【理由なんて無い!!】   作:かたつむり

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プロローグ1と同じように少し文章を修正してます。


プロローグ2

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プロローグ2

 

 

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(夢を・・・見てるのか)

 

眩い光に包まれたオレは目を開く。

光に包まれた先で見たもの、この目に映る光景は夢のような世界だった。

 

(不思議な音が聞こえる)

 

そして何処から聞こえてくる不思議な音が、世界を震わす。

その音は電子音のようでもあり。水を張った桶に、水滴が落ちた音にも聞こえる音だ。

でもオレには、この音が知らない歴史。オレに異世界の英雄譚を語っているような・・・―――

 

 

(・・・なんだ、やっぱ夢か)

 

 

―――ただ、そんな気がした。

 

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目に映るこの世界の景色は、一言に奇怪だった。

赤に蒼や黄の原色は勿論、他にもいろんな色が集まったそれは。

まるで白いキャンパスに、この世界中の色をグチャグチャに混ぜてぶちまけたような世界。

それでもこの世界は濁っていない。

むしろ綺麗でとても鮮やかな、そんな不思議な世界。

 

ここにはオレ以外の人影はなく。木々や草花、鳥や魚に動物さえ居ない。

命の輝きがないこの美しくも悲しい世界の光景を、オレ達は見続けていた。

 

どれくらいの時間が経っただろうか、十秒か一時間なのか。

或いはもう、一日経ってしまったのではないか。

一瞬とも思える、この時流れの中で、この世界の光景はオレ達から時間とゆう概念さえも消してしまったかのように

生命の鼓動がしないこの世界は、オレ達をやさしく包み込んでいた。

 

そう、この世界に生きている生命体は存在しない。

でもなぜそんな世界でオレは、オレ達と言う複数形の言い方をするのか。

確かに、ここにはオレ以外の生きた命は無い。でも、ここには誰かが居たんだ。

嘗て誰かだった者達が、それは確かに此処に居るんだ。

それは魂と言うのだろうか。形の無い意思は記憶が記録として音と言う形になって、オレに語りかけている。

自分じゃない名前も知らない人の意思と記録、それがオレの中へ入ってくるのが分かる。

 

でも何故か・・・不思議と嫌じゃなかった。

 

難しい本を読まされてる感じはなく。

子供の頃、夜寝るとき母に読んでもらった絵本のように。

まるで物語を語るように。

オレ以外の命の鼓動が聞こえない閉じたこの世界で、この音の物語は子守唄に等しく

 

オレは重くなった目蓋を閉じて意識を手放した。

 

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【サクライ】

 

 

「・・・あぁ」

 

・・・綺麗だった。

もう少し、後もう少しだけ、あの綺麗な夢を見ていたかったな・・・。

 

それが、目を覚ましたオレの素直な感情だった。

何時ものようにベッドから起きようとして、体に激痛が走りそのままベットに倒れた。

オレはここで漸く、自分が見覚えの無い部に居た事に気付いた。

屋周りを見たことのない機械や点滴、そして全身を襲う激痛。

何となく、オレはここが病院だとわかった。

 

「・・・何で・・・ここ居るのよ」

 

暫くして漸く頭が覚醒してきたオレは。

自分が何故ここに居るのか、どういった経緯でここに運ばれたのか理解した。

 

「そうだ・・・飛行機が事故ったんだ、オレ。親父いィー・・・母さんは、さつきは無事か」

 

とりあえず鈍い体を動かそうとしたとき、ドアの方から声が聞こえた。

医者だろうか、とりあえず動く首を回しドアの方を見ると

 

「おや、目が覚めたんだね・・・そのままでいいよ」

 

そこに居たのはカエルだった、白衣を着たカエルがそこに居た。

 

「カエル・・・」

 

「よく言われるよ・・・先ずは自己紹介だ。僕の名前はフロッグ。フロッグ・ゲロップ・ゲップだ・・・自分名前を言えるかい」

 

違ったようだ。

カエルの医者じゃなくカエルに似た医者だったようだ。

・・・しかし似てるな

とりあえず、オレも名乗らないと

 

「オレは・・・おれの名前は」

 

 

それから簡単な質問に答え、オレがどうゆう状況なのかをくり返し聞いた。

そこで分かったのは、オレの体の状態やどれくらい寝ていたのか。

妹もこっちに来た事と、妹はオレみたいに重症じゃないこと。

それとマンガのような、普通なら信じられない事だった。

オレは次元漂流者。何らかの拍子に他の次元世界に偶然漂流してしまった、

大規模な迷子のようなものらしい。

ここは代00管理世界ミッドチルダ。

オレは右足の間接からズパリ斬れてしまい二ヶ月もの間意識不明の重体だったらしく。

妹はオレとは違い、軽い火傷だけだったらしく簡単な治療魔法でその日うちで治ったようだ。

 

これが普通ならなかなかに不公平なことだと、世界の理不尽さに思うことがあるだろうが、

今のツッコミどこはそこじゃあない。

魔法だ、そう魔法だ、魔法なのだ。

この世界には魔法があり、魔法を使える人を魔導師というのだと。

どこのマンガだと言ってやりたいが。生憎今のオレには、そんなことを言えんのだった。

 

「魔法・・・ほんとにあるのか・・・」

 

「君はあまり驚いてないけど、創造力豊かなのかな? 」

 

べつにオレは創造力豊かってわけじゃあない。ただ知っている知っているのだ。

いや、教えてもらったのだが。

夢で見たあの世界、その中で見た記録にある魔法。

今ではほんとに夢なのか分からないけど、たしかにオレは魔法を知ってる・・・

 

「まあ、起きたばかりで困惑してるのかな?疲れただろう、今日はもう寝てなさい。

明日から精密検査をするから」

 

「・・・分かりました」

 

明日、その言葉でオレは現実に戻った、いや戻された。オレは目の前が真っ暗になるのを感じた。

これからどうする。

家もない、金もない、何より親が居ない。

 

その事実がオレを恐怖のどん底に落とした。

家は良い、金も良い、何とかなるまだ自分をごまかせる。

でも親は、母や親父はここには居ない。この世界には居ない。

もう、何処にも居ない

その漠然とした事実にオレは恐怖した。

明日から母の手料理が食べれない。

もう親父と一緒にラジコンを作れない。親父の作ったラジコンを越える事も出来ない。

日常が壊れたことでの虚脱感。

何より、自分の事しか考えていないことえの絶望感・・・

 

「・・・さつきは何所ですか」

 

「さつきちゃんかい。それなr・・・」

 

 

ドドドドドドドドドァ

 

バン!!

 

 

「ケン兄! 」

 

「うぉ! 」

 

「おや、噂をすればだね」

 

妹が今どうしているのかをフロッグ先生に訊こうとしたとき。

妹のさつきが勢いよくドアを開けて跳びついてきた。

 

「ゲン兄!ゲンジ~!! よがうっだ~びょ~ぼんでょ~ぼに、よがうっだ~びょううぅぅぇぇぇぇぇうああぁぁぁぁぁぁぁ」

 

「さつき・・・ごめんな、ほんとにごめん。心配かけててえぇぇぃ!?おい!!さつき、布団で鼻をかむな。布団が涙と鼻水でぐしょぐしょだ」

 

「怖がった。ゲン兄ぼうもう起ぎないじゃみゃいがって、ヒドりになっずぢゃうってズゴく怖かった」

 

「・・・」

 

そうだよな、さつきにとってオレは今この世界でただ一人りの肉親で、この世界でただ一人りの家族だ。

そしてオレはさつきの兄だろ。

いの一番に妹を心配しなくてどうするんだよ。

 

「心配するな、一人にはしないよ約束する」

 

「ほんとに?」

 

「モチロン。この兄を信じなさ~い、泥舟に乗ったつもりでな」

 

「・・・泥舟は沈むよ」

 

「ははは、さつきはバカだな。嘘に決まってるじゃあないか。これだから泣き虫と」

 

 

そうだな、さつきは泣き虫だから守ってやらないとな。

悩む必要なんて無い。オレはさつきの兄だからな。

さつきが独り立ちするまで守ってやるよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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と、思ってた時期もボクにもありました。

 

 

 

カッチャ

 

 

 

ごくごくごく・・・

 

 

 

「ハァー・・・」

 

 

 

・・・ヤッテランネー・・・

 

 

 

オレは冷めきったカンコーヒを飲み干して今後のことを考える。

 

「どうするゥ~、クビだってよ。またさつきに金借りるか?

でも、あんな見栄張っといて何度も人様の家庭に金を借りるのもなー・・・はは、

もう兄の威厳は皆無だな、おい」

 

いや、違うな。元々オレには兄の威厳何て微塵も無いのだ。

オレはさつきに兄らしい事なんて何もしていない。守る事も、働く事も出来なかったんだ。

全部妹が遣ってくれた。働く事も、守ることも全て。

それは何故か。

簡単だ。

妹には在ったのだ。

魔法の才能リンカーコアが。

いくら成人の早いミッドチルダでも、リンカーコアの無い十歳児が働ける職場は皆無といって良い。

必然的にミッドチルダで成人の十五歳まで妹に養ってもらったのである。

そう、この時点で兄の威厳はすでに皆無だった。

 

確かに、成人年齢以下でも就職先は在るには在る。

だが見つけた就職先の殆どが魔力を持ってることや、何かしらの資格を持っていることが大前提だった。

正に、金の卵さんいらっしゃ~い。

持つ者と持たざる者の格差社会のミッドチルダ。

翻訳魔法が無ければミッド語すら書けない、読めない、聴き取れないの三拍子が揃った

パンピー以下のオレでは、雑用さえ出来ない。

 

正直、こんな法外世界のミッドに永住なんてしたくは無かったが、如何しても永住せざるを得なかったんだ。

ミッドに来て数日。オレ達は管理局で自分達の出身世界を探すために、軽い取調べを受けたところ。

オレ達の住んでいた世界はわりと直ぐに見つかった。

だが詳しく聴くと、どうも地名や歴史の細かいところに食い違いが在るのだ。

それも最初はオレ達の歳が歳なので、誰も気にしなかったのだが。

局員が住所を調べると、見逃せない大きな食い違いがあった。

オレ達家族が住んでいた風都が、管理局が知っている地球は存在しない事だ。

代わりにその地球には、風都が在った場所に海鳴市と言う都市が在るらしい。

オレ達の居た世界はどうやら所属、(パラレル・ワールド)平行世界のようだ。

管理局の技術でも、平行世界へ行く事はできないらしい。

管理局もそこまでオレ達の面倒は見てはくれないようで。

オレ達がこの世界で暮らしていくためには仕方なく、妹が働くしかなかったんだよ。

だから、これは仕方がなかった。

 

そう思わないと遣っていられない

 

まぁ、唯一の心配は妹が怪我をしないかとゆうことであったがそれは杞憂に終わった。

なぜなら妹の魔導師ランクはAAA、今ではS+。遠距離からの連射で大体終わる。

今では結婚もして、暖かい家庭がさつきにはある。

それに比べてオレはマダお街道まっしぐらのダメ男(泣)。

研究資金が足りずに妹に金を借りる毎日。

 

情けない思いを堪えながらオレの頭の中にあやふやに存在する記録の知識を使って、ようやく企画書に纏め上げたものは相手にもされないままクビ。

情けない。これではあまりにも情けない

 

「何がしたかったんだろうな・・・オレは」

 

いや、分かってる。オレの気持ちも目標も変わらないし、変わっていない。

 

『妹を、家族を守るのに理由なんて無い』

 

泣き虫な妹を守れる兄になる、ただそれだけを思って此処まで来たはずだ。

妹に守られてる情けない自分が悔しくて。

泣き虫な妹が泣きながらき戦い、傷つきながら名前も知らない誰かを傷つけるのを、ただ見守る事しか出来ない自分が嫌いで。

 

ただ、そんな自分を変えたかった。

 

オレには才能が在った。

 

物造り才能が。

 

オレには知識が在った。

 

オーバテクノロジーの記録が。

 

だから欲しかった。

 

才能に縛られない力を。

 

だから創った。

 

才能に縛られない力を。

 

欲したのは自分を変えてくれる鎧。

 

情けない自分を、勇ましい自分にしてくれる、強靭な鎧。

 

欲したのは自分を変える仮面。

 

非力な自分を隠し、自分を強い戦士へ替える、仮面。

 

望んだのは一騎当千の武勇じゃない、チームワークの勝利。

 

力の弱い虫だって良い、たばになれば象にだって勝てるから。

 

望んだのは英雄の力じゃない、ただ大事な人を守るこのできるヒーローの力。

 

活躍なんてしなくても良い、守りたいものを守れなら。

 

オレは唯成りたかった。ヒーローに、テレビの中の変身ヒーローに。

何故かって

 

 

ヒロインのピンチには必ず駆けつける、正義のヒーロー。

 

理由なんて、それでもう充分だろ

 

「・・・今のオレは、ヒーローとは程遠いな」

 

うん、気持ちの整理もついた。

家が無いのも金が無いのも事実。

情けない話だがさつきに頭を下げて、拝み倒すしかないな。

 

「オッシャ、そうと決まれば景気づけに、ホ~ル~イ~ン・ワン!」

 

ベンチから向かって正面のゴミ箱。

そこに向かって勢いよく空のカンを投げたオレは考える。

オレは運命ってのは都合の良い逃げの言葉だと思ってる。

それが運命、決まってたことだから仕方が無いとか、自分を守るオブラートでしかない。

だからオレはいつも心で自分に誓う言葉がある。

 

((理由なんて無い))

 

小難しい理由は要らない。

オレは自分のしたい事をしているだけなのだから。

 

 

カアァァァァァァァァァァー

 

 

「グゥ!」

 

「あ。」

 

 

だからこの失敗も自分のせいで。

 

 

「貴様、上官に対する態度がなっとらんな。海は下への教育すらできんのか!」

 

「しっ失礼しました。レジアス・ゲイズ少将」

 

 

だからこの出会いも、運命なんかじゃなくて偶然。たまたまオレが投げたカンがレジアス少将に当たっただけ。

 

 

「ほー、海の下っぱは最近少将になったばかりの私のことは知らないと思ったがな」

 

「自分は存じています。魔力の無い身でありながら、少将にまで上り詰めた。

魔力の無い管理局員達、全員の英雄であります!!」

 

「フッン、なにが英雄ものか、・・・皮肉の積もりか」

 

 

それはなんてことない繋がり、ただ偶然が重なっただけの出会い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だけどこの出会いが、オレの此れからを左右する四度目の人生の分岐点だった。

 

 

 

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プロローグ完

 

 

 

つづく

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