トリコ~暴獣の弟子と国宝の娘~   作:スペル

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第五作目です!!
結構好きな原作なのに、全然ないので自分で書こうと思いました
まだ全く完結してないのに・・・・大丈夫だろうか?
一応、第一作目をメインとしているので、更新はだいぶ遅いです

楽しんでもらえたら、嬉しいです!!


グルメ1 産声!!

グルメ界。八つの大陸にわかれる未知なる味の宝庫。常に群雄割拠のグルメ界において、各大陸の頂点『王』として君臨し、生態系のバランスを保つ存在。強獣(きょうじゅう)としてたる八種類の『獣の王』を畏怖の名を込めて『八王(やおう)』と呼ばれている。

その圧倒的な強さと小動物が持つ以上の敏感さ(・・・)をもって、彼らは何度も起きた生命絶滅の危機を乗り越え、今なお最強の遺伝子を後世に残している。

 

「「「「「「「「…………………」」」」」」」」

 

その日、その最強の王たち全員が、一斉に同じ方向を見た。確信があった訳ではい。今は確実に弱者。それでもその存在(・・)はいずれ自分達の地位を脅かすであろうと王たちは察する。

 

エリア1の王『竜王(りゅうおう)・デロウズ』

エリア2の王『狼王(ろうおう)バトルウルフ(ギネス)

エリア3の王『烏王(うおう)・エンペラークロウ』

エリア4の王『蛇王(じゃおう)・マザースネーク』

エリア5の王『鹿王(かおう)・スカイディア』

エリア6の王『鯨王(げいおう)ブラックホールホエール(ムーン)

エリア7の王『猿王(えんおう)キンタマントヒヒ(バンビーナ)

エリア8の王「馬王(ばおう)ヘラク(ヘラクレス)

 

彼ら王たちは、しばらくの間。人間界がある方角を見つめながら各々に思いをはせる。ある者達は警戒を、ある者はワクワクを、ある者はどうか争いにならない様にと。そしてまるで何かに備える様に一度だけ咆哮を上げ、王たちはいつも通りの日常へと戻っていった。

そしてもう一匹、その存在を感じた王が一頭(・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

王たちの反応から数年たち、場所は人間界のとある場所。

 

「ふい~やっぱり酒は上手いの~~」

 

満月を見ながら一人の老人が酒を飲んでいる。そこだけ見れば、いたって平凡な風景だが…周りが異常すぎる。老人の周りには、多くの猛獣たちが倒れている。だが、決して死んでいるのではなく、ノッキングされている。

老人の名前は、『ノッキングマスター・次郎(じろう)』。グルメ時代の先駆者の一人にして、老いてなお世界で三指に入る実力者。更に『美食神(びじょくしん)・アカシア』の二番目の弟子にして、『暴獣(ぼうじゅう)二狼(じろう)』と呼ばれたほどの存在。

 

「さて、セッちゃんからの頼み事も終わったし…そろそろ帰るとするかの」

 

自身のコンビである『美食人間国宝(びしょくにんげんこくほう)節乃(せつの)』の頼みを受けこの地に来た次郎は、頼みを終え休息をとっていたが下した腰を上げ、次郎が帰宅つくために帰ろうとしたその時…

 

「なんじゃ?」

 

僅かに聞こえる音。その音は、決して自然の中で生まれる音ではなく、明らかに人為的に生まれた音。一瞬の思考。どうするべきかと考えるが…

 

「行ってみるか」

 

僅かに惹かれる興味と警戒をもって次郎は、音のする方へと歩を進める。別段、何を思って向かった訳ではないが、その当時を思い出して次郎はいう。曰く「あれは運命だったかもしれん」と。

 

音のする方へと進むほどに、その音はハッキリとしてくる。それは空を裂く音。それが徐々に大きくなってく。

 

「これは、鬼が出るか蛇がでるかじゃの…」

 

次郎自身、気が付いている。これは紛れもなく人の手によって起きている。問題は、その当事者が一体誰なのかという事。危険区(こんなばしょ)に訪れるほどなのだ、まず一般人ではあるまい。芽ある若者ならば、見守ればいい。逆の存在ならば、少々労力がいるが、見つけてしまったのだし捕まえるとしよう。

そう想い、次郎はその場所にたどり着く。

 

「これは…」

 

次郎の目の前に広がるのは、満月を背にひたすらに拳を振るう少年とその姿を見守るように立つ一匹の狐の姿が映り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次郎がその光景を目撃したのと同刻、人間界『グルメタウン』。満腹都市と呼ばれるその場所に一人の老婆が鼻歌を歌いながら歩いている。

 

「うふふ~。ジロちゃんの為に沢山食材も買ったし、早く帰ってこんかな~~」

 

この老婆こそ、世界料理人ランキング二位にして、世界に4人しかいない美食人間国宝(びしょくにんげんこくほう)の一人。そして『ノッキングマスター・次郎』のコンビである料理人・節乃(せつの)。紛れもなく、次郎と同じくグルメ時代の先駆者である。

自身の頼みを聞いてくれた次郎の為に、その疲れを労う料理を作らんと食材を購入し、自身の店である『節乃食堂(せつのしょくどう)』に向かっている。

そんな中で…

 

「うん…あれは?」

 

視界に自身の店が見えたところで、その玄関付近に何かが映っている。小さいそれの正体は、節乃の視力をもってしても箱としか見えない。

より近づいて漸く、その正体に気が付く。

 

「赤ん坊…」

 

箱の中には一人の赤ん坊が眠っている。その存在に気が付いた節乃は、即座に赤ん坊の状態を確認する。軽い栄養不調に陥っているが、今ならまだ間に合う。

 

「待っておれよ」

 

即座、それこそ目で視認することが難しい速度、しかし抱え込む赤ん坊に全くの負担を掛けさせない。近くの机に赤ん坊を置き、厨房に入り、栄養満点の離乳食を調理する。

完成までにかかった時間は、僅か30秒弱。その速度と技術そして味は紛れもなく彼女がトップクラスの料理人であることを示している。

 

「それにしても一体誰がこんな非道(ひどい)事を…」

 

赤ん坊は離乳食を食べ、満腹になったのか安らかな呼吸と共にぐっすりと眠っている。ひと段落した節乃は、現状をどうするかと考える。

このまま見捨てるなど言語道断。しかし、自分は多忙な身であり世話を出来るとは思えない。出来ない訳ではないが、それでも疎かになるだろう。育てるとは、そんな軽い気持ちで行ってはいけないと思っている。

 

「やはりイチちゃんに任せるのが、一番じゃの」

 

思い浮かべるのは、優しく素朴な世界のトップの姿。彼ならば、きっとこの赤ん坊を喜んで引き受けてくれるだろう。考えてく中で、その案が一番だと決定づける。

 

「それじゃあ、早速イチちゃんに連絡するかの」

 

決めれば早く、早速連絡を入れようとするが…一瞬、本当に一瞬の事だった。

 

「なんじゃと…」

 

その()は本当に微かだった。それこそ節乃ほどの料理人でなければ、気が付かないであろう程に小さくささやく様に呟かれた声。それは料理人である節乃が普段からよく聞く声。食材の声。

 

「求めておるのか…この子を」

 

その声の意味を察して節乃は、驚愕の表情で安らかに眠っている赤ん坊を見る。まだ料理の「り」の知らないような赤ん坊を食材たちは求めている。先ほどからささやく様な声が、多く節乃の耳には聞こえている。

 

もし仮に、この赤ん坊が偶然この場所に捨てられたのではなく、必然(・・)でこの場に来たのだとしたら?それを他でもない食材たちが望んだ(・・・)としたら……

 

「これは運命かの…」

 

優しく眠っている赤ん坊を抱きあげる節乃。既に任せるという考えはなくなっていた。

 

――――この子は自分が育てよう

 

安らかに眠る寝顔を見ながら節乃は決意する。この子の育ての親になることを。

 

 

 

 

 

 

 

そして節乃の決意を時を同じくして…

 

「あんた誰だ?」

 

もう一つの出会いがなされた。

 




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