ルーラー喚ぼうとしたら、なんか違うのが来たby聖杯 作:陣代高校用務員見習い
(数時間経過)
作者「気がついたら、次話が8割近く書き終わっていた件について」
というわけで、次の話です。
当初は月末投稿予定だったのに、どうしてこうなった。
今回はギャグ控えめ&展開早めになっています。
追記5/27
情報提供により、『変身』→『転身』に修正。
そういえば、プリヤはこっちでしたね。
sideキシナミ
危なかった。
本当に危なかった。
自分達の会話をルビーが盗み見ているのに気がつかなかったら、自分ははくのんに貪られていただろう。
童貞同盟の盟友アンデルセンよ、自分は童貞を死守したぞ。
はくのん曰く
「…カッとなってヤった。
全く後悔も反省もしていない。
次は逃がさん。
絶対にダブルピースさせる」
だそうだ。
どうしてこうなった!
自分だって健全な男の子、いつまでも童貞を守るつもりはない。
いつかは好きな人とアレコレしたい。
……だけど、初めてが自分の平行存在に襲われるというのは、ハードルが高すぎる。
朝が来た。
隣の布団には藤丸君が寝ている。
……今朝こそはしっかり眠れたようだね。
「起きたか。キシナミ」
アーチャーさん、おはようございます。
……その表情、何かありましたね。
「ああ。色々とな。
朝食後にまとめて伝える」
そうですか。
……ところでアーチャーさん、昨晩自分ははくのんに性的な意味で襲われそうになったんですが。
自分はどうすればいいんでしょうか?
「…………その、なんだ。
頑張ってくれ、としか言えん。
君だって『岸波白野』の諦めの悪さは身をもって知っているだろう?
マスターが一度決めた以上、絶対に諦めないだろうよ。
『また面倒な女に目をつけられた』と思って観念したまえ」
…………保護者のアーチャーさんでもコレか。
どうするかね…
朝食後、アーチャーさんから連絡が2つあった。
1つ目は、昨晩新都でホテルが倒壊したという話だ。
現在警察が原因を究明中らしい。
アーチャーさんの予想では発破による爆破解体ではないか、という事だ。
時期が時期なだけに、魔術師同士の抗争の可能性もある。
2つ目は、現在冬木市で児童の行方不明事件が多発しているという話だ。
…『聖なる怪物』と呼ばれたジル・ド・レェが召喚されている以上、嫌な予感しかしない。
そして予想通り、カルデアチームから『セイバー陣営への接触』『キャスターの討伐』の話が出た。
「すいません。そういうわけで、今日中にこちらを出ていく事になると思います。
短い間でしたが、本当にお世話になりました」
ふむ。もしやカルデアチームだけで動くつもりかね?
「…水くさいじゃないか。私たちも混ぜろ」
「え!?でも……」
《カルデアとしてはその申し出は有難いけど…
いいのかい?君たちを巻き込んでしまって。
この件はムーンセルはもちろんの事、人理修復とも無関係な私用なんだよ?》
ロマンさん、自分達としてもキャスターは放置できません。
それに、カルデアチームは同じアーチャーさんの飯を食べた仲。
「…私達はズッ友」
自分達にも手伝わせてくれ、藤丸君!
「あ、ありがとうございます‼」
自分達も、元々ホテル倒壊の件を調べるつもりだった。
すまないけどそちらにも協力してもらえると色々助かるよ。
《マスターが複数いる状態は初めてだ。
これなら、同時進行で作戦を進める事ができるよ!》
では、早速今後の予定について話し合おう。
我々の目的は、カルデアチームの『セイバー陣営への接触』、ムーンセルチームの『ホテル倒壊の調査』、そして両チーム共通の『キャスターの討伐』というわけだ。
時間も惜しいから、やはり自分達も3つに分かれるべきかな。
「やはり一番緊急性が高いのは『キャスターの討伐』でしょうね」
マシュちゃんの言う通りだ。
加えて言うならば、ここでは必ず戦闘が発生するだろう。
「正直な話、ジル自身は大した事はないわ。
私1人で十分よ」
「補足するならば、邪ンヌがいないとキャスターを探せません。
だから邪ンヌは確定で、不測の事態に備えてもう1人サーヴァントが必要でしょう」
次に『セイバー陣営への接触』だけど…
そう言えば、どこに行けば会えるんだ?
「………セイバー陣営が『アインツベルン』ならば、居場所はだいたい予想がつく」
「…アーチャー?」
「私の中の『英霊エミヤ』の記憶が教えてくれた。
深山町西側郊外に広がる森の中に城がある。
通称『アインツベルン城』、そこだろうな。
ただ気をつけろ、かなり精度の高い結界を張られている。
この場の面々では気付かれずに入るのは不可能だ」
気付かれるのを前提にするという事ですね。
「オレは絶対行くからな!
何しろマスターは聖剣もった父上を召喚できてねぇ。
次はいつ会えるか、分からねーんだ!」
向こうにアーサー王がいるならば、モードレッドさんは確定だろうね。
後はイリヤちゃんとクロエちゃんかな?
「あ、わたしは今回はそっちはパスするわ」
「クロ!?」
「2人もいたら、向こうも混乱するでしょ。
それにわたしが行ったら、言わなくいい事まで言っちゃいそうだし。
今回はイリヤに任せるわ。
ルビー、イリヤの事をお願いね?」
《わかりました♪》
「………イリヤ。分かっていると思うけど、あの人はわたし達のママじゃないからね?
あんまり踏み込みすぎないようにしなさいよ?」
「う、うん…」
《横から失礼!》
急にどうしましたダ・ヴィンチちゃん?
《出来ればセイバー陣営への接触役には藤丸君とマシュを加えてくれないかな?
『アインツベルン』と言えば『冬木聖杯戦争』の『御三家』の1つだ。
直接会うとなると、結構込み入った話になるだろうからね。
そこらへんは、私達カルデアが担当しよう》
「…では、アインツベルン城に行くのは藤丸君達メインで」
あとは『ホテル倒壊の調査』だけど。
「このメンバーで爆破などが分かるのは私だけだろう」
そうですね。アーチャーさんは必須です。
念のため、こちらもサーヴァントを1人追加したいですね。
じゃあ、今までのまとめてみましょうか。
というわけで。
「…『キャスター討伐』は私ことハクノとセイバー、そしてジャンヌ・ダルクが担当」
「任せるがよい!
世界の宝たる童たちを脅かすキャスターなど、断じて許さん‼」
「ま、足を引っ張らないでよ?」
「『セイバー陣営への接触』は僕こと藤丸立香にマシュ、モーさんとイリヤちゃんとルビーで行きます!」
「はい!」
「おう!」
「は、はい!」
《お任せあれ~♪》
最後に『ホテル倒壊の調査』は、自分ことキシナミ、アーチャーさんとクロエちゃんの担当だね。
「わかった」
「2人とも宜しくね?」
《ちょっと待った!ハクノちゃんとキシナミ君はその組合せでいいのかい!?
マスターとサーヴァントの組合せは逆なんだろ?》
大丈夫ですよ、ロマンさん。
自分達はお互いのサーヴァントと組んでいた記憶が断片的ながらあるので、指揮は全く問題ありません。
「…それにこの組合せなら、もう片方に何かあったら、すぐに分かる」
《な、なるほど。
マスターが複数いるからこそのアイディアというわけだね》
では準備が出来次第、出発しよう!
アーチャーさん、お弁当よろしく‼
sideout
sideハクノ
この結果は当然だった。
ヤサぐれたジャンヌ・ダルクの案内でキャスターの居所はすぐに分かった。
キャスターは下水道の奥深くに工房を作っていた。
そして私達はキャスターのジル・ド・レェを発見した。
ジル・ド・レェ
かつては百年戦争の英雄と呼ばれ、軍人としての最高位『元帥』にまで登り詰めた男。
一方で、戦後は領地にて悪政と残虐行為を行った悪鬼。
その狂気のきっかけになったのが、彼にとっての光だったジャンヌ・ダルクを処刑された事だった。
ならば今のキャスターの前に、たとえ黒く染まっていようとも、ジャンヌ・ダルクが現れたのならどうなるのか。
そして、その黒いジャンヌ・ダルクがキャスターに対して攻撃したらどうなるのか。
………言うまでもない。
「…グッ…ガッ………ジャン……ヌ…‼」
「久しぶりになるのかしらね?ジル」
抵抗する暇もなく、抵抗する気すら抱かずジャンヌ・ダルクの炎の杭を受けるだろう。
「………ジャ……ンヌ………ジャン………ヌ……ジャンヌジャンヌジャンヌジャンヌッ‼
私は……私は‼‼」
「……その炎は、私がいる煉獄の業火。
先に逝ってなさい。
今はちょっと長い旅の途中だけど、いずれまたそこで会いましょう?」
「………左様ですか。
ならばこのジル・ド・レェ、先に逝ってお待ちしております。
…ジャンヌ……良い…旅…を……」
そうして、1人の狂人は炎の中に消えていった。
…ジャンヌさん、お疲れ様です。
案外あっさりいきましたね。
「……ふん。この程度、どうって事ないわ。
だいたい、私は向こうでは毎日2人のジルと顔をあわせているのよ。
今さら、言いたい事なんて無いわ。
で、あの白いのはどうしたの?」
セイバーなら奥にいるキャスターのマスターを抑えに行ってもらいました。
あ、戻ってきた。
「……………」
セイバー?
………ひょっとして私達は遅すぎたのかな。
「……いや。生きている童達も大勢いる。
だが、既に死んでいた童も、不幸にもまだ死ねない童もいた。
あのキャスターのマスターは、それを『芸術』だのとほざきおった。
…………許せん‼
あのようなおぞましい所業で芸術を冒涜した事も、そのような馬鹿げた事に童達を巻き込んだ事も‼」
……キャスターのマスターは?
「……殺してはおらん。
これ以上、童達に血を見せたくなかったからな。
奥で縛りあげてある」
わかった。
その……セイバー、気にしすぎないでね?
私達は遅かったかもしれない。
それでも、助ける事ができた命もたしかにあるのだから。
「…………すまない。
少し熱くなっておったようだ。
感謝するぞ、はくのん」
「……いつまでこんな所に居るつもり?
私はとっとと出たいんですけど?」
それもそうだね。
キャスターのマスターは簀巻きにして、地元警察に付き出して。
子供達は匿名で通報すればいいかな?
《ハクノちゃん!聞こえる!?》
ダ・ヴィンチちゃん!?
そうか、ムーンセル製の端末とラインを結んでおいたんだっけ。
ダ・ヴィンチちゃん、こちらは無事終わりました。
この後、色々後始末する予定です。
《………ハクノちゃん。悪い知らせがある。
他の2チームでトラブル発生だ》
…何がありました?
《まず藤丸君のチームだが、例の森に近付いた時にサーヴァントの襲撃を受けた。
相手はバーサーカーだ》
な!藤丸君達は無事ですか!?
《…………不意をつかれたせいで、イリヤちゃんを連れ去られた。
イリヤちゃんが捕まった時にルビーとも離れてしまったから、転身も出来ない。
現在、藤丸君達が追跡中だ》
イリヤちゃんが!?
藤丸君の令呪で喚び戻せないんですか?
《カルデア製の令呪は特殊でね。
24時間で1画回復する代わりに、出来る事が『霊基回復』と『魔力補充』のみだ。
だから、イリヤちゃんを転移させる事は出来ない。
でも、藤丸君達なら大丈夫だ。
あのバーサーカーの真名をカルデアが知っていた事は不幸中の幸いだった。
バーサーカーの真名は『湖の騎士』ランスロット。
そして、相手がランスロットならマシュの追跡から絶対逃れる事は出来ない。
さらに、同行しているモードレッドなら互角の勝負が出来る》
ランスロット‼
ガウェインやモードレッドさんに匹敵する騎士を狂化させているの!?
《次にキシナミ君のチームだが、彼らが目的地に近付いた途端音信不通になった。
ハクノちゃんとセイバー、君たちの方で何か分からないかい?》
私の令呪に異常はありません。
アーチャーは無事みたいです。
「余も特に何も起きてない!
奏者も無事だ‼」
《カルデアからのクロエちゃんへの魔力供給に問題は起きてない。
つまり、3人とも無事みたいだね》
…………魔力供給は問題なく、連絡のみが阻害されている。
普通に考えればキャスタークラスのサーヴァントの仕業だろう。
だが、ジル・ド・レェはいわゆる普通のキャスターでは無さそうだから、連絡阻害とかは出来ないと思う。
何よりも、今目の前でウェルダンにしたばかりだ。
次に考えられるのは地元の魔術師の仕業という可能性。
でも、この時代の魔術師がムーンセルやカルデアの技術に干渉したとは考えづらい。
「………はくのん。もしや、奏者達は‼」
だから考え付くのは最悪の可能性。
キャスター以外で、こんな事が出来そうな規格外の存在。
………おそらく、キシナミ達はAUOと対峙している。
《やはりそういう結論になるか!
ハクノちゃん、すぐに新都に向かってくれ‼》
はい‼
「…………どうやら、そう簡単にはいかないみたいよ。
私達、囲まれているわ。
5~6人といったところかしらね」
「ぬっ!あれは暗殺者か‼
奏者達の読みが当たってしまったか!」
いつの間に!
やはりアサシンは分裂能力で脱落を免れていたか。
ダ・ヴィンチちゃん、ゴメン!
新都に行くのは少しかかるかもしれない。
《わかった!こちらでもキシナミ君達との連絡回復を試みてみる。
ハクノちゃんも急ぎすぎて、不意をつかれたりしないよう気をつけてね!》
はい!
藤丸君、イリヤちゃんの事はお願い!
キシナミ、私達が行くまで絶対無茶しちゃダメだからね!
AUO、キシナミに手を出したら容赦しない!
もしもの事があったら…絶対にユルサナイ‼
「やれやれ面倒ね……」
「余は今、いささか機嫌が悪い。
道を開けよ、さもなくば斬る!」
sideout
side???
その光景を見た時、私は心臓が止まるかと思った。
私達のいるアインツベルン城付近の結界に侵入者の反応があった。
すぐに私は千里眼の水晶を出して確認した。
そして、私と切嗣は見てしまった。
1人は制服を着た少年だった。
1人は白衣を着た少女だった。
1人は鎧兜を着た騎士だった。
セイバーはその鎧騎士を見て困惑していたけど、私達にはそんな事を気にする余裕は無かった。
最後の1人は………娘のイリヤだった。
普通に考えれば、イリヤが日本にいるわけがない。
そもそも、まだあんなに身長はない。
敵の魔術師が用意した偽物か、幻術の類いだろう。
でも………あれはイリヤだ。
アインツベルンの女として、何よりも母親としての感覚があの少女がイリヤだと断言している。
私の様子を見て、切嗣もイリヤだと確信していた。
もう生きて会えないと思っていた最愛の娘。
その姿に、目頭が熱くなってくる。
それが、今、バーサーカーに連れ去られた。
バーサーカーが突然現れて、少年を庇った鎧騎士を殴りとばして。
イリヤを、連れて、いった。
私達の、イリヤを。
「…………………ッ‼」
これは……ダメだ。
今、私達はキャスターを迎え撃つ準備をしている。
ここで、セイバーを出すのは計画外だ。
「…セイ……バーッ‼」
「キ、キリツグッ!?」
でも、そんな事関係ない。
たとえ悲願成就のための戦いの最中であっても。
今の光景は、私達夫婦にとって許容できるものではなかった。
「…奴を…バーサーカーを追えっ‼」
「は、はい‼」
セイバー。あの娘を、イリヤを助けて!
sideout
みんな!
ケリィの心に罅を入れておいたよ!(愉悦)
若干補足
次話でも書く予定ですが、間桐の動きは以下の通りです。
蟲爺「アインツベルンの増援ならば、いずれ森に行くはず。周囲を虫に見張らせるか」
→蟲爺「早速引っ掛かったか。黒いのがいないが、まぁよかろう。雁夜、バーサーカーを向かわせろ!」
→蟲爺「どういう事だ雁夜!何故、あの眼鏡を見逃した!何故、バーサーカーは逃走している!?」
という感じでした。
そろそろFGOでも新イベントとか始まりますので、次回こそ遅くなると思います。
前話ラストの後のはくのん×キシナミはこんな感じでした。
はくのん「…あと、一枚!」
キシナミ「…させない!最後の砦は守りぬいてみせる‼」
はくのん「…ここまで強硬に抵抗されると、私の乙女心が傷つくんだけど?」
キシナミ「…こんな状況で乙女心もクソもあるか!」
はくのん「…私、そんなに魅力ないかな?」
キシナミ「…人のパンツに手をかけながら言う台詞ではない!」
ルビー《………》●REC
はくのん「………え?」
キシナミ「………ん?」
ルビー《………》●REC
はくのん「………」
キシナミ「………」
ルビー《………あ。ルビーちゃんの事は気にせず、続けて下さい♪》●REC
はくのん&キシナミ「「………出来るか‼」」