あと、コメディーを目指してたけれど普通にバトルさせてる方が面白そうな気がしてきた......。
だれてきたのでそろそろ小休止入れるかもしれません。すいません。
キンセツシティ。
街を一つの建物に見立てたような再開発が行われ、全国でも例を見ない画期的なつくりの街。
様々な店が立ち並ぶ商店街に、アパート、そしてジムとシティの名に恥じない街となっていた。
そして、今キンセツジムの門を開こうという二つの人影があった。
「これで3つ目のバッジか......レベル的には問題ないだろうが、油断はするなよ?」
『わかってますよ、マスター』
もちろん、カルマとサーナイトである。
このキンセツジムのジムリーダーはテッセン。
でんきタイプを扱う、薄くなった白髪がチャーミングなおじさまである。
なんか、年の割に若そうな奥さんがいたり、ブラック企業のオーナーだったという疑惑があるが普通にいい人だろう。ポケモンは子供もやるゲーム、イイネ?
「わーはっは、君がサーナイト一体でジムを制覇しようというトレーナーか!」
『......なんだか、とても元気のいい人ですね』
「ふむ、このサーナイトがそうなのだな......なかなか面白い戦い方をすると聞いている。早速始めるとしよう」
カルマは一晩考えた。
トウカジムの帰りにあんなことを言ったものの、信じること以外に自分にできることはないのかと。
そして自分の本業を思い返した。
「行け! コイル!!」
テッセンが繰り出したのはでんき・はがねタイプを併せ持つコイル。この小説中で2回は取り上げた通り、サーナイトの苦手とするタイプである。
また、初期形態でありながら侮れない素早さと特殊攻撃力を併せもっている見た目以上の難敵である。
だが、彼のサーナイトはただのサーナイトではない。
レフェリーのコールと同時にその姿は掻き消え、次の瞬間にはコイルを殴り飛ばしていた。
『⁉』
しかし、相手はジムリーダー。おまけにセンリかツツジからサーナイトの戦法を聞いていたのだろう。初見ならばともかく、情報がありながら何も対策を立てないようならばジムリーダー失格だ。
「わっはっは、わしのコイルはそう簡単にはやられはせんよ!」
事前に、でんじはの指示を出していたらしい。接近して攻撃してくるのに合わせて、サーナイトを痺れさせる。おまけにコイルの特性はがんじょう。いつかのココドラと違い、コイルはフリーハンドを得ているに等しい。
さらに悪いことに、テッセンは吹き飛ばされたコイルを受け止め、なんらかのきずぐすりで回復させていた。
どれだけ回復したかはわからないが全力発揮できるコイルと、ダメージはないもののあまり動き回れないサーナイトという構図が出来上がった。
だが、テッセンには一つ誤算があった。
それは
そう、それはつまり。
「サーナイト! こっちを向け!」
彼はその声と共に相棒に向けて小さな何かを投じる。
コントロールなんて関係ない。ただ、サーナイトに向けて投げたという事実さえあればいい。
自然と、投げられたそれはサイコキネシスによって口元へと運ばれる。
弾力のある歯触りと、ピリッとしていながらも後味の引かない辛さ。
気づけばサーナイトの体から痺れは消えていた。
『ありがとうございます! マスター!』
「接近戦は避けた方がよさそうだな......」
『そうですね、ですが向こうも割と素早いので遠距離戦だと長引きそうです』
「まぁ、木の実のストックには余裕がある。気楽に行こう」
『はい!』
何度か麻痺を受けては回復し、大ダメージを与えては回復されを繰り返し、とうとうコイルを地に沈めた。
「まだやれるな?」
『問題ありません、マスター!』
「ふむ、結構な数を持ち込んで居るようじゃな......」
テッセンが2つ目のボールを投げ上げる。光の中から現れたのはライボルト。
4足歩行の見るからに速そうなポケモンだ。
「スパーク!」
いなづまを模した姿が強い光を放ち、猛烈な勢いでサーナイトに襲い掛かる。
それをサーナイトは慌てた風もなく、サイコキネシスであらぬ方向へと受け流した。
勢いを殺せず、ゴロゴロと転がっていき壁にぶつかってようやく動きを止めた。
先ほどまでのかっこよさが台無しになっていた。
どうにか立ち上がろうとしているライボルトの前に影が落ちた。
何事かと顔を上げれば、対戦相手であるサーナイトが立っている。
ダメ押しのサイコキネシスが派手に砂煙を巻き上げた。
「むむむ、ライボルトが手も足も出んとは......噂にだがわぬよいサーナイトじゃな」
三体目、テッセンのエースはレアコイル。
コイルの進化形であり、3体のコイルが合体したような姿である。
能力的にもコイルを純粋に強化したものであり、タイプもそのまま、サーナイトではそれなりに苦戦を強いられる相手だろう。
「ラスターカノン!」
はがねタイプのビームがサーナイトに向かって伸びる。が、既にテレポートしていて当たる、当たらないの話ではなくなっている。
「ならばほうでんじゃ!」
線で当たらないなら面で、と言わんばかりの大出力が放出される。
「うわっ!?」
その光は技のフラッシュにも匹敵する程で、まともに見てしまったカルマの目をくらませる。
その光は広く広く伸び続け、サーナイトの転移先にまで伸びていた。
『くっ!』
ダメージは少ないものの、体に痺れが走る。
あらかじめ受け取っていたクラボのみを口に含んだタイミングでレアコイルがサーナイトを補足する。
「レアコイル、ラスターカノン!」
再び飛ぶ指示、麻痺は治っても回避するには少し遅い。
ならば相手の攻撃を打ち崩し、倒すだけ。
サーナイトの手が光を帯びる。光は少しずつ強まり、球体を描く。
レアコイルから放たれる光線と、サーナイトの手から打ち出された光球。
強烈なエネルギー同時の接触によって小規模の爆発が起きる。
迎撃に成功した時点でサーナイトの勝ちは決まっていたようなものだった。
テレポートを回避に使わず、反撃に用いる。
煙によって、視界が悪くなっていたのも彼に幸いした。
一瞬で間合いを零にし、光を纏った拳で殴りつける。
攻撃をした直後だったのもあってか、でんじはを撃つことすらなく地面に打ち付けられた。
煙が晴れる。
そこにいたのは立っているサーナイトと身動きもしないレアコイル。
「少しはひやっとしたか?」
キンセツシティの屋上は、夕焼けで赤く染まっていた。
『......確かに、苦戦はしましたが』
「話によれば、5戦、6戦あたりできつくなってくるらしい」
『......』
「順番を工夫すれば突破できなくもないのかもしれないが......片手間でポケモンを育ててるようじゃ、バッジは揃えられない」
『やめませんよ......私は』
「まあ、聞くだけ聞いてろ......別にバッジ揃えられなかったらどうこうなる訳じゃないんだ。まあ、揃えられたら箔がついて商売繁盛、ホウエン中のシェアを......いや、うまく行けば全国チェーンも狙えるかもな......じゃなくてだな、まあ無理して続ける事はないってだけだ」
『私は無理なんて!』
「お前は色々と規格外だが、すぐため込むからな。おまけに勝手に行動するし......それは今はいいか」
『......』
「まあ、昨日はああ言ったが元々はお前のワガママで始めたことだ。お前がやめたくなればすぐやめろ。俺はお前のトレーナーであって、重石じゃないからな」