前書きに書くこと色々考えてるんですけど、いざ書くときに忘れるんですよね。
ヒワマキシティは
それなりに栄えてはいるのだが、町にある建物のほとんどがツリーハウスで都会という言葉の持つイメージとはかけ離れた景色を描いている。
町の外れにあるヒワマキジムは、風通しの良い開けた作りになっていた。
壁のほとんどが窓と言っても過言ではないくらいに開放的な建物だった。
「なんていうか......すごいところだな」
『建物の中に風車がありますよ、マスター』
サイコキネシスの応用という、ひこうタイプに喧嘩を売っているとしか言いようのない手段でヒワマキを訪れたカルマとサーナイト。目的は当然、ここヒワマキのジムリーダーであるナギを倒すこと。
「カルマさん......ですか。はい、他の方々からお話は伺っております」
ジムの中を通り抜けていく風が彼女の長い髪を揺らしていく。
「中々面白いサーナイトを使うのだとか」
「確かに色々とぶっ飛んでいますね」
『どういう意味ですか、マスター?』
「......話に聞くだけでもあなたとのバトルは楽しそうです。では、始めましょうか?」
ナギが繰り出したポケモンはペリッパー。そらをとぶとなみのりを両立できるポケモンで、旅をする時に愛用した人も多いのではなかろうか......スワンナさんは座っててください。
「でんこうせっか!」
目で追うのが辛いスピードでペリッパーがサーナイトに迫る。が、当然のようにテレポートで直撃の瞬間別の場所に移動している――攻撃を終えたペリッパーの横に。
「ッ! まもる!!」
反撃に放たれたかみなりパンチは寸での所で展開された光の膜に弾かれる。
「フリーフォール!」
ペリッパーの特徴として一番に挙げられるのはその大きなくちばしだろう。
図鑑によっては、小さなポケモンをくちばしの中に入れたまま飛ぶこともできるとか。
小さいとはいえ、ポケモンを入れたまま飛ぶことができるのだ。攻撃にも使えるだろう。
『なっ!?』
攻撃を終えた一瞬の隙を突いて、ペリッパーはサーナイトを飲み込んだ。
あまりにも突然の事だったせいか、サーナイトはされるがまま。
反撃を受けることもなくペリッパーは悠々と飛び上がって宙返りし、そのくちばしの中身を地面に向けて吐き出した。
『......ぐぅっ!』
「サーナイト、次が来る!」
フリーフォールは相手の自由を奪い、高いところから相手を地面めがけてたたきつけるという中々鬼畜な技だが、それほど威力のある技ではない。
だが、これは決め技ではない。求められるのは威力より、どれだけ相手の隙を引き出せるか。
あまり俊敏そうな外見でないペリッパーが物凄い勢いでたいあたりを当てた。
ジムリーダー戦では珍しく、サーナイトの方が押されていた。
バッジを集めれば集めるほど、ジムリーダーの手持ちは強くなっていく。
サーナイトの能力が一般では規格外と言えど、生半可なポケモンではジムリーダーの手持ちは務まらない。
制限されたレベルがサーナイトのレベルに追いつき始めていた。
ペリッパーは空からねっとうを撃ち続けていた。
反撃に遠距離攻撃をしようとすれば、見かけに似合わない俊敏さで避けられ、近づいて攻撃しようにも相手は空を飛んでいる。テレポートでの奇襲もまもるで防がれ、不自由な空間でなぶられるだけ。
レベルを上げて物理で殴るが通じるのは、(レベル的な意味での)格下だけ。
ポケモンのレベルに不安のないジムリーダーはそうそう下すことはできないだろう。
だが、そこに工夫を加えればどうだろうか?
10まんボルトによる反撃をやすやすと躱すペリッパー、躱した瞬間に発生する一瞬の間。
攻撃を躱し、反撃の態勢に移ったペリッパーの目にサーナイトの姿はない。
「まもる!」
ナギの指示に従い、光の膜を放つと同時に強い衝撃がペリッパーを襲った。
振り返れば、渾身の一撃を防がれて面白く無さげな表情を浮かべたサーナイトが浮かんでいた。
めいそうという技がある。
ステータスを上げるだけの技だが、この世界の人間たちの間にも瞑想という儀式めいたものが存在した。
自己への没入、精神統一、集中力の向上。
その技法の名前を取った技だ。似たような効果があってもおかしくはない。
距離を取っては、その先に現れるサーナイト。
近くに出現するたびに自らを撃破するのに過剰な火力を撃ち込まれ続けては、防御を突破できないと分かってはいても精神的な負荷は多大だろう。
逃げる。防ぐ。逃げる。防ぐ。
いつの間にか攻守が逆転していた。
追う側だったはずがいつの間にか狩られる側に落とされていた。
疲弊した精神が生んだ一瞬の隙。
そこを狙い打ったかのように閃光が駆け抜けた。
空に向けた指からは微かな紫電の残滓が飛び散っていた。
『結構長引かせてしまいました......』
「ジムリーダーもそろそろ本気を出してくるころのはずだ、仕方ない」
掲げていた腕を下ろし、投げ渡されたオボンのみを受け取る。
サーナイトがオボンのみを齧っている間に新しいポケモンがフィールドに現れる。
よろいどりポケモン、エアームド。
はがねタイプを有する鬼門。
その銀色のボディーは陽光を浴びて煌いているかのように見える。
「はがねのつばさ!」
銀色の翼がその色を深め、獲物を切り裂かんと襲い掛かる。
10まんボルトで迎撃するも、翼に触れた電撃はあらぬ方向に飛んで行った。
どこか得意げな表情を浮かべるエアームド。
だが、すぐさまその表情は歪んだ。
高速で飛行するエアームドの鼻先。ダメージを受けるか、受けないかという位置に出現するサーナイト。
技の残滓が未だ残る手を握りしめ、そのまま眼前のエアームドの顔めがけ振り抜いた。
重い音を立てて、エアームドが地面にたたきつけられる。
『まもるって厄介な技ですよね』
「どれだけ強い攻撃でも受け止めれてたものな」
ナギの三体目はオオスバメ。
シリーズ恒例の序盤鳥の進化形だ。
序盤鳥にしては珍しい一回しか進化しない鳥だ......ホーホー? ジョウトの序盤鳥はポッポでしょう?
「かげぶんしん!」
ナギの声と共に、飛行しているオオスバメの姿が分裂し、一斉にサーナイトめがけて突撃する。
それに対してサーナイトは、テレポートと10まんボルトを駆使して分身を着々と撃破していった。
「つばめがえし!」
何度目かの分身を撃破した際の撃ち終わりを狙った攻撃。
速度の乗った三連撃が、空中での動きのままならないサーナイトを穿った。
攻撃を受けて吹き飛ばされるサーナイト。
しかし、その目はしっかりと攻撃を仕掛けてきた本体を捉えていた。
次の瞬間本体の目の前に現れるサーナイト。
握られた手からは電撃が放たれている。
咄嗟にでんこうせっかで距離を離すものの、次の瞬間強い衝撃を受けオオスバメの意識は消えていった。
ペリッパーがなんか長くなってたから前後編。
次回はエース戦と、ヒワマキ終わったら書こうと思ってた閑話との抱き合わせになります。(多分)