八月中に更新したかったのですが、無理でした
そして今回から火星への任務が開始します
そのため、かなり長いです
違和感とかあったら、教えてくださるとありがたいです
楽しんでもらえたら、嬉しいです!!
『マーズ・ランキング』確定テストから約半年の2620年3月4日。大型宇宙船『アネックス1号』出発日。
その日はリョウは、朝早く自然と目を覚まし、U-NASAの屋上で空を見上げている。
「……………………………」
何か理由があるわけでもなければ、なんとなくという訳でもない。意思を持ちながらもリョウは何か説明できないモノを胸に抱きながら、空のある方角を見ている。夜と朝が入れ替わる境界が合間なその時間、片方では星が輝き、もう片方で太陽が空を照らしている。
あと数十時間後、自分たちはあの空の上にいるのだ。恐怖がわき上がった訳でもない、むしろ決意をさらに固める。
「よし…もう一回だけ寝るか」
何処かぼんやりとした意識のままでは多くの事は考えられないのか、決意を固めるとリョウは自室へと向かう。
普段と変わらない何気ない日常の行動。とても今日地球を発つとは思えない。しかしそれが小町リョウなのだ。
たとえ今日死ぬと言われようが、きっとリョウはいつもと変わらない日常を送るだろう。彼にとっては死など日常の背に常にあるもののだから。
次にリョウが目が覚ましたのは、昼頃。窓からは太陽が丁度頂上に昇るか昇らないかの位置だ。移動時間は確か昼の三時だったはず。ならば、時間はまだ十分にある。朝方のぼんやりとしたものはもうなく、頭も普通に働く。そう判断したとたん、急にお腹がすいてくる。
「まずは飯を済ませよう」
そう予定を決め、リョウは部屋から食堂を目指すため、ベットから起き上がりその場を後にする。
食堂は多くの隊員たちでにぎわっているが…
――――やっぱ、表情が硬いな
迫る日にどこか空気が固いように感じる。まあ、それでも食堂の傍らで騒いでいるマルコスやアレックスに燈たちがいるから一概には言えないが。普段なら燈たちに混ざるが、今日はそういう気分でもなく、適当に肉食系のメニューを受け取り、皆の意識が最も薄いであろう場所を見つけ、こっそりと席に座り飯を食べ始める。
食べ始めてから、少し時間が経っただろうか、突然背中に背中に衝撃が走る。
「はははは。おう、元気そうじゃねぇかリョウ」
「アシモフさん。脅かさないでくださいよ」
「嘘つけ。お前さん、俺の存在に
「む……」
リョウの隣に座ったのは、ロシア幹部のアシモフ。
「っていうか、ロシア支部の方はいいですか?明日ですよね、出発」
「なぁに、今更怯えるような腑抜けは、俺の班にはいねぇから楽だぜ。向こうで合流する予定になってる」
「
アシモフの言葉に肉を口に含みながら、周りを見渡す。その視線の意味に気が付いたアシモフは笑みを浮かべ、リョウの肩を掴む。
「まっ!お前さんがいればどうにかなるだろ。期待してるぜ、リョウ」
まるで孫に絡むおじいちゃんの様にリョウに接するアシモフ。当の本人は、全くその事を意に関しないといった表情で
「それはこっちのセリフです。しっかり頼みますよ。俺機械類全然だめですから。ミッシェルさんに怒られたくないんで、マジで頼みます」
告げるが、言葉を発するうちにミスした自分を想像したのか顔が青くなる。その事が面白かったのかアシモフは笑みを浮かべながら「おじさんに任せとけ」と告げる。そんな感じで話しながらリョウは食べ終え、アシモフに別れを告げてから食堂を後にした。
食事を終えたリョウは、医療棟の屋上で空を見上げている。その中でリョウの聴覚が燈の声を拾う。何か気になり、
「今は希望をもっていい。凄く小さく細く遠い
聞こえるのは決意の籠った燈の言葉と拳と拳を合わせる音。そして続く様に燈と少年は
「またな」
笑顔を見せる。その決意を知り、リョウは笑みを浮かべる。そう、そういった様々な想いが、あの
そして
「行くか」
ゆっくりと四肢から力を抜く。そして重力に従うように落下した。
決意を新たにする。原点と対話し、その意味を理解をさらに深める。先を行くミッシェルに燈は告げる。
「俺は―――必ず、この悲しみの輪の元を断つ。そうしなければきっとやり直せない。どこかで間違った――――自分の人生の何かを」
一度言葉を切る。そしてサラリ決意を込めて告げる。
「そしてそれは、仲間の誰もがそう思ってるはずだ!!」
燈やミッシェルに続く様に続々とクルーたちが集う。
そして――――
アネックス1号に進まんとした瞬間、上空から何かが落下してくる。誰もがそれに驚くが、小町は笑みを浮かべる。
「今日は寝坊しなかったみたいだな」
土煙が晴れるとリョウが立っている。
「当然」
――――特別選考戦闘
リョウの言葉に小町は笑みを消し、重く告げる。
「行くぞ」
大型宇宙船『アネックス1号』人員計101名―――――地球を発つ。
その瞬間を多くの記者たちが納めんと集まっている。時間にすれば、僅か30秒。その時間にアネックス1号は宇宙へと飛び立った。
『アネックス1号よりワシントンへ。地球の重力圏は脱した。これより安瀬飛行に入る』
『了解。現状、障害物は見られない。そのまま自動操縦で火星へ向かってくれ』
小町は本部との連絡を終えると室内用のマイクに取る。
「あ~あ~あふん。『えー乗組員諸君。シートベルトは外してくれて大丈夫だ。あとは火星に着くまで用意した居住エリアで過ごしてもらう。エリア内は人工的な低重力を作ってあるが、任務が始まるまで、体が訛らないように日々の鍛錬を続けてくれ』
小町のアナウンスを聞きながらクルーたちは各々に動き始める。
『幹部エリアは基本
小町の言葉にクルーたちから笑いがこぼれるが…
「だってさ、シーラ」
「えっ……なんで、そんな事私に言うのよ」
「………………あのオッサン」
「あの~ミッシェルさん?俺の頭、さっきからミシミシ言ってるんですけど…ってぎゃ~!!」
一部はそうではないらしい。
「それにしても、緊張感のない艦長だぜ」
「ああ、全くだ」
「そうだよな。これから、命がけの任務が始まるってのによ……」
おとなしい反応を見せる燈たちだが…
「無理せずに探検してきていいわよ、
シーラがそう言った瞬間、子供のような事を言いながら走り出す。その姿に呆れながら、シーラは周りを見渡す。
――――明るい人とそうじゃない人は半々ってところかな
総当たりをつけ、エヴァと共にシャワー室を見に行こうとすると…
「お!シーラにエヴァじゃん」
「あ!リョウ…さん」
「敬語じゃなくていいぜ。背筋が痒くなるし」
偶然リョウと鉢合わせる。リョウの言葉にどこか安心した様に息を吐くシーラ。そして疑問を口にする。
「どうしてここに。幹部スペースからだいぶ離れてるよ?」
「何かあったの?」
シーラとエヴァの言葉にリョウは冷や汗を流しながら…
「いや…ちょっと
「そうなんだ…」
「あはは…えっと今からシャワー室を見に行こうかなと思って」
リョウの言葉に何も言えないエヴァに変わり、シーラが乾いた笑みから目的地を告げる。
「お!いいんじゃねぇか。確かその辺の衛生面にはミッシェルさんが女性としての意見を加えてるから、かなり快適なはずだぜ」
「ホント!!エヴァ、速くいってみよう」
「うん!!」
「じゃあな~」
シーラとエヴァを見送ったリョウはミッシェルの怒りが収まるまでどこに逃げるかを考えながら辺りをうろつき始める。
そうしてアネックスでの生活が始まった。
地球を出発してから20日が経過。その日あるいざこざが起きた。
「もういっぺん言ってみろや、テメェ!!!」
「優しいね。侮辱されても1回目は見逃してくれるなんて」
クルー同士のいざこざ。何度かあったが、今回は明らかに意図的に絡んでいる面が強い。自然と視線が其処に集まる。その場には偶然燈たちも居合わせた。
「あの金髪の方、お前の班員じゃねぇのか、マルコス」
「やれやれ。みんな妊娠した動物並みに気が立ってるよな」
「ねえ、止めに入った方がよくない?」
燈たちがどうするかと悩んでいるうちに、事態が動く。絡んだ方が、更に金髪のクルーを挑発する。その言葉に金髪のクルーのタガが完全に外れている。その拳がぶつかろうとした瞬間、別のクルーがその一撃を顔面で受け止めた。
「「「「……誰?」」」」
突然の乱入者に誰もが毒気を抜かれた中で――――
「どうしたんだ、お前ら?」
リョウが現れる。
「リョウさん」
幹部クラスの登場に誰もがまずいとその場を慌ただしく去り、そして当事者たる男もその人ごみに紛れ、リョウの隣を通過するが、その一瞬――――
「あんまりくだんねぇ事すんなよ。何も得る事ねぇぞ」
「ッ!!?」
ボソリとつぶやく。その言葉に驚き表情を歪めるが歩は止まらずにその場を去る。それを見送ったリョウは――――
「じゃあ、シーラ同じ班員の起こした不始末だ。そこで少し伸びてる奴の手当してやれ。俺が運んでやるから」
「えっ!はい」
シーラたちに命令しながら床に座っている男を米俵を運ぶ要領で持ち上げる。その動作に誰もが驚きで手が止まる。
――――すげぇ。170cmあるのに、片腕で軽々持ち上げやがった
「どうした早くいくぞ」
そう言ってリョウはその場からたったとさる。
手当自体は簡単にすむレベルであり、今シーラが謝罪と共に行っている。
「ごめんね。うちのチームメイトが…えっとロシアの」
「あっ!自分はイワンっす。いやー大丈夫ですよ、この程度。自分はいつもこんな感じですし、姉ちゃんからもただのアホって言われてますから」
ロシア班の言わんと名乗ったのは額から左頬にかけて傷が特徴的な好青年だ。そんなイワンの言葉にシーラはクスリと笑みを浮かべ――――
「でも、誰にだって出来る事じゃないよ。凄く勇気があるんだね」
最期にガーゼを当てる。瞬間、イワンの顔がゆで上がったように赤く染まる。その変化に誰もが驚きの声を上げる。
「熱っ!」
「ははは。わかり易いな、イワン」
「人が恋する瞬間を初めて見た」
「おお!って感じだな」
その言葉にイワンは照れながら小声で何かを言っている。その中で燈は――――
「でもな~~~イワン。シーラは強敵だぞ。なんたってシーラの好きな人は館長だからな」
その発言に空気が死ぬ。そこまで来て自分が何を言ったか悟った燈は顔を硬直させる。
「あ…え~~~っと、最後のはオフレコで。これがばれたら終わります、うちの会社」
「もう遅いよ」
どうにかと言葉を発した燈だが、シーラの言う通りすべてが遅い。その発言に誰もが慌てる。
「ってかなんで知ってんだっ!!」
「いや、前にミッシェルさんが…あれ?そういえば、なんであの人知ってたんだ。というか、そうなるとシーラがリョウさんのお義母さんになるのか?」
「おい!!マルコス、イワン!!大丈夫か!!!」
その中でリョウは――――
「そっか、シーラは小町さんが好きなのか」
どこか悲しそうにそして縋るように表情でシーラを見た。
地球を出発してから39日目。その時がついに来る。
『こちら館長。あと少しで火星の重力圏に入る。総員は二時間後にAエリアに集合すること』
告げたのは艦長である小町の連絡。先ほどまでのワイワイとした空気が一転緊迫したものへと変わる。
そして――――
「うん?」
自室にて寝ていたリョウはその案内とともに目を覚ます。そして寝ぼけた顔からスウッっと目つきが鋭くなると、あたりを見渡し――――
「
疑問を持ちながらも、たったと用意を済ませる。
「…急ぐか」
そう呟いてリョウは部屋を後にする。
そして少し遅れて小町が異変に気が付く。
「ミッシェル。一部カメラに異変が起きたすぐに調べてくれ」
モニターには何も映らなくなったものがいくつか見える。ミッシェルに任せると自身も用意を済ませる。
「ただの機械の故障ならいいんだが…」
そういいながらも言いようのないものが、胸の中に湧き上がる。
そしてその不安は最悪の形で的中する。
居住区内の広場。そこに集まった誰もが残された安寧の時間に思いをはせながら不安と戦っていた。その中でふと、扉が開かれる音が聞こえる。誰もがその音に反応し、それで終わる。しかし今回ばかりは、相手が違った。
最初に気が付いたのは、扉に一番近くにいたクルー。
「え?なんで…」
ふと顔を見上げた先にいたのは――――
「じょう」
一匹の
「え…?あれ…」
そのクルーの上半身がちぎられる。それが合図。
「う、うわぁぁぁあああああああああああああああ!!!」
関を切ったように悲鳴と恐怖があたりに広がる。そんな声を聴きながらもテラフォマーは、全く動じない。手に持っていたクルーの顔をつぶし、次なる獲物を求めんとあたりを見渡す。
そして虐殺が始まった。
次に標的になったのは、果敢にも銃を持ってテラフォマーに挑んだ、あの日イワンが止めに入った男だった。体を貫く銃弾など気にせずに距離を詰めると、頭をつかみ圧倒的な力で引き抜く。そしてつながった背骨の骨を鞭のようにしならせ、ほかのクルーたちを殺してゆく。
あまりの虐殺の光景にエヴァは腰が抜け、その場にへたり込んでしまう。そして運悪く、次なる標的に選ばれてしまう。徐々に近づく死への足音。シーラたちが何かを言っているが、全く理解できない。体から何かが流れた気もするが気にすらできない。
そしてその足がおよそ、二歩で自分を殺そうとした足が止まった。
――――え?
先ほどから全く止まらなかった歩がここにきて完全に止まる。そのことにその場で離れていたほかのクルーたちも疑問に思う中で、突然テラフォマーが後方に視線を向けた。
そこには――――
「よくもまぁ、ここまでしてくれたもんだよ」
「あ…」
ガシガシと頭をかきながら歩いてくるリョウの姿。
「リョウさん!!!」
その姿にアレックスが叫ぶ。誰もがその場に現れたリョウの存在に視線を向ける。当の本人であるリョウはあたりを見渡すと――――
「ここは俺に任せて、生きてるメンバーはここから離れろ。もう少ししたら艦長から連絡が来るはずだ。全員落ち着いて対処し、行動しろ」
テキパキと指示を出してゆく。まるで目の前の虐殺の光景が目に入っていないようだ。そして自分から視線がそれたのを感じたのか、エヴァに迫っていたテラフォマーがリョウに意識を向ける。それを察したアレックスが―――――
「リョウさ…」
「じょうじ」
吠えるよりも早くテラフォマーが迫る。が…
「え?」
「たっく気が早えな。心配しなくても、
アレックスたちに移りこんだのは――――
――――嘘だろ…生身だろ、あのひと
容易にテラフォマーを地面に押さえつけるリョウの姿。と当時に爆音と衝撃があたりに広がる。
――――堕とされたか?これは悠長に構えてる暇はねぇな
「アレックス、お前ら!!そこで固まってねぇで早く動け!!ここは俺一人で十分だ」
「は、はい!!みんな行くぞ」
リョウの二度目の言葉にようやく全員が動き始める。全員が部屋を出たのを確認すると、リョウは抑えていた腕を開放する。
「さて、時間は少なくなったが、約束通り相手をしてやる。だから、そこに隠れてる一匹も出てこい」
そのリョウの私的と同時に、扉からもう一体のテラフォマーが姿を現す。
「全部で二体か…まあ挨拶にはちょうどいいか」
「じょうじ」
「じょう」
リョウとテラフォマーが静かに向き合う。
「さて、人さまの
『宿命のコングが今鳴る』
如何でしょうか?
いよいよ、次回からが本番となっていきます
・・・・シーラとかどうしよう
そして自然に出番が減ったジョセフさんすみません
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