此処から先の更新は、完全に不定期になると思います
楽しんでもらえたら、嬉しいです!!
アメリカ合衆国ワシントンD.C. U-NASA敷地内病棟。その一室に火星に向かう為の手術を終えた膝丸燈が目を覚ましていた。そこにミッシェルが現れる。
「気がついたか」
「え~と確かアンタは、ミッシェルちゃん?」
この場にリョウが居れば、何て命知らずなと驚愕していただろう。それほどのセリフだ。
燈の発言に対してミッシェルは、ただ冷静に告げる。
「なめんな。お前は年下だろう」
「‥すみません」
ミッシェルの言葉に燈はただ謝罪する。呆れた表情のままミッシェルは、近くのパイプ椅子に腰を据える。そこで燈は、衝撃の事実を告げられる。自分達の二人の様に
そんな人体実験の様な手術をもうすでに百人を超えるメンバーが受け、現在火星探査チームには、
その数字に驚く燈にミッシェルは冷静に告げる。
「今の世の中、人間だけは溢れてるからな。売り手は腐るほどいる」
ミッシェルの言葉が指すように、いつの世も開拓者とは意思と覚悟を持って集まる方が珍しいのだから。
「そう言えば、リョウも火星に行くんですか?」
「ああ?当然だ。それと、あいつ一応お前の
「え?」
何気ないミッシェルの一言に燈の思考が一瞬止まる。
「特別戦闘選考
「マジですか?」
「おう。まあ、帰ってきたら本人から詳しく聞きな」
「帰ってきたら?」
ミッシェルの言葉に違和感を覚える燈。そしてミッシェルが燈の感じた違和感に答える。
「あいつには放浪癖があってな。今も何処かにフラっと出かけてる」
「なんすかその、猫みたいなやつですね」
ミッシェルは燈の言葉に手に持ったジュースを口に含んだ後、若干悲しそうに告げる。
「猫か‥だったらどれだけ可愛い奴だろうな」
「??」
「あいつは言うなれば、獣だ」
ミッシェルのその一言に燈は何も言えなかった。
カリフォルニア州東部の町「サニープール」アメリカ一治安の悪いその街にリョウはいた。
「…」
夜ビルの屋上でリョウは、何も言わずただ空を見ている。一般的に路地裏と言われる場所にあるビル。屋上につけられたフェンスの上に足を掛け、上を向くその表情は誰にもうかがえない。
――――火星か‥
夜空に映る星たちの中、リョウはその惑星だけを見ている。U-NASAの屋上からでも見える事には見えるのだが、リョウは何と言うかあの人間じみた場所が少し苦手だった。勿論あの場所こそが、自分の帰るべき場所だと思っているし、嫌いではない。
だが、たまにこうして人らしい場所から、獣じみた場所に来たいと思うようになるのだ。その点で言えば、こう言った路地裏は期待に添えている。まだこう言った場所の方が、人間と言う獣が居座っていると感じると言う意味で、
そして決まって、そう言った場所に来たリョウは、誰に言われるまでもなく火星と言う
そん中ふと、リョウの視線に煙が映りこむ。普段ならば、全くもって気にもならない筈なのに、どう言う訳か今回は無性に気になっている。
なぜ?と、うだうだ考えるのは自分の生に合わない。
「‥行ってみるか」
そう言うとリョウは、フェンスの内に手を置き、四足動物の様な体型を取った直後、跳んだ。目指すは、煙が上がっている場所。
不法入国者であるアレックス・カンドリ・スチュワートとマルコス・エリングラッド・ガルシアの二人は、ピンチに陥っていた。生きる為にギャングになったマルコスだが、昔ともいた幼馴染の事を思い出し、ギャングの作戦を裏切り彼らに戦いを挑んだ。そしてその悪友と縁を切ったつもりで見捨てる事が出来ず、結局心配になり見に来たアレックスはギャングと戦うマルコスの姿を見て、共に戦う事を選んだのだ。
しかし
――――くそッ。数が多すぎる‥
数の暴力の前にだんだんと追い詰められ始めている。
「おい、どうするよタコ野郎」
「うるせい、今考えてんだよイカ野郎」
軽口をたたきながらも二人の顔色は悪い。
「くくっく。簡単には殺さねえぞ。、ガキども」
ギャングのボスである男が怒り沸騰と言う表情で二人に告げる。万事休すかと二人が思ったその時、二人を囲っていた一人の男が轟音と共に消える。
「「は?」」
その場にいた誰もがその音のした方を向けば、そこには一人の男 リョウがいる。男の背を踏みつけその場に立っている。
「ててめえ、何処から現れやがった!!」
突然の乱入者にボスが鉄砲を向けながら怒鳴る。しかし、リョウはその言葉に反応を示さずに、アレックスとマルコスに視線を向ける。刹那、言いようの無い緊張感が二人を包む。そして今まで培ってきた全てが告げる。逃げろ、今この場において最も危険な者は奴だと。
天より跳んできたリョウは、即座に
――――なるほどね
ある程度の事情を察したリョウは、視線を二人の少年に向けて告げる。
「そこの二人。此処は俺に任せて逃げな。後で話がるから、俺の方から会いに行く」
その言葉を受けた二人は、訳が分からずに混乱するが、それよりも早く蚊帳の外にされたギャングたちが襲い掛かろうとするが
「止まれや」
リョウのその一言で動きが止まる。いや、止めさせられた。
「行け、後で会いに行く」
「すまねえ」
「お、おい。アレックス!!」
リョウの言葉を聞いたアレックスが、マルコスの服を掴んでその場から立ち去る。それを見届けたリョウはギャングたちに告げる。
「もういいぜ」
その言葉と共に恐怖で足がすくんでいたギャングたちの自由が戻る。
「へへ。今のご時世で、正義の味方気取りか‥バカだろお前」
心の内から湧き上がる恐怖を隠すためにギャングのボスが吠える。しかし、リョウからすればそれは余りに虚しい行為だ。
「なあ、お前ら知ってるか?」
「ああっ!!?何がだよ」
「『狼』って獣は、地上の獣の中で、最上級の『速さ』と『持久力』を持つ獣らしいぜ」
瞬間、ギャングのボスである男を残し、全員が地に伏した。余りの早業にボスの思考が追い付くよりも先に、リョウが俄然に現れ、その顔を掴まれる。数センチ地面から浮かされる。
――――な何なんだよ、こいつ
恐怖の中で男は、リョウの姿が分かっている事に気がつく。黒い髪が白く染まり、顔には黒い毛皮が生え、その瞳は赤く染まっている。そして何より自分を掴むその手が黒い毛で覆われ、爪が生えてる。
――――ば化け物っ!!
「お前が頭ぽいから聞くわ。後ろの屋敷で起きてる暴動、お前らが主犯らしいな。何か謝罪の言葉はあるか?」
リョウの言葉に男は必至になって答える。
「ゆ許してくれ‥もう二度とこんな真似はしねえし、ギャングも止める‥だから」
助けてくれと告げるよりも早くリョウが口を開く。
「俺は命乞いを求めたんじゃねえよ。謝罪を求めたんだ‥そしてそれがお前の答えと言うなら…」
「ま待って‥」
「零点の答えだ」
直後、信じられない激痛が男を襲った。その痛みに意識は自然とシャットダウンさせる。地面に伏した男に目もくれず、リョウは先ほどの少年たちを探すために匂いを嗅ぐ。
「あっちか」
その言葉と共にリョウはその場を後にする。残ったは、地に伏す弱者のみ。
ギャングたちから逃げおうせた二人は、路地裏で座り込んでいた。
「なあ、あいつ何者だと思う?」
「俺が知るか」
だよなと告げるマルコス。二人の視線は自然と空に上がった。見据えるのは、かつての記憶の少女の言葉。
「あ―――ったく‥どっかに差別もギャングもなくて、金払いのいい場所ねえかな」
「
「何処かが‥」
二人の視線が深緑の惑星に向けられる。
「いくか‥やっぱ」
「ああ、あの人に悪いが、元々ダメ元なら少しでも可能性のある方にだ」
そう言って二人が立ち上がって向かおうとしたその時
「何だ話が早いじゃねえか」
リョウが二人の後ろに現れる。二人は驚き後ろを振り返る。
「よう、さっきぶり」
「あんた‥」
「あいつらは‥」
「ああ、ギャングどもだったら寝てるぜ。ま、一生寝たきり生活って所か」
二人の疑問にリョウは気楽に答える。
「あんた一体何者なんだ‥」
「俺は小町リョウ。U-NASAの職員で、火星探査チームで幹部をやってる」
リョウの言葉に二人は驚く。リョウは冷静にお前らの名前は?と尋ねる。
「アレックス・カンドリ・スチュワート」
「マルコス・エレングラッド・ガルシア」
「そうか、アレックスとマルコスか。で、ちょっと話が聞こえたんだが、火星に興味あんのか?だったら、推薦してやろうか?うちも人手不足だしな」
明るい表情で頷こうとする二人。しかしそれよりも早くリョウが告げる。
「だが実際、此処にいた方が長生きできるぞ。火星に向かうって事は、ある意味地獄行きの片道切符を買う様なもんだ。それでも行きたいか?」
そう言いながら二人の前に手を差し出す。
「言っておくと、これは誘いじゃねえ。お前らの人生の一つの道標だ。このまま
ただとリョウは告げる。
「火星に向かうには力がいる。あらゆる理不尽を前にしてなお、屈しない力がいる。俺にはお前らにその力があると思う。その強さを使うか使わないか‥そう言う意味で決めな」
その言葉の直後、アレックスとマルコスは、決意の瞳と共にリョウの手を握る。
U-NASAの玄関。そこにリョウたち三人がいた。アレックスとマルコスは、U-NASAのデカいさに驚いている。
そんな二人の反応を気にせず、リョウはさっさと進む。その後を二人が追う。
「あ、リョウ君。帰ってきたのかい?後ろの子達は…」
進んでいると一人の職員がリョウを呼び止める。そしてその後ろに居る二人に気がつく。
「この二人は志願兵。俺から推薦するから、説明してやって」
「え?」
突然の言葉に職員の言葉が止まる。
「ちょ、困るよ」
「何で?まだ人足らないでしょ」
「そうじゃくて‥」
あれこれと二人が言い合う中、二人はただじっと待っている。約束したら、絶対に入れてやるとリョウと約束したから。
そんな騒ぎを聞きつけたのか、小町が現れる。
「うぉい、どうし‥って、リョウ帰ってきたのか」
「うす」
「あっ!小町館長。実は急にリョウ君がこの二人をクルーに入れろって言うんですよ、確かに空はまだありますけど、志願兵なんて初めてでどうするべきかと」
「小町さん。この二人を推薦します。きっと力になる」
「うーん?そっか‥」
リョウの言葉にしばし悩む小町、しかし答えはほとんど出ている。そんな最中、近くの部屋から一人の少女が出て来る。瞬間、時間が止まる。そして即座に、アレックスとマルコスの二人が、少女シーラに突撃する。
「‥知り合い見たいっすね」
「これはまた‥どうします」
「だから、入れるって言ってるじゃん」
「いや、そう簡単には‥」
「良いんじゃねえの」
言い争う二人を止める様に小町が告げる。その表情は何処か思い出している様に明るい。
「前例がないわけじゃない、20年前にもいたぜ。バカな志願兵が‥」
「そうっすか。会ってみたいっすね、そのバカに」
「そうだな」
そんなやり取りをしながら二人は、アレックスとマルコスそしてシーラ達に視線を向ける。
「彼らの手術が成功すれば、バグズ3号改め『アネックス一号』の定員ジャストだ」
『人生の道標を選び、彼らは遂に揃う』
如何でしたでしょうか?
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