実はまた一時間後にもう一話投稿予定です
楽しんでもらえたら、嬉しいです
西暦2619年 タイの首都バンコクの郊外にあるコンサートホール。そこに黒い一台の車が停止する。車から現れたのは、黒いサングラスを付た小町小吉と金髪の美女 ミッシェル・K・デイヴズの二人。
「タイか‥来るのは初めてだな」
そう呟く小町の視線は、目の前のコンサートホールに向けられている。コンサートホールからは、離れているにも拘らず僅かに熱気の籠った声が聞こえる。
「もう始まってるのか‥急ぐか」
そう言ってコンサートホールに向かって歩くと思われた小町の視線が後ろに在る車の助席に向けられる。
「だから、早く起きてくれない?」
呆れる様に車の助席に座っている青年の肩を揺らす。しかし、眠っているのか全く起きる気配がない。小町は諦めた様に控えていたミシェルにバトンを渡す。
「ミッシェルちゃんお願い」
「おう」
小町からバトンを受け取ったミッシェルは、拳を握り大きく振り上げ…
「起きろッ!!」
「ッ!!??」
青年の頭に叩き落しす。ゴツンと言う鈍い音と共に青年の目が激痛と共に覚める。
「痛って~~」
「着いたのに、何時までも寝てんじゃねえよ、バカ」
頭を抑えながら青年は車から姿を現す。黒い髪を小町と同じヘアスタイルにしている。目はツリ目で若干目つきが悪い。黒いスーツと相まって、どこぞのマフィアやヤクザを連想させる。
「さて、そろそろ行くか。本格的に時間がヤバイ」
そう言ってコンサートホールに向かって歩き出す小町とミッシェル。
「おい、リョウ。何してんだ、いくぞ」
「あ、はい」
ぼうっとしていたリョウにミッシェルの声が届く。リョウは、急いで二人の後を追い始める。
このリョウと呼ばれた青年こそ、昔二人によって拾われた少年である。彼らはある目的の為にこの場所を訪れていた。
コンサートホールの地下闘技場。そこは人の熱気であふれている。
「決勝戦だ――――ッ!!」
「お!どうやら間に合ったか」
司会の声を聞いた小町は、若干安堵の声をこぼす。そこはそれこそ漫画で描かれている様な場所だった。金持ちたちの娯楽の為に作られた非道なショーと言った感じだ。
「マジか‥漫画で百回は見たことあるシーンだぞ」
「こんな金があるなら、
ミッシェルとリョウも互いに思った言葉を口にする。
「それで、俺達の目当てってどれですか?」
「もう出て来る」
リョウの問いに小町は簡潔に答える。そしてその言葉通り
「お前の目から見てどう映る?」
「強いですね。並の相手なら難なく倒せるでしょう」
小町の質問にリョウもまた簡潔に答える。その言葉にミッシェルは、感心した様な声を漏らす。
そして三人の視線が再び闘技場に向けられる。燈の対戦相手は、人食い熊だ。それを見た瞬間、ミッシェルは、悪趣味な成金どもがと悪態をつく。
「小町さん」
「どうした?」
「あいつ死にますよ」
そんな中で熊と燈を見比べていたリョウが不意にそう告げる。
「あれは飢えすぎる。体格差とか抜きにしても、生に対する執着が限界を超えてる。絶対に勝てない」
その言葉に小町は答えない。目線を逸らさずにただ燈を見ている。そして戦いは始まった。直後燈は、フェンスを上り宣言する。
「観客ども…沸けィ。今から、この絵にかいたような理不尽を叩き潰すッ!!」
燈の宣言にリョウは薄く笑みを作る。自分的には結構好ましいタイプだ。しかしその笑みは直後に憐れみに変わる。
「その覚悟は買うけどよ、それじゃそいつには勝てねえよ」
リョウの言葉通り、燈はあっさり地面に叩き付けられ、捕食される。
「普通じゃねえな。まさかこんな殺人ショーを見せる為に来たって言うのか?」
「あいつって死なれたら困るんですよね?だったら、俺が行ってあの熊殺して助けましょうか?」
二人の言葉に小町は静かに告げる。曰く、普通じゃないのは膝丸燈の方だと。その言葉に疑問を持ったミッシェルが問おうとするよりも早く、リョウが変化を感じ取った。
「これは‥まさか」
そのリョウの呟きと共に、さっきまで喰われていた燈が起き上がり熊の目を潰す。そこからは燈が圧倒的な力で熊を殺し、勝敗を決した。
それを見ていたリョウは驚きの表情をしていた。
「今のって、ミッシェルさんと同じ‥」
「ああ、確信した」
そう言って小町は闘技場を後にする。向かうのは、選手の控室。その後をミッシェルとリョウが追った。
三人が目的の部屋の前に来た。小町がゆっくりとドアノブに手をかけ開けようとした時
「んだとコラッ!!」
燈の怒りの声が聞こえる。しかし小町は構わずに扉を開けた。扉の先には、地に伏す二人の男と燈に詰められている男の光景が映りこんだ。
それと同時に、詰められていた男の指が小町に向けらて告げる。
「‥そいつに売った…」
男の言葉を聞いた燈が小町に詰め寄る。ただ返せと俺の大切な人を返せと詰め寄る。それを小町は痛ましそうに一度目を伏せたのち
「死んだよ…手は尽くしたが一昨日に」
残酷な現実を告げる。瞬間、燈の表情が消え失せる。そして小町の言葉を理解しすると、スーツの襟をきつく握る。それを見たミッシェルと若干殺気だったリョウが動こうとするが、それを小町が静止する。
直後
「そっ‥つくんじゃねえええ!!」
鋭い蹴りが小町の顔面に放たれる。その攻撃を小町は黙って受ける、それが遅れた自分の役目だと言わんばかりに。
そしてミッシェルは、逃げようとする男を踏みつけようとするがそれをリョウが止める。
「すみません‥こいつは俺がやっとくんで、あいつのとこに行ってやって下さい」
「…わかった」
リョウの言葉にミッシェルは頷く。ミッシェルが燈の方に行った事を確認したリョウは、ゆっくりと男を見据える。
「ま、待ってくれ…俺はただ言われた通りに動いただけだ、だから悪くねえ」
リョウの姿に怯えた男が言い訳を口にするが本人は全く聞いていない。リョウの耳が聞いているのは、先ほどと同じ燈の返せと言う言葉だけ。しかし先ほどは煮えたぎるほどの怒りが感じられたが、今は悲しみと失意の感情しか感じられない。
すうっとリョウの足が持ち上げられ、ズンと男に頭を踏みつける。男は、余りの威力に床に叩き付けられ、痛みの余り声も出せない。
そうやってリョウが男に制裁を下しているその傍らで、小町が燈を仲間に誘う。
膝丸燈は今日何度も驚愕を体験していた。命を掛けてでも救いたい幼馴染は既に死んでいたと告げられ、そしてその幼馴染を殺した病気は地球産のモノではないと言う。それを自分に告げたのは、
だからこそ、燈は彼の手を取り、協力すると決めたのだ。間に合わなかった償いの為に、これ以上彼女の様に苦しみ人達を減らすために。
「よし、それじゃあ行こうか」
小町の手を借りて立ち上がった燈は、その肩を借りてどうにか立つ。
「おいリョウ。お前も肩を貸して…」
そう言って後ろを向いた小町の言葉が止まる。どうした?と燈がそちらの方を向こうと首を動かした瞬間、燈は
――――は?
勿論それは、錯覚だった。しかしあまりにもリアルすぎる。
――――い、一体何が‥
そう思いながら振り向いた先には、先ほど小町たちと一緒にいた男が足で、自分がボコっていた一人を踏みつけていた。
「た、たすけ‥て」
頭から血を流し、涙と鼻水で顔を汚している。しかし、それでもリョウは力を緩めない。
「‥わかった。助けてやるよ…痛みと恐怖からな」
そう言った刹那、燈は察した。彼はあの男を殺すつもりだと…確信はないそれでも確信した。その足が、男の頭を踏みつぶそうとしたその時
「やめろ、バカ」
「いった~~」
ミッシェルがリョウの頭に拳骨を叩き込む。
「こんなクズの為に、お前が手を汚す必要はねえよ」
「全くもってその通りだ。それ此処にはもう用はない、さっさと帰ろう」
ミッシェルと小町の言葉。リョウは頷き、燈に肩を貸す。
四人は、扉をから出て車を目指す。
その道中燈は泣いた。現実を受けいれ、そして前に進みと決めたが故に再び込みあがて来る悔しさに涙を流す。三人はただ泣かせた。涙は堪えねばならない時もあるが、流さねばならない時もある。今は後者だ。
涙を流し終えた、燈はふと左肩を貸す、リョウと呼ばれた男に視線を向けて問う。
「そう言えば、アンタの名前‥」
聞いてなかったと言いう前に、リョウは小町に向かって吠えた。
「まさか、俺の紹介してないんですか?」
小町は答えない、リョウと視線を合わせよとしない。ミッシェルも同じだ。
それで察したリョウは、そんな~と呟き、燈に視線を向け、名乗る。
「俺の名前は、
そう言いながら燈に空いた方の手で拳を差し出す。それに対して燈も拳を作り、コツンとリョウの拳にぶつける。
それを見て満足したリョウは
「これからよろしくな、燈」
新たな仲間の名を呼ぶ。燈もそれに答える
「ああ、此方こそよろしく」
『宿命と運命に導かれ、戦士がまた一人と‥集う』
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