ルーラー喚ぼうとしたら、なんか違うのが来たby聖杯   作:陣代高校用務員見習い

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大変お待たせしました。
今回はほとんど説明回です。


あれからby聖杯

sideキシナミ

 

 

この町に現れてから数日経った。

その間、本当に色んな事があった。

 

普段着を選びにいったら、セイバーが店ごと買い占めたり。

服を選んだら、いつの間にか自分の手に焼きそばパンがあったり。

はくのんがいつの間にかプレミアムロールケーキを頬張っていたり。

麻婆を食べたり。

ご近所の藤村さんと知り合いになったり。

特に大河さんと仲良くなったり。

時々アーチャーさんがブッ壊れたり。

麻婆を食べたり。

はくのんが自分にメガネをかけさせようとしたり。

その豪遊ぶりから、セイバーが商店街の有名人になったり。

公園で遊んでいる赤毛の少年を見たアーチャーさんが半日寝込んだり。

麻婆を食べたり。

セイバーが芸能プロダクションの人から「せめて名刺だけでも!」と声をかけられたり。

アーチャーさんが『深山の顔黒メガネ主夫』のアダ名をつけられたり。

はくのんとセイバーが、老舗の呉服屋『詠鳥庵(エイドリアン)』でプチファッションショーをしたり。

そして麻婆を食べたり。

さらに麻婆を食べたり。

ついでに麻婆を食べたり。

オマケに麻婆を食べたり。

 

 

 

うん、本当にこの数日間は楽しかった。

 

「キシナミ、私は苦労しかしていないような気がするのだが?

さらに言うならば、君たちは麻婆を食べ過ぎだ‼

ついでに、あの呉服屋の名前は『詠鳥庵(エイチョウアン)』だ!」

 

「…アーチャー、1日1麻婆は私達の責務だよ?」

 

「そのような責務はすぐに放棄したまえ。

セイバーも無駄遣いし過ぎだ!」

 

「しかしだなアーチャー、せっかくBBがあれだけの資金を用意したのだぞ?

であれば、使わなければ損ではないか!」

 

うん、あの金額には驚いた。

まさか国家予算級の貯金が用意してあるとは。

ひょっとして、セイバーの金の使い方次第で、国が傾くのでは?

 

「実際に国を傾けていたような気がするが、まぁいい。

3人とも夕飯後に大事な話がある。

必ず家に居るように」

 

「ん?アーチャーよ、もしや?」

 

「ああ。少し時間がかかったが、ある程度はまとまった。

一度、情報を共有しておきたい」

 

 

 

 

 

 

 

「さてマスター、そしてキシナミ。

一度現状を確認しておきたい。

まず最初に、私とセイバーの状態だ」

 

二人の状態?

 

「そうだ。我々は元々ムーンセル所属のサーヴァントだ。

地上で現界した事による影響を調べていた」

 

「…結果は?」

 

「まず戦闘力などの基本的な部分は、ムーンセルにいた頃と変化ない。

魔力の流れは『冬木聖杯』からは完全に途絶えていて、マスター経由でムーンセルから来ているので間違いないようだ。

ただし、召喚された際に『冬木聖杯』から一部知識が追加されている。

主に『冬木聖杯戦争のルール』と『現代知識』だな」

 

「…言われてみれば、ローマ皇帝のセイバーが横断歩道知ってたよね?」

 

クレジットカードで爆買いしてたよね。

 

「うむ。そう言えば、何故か知っておったのだ」

 

「近代出身の私ならともかく、古代ローマ出身のセイバーが知っているはずがない。

間違いなく知識が追加されている。

だが現代知識に関してはさほど問題ではない。

重要なのは聖杯戦争関連の情報だ」

 

「…どんな内容?」

 

「余が知っている限りでは、召喚されるサーヴァント数は基本的に7騎のみ。

しかも各クラス1人のみのようだな。

また、ムーンセルの1vs1のような決闘方式ではなく、出会ったら即戦いになるようだぞ?」

 

それって何でもアリという事かな。

 

「全く制限が無いわけではないがな。

少なくとも神秘の秘匿は遵守しなければならない」

 

「…『神秘の秘匿』って何?」

 

「そうか、まずそこから説明が必要か。

二人とも、この世界が平行世界なのは知っているな?」

 

うん、BBのメールにも書いてあったし。

凛に聞いていた話と世界情勢が違うし。

なによりも『西欧財閥』がない。

だから此処は、ムーンセルのあった世界とはだいぶ異なるようだね。

 

「その通りだ。そして異なる点の一つが『地球の魔力』の有無だ」

 

「…?」

 

「最初から説明すると長くなるので、簡単に説明するぞ。

本来、地球の大気には魔力が含まれている。

『旧時代の魔術師(メイガス)』はこの魔力を利用し、魔術などの神秘の力を行使していた。

だが我々のいた世界は1970年代に起きた大崩壊により、地球の魔力は枯渇している。

実際のところ『大崩壊の影響で魔力が枯渇したのか』もしくは『魔力枯渇の影響で大崩壊が起きたのか』は不明だ。

何はともあれ、この魔力枯渇により魔術は失われた。

結果、メイガスは衰退していった」

 

そうか、その後に登場したのが。

 

「そうだ。自らの魂を霊子化させて電脳空間を駆ける『次世代の魔術師(ウィザード)』だ。

だが、この世界は地球の魔力が健在だ」

 

「…つまり、メイガスも健在?」

 

「間違いなくな。

少なくとも聖杯戦争の参加者はメイガスが大半のようだ。

そして、このメイガスというのが、結構アレでな」

 

アレ?

 

「神秘の秘匿さえ守られていれば、非人道的な事も結構やるというか。

所謂、人でなしが多いのだ」

 

「なるほど。アーチャーが気にしているのは、奏者達がそのメイガス達に狙われる可能性だな?

しかも、昨晩の余の感覚が確かなら…」

 

「そうだ。間違いなく今は聖杯戦争中であり、昨晩かなり強力なサーヴァントがこの町で喚ばれている。

本格的な戦闘はまだ発生していないようだが、それも時間の問題だろう」

 

つまり、これから聖杯戦争に巻き込まれる可能性に警戒しなければならないのか。

ひょっとして、セイバーやアーチャーの事は気付かれているのかな?

 

「奏者よ、おそらく我らはまだ見つかっていないようだぞ。

あれだけ派手に遊び歩いたというのに、今のところ尾行の気配はない。

何度か『皇帝特権』で知覚能力を強化して確認したから間違いないぞ!」

 

なるほど、セイバーはただ豪遊していたわけではなかったのか!

 

「いや、半分以上はただ遊んでいただけのような気がするのだが。

一応私も時々周囲を確認していたが大丈夫そうだ。

おそらく私とセイバーは、冬木のサーヴァントとは色々違うからだろう。

ただし直接サーヴァントに見つかった場合は、さすがにバレるかもしれないが」

 

という事は、うまく立ち回れば聖杯戦争終結まで隠れ続ける事もできるかな。

 

「…正直な話、地上の聖杯には興味ない」

 

自分も同感。

それに地上のメイガス達の聖杯戦争に、部外者の自分達が乱入するというのはマナー違反のような気が。

 

「残念だが二人とも、そう言うわけにはいかないようだ」

 

え?どういう事?

 

「実はここからが本題でな。

BBのメールの『冬木の聖杯が二人に由来するサーヴァントを喚ぼうとした』という部分を覚えているか?」

 

「…うん、誰を喚ぼうとしていたのかな?」

 

「それはわからん。

ここで大事なのは『聖杯が自らサーヴァントを喚ぼうとした』という部分でな。

私が冬木の聖杯から得た知識によれば、緊急時を除き、聖杯が自らサーヴァントを喚ぶ事はない」

 

「…という事は」

 

「おそらく、何かが起きたか、もしくはこれから起きるのだろう。

緊急時に備え冬木聖杯は『裁定者(ルーラー)』のサーヴァントを喚ぼうとしていたようだ。

ちなみにルーラーが喚ばれる場合は主に『結果が未知数な時』『聖杯戦争が世界に歪みをもたらす可能性がある時』らしい。

それ以外のパターンもあるようだが、そこまで詳しくは教えられなかった」

 

これって、実はかなりマズイ?

何かトラブルが起きそうだからルーラーを喚ぼうとしたら、部外者の自分達が割り込んできたという事だよね?

もし冬木聖杯に自我があったら、今頃大激怒しているのではないだろうか。

 

「そうなるな。私もセイバーも、マスター達が無事なら他に言う事はないのだが。さすがにコレは…」

 

「うむ。それに我らが地上にいる間に聖杯が危惧していた『歪み』が発生するやもしれぬ」

 

…………はくのん、ここは一つ。

 

「…うん。私達がルーラーの代わりをしよう。

私達がタマモナインから逃げようとした結果、地上に災いが起きそうだというのは見逃せない」

 

そうだね。

聖杯には興味ないし、聖杯戦争そのものには関与しない。

だけど、その過程や結果で出るかもしれない被害は無視できない。

 

「やはり奏者達はその結論を出したか。

余としても、見知った商店街の者達に不幸があったら悲しい」

 

「私も全力をつくそう。

全員覚悟はいいな?」

 

「無論だ!」

 

「…大丈夫」

 

やろう!

 

「わかった。ではさっそく今晩から、交代で夜番をする事にしよう」

 

「…夜番?」

 

「冬木聖杯戦争は、神秘の秘匿の関係で、基本的に戦闘は夜間だ。

たしかBBが用意した疑似コードキャストの中に『遠見の水晶玉』と同じ効果の物があったな?

それを使い、魔力反応がある部分を定期的に確認するようにしよう。

何かあった場合、すぐに全員を起こすように」

 

「…わかった。アーチャー、夜食よろしくね」

 

しかし、冬木聖杯戦争は夜間なのか。

はくのん、もしガウェインが冬木聖杯戦争に喚ばれていたらどうなっていたんだろうね?

 

「…とりあえず『聖者の数字』が死にスキル化」

 

そうだね。

そもそも『転輪する勝利の剣(エクスカリバー・ガラティーン)』みたいな広範囲&高火力宝具所持のガウェインを市街地で戦わせるような事はしないだろうけどさ。

 

sideout




時間としては、聖杯戦争二日目の夜20時頃になります。
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