ソードアート・オンライン ー白き剣士の英雄譚ー   作:和狼

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和狼「……(土下座)」


カンザシ「……言い訳が有るなら聞くよ?」


和「…………戦闘描写が難しかったんです」


カ「……そう」


和「此れの次の話の都合上、ボス戦を丸々書く必要があって、その分時間が掛かりました」


カ「……確かに今回のお話は長いね。1万3000字超えだよ」


和「後は、その……能力と気分の波の問題でして……」


カ「……能力は兎も角、気分はどうにかしようよ」


和「……………………」


ハジメ「なあ、カンザシ……和狼さんだって頑張ってるんだからさ、あんまり責めてやるなよ。そりゃあ、前の更新から約二ヶ月も掛かっちゃってるから、怒りたくなるのも解らなくもないけどさ……」


カ「はあ……ハジメは和狼さんに対してちょっと甘過ぎるよ……。まあでも、あんまり言い過ぎて臍を曲げられても困るからね。仕方無いけど、今回はこのくらいにしておいてあげるよ」


和「毎度毎度、すんません……。それと……もう一つだけ謝りたい事が有るんですが……」


カ「…………なに?」


和「実はですね、8月──詰まり今月から仕事の量が一気に増える事になりまして、更新が更に遅くなるかもしれないのですよ」


ハ「え、そうなのか? そりゃあ大変だなぁ。身体を壊さない様に気を付けてくれよ」


和「ああ、うん。ありがとね……」


カ「……」


和「……」


──スタスタスタスタ……。


ハ「え? ちょっ、カンザシ!?」


カ「──有罪(ギルティ)!《ツイン・スラスト》ッ!!」


──グサグサッ!!


和「文明開化ァァァアアアアアアア!!?」


ハ「和狼さぁぁぁぁぁん!!?」




Stage.5:最初 ノ 激闘

 

 

 

 

 

十二月四日、日曜日。

遂に、運命の時がやって来た。

 

 

ボス攻略の為に集まった総勢四十八人のプレイヤー達の目の前には、恐ろしげな獣頭人身の怪物がレリーフされた、灰色の巨大な二枚扉が(そそ)り立っている。(まご)うこと無く、ボス部屋の扉である。

此の扉を(くぐ)った先には、第二層へと続く階段を守護する、強大な第一層のボスが待ち構えているのだ。

初となる今回のボス攻略を無事乗り越える事が出来れば、百層攻略という過酷な挑戦だって何時かは終わらせる事が出来る、という希望がプレイヤー達の中に生まれる。

だが、逆に攻略に失敗してしまったり、ボスを倒せても一人でも犠牲者を出してしまおうものならば、プレイヤー達のモチベーションは確実に下がり、ボス攻略に対して消極的な姿勢となってしまうだろう。それ(すなわ)ち、ゲームのクリアが遠退いてしまう事を意味する。

何れにせよ重要な此の一戦。皆の表情には多かれ少なかれ緊張や不安の色が浮かんでいる。

 

「聴いてくれ、みんな……オレから言う事はたった一つだ」

 

 

当然ながら、其れはレイドの先頭に立つディアベルも同様…………いや、レイドリーダーとして他の四十七人を指揮し、レイドを勝利へと導く立場である事を考えれば、彼が感じているであろう緊張や不安は他の四十七人の其れよりも強い筈だ。

だが、彼はその様なプレッシャーにも負けまいと言わんばかりの気迫を(まと)い、力強く声を上げる。

 

 

「…………勝とうぜ!」

 

 

ディアベルの言葉に、意気込みを新たにした四十七人のレイドメンバーが一斉に(うなず)いて返し、各々の得物に手を掛けて闘いに臨む姿勢を見せる。

その様子を確認すると、ディアベルは身を(ひるがえ)して大扉に向き直り、「行くぞ」と一声叫び大扉を思い切り押し開ける。

 

 

四十八人全員がボス部屋へと突入すると、(しばら)くして暗闇に包まれた部屋に、ぼっと音を立てて明りが灯る。

ぼっ、ぼっ、と明りは次々と奥の方へと向かってその数を増やして行き、やがて部屋の様相を(あらわ)にする。

左右の幅(およ)そ二十メートル、扉から奥の壁まで百メートルの長方形の空間には、其の石床や壁にひび割れが見受けられ、大小無数のドクロが飾られている。

そして、部屋の最奥部には粗雑且つ巨大な玉座が設けられており、其処に座する一つの巨大なシルエット────其れが、動き出した。

 

 

「グルルラアアアアッ!!」

 

 

座していた玉座より跳び上がり、大きな地響きと共に着地したのは、明らかに他のものとは異なる威圧感を放つ巨大な亜人型モンスター。

獰猛(どうもう)に輝く赤金色の眼に、青灰色の毛布を纏った二メートル越えの真っ赤な体躯。右手には骨を削って作った斧、左手には革を貼り合わせたバックラーを(たずさ)え、腰の後ろには差し渡し一メートル半は有ろうかという湾刀(タルワール)を差している。

其の見た目は、ハジメやキリト達元ベータテスターの記憶と違わぬ、第一層の守護者──獣人の王《イルファング・ザ・コボルドロード》のものである。

 

 

「攻撃、開始ィ!!」

 

 

ポップした三匹の《ルインコボルド・センチネル》と共に、コボルド王がレイド目掛けて突進する。

其れを迎え撃たんと、ディアベルの掛け声を合図に、プレイヤー達が雄叫びと共に駆け出す。

両陣営の距離が徐々に縮まって行き、やがてレイドの先頭を走るプレイヤーとセンチネルの得物同士がぶつかり合う。

 

 

──ついに、第一層ボス攻略戦の火蓋が切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 

 

 

コボルド王及びその衛兵対四十八人のプレイヤーの闘いは、ゲーマーとしてはまだまだ経験の浅い方であると自覚しているカンザシの目から見ても順調に推移していた。一本目、二本目と削り取り、今は三本目の半ばあたりまで減らした所である。

フロアボスという強力な敵を相手に、ここまでの快進撃を見せている事に対してカンザシは、レイドメンバー個々の戦闘能力、ひいてはレイド全体の戦闘能力の高さが要因の一つであると考えている。

ハジメやキリトといったベータテスター達は言わずもがな、他のメンバー達もデスゲーム開始直後の初心者教室の甲斐あってか、皆ボスや取り巻きの攻撃をまともに受けてしまう事も無く、危なげの無い立ち回りを見せている。転じて攻撃面に関しても、敵の隙を上手く突いて確実にソードスキルを叩き込み、着実に敵にダメージを与え続けている。その為の周りの支援も中々に見事なものである。

 

 

「A隊、C隊、スイッチ!」

 

 

そして、今回のレイドのリーダーを務めるディアベル。

前線で闘いながら周りに的確な指示を飛ばし、見事に皆を纏め上げてボス戦をプレイヤー側の優位に進めてみせている彼の実力は、流石の一言である。

レイドリーダーを買って出るだけの事はある、と感心するカンザシ。だが……

 

 

「振り下ろし攻撃が来る! ナギサ、ブロック頼む!」

 

 

「おっしゃア! まっかせとけやァ!」

 

 

「カウンター攻撃、お願いします!」

 

 

「任せろ!」

「了解や!」

 

 

凄いのは何もディアベルだけではなく、若干贔屓(ひいき)目ではあるかもしれないが、ハジメの実力も相当なものであるとカンザシは思う。

ハジメの指示に応え、会議の時とはまるで雰囲気が異なる様子のナギサが一気にコボルド王の下までダッシュすると、ソードスキルを発動させた両手剣でコボルド王の攻撃を弾く。直後、ナギサが生み出した隙を突いてエギルとキバオウが各々の武器による強力な一撃を叩き込み、他のプレイヤー達もそれに続く。

この様に、ベータテストでの記憶と経験を基に即座に対応策を講じ、戦況をきちんと確認して周りの行動の妨げにならない様にと配慮し、その上で戦況をより良くする為の支援(の指揮)を行っている。勿論、こちらもセンチネルの相手をしながらだ。

 

 

「C隊、ガードしつつスイッチの準備……今だ! 後退しつつ側面を突く用意! D、E、H隊、センチネルを近づけるな!」

 

 

「了解です! ナギサ、ケイオン、カラデル……こっちは三人でも何とか行けそうだから、暫くは向こうを頼む!」

 

 

「了解だァ!」

「「おうッ!」」

 

 

今度もまた、相対するセンチネルの残りHPを把握した上で、戦闘の効率化を図ろうと隊の半分を前線へと回す。

そして其の人選に関しても適切だと言える。両手剣使いのナギサに、メイスと盾持ちのケイオン、棍棒使いのカラデルと、火力と支援能力の揃ったメンバーだ。

其れに加えて、普段の戦闘の様子も踏まえた上で考えても、ハジメはとても有能であると言える。そして其れはカンザシだけの私見ではなく、D隊メンバー全員の総意でもある。

当の本人は其れを否定し、謙遜(けんそん)しているが、それでも彼女らはハジメの事を高く評価している。ゲームの技術面だけに限らず、ハジメの人間性に関してもだ。

そんなハジメに対して何時からか憧れを(いだ)く様になり、何時の日か彼の隣に追い付きたいと思っているカンザシは、先ずは目の前に映る敵を倒さんと、得物を握る手に力を込めて意気込む。

 

 

「おりゃおりゃおりゃおりゃおりゃアァ!」

 

 

その矢先に背後から聴こえて来た勇ましくも荒々しい口調の声に、思わず表情を引き()らせてしまったカンザシは、上半身を(ひね)って振り返る。

振り返った先では、口調に(たが)わぬやたらと好戦的な雰囲気のナギサが、両手剣を滅茶苦茶に振り回してコボルド王にダメージを与えていた。

彼のそんな様子に、其れを横目に(うかが)いながらも闘っている周りのプレイヤー達は、その殆どがカンザシ同様に引き攣った表情を浮かべている。

 

 

「……ボス戦が始まってからずっと思ってたんだけど……なに、アレ……」

 

 

「あー、アレなぁ……」

 

 

こちらもまた表情を引き攣らせながら「俺も久しぶりに見たわぁ」と呟くハジメは、ナギサの豹変に関して簡単な説明を行う。

 

 

「何でなのかは全然解らないけど、ナギサは武器を手にするとあんな風に性格が変わって、やたらと好戦的になっちまうみたいなんだ」

 

 

「つまり、ちょっとした二重人格って事?」

 

 

「まあ、そういう事になるのかな」

 

 

「そ、そうなんだ……」

 

 

「アイツをどうにかするのは多分無理だ。だから馴れろ。若しくはそういう奴なんだと割り切って諦めろ」

 

 

「因みに、俺らはもう慣れた」と付け加えて語るウツホの言葉に、カンザシは彼らに対して同情の念を(いだ)かずにはいられなかった。

 

 

「それよりも今は、スイッチ頼むわ」

 

 

「あ、はいっ!」

 

 

ボーっとしていたカンザシだったが、逆手で握った短剣でセンチネルの得物を受け止めているウツホの応援要請を受けると、我に返ってハジメと共にウツホの元へと駈け出す。

其れを確認すると、ウツホはセンチネルのガラ空きの腹部へ目掛けて蹴りを入れ、突き飛ばすと共に後退する。其の直後にハジメが素早くセンチネルに詰め寄り、斬撃にて得物である長斧(ハルバード)を弾き上げると、すかさずカンザシが槍の基本技《スラスト》にて唯一の弱点である(のど)元を貫く。

其の一撃にてセンチネルのHPはゼロとなり、青いポリゴン片を撒き散らして消滅した。

其れとほぼ同じタイミングで、他の二ヶ所に於いてもポリゴン片が撒き散らされる。

 

 

「クルルラアアアアッ!!」

 

 

そこから少しの間を置いて、コボルド王の雄叫びが上がる。三本目のHPバーを削り切った様だ。

最前列のディアベルが「ラスト一本!」と叫んだ直後、壁の穴から最後のセンチネル三匹が飛び出して来た。其れに伴い、前線に上がっていたナギサ達も戻って来た。

 

 

この第一層ボス攻略戦もいよいよ大詰めだ。

視界の端に、何やら穏やかとは言い(がた)い雰囲気で会話をしているキリトとキバオウの姿を見付けたが、このまま最後まで何の問題も起きずに、無事に終わって欲しいと願うカンザシ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──しかし、そうした切実なる願いを無慈悲に裏切るのが、世の常というものである。

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 

 

 

「やあッ!」

 

 

戦況は更に進行する。

たった今、カンザシがソードスキルの一撃でセンチネルの一体を倒し、キリト達が先んじて倒した一体と合わせて二体。残りは一体だ。そして其の一体も、HPは残り半分を切っている。此方は直ぐにでも方が付く事だろう。

コボルド王の方へと視線を向ければ、途中から前線に上げたナギサ達増援メンバーの活躍もあり、HPゲージは間も無くレッドゾーンに差し掛かろうとしている。

 

 

「ウグルゥオオオオオオオオーーーー!!」

 

 

そして、プレイヤーの一人が放った一撃によって、とうとうコボルド王のHPゲージが赤色に染まった。

これまでよりも一際猛々(たけだけ)しい雄叫びを上げると、コボルド王は持っていた骨斧と革盾を同時に投げ捨て、腰の後ろに差した湾刀(タルワール)へと手を掛ける。

 

 

「情報通りみたいやな」

 

 

「下がれ! 俺が出る!」

 

 

其れを見るや、ディアベルは他のメンバーに下がる様にと指示を出し、自分は皆よりも前に躍り出てソードスキル発動の構えを取る。

そんなディアベルの言動に、ハジメは疑念を(いだ)いた。何故他のメンバーを下げて一人前に躍り出たのか? 此処は一旦様子を見るか、全員でボスの周りを取り囲むのがセオリーである筈なのに、と。

其れと同時に、ハジメは得体の知れない胸騒ぎを感じていた。このままではまずいと、ハジメの本能が警告音を鳴り響かせているのだ。

だが、物事は常に無情だ。ハジメの疑念や不安の正体が晴れる間も無く、コボルド王が腰の湾刀(タルワール)を引き抜いた……

 

 

「…………ッ……!」

 

 

途端、ハジメは己の顔が青ざめる様な感覚に見舞われると共に、胸騒ぎの正体を(ようや)く理解した。

湾刀(タルワール)……ではないのだ。コボルド王が引き抜いた第三の得物の正体は。

緩く反った刃はベータテストの時のものと同じなれど、其の幅はベータ時のものと比べると明らかに細い。更には其の輝きも、粗雑な鋳鉄(ちゅうてつ)のテクスチャなどではなく、鍛えられ、研ぎ上げられた鋼鉄の色合いをしている。

そして、ハジメは其れに良く似た武器の存在を知っている。

 

 

「駄目だ! 全力で後ろに跳べーーッ!!」

 

 

同じく気付いた様子のキリトの叫び声が響き渡る。

其れとほぼ同時に、ハジメは身を翻してコボルド王の元へと駆け出す。背後から聴こえて来るカンザシ達の声も無視し、今己が持てる敏捷力(びんしょくりょく)の全てを出し尽くしてボス部屋を駆け抜けて行く。

そんな彼の視線の先では、コボルド王が床を揺るがして垂直に跳び上がる。空中で其の巨体をぎりりと捻り、武器に威力を溜める。そして、落下すると同時に蓄積されたパワーを周囲に解き放つかの如く其の凶刃を振るった。

 

 

「ウグルァァアアッ!!」

 

 

「ぐぁぁああッ!!」

 

 

水平軌道、三百六十度に影響を及ぼす《カタナ》専用ソードスキル、重範囲攻撃《旋車(ツムジグルマ)》。

そう──コボルド王が持ち替えた武器は、カタナカテゴリに分類される《野太刀》だったのだ。

そして、其れの餌食(えじき)となったのは、当然の如く一人躍り出たディアベルだ。視界に表示された彼のHPゲージは、一気に五割を下回ってイエローに染まった。

その様な惨状を見ても、直ぐに動こうとする者は前線メンバーの中には居なかった。いや、誰も動けなかったという方が正しいだろう。

無理も無い事だろう。頼るべきレイドリーダーのディアベルが一撃で打ち倒されたというだけでもショックであるのに、其の攻撃が全くもって予期していなかった未知のソードスキルであり、自分達には其れに対処出来る術が無いのだから。

 

 

「ウグルルルルルルゥ……」

 

 

緊迫した空気の中、コボルド王の逆襲はまだまだ続く。

野太刀を両手で握り、床すれすれの軌道を描きながら、先の攻撃の効果で一時的行動不能(スタン)状態に(おちい)ってしまったディアベルへと迫る。

コボルド王が放とうとしているのは、相手を宙に浮かせるソードスキル《浮舟(ウキフネ)》。其れ自体は大したダメージを与える事は出来ないが、だからと言って決して安心出来る様なものでもない。《浮舟》の恐ろしい所は、其れがスキルコンボの開始技であるという事。つまり、《浮舟》を喰らった直後には更なる攻撃が待ち構えているという事である。

そして、ベータの第十層に於いて幾度となく闘った経験からハジメが次に来ると予測する攻撃は、上、下の連撃の後、一拍溜めてからの突きという三連撃技《緋扇(ヒオウギ)》。現状HPが半分以下のディアベルが此れをまともに喰らってしまえば、HP全損は免れないだろう。そして、彼を失ったレイドはほぼ確実に崩壊する。

 

 

「させるかぁぁぁあああああッ!!」

 

 

そんな最悪の事態に陥らせはしない。それに何より、目の前で仲間を死なせてはなるものかと、ハジメは残り数メートルに縮まった距離を全速力で駆け抜ける。

そして遂に、其の思いが見事に通じて、どうにか攻撃が当たる直前にディアベルの元に辿り着く事が出来た。

だが、凶刃は直ぐ後ろにまで迫っており、まともに身動きの取れないディアベルを助け起こして二人一緒に攻撃を(かわ)す余裕など殆ど無い。ならばと……

 

 

「うわぁッ!?」

 

 

ハジメは走って来た勢いそのままにディアベルを突き飛ばし、ディアベルをコボルド王の攻撃の軌道上から強引に押し退()けた。

突き飛ばされた事と、自分が庇われた事の二重の衝撃に驚愕するディアベルに、優しく微笑んでみせるハジメ。

 

 

「ウグルオッ!!」

 

 

「ハジメくぅぅぅぅぅん!!?」

 

 

直後、其の笑顔は一瞬にしてディアベルの目の前から消えた。コボルド王の凶刃が、《浮舟》の軌道上に残ったハジメの身体を捕らえて打ち上げたからだ。

ディアベルを突き飛ばした事で不安定な姿勢となったまま打ち上げられてしまったハジメは、当然まともな受け身など取れない状態のままコボルド王の更なる追撃──ハジメの予測通り、《緋扇》を喰らってしまい、二十メートル近くも宙を舞ったのであった。

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 

 

 

「ハジメェェェエエエエエ!!?」

 

 

ハジメがディアベルを庇ってコボルド王の連続攻撃を受けた光景を見て、カンザシの心中は恐怖や不安などといった感情によって穏やかではなかった。

最初にディアベルを打ち倒したソードスキルですら、満タンだったHPを半分以上も削り取る凄まじい威力だったのだ。違う技であるとはいえ、それ程の凄まじいボスの攻撃を連続でまともに受けたともなれば、HP全損の可能性だって有り得る。──つまり、ハジメが死んでしまうという事である。

 

 

 

 

 

 

──ハジメが、死ぬ……?

 

 

 

 

 

 

──自分を死の危機から救ってくれた《恩人》が、死ぬ……?

 

 

 

 

 

 

──自分が憧れを(いだ)いた《英雄(ヒーロー)》が、死ぬ……?

 

 

 

 

 

 

──追い付きたいと、隣に立ちたいと《目標》にした存在が、死ぬ……?

 

 

 

 

 

 

──優しくて、暖かくて、まるで《陽だまり》の様な存在の彼が、死ぬ……?

 

 

 

 

 

 

──好きになった……大好きな彼が、死ぬ……? 死んでしまう……?

 

 

 

 

 

 

──嫌だ……。

 

 

 

 

 

 

──イヤだ。

 

 

 

 

 

 

──いやだ!

 

 

 

 

 

 

──いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだッ!!

 

 

 

 

 

 

「いやぁぁああ! ハジメッ! ハジメェェェエエエエエ!!」

 

 

カンザシは周りの目など一切気にせずに泣き喚きながら、ほぼ突き刺さる様にして落下したハジメの元へと脇目も振らずに駆け寄る。

その一方で、パーティーの要とも言えるディアベルとハジメの二人が戦闘不能に陥った事でプレイヤー側が浮き足立ってしまい、戦闘の流れが一気にコボルド王側へと傾いてしまった前線では、技後硬直(ポストモーション)から解放されたコボルド王が新たな獲物を求めて動き出そうとしていた。

だがしかし、コボルド王が再び襲い掛かって来るよりも前に、前線メンバーはB隊リーダー・エギルの指示で後退を始めており、物理的なダメージと、自分を庇ってハジメが倒れた事への精神的なダメージから動けずにいたディアベルも、カラデルとB隊メンバーの一人が無事に運び出している。彼は今、二人に肩を貸して貰いながらハジメの元へと向かっているところだ。

 

 

「ハジメッ! しっかりしてッ! 死なないでッ!」

 

 

視点はハジメ達の方へと戻る。

ハジメの元へと辿り着いたカンザシは、両の目から(あふ)れ出て来る涙を拭おうともせず、急いでハジメのHPを確認する。彼のHPゲージは既に全体が真っ赤に染まっていたが、幸いにして三割を少し切った所で減少は止まった。

だが、現状心穏やかではないカンザシはそこまで確認する程の余裕などは無く、慌ててストレージからポーションの瓶を取り出して、其れを意識を失っている様子のハジメの口に(くわ)えさせる。

 

 

「……ん……んん……。……カン、ザシ……?」

 

 

瓶の中身が全てハジメの体内へと流れ込み、三匹目のセンチネルを先に片付けて来た為に少し遅れたキリトとウツホ、そしてキリトと同じH隊のメンバーであるフーデットケープ姿のプレイヤーが駆け寄って来た所で、ハジメは漸く意識を取り戻した。

其れを確認した途端、カンザシはハジメが生きていた事への嬉しさから、くしゃっと顔を歪め、ゆっくりと身を起こしたハジメに勢い良く抱き付いた。

 

 

「ハジメのバカッ……! あんな無茶して……! ハジメが死んじゃうのかと思って、すごく……すっごく心配したんだからッ……!」

 

 

「……心配掛けてゴメンな、カンザシ……」

 

 

抱き付かれた事に一瞬驚愕したハジメは、自身の胸に顔を(うず)めて泣き続けるカンザシを見て、酷く不安にさせてしまった、心配をさせてしまった様だと深く反省し、安心させるべく彼女の身体を抱き返す。

勿論、自分を心配して駆け付けて来てくれたキリト達の事も忘れてはおらず、彼らに対してもまた心配を掛けた事を()びる。

そして、此の空間にはもう一人、自らの軽率な行動を後悔・反省し、自らが犯してしまった罪を詫びたいと思っている者が存在した。

 

 

「…………ハジメくん……」

 

 

ディアベルだ。

カラデルとB隊メンバーの一人に支えられてやって来た彼は、ハジメ達の元に辿り着くなりボス部屋の床に両の膝を付いて座り、手のひらもまた床に付けると、床に額をぶつけん勢いで頭を下げた。所謂(いわゆる)土下座である。

 

 

「すまなかった! 俺の軽率な行動の所為で君の命を危険にさらしてしまって、本当に……本当に申し訳ない!!」

 

 

「頭を上げて下さい、ディアベルさん。──今はまだ、その時じゃありませんよ」

 

 

必死に謝罪の意を示すディアベルに、しかし、ハジメはディアベルの謝罪の言葉を聞き入れはせず、その場に居る者達の意識を誘導するべくある一点を指差す。

其れに釣られて、全員がハジメが指差す先へと視線を向けると、其処にはB隊が中心となってコボルド王の猛攻を必死に防ぎながら、少しずつ、ゆっくりと後退しているレイドメンバー達の姿が在った。

 

 

「謝罪だったら後でゆっくり受けます。其れよりも今は、ボスを倒すのが先決だと思います」

 

 

ハジメの言い分に、謝罪および処罰を後回しにされた事に複雑な気持ちとなるディアベルだが、其れよりも今はボスの排除が先決であると思い直して頷く。他の者達も、後者の言い分に対して同意的な反応である。

 

 

「だがすまない……。オレはボスが使っているソードスキルに関して、何の情報も持ち合わせていないんだ……」

 

 

「……いや、大丈夫だ。奴のカタナスキルの情報なら、俺が持ってる」

 

 

ボスのスキルに関する情報を持ち合わせていない、というディアベルの発言に手詰まりになってしまったかと思われたが、何かしらの決心が付いたと思われる表情をしたキリトの告白により、一同の目に危機打開の光明が見えた。

 

 

「なら、キリトくんはボスの相手を頼む。その間、オレはあっちの対処をする」

 

 

そう言ったディアベルの視線の先では、これまた情報には無かった、だがしかしボスの仕様変更の時点で有り得るかもしれないと予想していた事態──五度目のセンチネルのポップが起こっていた。しかも、その数は今までよりも一匹増えて四匹となっている。恐らく今後はコボルド王が生きている限り、四匹のセンチネルが定期的に何度でも湧いて出て来るだろう。

ならば一気にボスを倒してしまった方が良いのではと思うだろうが、弱っているとしてもボスはボス。多勢で攻めた所で簡単に倒す事が出来る様な相手ではない。苦戦している間にセンチネルに襲われてしまっては元も子もあるまい。

そして何よりの問題なのが、現状コボルド王の猛攻を必死に(しの)いでいるメンバー達のHPだ。未知のスキルに苦戦を強いられている上に、一撃一撃の威力が高い為に彼らのHPはガンガン削られており、回復も碌に間に合っていない。その様な状態の彼らに特攻を行わせるなど、彼らをむざむざ死なせに()かせる様なものだ。

 

 

「……俺が倒しても構わないんだな?」

 

 

「オレには、もうその資格は無い……。だから頼む──君がボスを倒してくれ」

 

 

「……了解した」

 

 

最後にキリトとディアベルの間で何かしらの確認が行われたのを皮切りに、此の場に集まった者達が各々自分が就く役割を表明していく。

フーデットケープ姿のプレイヤーは、キリトのパーティーメンバーだからという理由でボス側に。B隊のメンバーは一先ずはエギルの元に戻り、彼の意向に従うとの事。

 

 

「なら、俺もキリトさん達と──」

 

 

「ダメッ! ハジメはまだHPが充分に回復してないんだから、暫くの間大人しくしてて!」

 

 

「いや。でも──」

 

 

「お・と・な・し・く・し・て・てッ!!」

 

 

「……………………はい……」

 

 

自分もカタナスキルの情報を持ち合わせいる為、キリト達と共にボス側に回ろうと言おうとしたハジメであったが、HPが充分に回復していない事を理由にカンザシが其れを止める。

此のゲームに於ける回復ポーションというのは、飲めば一瞬でHPゲージがごそっと戻るのではなく、一ドットずつじわじわとしか増えない仕様になっている。しかも一瓶飲むと視界下部にポーションの冷却待ち(クーリング)アイコンが表示されて、其れが消えるまでは次の瓶を飲んでも効果は発揮されない。おまけに、第一層のNPC商店にて売られている低級品の味はお世辞にも良いとは言えない。

味については兎も角として、詰まる所重傷を負ったハジメが戦線に復帰出来る様になるにはかなりの時間が掛かる、という事なのだ。にも(かかわ)らず食い下がろうとするハジメにカンザシは若干の苛立ちを覚え、表情を一層険しくして更に厳しく言い聞かせる。カンザシに凄まれたハジメは、彼女のあまりの迫力に気圧されて素直に頷くしかなかった。

因みに、同じくボスの攻撃を喰らってしまったディアベルだが、彼の場合は半分を少し切る程度で済んでおり、既にポーションを飲んでグリーンにまで回復させている為にストップを掛けられれる事はなかった。

 

 

「その間、私がハジメの代わりにボスの相手をする!」

 

 

さておき。

ハジメの代行として、遣る気に満ち(あふ)れた表情でボスの相手を買って出るカンザシ。

カンザシ自身、知識も実力も足りない自分では、ハジメの代わりを務めるには力不足であるという事は充分に理解してはいる。だが、それでも彼女は、ハジメを死の間際まで追いやったコボルド王に対する怒りを抑える事が出来ず、せめて一矢を報いたいと思っているのだ。

 

 

「なら俺は、コイツが無茶しでかさない様に見張っておくとしますかねぇ」

 

 

最後にそれまで静聴していたウツホが、殆ど消去法に近い形でハジメの監視役を引き受ける事が決まる。

 

 

「よし、みんな──行くぞ!」

 

 

「「「おうッ!」」」

 

 

そしてキリトの号令を受けて、各々自分で決めた持ち場へと走り出す。

その最中、隣を走るフーデットケープ姿のプレイヤーが激しくはためくケープを剥ぎ取り、美しく整った素顔を露にした事にはカンザシも驚き、彼女の美貌に一瞬だが目を奪われたが、直ぐに気持ちを引き締め直して憎きコボルド王を睨み付ける。

 

 

「アスナ、カンザシ、手順はセンチネルと同じだ! 俺が奴の野太刀をソードスキルで跳ね上げさせるから、すかさずスイッチで飛び込んでくれ!」

 

 

「「解った!」」

 

 

前方では、コボルド王が両手で握っていた野太刀から左手を離して、左の腰だめに構えようとしている。

そのモーションを見た瞬間、キリトもまたソードスキルを始動させてコボルド王へと突っ込む。咆哮と共に左から突き上げた彼の剣の軌道と、コボルド王の野太刀による居合切りの軌道が交差し、甲高い金属音と共に大量の火花が弾けた。

 

 

「セアアッ!!」

 

 

「せいッ!!」

 

 

キリトが生み出した隙を逃さず、アスナと呼ばれた少女が細剣(レイピア)によるソードスキルの一撃にてコボルド王の右腹を深々と打ち抜き、次いでカンザシも反対側の腹部に《スラスト》を打ち込む。其れによりコボルド王の四段目のゲージは僅かに、だがしかし確かな幅で減少する。

 

 

「……次、来るぞ!」

 

 

その行程を二度、三度と繰り返す。『塵も積もれば山となる』という(ことわざ)が示す意味の通り、コボルド王のHPは着実にゼロへと近付いて行く。

だが、良い流れというものは得てして長くは続かないものである。

 

 

「しまっ……!!」

 

 

上段から来るかと思われた野太刀が、くるりと半円を描いて動き、真下から跳ね上がって防御姿勢の取れないキリトの身体を正面から捉える。

弾かれ、アスナを巻き込んで吹き飛ばされるキリト。当然そんな二人を見逃す筈も無く、追い討ち掛けんと凶刃を振り(かざ)して迫り寄るコボルド王。その刀身を染めるのは血の様な赤色──先程ハジメを襲ったのと同じ三連撃のソードスキルだ。

自分では其れを防ぎ切る事は出来ないだろうし、何よりも満タンのHPを一気に半分以下にまで減らす様な攻撃に対して、恐怖を(いだ)かずにはいられない。しかし、だとしてもカンザシは目の前の仲間を見殺しになどしたくはないと、勇気を振り絞りって二人とコボルド王の間に割って入り、水平に構えた槍を(かか)げて防御の構えを取る。

 

 

「せりゃああッ!!」

 

 

「ぬ……おおおッ!!」

 

 

カンザシに襲い掛かる寸前であった凶刃は、しかし両者の間に更に割って入った影によって弾かれ、直後には彼女達の頭上を(かす)める様にして、巨大な武器が緑色の光芒を引きながらコボルド王の巨体へと撃ち込まれた。

 

 

「間一髪間に合ったな」

 

 

「ハ、ハジメッ!?」

 

 

カンザシ達を助けた影の正体は、HPを半分近くまで回復させたハジメとエギル。更に後ろからはB隊のメンバー達が駆け抜けて行く。

何故回復し切っていない状態のハジメが此の場に居るのかと、カンザシは後ろを振り返って見張り役であった筈のウツホの姿を探す。見付けた彼はカンザシの視線に気付くと、やれやれと呆れた様子のポーズを取ってみせる。其れで何となく察した……ハジメは、自分達を助ける為にまた無茶をしたのだと。

 

 

「大丈夫だったか、カンザシ?」

 

 

「大丈夫だったか……じゃないよッ! HPもまともに回復し切ってないのに、また無茶な真似してッ!」

 

 

「わ、悪い……。けど、カンザシだって今のはちょっと無茶だったと思うぜ」

 

 

「そ、それは……」

 

 

「痴話喧嘩をするなとは言わないが、するにしても時と場合ってもんを考えてくれよ、お二人さん」

 

 

「「あ、はい。すいませんでした……」」

 

 

そうまでして助けてくれた事には勿論感謝している。だが同時に、自分の命を(かえり)みず、他人の為に平気で無茶な真似を繰り返すハジメに対して(いきどお)りを感じており、尚も自分の心配をしてくれる彼に対してカンザシはその憤りをぶつける。

対してハジメは己の非を認めつつも、カンザシの行動も無茶であったと指摘する。其れを半ば認めつつも反論しようとしたカンザシだったが、その前にエギルにより(たしな)められてしまい、今がまだ戦闘中である事を思い出してハジメと共に素直に謝る。とりあえずハジメへのお説教は後回しにする事にして、カンザシは思考を戦闘モードへと戻した。

因みに、今の遣り取りを聴いていたキリトはつい思ってしまった…………ハジメとカンザシは『痴話喧嘩』の部分を否定はしないのか、と。

 

 

「それはさておき。ダメージディーラーのあんたに(タンク)をやらせちまってすまなかったな。回復するまで、俺達が支えるぜ」

 

 

「ハジメも、お願いだからせめてグリーンに戻るまで大人しくしてて」

 

 

「…………すまん。頼む」

 

 

「…………わ、解った……」

 

 

それはさておき。

片やエギルの好意に甘え、片やカンザシの切願に折れて、エギル達にボスの相手を任せてHPの回復を待つ事にしたキリトとハジメ。

暫くは善戦が続き、どうにか二人のHPもギリギリ安全圏まで回復する事が出来たが、其れを見計らったかの如くコボルドが動きを見せた。垂直に跳び上がって空中で身体を捻るその動作は、野太刀に持ち替えてから最初に繰り出したソードスキルのモーションだ。

 

 

「危ないッ!」

 

 

「クソォッ!」

 

 

其れを視認した瞬間、ハジメとキリトは剣を右肩に担ぐ様に構えて、ほぼ同時に右足で思い切り床を蹴った。

ああ、ハジメはまた他人の為に無茶をして。此れはお説教の時間を延長しなくては、などと考えつつ、自分も何時でも動ける様にと準備をするカンザシ。そんな彼女の視界の先では、二人が斜め上空へと弾丸の様に飛んで行き、その剣でスキルを発動させる直前のコボルド王の巨体を捉えていた。

 

 

「「カンザシ(アスナ)、最後の攻撃、一緒に頼む!!」」

 

 

「「了解!!」」

 

 

同時に叫ぶ二人に、こちらもアスナとほぼ同時に応え、床へと叩き付けられたコボルド王目掛けて走り出す。

HPが残り僅かとなったコボルド王は最後の足掻きとばかりに野太刀を振り下ろして来るが、先の攻防と同様にキリトが其れを弾き、隙を突いて初めにアスナがコボルド王の脇腹へとソードスキルを撃ち込む。

その次にカンザシ。此れまでの単発突きの《スラスト》ではなく、二連撃突きの《ツイン・スラスト》を選択し、コボルド王の腹部の一点に素早く二回連続で攻撃を撃ち込む。

三番手はハジメ。コボルド王の左肩口から腹までを斬り裂いたかと思えば、直後に素早く剣を斬り上げてVの字の軌跡を描いた。

 

 

「お……おおおおおおッ!!」

 

 

其れでも尽きないHPを、キリトがハジメが使ったものと同じソードスキルを右肩口から叩き込み、そして──完全に削り取った。

直後、コボルド王の巨体が不意に力を失い、後方へと蹌踉(よろ)めく。

 

 

「うぐるぁぁぁあああああ…ああ……あ…………!!」

 

 

天を仰ぎ、断末魔の咆哮を上げたコボルド王の身体に無数の亀裂が入る。やがてその亀裂が全身にまで広がると、その身体を大量のポリゴン片へと変えて盛大に四散させた。

アインクラッド第一層のフロアボス、《イルファング・ザ・コボルドロード》は、今此処に消滅したのだ。

 

 

──Congratulations!!

 

 

同時に、後方に残っていたセンチネル達も四散し、空中にはプレイヤー達の勝利を祝福するメッセージが浮かび上がる。直後に、其れの意味を理解したプレイヤー達が一斉に歓喜の雄叫びを上げた。

 

 

ボスの仕様の変更、要となるメンバー二名の一時戦闘不能などといった波乱は有りはしたが、ともあれ第一層ボス攻略は無事に終了──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────ちょっと待てよ!!」

 

 

 

 

 

 

──となる筈だったのだ……。

 

 

 

 

 

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