PCが壊れ、期末テストに期末レポート、部活の幹部の交代と重なり全く更新できませんでしたが、漸く落ち着いてこれたので更新です!!
今回は本格的な戦闘の前段階といった感じです
楽しんでもらえたら、うれしいです
その響きが大気を震わせると同時に次元は地面を蹴り、森林大亀に向かって跳ぶ。狙うは僅かに天に向かって上に伸びている首。
――――先手必勝!!
次元が迫ることを察した森林大亀が次元のほうへと首を構える直前――――
「ノッキン!!」
「ボォ!!」
次元のノッキングが直撃する。
――――入った…
感じる手ごたえ。成功を確信するが…
「ボォ!!」
「なにっ!!??」
硬直は一瞬。マヒしたように動きを止めた森林大亀だが、即座に首を振るい、空中にいる次元を弾き飛ばす。
完全に決まったと感じていた分、わずかに気を緩めてしまった次元は受け身を取る事ができずに、巨木に激突する。
「っ!!————次元!!」
己が認識した瞬間、次元が木にぶつかっていた。そのことに凜華が声を上げるが…
「ヴォン!!」
「きゃっ!?」
ユアンの威嚇声と共に視界が急激に揺れる。ザザっと地面にブレーキをかける音共に凜華はユアンが高速で移動したのだと理解する。なぜと思うよりも早く視界に映るのは、先ほどまでいた場所にまるで初めから生えていたように立つ巨大な足。
「————っ!!」
それを見て無意識に大きくつばを飲み込む凜華。巨体からは考えられない速度での踏みつけ。もしも自分の近くにユアンがいなければ、今頃どうなっていたか。視線をわずかに上に向ければ、つぶらな瞳がこちらをジッと見ている。
ゾクっ。初めて感じる圧倒的リアルな死の気配に体が震え寒気を覚える。
「ヴォルルル!!」
近くから聞こえるはずのユアンの威嚇すら遠く感じる。そんな凜華を現実へと戻したのは、ドン!とあたりに響く鈍い音。凜華が反応するよりも早く…
「ボォ!!??」
「チィ」
再び跳躍した次元の拳が森林大亀の顔に直撃する。しかし手ごたえから、次元はその一撃が対して効いていないことを即座に察する。
――――だったら…
「ボワォア!!」
次元が次の手を考え実行しようとする刹那、首の筋肉を高速で伸ばし、次元を喰わんと嚙みつかんと迫る。面を圧迫せんと迫る圧を前に次元は、体を回転させることで攻撃の範囲から身をかわすと同時に、再び無防備な首に
「ノッキン!!」
「ボォ!!??」
再びノッキングを打ち込む。先ほど打ち込んだ時と同じ確かな手ごたえ。だが、今度は間がなく巨木のような首が次元を思いっきり地面へと叩きつける。
ここにきて凜華の意識が現実へと追いつく。
「次元っ!!」
その凜華の叫びを討ち消すように森林大亀の巨大な足が次元が叩きつけられた場所を踏み潰す。ここにきても凜華の意識は現実に追いつかない。それでも呆然と次元が踏みつけられた事だけを薄っすらと察しているさなか、次元を潰した森林大亀が今度こそ視線を向けるが…
「??」
疑問が森林大亀の思考を過る。呆然とする
「—————」
まるで自分を見ていない。絶対的強者であるはずの自分を。むしろ、その瞳が如実に物語る。
――――自分を見ていていいのかと
瞬間、森林大亀は異変を感じる。押し返されている。自分を支える巨木の足が。なぜと疑問に思うよりも早く
「ぅぉぉおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
踏み潰されたはずの次元が踏みつけていた足を吹き飛ばす。
「ボォア!!??」
急激に体勢を崩され、森林大亀はバランスを崩し幾歩ばかりか後退する。その隙に次元もまた、ユアンがいる場所まで下がる。
「じじ次元!!だ、大丈夫なの!!!」
「おう心配すんな」
涙を流しながら安堵の言葉をこぼす凜華に笑顔で答えつつ、次元は目の前の森林大亀から視線を逸らさない。
――――ノッキングは確かに決まっていた。それでも止まらなかったってことは、単純に今の俺の力じゃ、あの亀をノッキングすることは不可能ってことか
二度の打ち合いで実力を判断。少なくとも、今、目の前にいる猛獣は手加減をして倒せるレベルではないということ。
――――俺たちの目的はハーマッシュ。ここは無用な戦闘を避けて、
『ハーマッシュが来るよ』
その台詞をともに現れたのは森林大亀。普通ならば、意味のない台詞と考えるが…
――――料理人が食材の声を聴くことは多々ある。優れた料理人なら、なおさら。そしてそれは100%の確率で正しいもの
かつて次郎が告げた言葉が、次元の脳裏から逃走という選択肢を削っていく。信じるのか信じないのか、その二択。
「凜華」
「次元…?」
「あの亀が来る前の言葉は、
重く真っ直ぐと問われる言葉。その言葉の意味を理解して凜華は、一瞬言葉に詰まり気弱になるが…
『凜華よ、料理人としての本能を信じるのじゃ。聴こえたのなら、それは間違いではないぞ』
尊敬し敬愛する人の言葉を思い出し、真っ直ぐと次元を見つめ返して
「うん。勘違いなんかじゃないよ」
「…そうか」
問いに返して断言をもって返す。その言葉に込められた思いを感じ取った次元は、笑みを浮かべる。そしてその言葉と共に選択肢は決まった。
「行くぞ」
決まったならば、もう迷わない。即座に次元は地面蹴り、森林大亀に肉薄する。今までのような直線的なものではなく、変則的に間合いを詰めていく。その速度に凜華は、何が起きてるかわからない。対する、森林大亀は微動だにしない。
――――やっぱりこいつは、間合いの中に入るまでは待ちなのか…自分の防御力に自信ありってことか、なら
敵の性質を把握しながら、次元は後方へと回り一気に距離を詰める。
――――速度は俺のほうが早い。だから…死角から探していく
後方に迫られたことを感じた森林大亀だが、彼は
「なにっ!!??」
信じられない勢いでツタが次元の足に絡みつく。
――――これは亀の力じゃない。なら…まさか
万力のような力で足を締め付けられている中で、次元は甲羅の上に生い茂った緑を見渡す。そしてその異変を理解する。亀の甲羅とは、上からの天敵の攻撃などから身を守るもの。だが、この甲羅の上には…
――――明らかに動物の死骸が転がってやがる。それも甲羅を中心に広がるように…
中心部。そこは緑が生い茂っている中で、一段と緑が濃い。
「いるんだな、そこに」
次元が視線を向ける中心部。葉っぱなどに隠れているが、その存在感を一度でも意識すれば、見逃すわけがない。
それは玉座に座る王のように下々に姿を見せぬように存在している。
ハーマッシュ(キノコ類)捕獲レベル48
それを認識すると同時、自身の足を締め付けるツタを破壊して、次元は甲羅の上から跳ぶ。
――――ハーマッシュとあの亀はどういった共存か寄生かわかんねぇが行動を共にしてやがる。
事実を認識するさなか…
「ボウゥ!!」
「次元!!」
二つの声が次元に届く。考えるよりも早く次元は身をひるがえして、拳を構える。
「オラぁ!!」
頭突きと拳が衝突しあい、鈍い音を響かせる。空中では踏ん張りがきかず、次元は思いっきり地面に落下する。
「ボオァ!!」
「チィ…」
地面に落ちた次元を踏み潰さんと、森林大亀は先ほどのような軽い踏みではなく、思いっきり足を上げ、次元をと振り下ろす。
槌のように猛烈な勢いで振り下ろされる足を前に次元は、転がりこむことで回避する。しかし、回避した場所にはすでに森林大亀の顔が迫る。
「舐めんなっ!!」
それを認識すると同時、両手で地面を支え、勢いをつけた蹴りを打ち込む。
「ボッ!??」
「うおぉっ!!」
互いにぶつかり合うが、無理やり打ち込んだこともあり次元が大きく吹き飛ばされる。
「クソっ」
即座に体制を整えた次元は、次の手を模索する。
――――どうやったら、ハーマッシュを取れる
そのまま甲羅に飛び乗って、奪えばいいと思うかもしれない。しかし、短いながらも培ってきた美食屋としての直感が告げる。それは、ハーマッシュを捕獲することはできないと。
『
方法を模索する中で、次元の美食屋としての本能が、ふいにこの依頼を受けるための条件を告げらた時を思いだす。
それは己を鍛えるための縛りの一つだと考えていた。だがもしも、もう一つ別の理由があるとしたら…
「まさか…」
美食屋一人では捕獲不可能と思われる食材。危険区に連れて行かせた戦闘力を持たない料理人。そこまで考えれば、全ての辻褄が合う。
「だとしたら人が悪いぜ、師匠、節バァ」
初めから真の理由を告げてくれれば、此処まで迷う必要などなかったのに。
――――いや、それも込みの修行か
賭けるしかない。この可能性に、そうでなければ今の自分には捕獲は不可能だろう。決めると同時、次元はユアンたちの元へと駆ける。
森林大亀は、徐々に歩を進め距離を詰めてきているが、次元の方が小回りも速度も勝っている。いくつかのフェイントを入れ、混乱させる。
「凜華!!」
「はっはい!!」
驚愕の戦いに唖然としっぱなしだった凜華だが、次元の呼びかけで現実に意識が戻る。
「俺があの亀を何とかする。
突然の言葉に凜華は、その意味を100%理解できない。しかし、次元が
不安はある。それでも自分を信じてくれた次元と自分を立派な料理人だと告げてくれた節乃の言葉が、凜華の背を押す。
「よくわからないけど、あの化け物みたいな亀を倒せば、ハーマッシュは手に入るんだよね?」
「ああ」
「なら、やるよ私。
その言葉を聞いた次元は、僅かに目をパチリとさせるが、即座に笑みを浮かべ「任せろ」と告げる。
そして次元は森林大亀の方へと視線を向ける。
「ユアン!!此処からは手荒くなるから、凜華に意識を向けれねぇ。だから、
振り向きもせず、次元は相棒のユアンにそう告げる。告げられたユアンはその言葉に返すように「ウォン!」と吠え返す。
それだけで意思を察した次元は、その日初めて臨戦態勢へと入る。
――――ゾクッ!!!
森林大亀は、この瞬間初めて今まで感じたことのない感覚が体を包む。恐怖ではない。これは……本能が無意識に告げる。
目の前の存在は、ただ喰われるだけのエサではない。
「ボォォォォオオオオオオオオオオオオオッ!!!」
森林大亀は、決意の雄たけびを上げる。王として挑戦者を迎え撃つという決意を。そのッ声だけで、その場にいた生物たちは、逃走を決意する。
対する次元は…迷いなく森林大亀だけを見据える。今までは、
だからこそ――――
「見せてやるよ、
かなり遅くなりましたが、『トリコ』完結おめでとう!!
たくさんの感動など、ご馳走様でした!!
次回はもう少し早く更新できるようにしたいと思います・・・・・たぶん