がる扉を睨むカルマ。
『いよいよですね』
「そうだな……いけるか?」
『もちろんです。今の私にはメガシンカがありますから』
「……よし、行こう」
『はい』
一瞬躊躇する手。一拍の間を置いて扉に押し当てられ、その先への道が開かれる。
「待ってましたよ、カルマさん」
ポケモンリーグ、その最後の関門。
ホウエンの頂。ホウエンチャンピオン――ユウキは楽し気にカルマに語りかける。
「大丈夫だとは思っていましたけれど、無事受け取れたみたいで何よりです」
その視線は、腕に付けられたメガバンクルに注がれている。
「その節はどうも……」
「不機嫌そうですが、どうかしました?」
「いやな……チャンピオンに貸し作ると、後がちょっと気になると言うか。木の実の値段を割り引けとか言われそうでな」
「そんなことしませんよ……」
楽し気な声音が一転、呆れた物に変わる。
『ご主人様?』
「ああ、悪い。そろそろ始めようか?」
「そうですね、レフェリーの方も焦れていますし」
フィールドに立ち、向かい合う二人。
ユウキの背後には一つの扉があり、その扉の向こうに殿堂入りの部屋はある。
チャンピオンに勝利し、栄光を手にした者の為の部屋。永遠に語り継がれ、称えられる者たちの部屋。
「ここまで来たんだな」
『はい……長いようで短かったです』
「実際そこまで時間掛かってないものな……」
現実味のない夢。無謀な目標。
ただ一体のポケモンのみでのリーグ制覇。
その夢は現実に。目標には手がかかりそうになっている。
レフェリーの合図と共に、両者がポケモンをフィールドに放つ。
フィールドに飛び出すと同時にサーナイトは光を放ち、メガシンカを終える。
それに対し、ユウキが最初に繰り出したのはラグラージ。
ホウエンにおける
「じしん!」
着地すると同時に、その腕を地面に叩き付ける。
鈍い音と共にフィールドが鳴動し、衝撃波が駆け抜ける。が、いつも通りと言えばいつも通り。芸が無いと言われそうだがテレポートで空中に浮かび上がる事で難を逃れている。
反撃とばかりに一瞬で距離を詰め、殴りかかる。その姿は二つに分身し、二方向から二つの拳が唸りを上げてラグラージに襲い掛かる。
『なっ!?』
が、ラグラージはその攻撃を受けも、避けもせずその両手で掴み止めていた。
動きを止められたサーナイトのうち、片方の像が揺らいで消え、それと同時に残った方のサーナイトから強烈なサイコパワーが放たれる。
超近距離からのサイコパワーの炸裂。その強烈さに、ラグラージの足がフィールドにめり込む。
だが、受けきった。照射が終わってもラグラージの手はサーナイトの手首を握ったままで――反撃とばかりにフィールドに引き倒した。
腕を掴んだまま放たれる強烈な衝撃波。先ほどとは違って宙に浮いておらず、無防備な状態で地面に倒れ込んでいるサーナイト。当然ながら防ぐ術も逃げる術もなく、直撃を受ける。
技をかけ終えるや、否や、飛びすざるように距離を離すラグラージ。それを追うように倒れ伏した姿勢のまま突貫するサーナイト。サイコパワーを用いれば不可能ではないのだろうが、絵面としては相当にシュールだった。
互いに振りかぶった拳と拳がぶつかり合い、一拍の空白が生まれ――ラグラージが後ろに吹き飛んだ。
運動エネルギーの暴力によって、拮抗を吹き飛ばしたサーナイト。その勢いを止める事無く、大きな隙を晒しているラグラージに襲い掛かる。
「ハイドロポンプ!!」
呆けた表情を浮かべていたラグラージの瞳に闘志が戻り、その口から大量の水が噴き出す。サイコパワーであらぬ方向へと飛んでいくものの、突撃の勢いが若干弱まる。そうしてできた一瞬、ラグラージは地面に足をつき、蹴り飛ばす。
先の光景の焼き直しのように、互いに拳を振りかぶる。そして互いに拳をぶつけ――合う事はなく、サーナイトの下に存在する影から伸びた一撃がラグラージに不意打ちを食らわせる。
思わぬ方向からの攻撃にラグラージの動きは止まり――サーナイトの一撃が顔面に突き刺さった。
ラグラージが戦闘不能になり、それに入れ替わる形で現れたのはアーマルド。
伸び縮みする爪で戦う俗に言う化石ポケモンの一種であり、サーナイトにとって不利なタイプとなるむしタイプのポケモンでもある――え、昔の話だって?
先手必勝とばかりに武器である爪を伸ばして襲い掛かるアーマルド。だが、サーナイトはラグラージの時とは違い、それに取り合うことなくテレポートでがら空きの懐に飛び込み――ラッシュ、ラッシュ! ラッシュ!!
成人男性と同じくらいの重量のある体が断続的に宙に浮く。伸ばした爪を元に戻し、反撃に打って出るも、振るわれた爪を逆に掴み返し、そのまま後ろに倒れ込むようにしてフィールドに叩き付けた。
衝撃にうめくアーマルドに対して、サーナイトは既に立ち上がっており、その拳には火が灯っていた。
見た目通りに頑丈な部類に入るアーマルドだが、連撃をしのぎ切る事はできずフィールドに倒れ伏した。
立て続けに二体を倒されたというのに、ユウキの表情にはまだ余裕が残されている。
続けて繰り出されたのはメタグロス。先代チャンピオンであるダイゴの切り札でもあったポケモンだ。
「バレットパンチ!」
サーナイトのテレポートを思わせる速さで距離を詰める。ただ、それを黙って見ているサーナイトではなく――
炎を纏った拳と、硬質化した拳がぶつかり合う。
ぶおん!!
心臓に悪い重い音を響かせながら振るわれる鋼鉄の足。それは見ただけでも凄まじい破壊力を秘めている事が分かる。相性的な意味でも当たってしまえばひとたまりもないだろう。
だが、それは当然当たってしまったらの話だ。当たらなければどうと言う事はないと、別の作品の偉い人も言っていた。
いつしか二体はサイコパワーを使って空中戦を繰り広げていた。互いに攻撃を撃ちあい、躱し、防ぎ止めと目まぐるしく攻守が入れ替わる。
その様子を指示を出すでもなく、ジッと見続けるユウキ。
振り下ろされる足をテレポートで躱すサーナイト。反撃に移るつもりだったのか、その姿はメタグロスのすぐそばにあった。
「左だ! 行け!!」
メタグロスの目が左に向けられる。そこには転移した後、技を出すための溜めをしているサーナイトの姿があった。溜め始めてから技を出すまでにラグはほぼないが、ゼロではない。一瞬であったとしても、この時サーナイトは動きを止めていた。
放たれたサイコキネシスが技の勢いごとサーナイトの動きを封じ込める。干渉も間に合わず、彼の眼前に青い鋼鉄が迫る――。
実際ノリで書いてるからカルマ君の掘り下げが上手くできてないのがなぁ……。