ルーラー喚ぼうとしたら、なんか違うのが来たby聖杯 作:陣代高校用務員見習い
というわけで、開始直前に更新です。
………戦闘シーンって、物凄く難しいんだね。
しかも、なかなか区切る事が出来ないので、なんか長くなってしまいました。
今回はカルデアチームがメインですので、ギャグは控え目です。
本当ならバサスロットはもうちょっとギャグ色を強くしたかったのですが、やはりザビーズがいないとギャグは難しい。
side???
声が聞こえる。
怒ったお爺様の声と。
苦しそうな雁夜おじさんの声が。
「雁夜よ。アインツベルンの森周辺、結界の外側を虫に見張らせたのは、なかなかよく考えた。
器と同じ白い少女を手に入れたのも、お前にしてはよくやった。
だが!なぜバーサーカーは、あの眼鏡の少女から逃げ出しておる!
あの少女も連れてこいと儂は言っただろうが‼」
「……知るか……‼
…あの少女を見た途端……バーサーカーが硬直して……突然、逃げ、出した……ガァッ!」
「令呪を使わせるか?
……いや、雁夜ごときの令呪では弾かれるやもしれんな。
雁夜よ。奴らは追いかけてきているのだな?」
「……ああ。例の少女はなんか盾を持った騎士みたいな姿になって追いかけてきている。
……同行していた少年も後ろから来ているみたいだが……
おい、ジジイ。少年を背負って走っている奴、あれはサーヴァントなんじゃないのか!?」
「ふむ。戦闘用の人造生命だけではなく、イレギュラーのサーヴァントまで用意しておったか。
案外、噂の『魔術殺し』やセイバーが囮で、こちらが本命やもしれんな。
アインツベルンめ、これほどの反則を行うとは…
まあ良い。ならばこのままバーサーカーに誘導させて、この工房でまとめて始末してくれよう。
どうやらマスター役はたいした事なさそうだからな、問題あるまい。
お主はバーサーカーの手綱を握っていろ。
上には儂自ら出る」
そして、お爺様は蔵から出ていった。
残ったのは、苦しそうな雁夜おじさんと。
わたしだけ。
sideout
side藤丸立香
キシナミさん達と別れた僕達はアインツベルンの森の近くまで来た。
目的はセイバー陣営との接触だ。
………これは人理修復とは無関係な行為だ。
僕たちの立場上、彼女達とは接触せずに、カルデアへの帰還まで大人しくしているべきだろう。
それでも、僕達は彼女達に会う事にした。
イリヤちゃんにモーさん、形は違えど、世界が違えど、親と会いたがっている仲間達を手助けしたかったから。
アインツベルンの森まで来た僕達。
そこで僕達は黒いサーヴァントの奇襲を受けた。
黒いサーヴァントの正体は、オルレアンで戦った『バーサーカー・ランスロット』
ランスロットは最初に僕を狙い、僕を庇ったモーさんを殴りとばした。
その混乱の最中、ランスロットはイリヤちゃんを捕まえてしまった。
次はマシュに手を伸ばそうとして、一瞬動きが止まり、回れ右して走りだしてしまった。
そして現在、僕達は
「待ちなさい!ヒトヅマンスロットッ‼」
「Aaaaaaaaaa!?」
イリヤちゃんを抱えて逃走したヒトヅマン……もといランスロットと、そのランスロットを口撃しながら追跡しているマシュを追いかけている。
僕の足では二人には追い付けないので、モーさんに背負ってもらっている。
イリヤちゃんが捕まった時に弾き飛ばされたルビーも一緒だ。
ちなみにランスロットに殴られた際に兜が破損したらしく、現在モーさんは鎧をパージしている。
……だから案外良い匂いがして、その、なんというか、色々と困っている。
「少女誘拐だなんて!
ついにそこまで堕ちましたか‼
そんな貴方を、アーサー王とギネヴィア王妃はどう思うでしょうね!」
「Aaaaaaaaa‼」
さすがマシュだ。
ランスロットを的確に口撃しながら、逃がさないようにしている。
「……そうか?ありゃ普通に怒っているだけじゃねーのか?
ランスロットの奴も、イリヤを連れていったんじゃなくて、単にマシュから逃げているだけだろ」
《ランスロットのマスターが人払いの結界を張っていてくれて助かりましたね~
危うく、冬木市に新しい都市伝説が出来るところでしたよ♪
題して『全力疾走しながら口喧嘩する騎士親子』》
マシュが一方的にランスロットを叩きのめしていて、喧嘩になっていないけどね。
ところでルビー、イリヤちゃんは無事なんだね?
《はい。イリヤさんのバイタルは安定しています。
ちょっと目を回しているだけみたいです。
ただルビーちゃんがいない時のイリヤさんは、少し運動神経がいいだけの小学生ですからね。
自力での脱出は不可能だと思います》
なら隙を見つけて、イリヤちゃんにルビーを触らせればいいんだね。
《はい♪そうすれば久々の転身シーンで、大逆転ですよ~♪》
《藤丸君!聞こえるかい!?》
ドクター!キシナミさんとハクノさんの方はどうですか?
《キシナミ君の方はいまだに連絡がとれない。
ただ、クロエちゃんの反応が消えていないから、まだ大丈夫そうだ。
ハクノちゃんの方はキャスターを問題なく倒したが、直後にアサシンと遭遇した。
やはりアサシンは『百貌のハサン』で、下水道内という閉所での戦闘で苦戦している。
幸い、偶然の遭遇だったらしく、増援が来る様子は無いらしい》
そうですか。
やはり一番危険なのはキシナミさんの所か。
早くイリヤちゃんを助けて、キシナミさんの援護に行きたいところだけど。
《ムーンセルチームが提供してくれた冬木市の地図からすると、おそらくランスロットの行き先は『御三家』の『間桐家』の邸宅だと推測される。
どうやら、ランスロットのマスターは間桐の魔術師みたいだね。
アーチャー君の情報からすると間桐家の当主『間桐臓硯』はかなり危険な魔術師との事だ。
………間桐臓硯は、またの名前を『マキリ・ゾォルケン』。
おそらくロンドンで魔霧計画を進めていた魔術師の関係者だろう。
ひょっとしたら本人の可能性もある。
敵魔術師の本拠地での戦闘となると苦戦は必至だ。
十分気を付けてくれ!》
マキリ・ゾォルケン!?
まさか、この世界でその名前を再び聞く事になるだなんて。
《え~と?ルビーちゃんレーダーに感あり。
私達の背後からサーヴァントが接近中!
……十中八九、アーサー王ですね》
なんだって!
まさか、ランスロットに襲われたところを見られたのか!
「どうするマスター。
オレが残って、父上を足止めするか?」
…いや、このまま行こう。
モーさんに運んでもらわないと、あの二人には追い付けない。
僕が一人になったところを敵マスターに襲われる可能性もある。
それならば、この追跡劇にアーサー王を巻き込んでしまおう。
アーサー王がいれば、バーサーカー・ランスロットはそちらを優先するかもしれない。
その隙にイリヤちゃんを助けよう。
「こ、の、穀潰しがぁぁぁ‼‼」
「A、A、Aaaaaaaaaaaaaaa‼‼」
…それに、あの親子を放っておけないしね。
《あの、ルビーちゃんの気のせいかもしれないんですが…
ランスロット、かなりガチで泣いていません?》
だ、大丈夫だよ。
アレはあの親子なりのコミュニケーションだから。
セイバー・ランスロットならともかく、バーサーカー・ランスロットとマシュは仲良いし。
「女の敵!去勢してやるっ‼‼」
「Gyaaaaaaaaaaaaaaaaa‼‼」
…………多分。
「マスター!見えてきたぞ‼」
あの屋敷か!
マシュ、そのまま突入して。
ルビー、アーサー王はついてきているかい?
《はい。たしかについてきています。
あと5分もしないうちに到着すると思います。
ちなみに、イリヤさんはもう起きているみたいですね。
マスターさん達が助けようとしているのを見て、無茶な行動はしないようにじっとしているみたいです》
わかった。
イリヤちゃんの期待に応えられるようにしよう。
ドクター!僕達もこのまま突入します。
《……藤丸君。君はマキリ・ゾォルケンにどう対応するつもりだい?》
話せる範囲で事情を話し、イリヤちゃんの解放を促すつもりです。
さすがに『人理焼却』とかは話さないつもりですが。
《……そうか、わかった。
現場の判断を尊重する。
でも、一つだけ約束してほしい。
もしもの時は、迷わず君達の命を優先してくれ。
…戦闘になったら、マキリ・ゾォルケンを倒す事を躊躇してはいけない。
それほど危険な相手なんだ》
………わかりました。
マシュに続いて間桐邸に突入し、中庭らしき場所に出た。
そこには
「よくぞ儂の工房まで来おった。
歓迎してやろう」
1人の老人がいた。
彼の足元にはイリヤちゃんが横たわり、背後にはバーサーカー・ランスロットが待機していた。
………あなたが間桐臓硯さん、もしくはマキリ・ゾォルケンさんですか?
「……何故、その名前を知っている。
小僧、何者だ?」
僕の名前は藤丸立香といいます。
とあるトラブルにより、この冬木市に迷い混んでしまった駆け出しの魔術師です。
間桐さんのところのサーヴァントが、僕達の仲間のイリヤちゃんを連れていってしまったので、ここまで追いかけてきました。
「………お主達はアインツベルンとは関係無いという事か?」
セイバー陣営に接触しようとしていましたが、今のところ無関係です。
また、一般市民への被害さえ無ければ、冬木聖杯戦争に関与する予定はありません。
必要とあれば、今日中にも冬木市から出ていきます。
ですので、イリヤちゃんを解放してください。
「なるほど。
お主達は聖杯戦争と関係なしに来てしまった部外者というわけじゃな。
ならば………………実に好都合じゃ」
「!先輩下がってください‼」
周囲から一斉にナニかが飛び出してきた。
マシュとモーさんが防いでくれたが、これは虫か?
間桐さん、これは一体!?
「そんなに不思議な事ではあるまい?
お主が嘘をついているならば、ここで仕止めれば、いずれかの陣営の力を削ぐ事が出来る。
お主が本当の事を言っているならば、なおの事逃がすわけにはいかぬ。
この少女も、そちらの少女もなかなかの素質がありそうじゃ。
このような逸材、野放しには出来ぬ」
な!まさか聖杯戦争関係無しに、最初からイリヤちゃんを狙っていたのか!?
「若く未熟な魔術師よ。
冥土の土産に教えてやろう。
この世界、才がありながら後ろ楯が無い者は………ただ貪られるだけじゃ。
安心するがよい。
お主の血肉は儂の糧となり、少女達は次代の間桐を孕む良き胎盤になるじゃろう。
クカカカカッ………」
《………やはり、こうなったか》
……ドクター。これが『魔術師』なのか。
《……藤丸君が出会った近代の魔術師は所長だけだったよね。
彼女は、マリーは魔術師でありながら、一般的な良識も持っている人物だった。
そういう意味では、所長は魔術師らしくなかったかもしれない。
マキリはかなり極端だけど、やはり魔術師は『目的のためには手段を選ばない』者が大半だ。
もしカルデアが当初の予定通り48人のマスターで活動した場合、最初の聖杯が手に入った時点で、人理焼却そっちのけで殺し合いをしていた可能性が高い。
魔術師とはそういう生き物なんだ。
残念だけど藤丸君、最初から交渉の余地は無かったのかもしれない》
「マスター、ついでに言うなら、あのジジイはもう人間じゃねーぞ。
全身から死臭がする。
とんでもない数の人間を喰ってやがる。
コイツは人間を喰って命を繋ぐ化け物だ!」
……間桐さん、引く気は無いんだね?
「抵抗しないなら、それでも良いぞ?
その方が手早く済むからの。
それにほれ、どうやらバーサーカーもやる気になっておるようじゃ」
そうして見るとバーサーカーは
「……Ar……thur……
……Arrrrrrthurrrrrr……
……Arrrrrrthurrrrrrrrr!!!」
と吠えて、鉄柱片手にモーさんに襲いかかった。
その攻撃は荒々しくも、明らかに『技』を感じさせるものだった。
「狂っているくせに、なんつー腕前だ!
おいランスロット!
オレは父上、アーサー王じゃねーぞ‼
見りゃ分かるだろ!
…って、オレの素顔知らねーのか!?」
……これが最後です。
イリヤちゃんと僕達を解放しろ!
「くどいぞ小童!」
ならば僕はもう躊躇しません。
マキリ・ゾォルケン!貴方を再び倒します!
「……『再び』じゃと?」
マシュは僕を虫からガードしてくれ。
モーさん、済まないけどもう少しランスロットの相手を頼む。
…おそらく、もうまもなくだ。
「……小僧、何を待っている!?」
その声が合図になったかのように、一陣の蒼銀の風が吹き抜けた。
…そう言えば、僕は彼女に会うのは初めてだった。
黒い姿は特異点になった冬木で見た。
黒く染まり、槍を構えた姿はロンドンで見た。
聖槍に侵され、神霊になった姿は聖都で見た。
……ついでに、サンタになった姿はカルデアで毎日見ている。
だけど円卓の騎士を従えた聖剣のアーサー王に直接会うのは、これが初めてだ。
「まさかと思いましたが、お前はやはりモードレッドか。
それにその少女の盾は、まるで………」
そこにはアインツベルンのセイバー『アルトリア・ペンドラゴン』がいた。
「……Ar……thur……?
……Arrrrrrthurrrrrr……!?
…Arrrrrrthurrrrrrrrr!!!」
よし!やはりランスロットはアーサー王に向かっていった!
一瞬迷っていたみたいだけど、結果オーライだ。
「な!このバーサーカーが…ランスロット卿だと!?
そんな事あるわけが!」
「アーサー王!いい加減気づけ!
コイツ明らかに、風で隠した聖剣の長さを知っているだろーが!
そんでもって、こんな馬鹿げた技量を持っていて、黒い鎧を着ている奴なんて、あいつだけだろ!」
「くっ……!」
バーサーカーがアーサー王に向かった今がチャンス。
イリヤちゃん!その姿勢のまま右手を頭上に伸ばして!
お待たせルビー!出番だ!
「はい!」
《お任せあれ~♪》
そうして、草むらからルビーが飛び出しイリヤちゃんと合流した。
間桐邸に入る直前にルビーだけ別行動させておいたのは正解だったみたいだ。
「な、なんじゃあれは!?」
《イリヤさん、お待たせしました!
もしあのままだったら薄い本案件必至だったでしょうから、間に合ってよかったです。
ではパッパッとやっつけちゃいましょう♪》
「うん。いくよルビー!」
《コンパクトフルオープン‼
鏡界回廊最大展開‼》
ピンク色の光が辺りを照らし、1人の魔法少女が現れた。
おおっ!1分以上かかっていそうで、実際は3秒ぐらいしか経過していないという魔法少女の伝統的な変身シーンだ‼
「……カレイド…万華鏡!?
まさか、第二魔法じゃと‼
貴様らは一体!」
よし。体勢を整えよう。
マシュはそのままガードを担当。
イリヤちゃんは虫を凪ぎ払ってくれ。
モーさんは、ランスロットをアーサー王に任せて、マキリ・ゾォルケンを直接狙ってくれ!
「「はい!」」
「わかったぜマスター!」
「おのれ小僧っ!」
さっきまでの数倍の数の虫がこちらに押し寄せてくる。
イリヤちゃん!
「砲撃(フォイア)!」
イリヤちゃんが放ったピンク色の砲撃が道を作る。
モーさん、魔力放出で突っ走れ!
「うぉぉぉっ‼
くたばれジジイ!」
「ギャァァァァァァッ‼」
モーさんが一撃でマキリ・ゾォルケンを両断。やったか?
「ダメだマスター。手応えが無い!
このジジイ、直前に体を虫と入れ換えてやがった!」
逃げたのか?
でも襲いかかってくる虫が増える一方という事は、まだ諦めていないのか?
《ルビーちゃんレーダーに再び感あり!
サイズからすると、魂を虫に移していたようですね。
どうやらあちらの1階を這いずり回りながら移動しているようです。
地下に人間サイズの熱源が2つありますから、合流しようとしているのでは?》
彼はロンドンで魔神柱になった魔術師だ。
万が一顕現されたら、今の戦力では勝ち目が無い。
弱体化しているうちに一気に決める。
ルビー、マキリ・ゾォルケンの位置をモーさんに教えてくれ。
モーさんは宝具の開放を。
威力はギリギリまで抑えて、距離と精度を高めて狙撃してくれ。
「なかなか無茶言ってくれるな!」
大丈夫!モーさんならやれるって、僕は信じている。
「まぁ、やってみるけどよ」
《はい。座標はこちらになりま~す♪》
よし、やってくれ!
「此れこそは、我が父を滅ぼせし邪剣!」
モーさん、叛逆の騎士モードレッドの全身を赤い雷が包む。
キャメロットから強奪したという『燦然と輝く王剣(クラレント)』の鍔が変形し、赤雷が集束する。
そこから放たれるのは、偉大な騎士王に致命傷を与えた一撃。
「『我が麗しき父への叛逆(クラレント・ブラッドアーサー)』!!!」
前に見た時より細く鋭い赤雷は、まっすぐ邸宅に突き刺さり、部屋を1つ分だけ蒸発させた。
《マキリ・ゾォルケンの反応消滅。
今度こそおわりですよ》
虫達も退いていく。
ありがとうモーさん。
中庭から部屋を1つだけ狙い撃つだなんて流石だね。
「ま、思っていたより簡単だったぜ」
「待ってください先輩!
虫は退きましたが、ランスロット卿が止まりません!」
なに!?
見てみると、たしかにランスロットはいまだにアーサー王を圧倒していた。
まさか、マキリ・ゾォルケンはランスロットのマスターじゃないのか!
さっきルビーが言っていた『人間サイズの2つの熱源』が本当のマスターだったのか!
「先輩。ランスロット卿が……」
鉄柱の大振りの一撃でアーサー王をはじきとばしたランスロット。
その全身を包んでいた靄が消えていき、おもむろにその黒兜を左手で掴み、粉々に砕いた。
その右手にはいつの間にか黒い剣が。
血涙を流し、憎悪をにじませた素顔をアーサー王に向け。
円卓最強と呼ばれた騎士が、殺意とともに刃を叩きつけてきた。
その姿にアーサー王は呆然とし、モーさんは不愉快そうに顔をしかめながら斬りむすんでいる。
この様子では、ランスロットはもうマスターの制御下にない。
完全に暴走している!
「アァァァーサァァァッーー!!!」
「………ランスロット卿…
…貴方はそんなにも…
…そんなにも……私が憎かったのか…?」
「………チッ!」
《藤丸君!ランスロットが『無毀なる湖光(アロンダイト)』を抜いたのか!?
その剣は竜殺しの効果があるはずだ。
アーサー王とモードレッドはくらうとマズイ!》
しかもモーさんは鎧をパージしています。
その状態で受ければ致命傷を負いかねない。
それにマキリ・ゾォルケンとの戦いに時間をかけすぎた。
これ以上はキシナミさんが心配だ。
もう時間はかけられない。
…………やむを得ない、か。
モーさん、今からランスロットの隙を作る。
一撃で決めてくれ。
「あいつの隙なんて出来るのか?」
大丈夫。確実に出来る。
……マシュ、宝具の開放だ。
「!先輩、それは!?」
ランスロットは今、二人を単独で圧倒している。
アーサー王やモーさんにここまで殺意を見せている以上、止めるには『彼』の力を借りるしかない。
……頼む、マシュ。
「……わかりました」
湖の騎士ランスロット。
今から、僕は君の心を攻める。
……ごめんなさい。
「其は全ての疵」
たとえ貴方が狂気に堕ちても。
「全ての怨恨を癒す我らが故郷」
……いや、狂気に堕ちたからこそ。
「顕現せよ」
この光景は貴方を穿つ。
「『いまは遙か理想の城(ロード・キャメロット)』!!!」
そこに顕現するのは白亜の城。
円卓の騎士達が集いしキャメロット。
……そして、貴方にとって絶対忘れられない光景だ。
「……キャ…メ…ロット……?」
………ランスロットは呆然とした表情で、清廉な涙を流していた。
全身から戦う力が抜け。
その表情には怨念も憎悪もなく。
バーサーカーとしての狂気も無いかのようだった。
……モーさん、トドメを。
「……あばよ、ランスロット」
無防備なランスロットをモーさんが袈裟斬りした。
「……王よ…御迷惑をおかけし…
……誠に…申し訳…ございません…」
「……ランスロット卿、私は……!」
「……そちらにいるのは……モードレッド卿か…?
……そのような素顔だった…とは…
……そちらの少女……その盾……
……先程追いかけられた時から…気になっていたが……やはり……君は……‼」
「…私の名前はマシュ・キリエライト。
ランスロット卿、貴方の御子息ギャラハッド卿から霊基を受け継いだデミ・サーヴァントです。
……そのギャラハッド卿から伝言を預かっています。
『勝手に自己完結しながら、それ以上自分を責めるな。本音トークが苦手なのは知っているが、言いたい事や伝えたい事があるなら、はっきりと口にしてください。お父さん‼』と」
「……『お父さん』…か。
…まさか…狂戦士になってから…
…そんな風に呼ばれるとは…」
「……卿は、私が憎かったのか?」
「……私は王を憎んだ事はありません。
……ですが恨めしく思った事はありました。
……なぜ…あの時………私を………断罪してくれなかったのか………と」
「……っ‼」
罪を裁かれない、それは時として最大級の呪いになってしまうという事なのか。
…ランスロットの体が光の粒子に代わっていく。
もう限界なのだろう。
それでも、彼の表情は晴れやかだった。
「…王に看取られ……
…肩を並べた騎士に看取られ……
…そして…我が子に…看取られ……
……この不忠者には…………あまりに過ぎた結末ですね…」
「ランスロット卿!」
「…………ふん」
「…お父さん…」
…そうして、1人の騎士は光に消えていった。
《藤丸君、マシュ。
クロエちゃんの魔力消費が増大している。
今、キシナミ君達は激しい戦闘を行っているようだ。
ハクノちゃんもアサシンを突破して新都に向かった。
君達も急いでくれ》
《例の2つの熱源は動きがありませんね~
さっきのバーサーカーの様子からすると、大分前から制御できていなかったみたいです。
仕掛けてこないのなら、無視していいじゃないかなとルビーちゃんは思います♪》
うん。わかった。
…マシュ。大丈夫?
「…はい。ランスロット卿は最期は笑顔でした。
だから、きっとこれで良かったんです。
さぁ!キシナミさんの所に行きましょう!」
イリヤちゃん、今キシナミさん達が危ないかもしれない。
残念だけど、セイバー陣営のマスターに会いに行くのは後回しになっちゃう。
本当にごめん。
「いえ!大丈夫です。
クロの事も心配ですから」
二人ともありがとう。
えーと、アインツベルンのセイバーさん?
「1つ確認させていただきたい。
そちらの少女の母親の名は『アイリスフィール』ではないのか?」
その名前であっています。
ただし、貴方のマスターの『アイリスフィール』ではありませんが。
こちらのイリヤちゃんは異世界の出身です。
ついでに言うならば、僕達は別世界からこの冬木に迷い混んだ者です。
「なるほど、異世界出身でしたか。
たしかにアイリスフィールも『イリヤにしては大きすぎる』と言っていましたね」
あの、自分で言っておいてなんですが。
ずいぶんあっさり『異世界出身』なんて信じましたね?
「私のいた時代のブリテンでも、極稀に異世界からの迷い人がいましたので」
昔のイギリスって凄い!
「異世界のマスターよ。
貴方に心からの感謝を。
貴方達のおかげで、私はランスロット卿の真意を知る事ができました。
ギャラハッド卿の継承者がいなければ、私は彼の言葉を誤解していたかもしれません。
ありがとうございます」
いえ。自分こそマキリ・ゾォルケンとの戦いに巻き込んでしまい、申し訳ありませんでした。
「私がマスターから受けた命令は『バーサーカーを追え』だけでした。
ですので、私はそろそろ失礼します」
「あのセイバーさん!
手伝ってくれてありがとうございます!
セイバーさんのマスターさんにも宜しく伝えておいてください!」
「わかりました、異世界のイリヤ。
そのメッセージはたしかに伝えておきます」
セイバーさん、ちょっと待って下さい。
…モーさん、何か言わなくていいのかい?
「…別にいい。
英霊としてのアーサー王ならともかく、目の前のそいつには特に言う事はねぇな」
「…それはどういう意味だモードレッド」
「そのままの意味だ。
あなたはまだ『丘』にいるんだな。
直接顔を合わせたらすぐにわかったぜ。
過去の人間として生涯を終わらせていないなら、話す気が起きないって事だ」
モーさん、それって?
「こいつは、オレをロンゴミニアドで殺した直後のアーサー王だ。
聖剣を返し、終焉を迎えたアーサー王じゃない。
死後に願いが出来たのではなく、単に結末を認めずに聖杯を求めているだけだ。
おおかた、あのクズ野郎が何か仕掛けたんだろうよ」
「………………」
このアーサー王はまだ死んでいない?
「…アーサー王。自慢じゃねーが、オレはずいぶんとマスター運が良いみたいでな。
今のマスターはもちろんだけど、何処かで団体戦形式の聖杯戦争に参加した時のマスターも悪くなかった。
それらの戦いで、オレはオレなりに『答え』を出した。
その答えを確認したかったんだが………今回はお預けだな。
おいマスター。そろそろ行こうぜ!
あいつらがヤバそうなんだろ!」
え、えーと!アーサー王!
なんか、うちのモーさんがすみません。
仲間がピンチかもしれないので、僕達もそろそろ失礼します!
「…わかりました。
異世界のマスター、御武運を」
再びモーさんに背負ってもらい、半壊した間桐邸を飛び出し、僕達は新都を目指した。
キシナミさん!今行きます!
sideout
side???
声が聞こえる。
…苦しそうな、だけど嬉しそうな雁夜おじさんの声が。
「……ジジイが…臓硯が死んだ……!
…桜ちゃん…もう、大丈夫だよ…
…もう…こんな所にいなくていいんだ……!」
そして雁夜おじさんはわたしを持ち上げて
「………俺の身体は…もう駄目だ……
…でも、桜ちゃん…君を必ず…
……葵さんのところへ……!」
…それが
わたしがきいた
雁夜おじさんの
最後の言葉でした。
sideout
雑ですね 実に雑!
と、某学士殿に言われてしまいそうな出来になってしまいました。
なんか、色々すいません。
Zero二次創作の見せ場の1つ『バサスロット戦』がこんなんでいいのか?
本当に難しい。
例によって、いくつか補則を。
・藤丸君、蟲爺への殺意高すぎない?
実は、これこそが今作にFGO組を参戦させた理由の1つでした。
ザビーズでは、桜の件を知れば別かもしれませんが、蟲爺を抹殺する理由が考えつきませんでした。
対して、ぐだ男ならロンドンで魔神柱バルバトスになったマキリと戦っています。
この時点(第6特異点まで攻略済み)では魔神柱への変化条件がまだ不明だったはずなので、魔神柱顕現を警戒したぐだ男が容赦無く攻撃してきたというわけです。
え?無理がある?
私もそう思います。
蟲爺の「マシュちゃんとイリヤたんにエロ同人みたいな事するんじゃ(意訳)」という台詞で、ぐだ男がキレたというのもあるんじゃないかな。
ちなみにFGO組参戦の時点で、『ロンドンの時同様に、マキリにトドメを刺すのはモーさん』『ロードキャメロットでバサスロットの心を抉る』のは決定していました。
・蟲爺、うっかりすぎない?
バサスロットがイリヤを誘拐した時、イリヤは変身を解除していました。
また、以前の話でマシュが通常のサーヴァントとは異なる反応が出ているという話がありました。
つまり蟲爺視点では、ぐだ男のサーヴァントはモーさんだけに見えていたわけです。
そしてマスター役が明らかにド素人ですから「これ、工房に連れ込めばいけるんじゃね?」と思ったわけです。
…そういう事にしておいてください。
・バサスロット、放っておいても自滅したのでは?
アロンダイトを抜いた時点で、原作同様に自滅必至でした。
ですが、ぐだ男は『マスターから魔力供給を受けているサーヴァント』との交戦経験はありません。
ですので、『燃費が悪いサーヴァントは、魔力不足で自滅する』という発想がありませんでした。
・青王がランスロットの言葉を曲解しない!?
横でギャラハッド(仮)が「おい穀潰し、本音で話せ(意訳)」と言っていたので、青王も変な解釈をしませんでした。
…という願望です。
・マシュちゃん、もっとバサスロットを苛めていいのよ?
アーサー王が横にいたので、さすがに自重していました。
・モーさんが青王を塩対応だと!?
Zero時点の青王は精神的にかなり参っています。
こんな状態の青王が相手では、ファザコンモーさんも納得しないのでは?
…という独自解釈です。
staynightとZeroの青王は特殊な条件下(カムランから直通)での召喚ですが、モーさんが会いたいのはFGOやEXTELLAの青王なんじゃないかなと勝手に想像。
いつも塩対応されているから、たまにはやり返したくなったとかではないですよ(笑)
・カルデアチーム、雁夜おじさん&桜ちゃん放置!?
ちょっと戦闘に時間をかけすぎたので、ザビ男救出を優先しました。
雁夜おじさん側から仕掛けていたら延長戦もあったかもしれませんが、蟲爺が死んだ時点で虫も引いていたので、もう相手をする必要は無いと判断しました。
バサスロットがマスターの意思を無視して暴れていたのも判断材料の1つです。
桜ちゃん?知らない子ですね。
・ルビーちゃんレーダーって何だよ!
ありそうじゃない?
次回はいよいよザビ男vsAUOになります。
CCCイベントがありますので、次回更新はかなり遅くなると思います。
下手すると6月になるかもしれません。
また、イベントでCCCとFGOの関係で新情報が出ても、今作には反映するのは難しいという点は御容赦ください。
NGシーン『もしも、藤丸君が採集決戦参加済みだったら』
ダ・ヴィンチ(以下、ダ)《その老人が間桐臓硯だ!》
藤丸「間桐臓硯………マキリ・ゾォルケン‼」
蟲爺「小僧……その名前、どこで聞いた!」
藤丸「………………トス…」
マシュ「先輩?」
藤丸「……………バトス…」
蟲爺「む?」
藤丸「…バル…バトス…‼‼」
ダ《………えっ?》
蟲爺「………はっ?」
藤丸「バルバトスだ!
バルバトスだろう!
なあバルバトスだろ、お前‼」
マシュ「せ、先輩?」
藤丸「……置いてけ。
心臓置いてけぇぇぇ‼」
蟲爺「な、なんじゃお主…………ギャアアアア‼」
藤丸「ヒャッハー!とれたてピチピチの心臓だ!
だが足りない。
全然足りない!
まだだ、もっとよこせバルバトス!」
蟲爺「……お、おのれ………」
藤丸「逃げるなぁぁぁ!
僕はお前を殺したいだけなんだ!
だからニゲルナァァァ‼」
リヨぐだ子「バルバトスがいると聞いて、飛んできました。
というわけで………とっとと歯車出せやオラァァァ!」
藤丸「ヤメロォォォ!
コイツハボクノバルバトスナンダ!
ダカラ、ボクガコロスンダッ!」
ダ《これは酷い》