ルーラー喚ぼうとしたら、なんか違うのが来たby聖杯   作:陣代高校用務員見習い

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な、何とか6月中に投稿できた!
本当にキャットの喋り方が難しかった!
とりあえずメタ&ネタ台詞で誤魔化す事にしました。



今話のサブタイトルは、最初は『キャット危機一髪』でした。
ですが、今回はEXTRA組の出番が多目なので、こちらに変更しました。
たまには真面目なのもいいよね?


Sword,or Death

sideキシナミ

 

目の前の空間に罅が入る。

その罅は徐々に大きくなり、ついにガラスのように割れた。

そして出来た空間の割れ目の中から

 

「ぬっふっふっ~♪」

 

1人の女性が出てきた。

頭は狐を連想させる獣の耳を生やし

ふさふさの尻尾を揺らし

赤い巫女服のような服を身に纏っていた。

 

「キャットさん、でしょうか?」

 

《違う!カルデアのタマモキャットは、厨房にいる事は確認済みだ。

君達の目の前のタマモキャットの霊体の構成物質が、アーチャー君達と一致している。

彼女はムーンセルのタマモキャットだ!》

 

《ロマニ、この数値はヤバイ。

総エネルギー量が魔神柱を上回っている。

もし襲いかかってきたら、今の消耗した状態では勝ち目がない》

 

……ロマンさん達が何か焦っているようだったが、その声は自分の耳に入らなかった。

自分は、目の前の『彼女』から目が離せなかった。

おそらくはくのんも同様だろう。

間違いない。

薄々と気付いてはいたが、直接彼女に会って確信した。

自分こと『岸波白野』はタマモ、キャスター『玉藻の前』と契約していた可能性もあったのだと。

彼女こそが、『岸波白野』の第3のサーヴァント!

 

「ようやく見つけたのであるご主人。

むむ!?ご主人が2人!

しかもなかなか見所がありそうな、前屈みのチェリーボーイも。

これが一兎を追って三兎を得るというものか!

ご主人が3人、来るぞキャット‼

全員まとめて玉藻地獄でご奉仕するワン!」

 

……………………………勘違いだな、うん。

 

「…雰囲気が違う?」

 

自分の知っているタマモは、もっと知的だったというか、腹黒かったというか。

それでいて、隙を見せればルパンダイブをしかけてくるようなキャラだったはずだが。

あんな支離滅裂な、天真爛漫にニコニコ笑うタイプでは無かったような?

メインウェポンの鏡も無いし。

………待てよ、少し思い出した。

そうだ!『アルターエゴ』だ!

タマモには切り離した8本の尻尾があり、それぞれが分霊・アルターエゴとして活動できたはず。

そのうちの1つが目の前のタマモキャットなのか!

 

《………先輩。やっぱり、思い出してしまったんですね》

 

なるほど。ある程度予想はしていたけど。

 

「…BB。私達の記憶を封印していたんだね。

玉藻の前に関する記憶の全てを」

 

なんでそんな事を…と聞きたいところだけど。

どうやら、今はそんな時間は無さそうだ。

 

「むっ!?キャットの前でオリジナルの話とは。

ご主人よ、マナー違反でごじゃる。

ペナルティーとして人参を差し出すべし。

というか、お持ち帰りからのニャンニャンウフフの刑もありか!

キャット的には屋外でも無問題だが、やはり初めては首輪付きキャットを台所で後ろからが理想だワン!

というわけで、テイクアウトの時間ナリ!

邪魔者はゴミ箱へシュゥゥゥーッ!超!エキサイティン‼」

 

あいかわらず言っている事は滅茶苦茶だが、とりあえず自分達を連れていこうとしているのはわかった。

あと童貞の自分的には、初めてがそんなマニアックなシチュエーションになるのは御遠慮したい。

 

「今のタマモナインに捕まるとマスター達がどんな目に合うか未知数だ。

おそらく、ろくな目にあわないだろう。

しかもあの様子では、相手はどうやらバーサーカー。

説得は困難だ。

ここは迎え撃つしか無い」

 

アーチャーさんお帰りなさい。

なんとか無事に帰ってこれたようですね。

 

「三途の川を追い出された後は、何やら懐かしい道場に連行されたけどな。

二度とあんな手を使わないでくれ。

いいか、絶対だぞ!」

 

「…アーチャー、それはフリだよね?」

 

「違う‼」

 

「ぬぬっ!エロゲ主人公の成れの果てのようなガングロよ。

お主、さてはハーレム主義者だな?

よろしい、全殺しだワン!

汝はジゴロ!罪ありき!」

 

…アーチャーさん、貴方なにやらロックオンされているのですが。

まだ何か因縁があるんですか?

 

「さすがに今回は身に覚えがないぞ!」

 

「…やむを得ない。

私とアーチャーでキャットの相手をする。

キシナミ、その間に打開策を考えておいて」

 

わかった。

2人とも気を付けて。

 

《すまない。カルデアチームは消耗が激しく、これ以上の戦闘は困難だ。

……いや、藤丸君はある意味ではこれ以上無いぐらい元気なんだけどね。

元気になりすぎて、逆に身動きがとれないというか。

こちらから出来るのは情報収集とナビゲートだけになってしまう。

本当にすまない》

 

お心遣いありがとうございますロマンさん。

藤丸君にはしっかり休むよう伝えておいて下さい。

 

「あ、あの!わたしはまだいけます!」

 

イリヤちゃん?

 

《イリヤさんは比較的消耗が少なかったですからね~

魔力もある程度は自己精製できますし。

クロエさんも『悔しい!でも感じちゃう!ビクンビクン』な状態でなければ、まだ戦えたんですけどね♪》

 

「…ありがとうイリヤちゃん。

でも、ここは私達に任せてほしい。

キャットは藤丸君もターゲットにしているみたいだから、彼の護衛にまわってほしい」

 

「話はそこまでだ、マスター。

来るぞ‼」

 

「ブッ血KILL‼」

 

 

 

 

 

アーチャーさんとタマモキャットの戦いが始まった。

キャットが驚異的な素早さでアーチャーさんに徒手空拳で挑み、アーチャーさんがそれを双剣で捌く。

双剣は砕けるが、アーチャーさんはすぐに双剣を再投影をしカウンターを入れた。

かなりいいカウンターが入ったはずだが。

 

「…アーチャー?」

 

「ああ。素早さはランサー・クーフーリンに匹敵しているが、動きが単純すぎる。

守りを固めれば、やれなくはないと思うが…」

 

「…でも、あまり効いてなさそう」

 

「手応えはあったが傷がすぐに消えている。

これは厄介だな」

 

《スキャンの結果が出た!

耐久力はさほどではないけど、保有魔力が桁違いだ。

その膨大な魔力の大半を常に自己回復に回している。

生半可な攻撃ではすぐに回復されてしまうよ!》

 

「…手数では勝負できない。

強力な一撃が必要。

アーチャー、令呪1画を回す。

宝具の使用を。

ただし、結界からカルデアチームは除いておいて」

 

「いいのかマスター?

正直な話、私の宝具でも有効打にはならないかもしれんぞ?」

 

「…大丈夫。

私達が時間を稼げば、キシナミ達が突破口を開いてくれる。

私はそう信じている。

アーチャー、『令呪を以て命ずる!宝具を開放して‼』」

 

「承知したマスター!」

 

アーチャーさんは己の切り札を発動させた。

自身の生涯そのものと言える宝具を。

禁忌の大魔術である『固有結界』を。

 

「I am the bone of my sword. (― 体は剣で出来ている )」

 

「Steel is my body, and fire is my blood. (血潮は鉄で、心は硝子) 」

 

「I have created over a thousand blades. (幾たびの戦場を越えて不敗 )」

 

「Unknown to Death. (ただの一度も敗走はなく) 」

 

「Nor known to Life. (ただの一度も理解されない) 」

 

「Have withstood pain to create many weapons. (彼の者は常に独り剣の丘で勝利に酔う) 」

 

「Yet, those hands will never hold anything. (故に、その生涯に意味はなく) 」

 

「So as I pray, (その体は、) 」

 

「UNLIMITED BLADE WORKS. (きっと剣で出来ていた )!!!」

 

その詠唱の終わりとともに、世界は炎に包まれた。

炎が通りすぎた後、周囲は一変していた。

黄昏の空には不気味な歯車が浮き。

赤茶けた大地には、墓標のように無数の剣が突き立つ。

とても、とても寂しい光景だ。

詠唱の内容も救いが無い。

………正直な話、詠唱の内容はともかく、長い詠唱をしながら必殺技を放つという展開は男心をくすぐるものがあるが。

 

 

 

 

 

「…アーチャー!遠距離から飽和射撃。

近づけさせないで!」

 

はくのん達も本格的に動き始めた。

彼女は自分達を信じてくれた。

ならば、その期待に応えよう。

というわけでBB、どうすればいい?

 

《はい!おバカなキシナミ先輩にも分かるよう、万能後輩BBちゃんが懇切丁寧に説明してあげます!

今のタマモキャットは無理矢理地上に現界しています。

魔力で自己強化をせずに、自己回復しかしていないぐらいですから。

ですので、やる事は簡単。

大ダメージを与えて、一瞬でいいので現界を維持できなくすればいいんです。

そうすればこちらから干渉して、ムーンセルに強制送還する事が出来ます》

 

なるほど、大ダメージか。

セイバーの宝具も、エリちゃんの宝具も使ってしまった。

たとえ使えたとしても、アーチャーさんとの戦いの様子からすると、火力が足りないだろう。

ならば、やはりアレしかないか。

 

《……ま、それしか無いでしょうね。

健気なBBちゃんはダメダメな先輩達のために、ここからサポートしてあげます。

せいぜい頑張って下さい?》

 

そういう事をわざわざ口に出しちゃうあたり、BBはやはりめんどくさ可愛いな!

 

《な、なにを言っているんですか!

というか『めんどくさ可愛い』って、実はdisっていません!?》

 

HAHAHA!気のせいだよ!

ともかく、BBがサポートしてくれるのは本当に助かる。

 

「む~、奏者よ。余の出番はもう無いのか?

やはり余は、あれだけでは物足りんぞ!」

 

とんでもない!

セイバーこそ、こちらの切り札だよ。

エリちゃんは……沢山歌ったから、今はバックダンサーに徹してくれ。

ロマンさん達は画面越しに応援ヨロシク!

 

「………仕方ないわね。

ネロ!お手並み拝見よ!」

 

《それでキシナミ君。

一体どうするつもりだい?》

 

自分達ムーンセルチームの真の切り札『神話礼装』を使います。

 

《『神話礼装』?それは一体?》

 

説明すると長いんで、実際に見てもらった方が早いです。

セイバー!BB!準備はいいかい?

 

「うむ!勝負服だな!

あれはお気に入りだ!」

 

《こっちはもういつでも大丈夫ですよ。

キシナミ先輩がぐずぐずしてたから、もう準備万端です。

ハクノ先輩が心配です。

とっとと終わらせちゃいましょう》

 

わかった。

では、神話礼装発動‼

 

《マスター『岸波白野typeB』からのリミッター解除要請、承諾。

セイバー『ネロ・クラウディウス』の神話礼装『皇帝』への形態変化、開始。

霊基との同調、安定。

神話礼装、顕現します》

 

自分の目の前で白い拘束衣装を来ていたセイバーが赤い光に包まれる。

その赤い光は彼女の情熱の如し。

その光の中から、赤と金の衣装に彩られたセイバーが現れた。

セイバーの愛剣『原初の火(アエストゥス エストゥス)』も本来の赤色に戻っている。

その姿は、どことなく火山を思わせ、『皇帝』という概念の塊のようにも見えた。

これこそがセイバーの最終決戦フォーム、『皇帝の神話礼装』だ。

 

「このタイミングで衣装換え、ですって!?

さすがネロ、恐るべきアイドル力ね!」

 

《この数値………『神話礼装』って!?

サーヴァントに英霊の生前の力を持たせるどころか、魂が持つ原初の力を開放させているのか!

潜在能力を限界近くまで開放、ムーンセルはこんな事まで出来るなんて!

いくらなんでもムチャクチャだ‼》

 

《ネロさん。本来ならば、地上での神話礼装を使った戦闘は10秒が限界です。

それ以上は高出力に霊基が耐えられず、霊基崩壊を起こしてしまいます。

ただし今回はBBちゃんの細やかなサポートにより、戦闘可能時間が大幅に増えています。

それでも、神話礼装解除の時間も考えると、全力を出せるのは1分間だけです。

いいですか?カウントスタートから1分以内に決着をつけてください》

 

1分間、か。

 

「………否、1分もいらぬ!

今の余なら一撃で十分だ!

奏者よ!号令を‼」

 

よし!はくのん!

こっちはいつでもいけるぞ!

 

「…!アーチャー、大技を一発。

その後すぐに離脱を」

 

「わかった。ならば!」

 

アーチャーさんの手に金色の光が集う。

あれこそは、アーチャーさんの投影宝具の中でも最強の一撃。

固有結界内部でのみ、ギリギリ投影できる聖剣の頂点。

 

「この光は永久に届かぬ王の剣!」

 

…この町に来た今なら分かる。

あの剣は、アーチャーさんにとっての『特別』なのだと。

アーチャーさん、もしくはアーチャーさんの中の『彼』は、あのアーサー王と何か強い縁で結ばれていたのだと。

 

「『永久に遥か黄金の剣(エクスカリバー・イマージュ)』!!!」

 

「ごはははははっ!?」

 

金色の斬撃がタマモキャットを吹き飛ばした。

今なら、回避も防御も出来ない。

一気に畳み掛けるぞ、セイバー!

 

「………アルターエゴ・タマモナインの1人、タマモキャット。

お主も、はくのんを、そして我が奏者を愛し求める者なのだな…

だが許せ。

『岸波白野』は、余の…私のものだ!」

 

《セイバー『ネロ・クラウディウス』、戦闘態勢に移行を確認。

カウントスタート!》

 

「しばし私情を語ろう…」

 

セイバーが剣を上段にかざす。

…えっ!?このタイミングでその技!?

 

「告白するぞっ!」

 

炎を纏った剣を水平に構え。

ちょ、みんな見てるよ!?

 

「余は奏者が!」

 

神話礼装でブーストされたスピードで錬鉄の丘を一瞬で駆け抜ける。

そしてタマモキャットを突き刺し。

ちょっとセイバー!さすがの自分でもコレは恥ずかしいってば!?

 

「大・好き・だっっっ!!」

 

「解せぬっっっ!?」

 

セイバーの告白と同時に、突き刺されたタマモキャットが爆炎に包まれた。

うわぁぁぁっ!やっちゃったぁぁぁ!?

 

 

 

 

 

《はいはいご馳走さま。

もうキシナミ先輩は、今の告白剣みたいに大爆発すればいいんじゃないかと提案します。

………タマモキャットの現界維持に揺らぎあり、強制送還始まります!

同時に神話礼装解除処理も開始!》

 

セイバーの姿が白い拘束衣装に戻った。

短時間とは言え限界以上の力を使ったせいか、かなり疲労しているようだ。

 

「思いっきり力を出せるのは良いが、やはり疲れる。

余は早く帰って湯浴みがしたい!」

 

もうちょっと待ってね。

今回の戦いの後片付けが終わってからだ。

 

「…キシナミ。タマモキャットが…」

 

はくのんと自分の目の前で、タマモキャットは新たに出来た空間の割れ目に吸い込まれつつあった。

その姿は自分達との戦いでボロボロであり。

セイバーの爆発剣でところどころ焼け焦げていて。

そして………泣いていた。

 

「…………ご主人……ご主人…」

 

その目から涙を流し、自分達に向けて必死に手を伸ばしていた。

……………はくのん。

 

「…そうだね」

 

自分とはくのんは、少しだけタマモキャットに歩み寄った。

 

《先輩!?》

 

大丈夫だよBB。

タマモキャット、自分達は君達のオリジナルである『玉藻の前』が己のサーヴァントだった事を思い出している。

 

「…ならばタマモナインが引き起こした月の争いを、もう無視できない」

 

自分達は、近い内に月に帰るつもりだ。

そこで再び会おう。

 

「…再会した時、私達が貴女達を受け入れるのか、それとも拒絶するのか。

それはまだわからない」

 

でも、断言できる事が1つある。

それは、自分達が出会うべき場所は地上では無いという事だ。

だから

 

「「…月で待っていてくれ」」

 

「…………そうか。そうなのだな。

ご主人達は…ちゃんと月に帰ってくるのだな?

ならば、いいのだ!

アタシは、オリジナルと違って待てるネコである。

特製オムライスを作って、待っているワン!

お土産はゴールデンネコ缶でヨロシク。

ところでご主人、ご主人的にはメイド服と裸エプロン、どちらがお好みか?

次に会う時までに考えておいてほしいのだ!」

 

そうして……目の前にいたタマモキャットは、笑顔で月へと帰っていった。

 

《…………先輩。そういう言動をするから、変な女の子が寄ってくるって、いい加減自覚して下さい‼》

 

うぐっ!?変な女の子筆頭のBBに言われると説得力があるね。

 

「…でも、あの涙は止めなくてはいけない。

そう思ったから…」

 

《……まったく。あまりタマモナインに気を許しすぎないで下さいね!》

 

さっきから気になっていたんだけど…

BBは元々サーヴァントを敵視していたが、なんかタマモの事は特別に危険視しているみたいだね?

 

《………先輩達が正規契約する可能性のあるサーヴァントは4騎。

ですが、うち1騎のバーサーカーは、英雄王の契約割り込みにより記録が失われてしまいました。

ですので、現在ムーンセルに登録されている『岸波白野』の契約サーヴァントは

セイバー『ネロ・クラウディウス』

アーチャー『無銘』

キャスター『玉藻の前』

の3騎になります。

この3騎は、程度の差はありますが、実はかなり問題があるサーヴァントなんです》

 

「…問題?」

 

《『ネロ・クラウディウス』は生前から『ある疑惑』がある人物でした。

『無銘』は複数の聖杯戦争、特に冬木聖杯戦争に深く関わっています。

そして肝心の『玉藻の前』ですが………先輩、もう彼女のマトリクスは思い出していますよね?》

 

うん。たしか彼女は太陽神の分霊だったよね?

 

《太陽神・天照の分霊。

つまりそれは、尾が9本揃えば、『月』であるムーンセルを内側から食い破れる事を意味しています。

『月』では『太陽』には勝てませんから。

それに彼女は女神です。

歴史&神話オタクの先輩なら、女神の愛の恐ろしさや理不尽さは分かっていただけると思いますが?

正直、タマモ達の危険性からすれば、他の2騎の問題点なんて気にならないぐらいです》

 

なるほど。

BBがタマモを敵視していたのは、彼女達がムーンセルを破壊する可能性があるから。

そして、女神の愛で『岸波白野』の魂が囚われる可能性があったからか。

それでも…

 

「…それでも、タマモは私達のサーヴァントなんだ。

絶対に会わなければならない」

 

《はいはい!先輩達なら、記憶が戻ったらそう言うだろう事は分かっていましたよ!

そんな頑固で分からず屋な先輩達のために、BBちゃんはムーンセル帰還用プログラムを作成済です。

『白い方』に渡しておきますので、準備が出来たら連絡しちゃって下さい。

その端末でムーンセルに音声連絡出来るよう、アップデートしておきましたから。

わたしはなんか色々あって疲れちゃいましたから、お風呂入ってきます!》

 

ありがとうBB。

…本当に色々とありがとう。

 

「…BB。たしかに私達はタマモナインと対峙するために月に帰る。

でも、帰る理由はそれだけじゃない」

 

なんの因果か、お互い消滅せずにいられたんだ。だから

 

「…BBと再会する為にも月に帰るんだ」

 

直接会って色々と話したいしね!

 

《………本当に…先輩は…どこまで行っても先輩なんですね…》

 

BB?

 

《な、なんでもありません!

お疲れ様でした‼》

 

あ、通信が切れた。

しかしあれだね。

やっぱり

 

「「…BBはめんどくさ可愛いな‼」」

 

「………おい、マスター。

私はいつまで固有結界を維持していればいいのかね?

そろそろキツくなってきたのだが」

 

「…すっかり忘れていた。

もう解除して大丈夫だよね?」

 

あ、ちょっと待って。

ロマンさん!今の戦闘の事ですけど…

 

《心配しないでいいよ。

『神話礼装』の事は記録からは削除済だ。

…というか、こんなの残せないよ!

本当にムーンセルはとんでもないね!?》

 

いえ、そっちは別にいいです。

お願いしたいのは、アーチャーさんの投影の事でして。

 

《なるほど、聖剣の投影の事だね。

わかった、改竄しておくよ》

 

お願いします。

もしモードレッドさんにバレたら、アーチャーさんが八つ裂きにされてしまいますから。

 

 

 

 

 

「キシナミさん!ハクノさん!」

 

アーチャーさんの結界を解除したら、待っていた藤丸君達と無事合流できた。

 

「皆さんご無事で何よりです!」

 

ありがとうマシュちゃん。

こちらはなんとかムーンセル版タマモキャットを退ける事が出来た。

決着は月でつける事になるけどね。

 

「………月、ですか。

という事は…」

 

「…うん。カルデアチームが冬木を離れるように、私達ムーンセルチームも月に帰る事にした」

 

「そうですか…」

 

自分達は監督役に今回の事を説明したら、なるべく早く帰るつもりだけど。

カルデアチームはどうするつもりだい?

 

「まだ帰れない以上、何処かに拠点が欲しいですが…」

 

《う~ん?ロマニ、まだレイシフトの計算は終わないの?》

 

《戦闘のナビゲートもしていたからね。

あと5日はかかるかも》

 

「…ふむ。計算、か。

ならば、協力できるかもしれない。

さっきの戦闘後から、私達の端末と月が繋がっている。だから…」

 

よし、さっそく。

BBはお風呂中だっけか。

だったら、桜!聞こえる?

 

《はい!先輩、お久しぶりです!

BBから話は聞いています。

今すぐ、ムーンセルに帰還しますか?》

 

それはもうちょっと待ってくれ。

今回は頼みたい事がある。

 

「…桜。私達と行動を共にしているカルデアチームのレイシフトに関する計算を手伝ってほしい。

私達の端末を経由すれば、カルデアと繋がれるはずなんだ」

 

《……ちょっと難しいと思います。

今の私が管理できるリソースは以前よりだいぶ減ってしまっているので、あまりお力にはなれないかもしれません》

 

ダメ、なのかな?

 

《……出来る限りの事はやってみます。

えーと、先輩達の端末の『フィニス・カルデア』ですよね?》

 

うん。お願い。

 

《では、アクセス開始します》

 

《お、来た来た。

この『B01』というやつだね。

アクセス承認……って、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁっ!?》

 

ファッ!?

ダ・ヴィンチちゃん!?

 

《ど、どうしたんだレオナルド!

オッサンみたいな声を出して!

………え?えぇぇぇぇぇぇ!?》

 

《あの、すいません。

レイシフトの計算って、本当にこれだけでいいんですか?》

 

ダ・ヴィンチちゃんとロマンさんの驚きようからすると…

 

「…なるほど。計算が一瞬で終わってしまったんだね」

 

《桁違いじゃない!

次元が違いすぎる!

いやこれは、根幹の技術がそもそも違う!

大気圏内でどんなにスピードを出しても、宇宙空間での速さには敵わない。

これは、それぐらいの差があるぞ!》

 

《くそ!悔しいな!

私は天才なのに、さっきからムーンセルには驚かされてばかりだよ。

…そして天才の私が断言しよう。

地球人類ではムーンセルを越える演算装置は作れない、と。

これを越えるには、異星文明の技術を取り込むとかしないと絶対に無理だ》

 

《驚いたのはこちらもです。

カルデアは21世紀前半の組織なんですよね?

この『霊子演算装置・トリスメギストス』、明らかにオーバーテクノロジーなんですが》

 

…盛り上がっているところ、悪いけど。

 

《あ、ゴメンゴメン!

これなら、今すぐにでも藤丸君達の帰還は可能だ。

本当にありがとう!》

 

《いえ、お力になれて幸いです》

 

「…桜、ありがとう。

私達も近いうちにそちらに戻る。

再会を楽しみにしていてくれ」

 

《わかりました。

先輩達の帰還をお待ちしております。

帰る時になったら、改めて連絡をお願いしますね。

それでは失礼いたします!》

 

桜は自身の業務に戻ったみたいだね。

さて藤丸君、改めて聞こう。

この後はどうする?

 

「キシナミさん達と一緒、ですかね。

冬木聖杯戦争の監督役に話せる限りの事を話し、自分達の居るべき場所に帰ります。

僕らにもするべき戦いがあるのですから!」

 

ああ、そうだね。

お互いやるべき事がある。

ならば休暇は終わりだ。

それぞれの戦場に戻ろう。

………ところで、その、監督役の所に行くのはいいんだけどさ。

藤丸君、体は大丈夫?

ちょっと元気になりすぎているらしいけど。

どっかで休息をとったり、『ご休憩』したりしなくていいのかい?

 

「……なんとか、大丈夫です。

軽く休憩をしたら、だいぶ気分が良くなりました。

時々キャスター陣が作った怪しげな薬を食事に盛られていましたから、多少は耐性が出来ているようです。

煩悩を我慢出来ないようでは、カルデアのマスターは務まりません。

ただ、さすがに今マシュ達に密着されたら自制出来ないかもしれませんが」

 

…………………カルデアのマスターって、本当に大変なんだね。

 

sideout




というわけで最終戦終了。
この後は、今回の騒動の後始末と両チームの帰還になります。
おそらく、あと2話ぐらいかと。
内容も序盤みたいに、かなり坦々とした短い話になると思います。





今話の補足

・今話のタマモキャットはどれぐらいの強さ?
FGO風で説明しますと
HPはゲージ2本で15万+10万
スキル&宝具は使用しない
3回行動
自動回復(毎ターン10万)あり
ゲージ1本破壊でクリア
という感じで想定しています。
ザビ子は、これをフル強化した赤茶1人で抑えていた事になります。

・UBW来た!これで勝てる!
いいえ、また時間稼ぎです(無慈悲)
キャットの口調の次に大変だったのが、UBWの詠唱シーンでした。
「Fateの二次創作で、UBWのスペル間違えたらさすがにヤベェ!」の精神で、かなり気を使って書きました。
後日「コピー→張り付けでいいじゃん!」という事に気付き、膝から崩れ落ちましたが。

・『神話礼装』ってこういう設定だっけ?
だいぶ独自設定にしてしまいました。
おそらく、本来なら地上での使用は想定していないと思います。
……大気圏内を光速で動いたら大惨事ですし。

・サーヴァント達の問題点?
今作では
赤王様→ビースト疑惑があるが、月にいるならば大丈夫そう?
赤茶→冬木聖杯戦争の重要参考人、色々トラブルを招くかも?
タマモ→太陽神の分霊、一番危険。
という認識にしています。
EXTELLAで赤茶に新たな設定が追加されましたが、今作の赤茶は『ザビ子と共に勝ち残った』状態です。
よって、今作の赤茶はまだアンチセルとか知りません。

・BBちゃんのお風呂シーン!
むしろ、彼女は集中治療室行きです。
BBちゃんの状態を箇条書きしますと
数週間単位で休み無しのオーバーワーク
気晴らしでザビーズの様子を覗いたら、ネロ&エリのコンサート
キャットの移動を知り、慌てて音声通信プログラムを作成、ザビーズの端末を遠隔操作でアップデートして警告
ザビーズの記憶が戻ったのを知り、「月に帰ろうとするんだろうな…」と思いながら、ムーンセル帰還用プログラムを作成
キャットの強制送還と神話礼装の制御を同時進行で行う
上記の作業でボロボロでも、それをザビーズに悟らせない
こんな感じです。
…自分で書いておいてなんだけど、BBちゃん頑張りすぎだよね!?
こんなにボロボロでも、久々に先輩と話せたから、本人的には満足だったりします。

・結局ムーンセルの方がカルデアより上なの?
演算装置に関してはそうなります。
ただムーンセル側も、カルデアの現状を知れば仰天するでしょうが。
「何で神霊がウヨウヨしているんだよ!」「同じ顔が多すぎる!」「何で死んでないのにサーヴァントになってんだよ!」といった感じで。

・え?ぐだ男、薬を盛られているの!?
FGOの二次創作で、ぐだ男がTS薬やショタ化薬を飲まされている展開がよくあります。
………ここのぐだ男も同様です。
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