結音はミーナに許可を取り、リーネと芳佳の謹慎している部屋に来ていた
「のう、二人共、式神の作り方を覚える気はないか? 謹慎中は暇じゃろう。役に立つと思うのじゃが」
「式神ですか? でもどうして?」
突然の提案に二人は顔を見合わせた
「そうじゃな、まずネウロイにウィッチの撃つ銃弾が有効なのは何故じゃ?」
「ええと、魔力をまとっているからですか?」
「うむ。ミサイルも同じ事じゃ。基本的には高密度の魔力をぶつけて破壊する。吾は魔力をまとった銃弾が有効なら可能と考えたのじゃ。そして、それを飛ばす為に、飛翔体を作ったのじゃ。飛翔体はターゲットに向かってビームを避けるためランダムな軌道で飛ぶ。銃弾も式神化で飛翔体となればミサイルの様に一発必中となろう。弾道をリーネの意志で曲げることが出来るかもしれぬ。どうじゃ、やる気はあるか?」
「自分の意志で弾道を曲げる!? そんな事、出来るんでしょうか!?」
「分からぬ。銃弾を式神化するのは難しくない。問題は、学ぶ年月にある。扶桑の札は人材確保のおかげで、幼い頃から修行しておるため、良質な物が作れるのじゃ。リーネが作れる様になるのは数年掛かるじゃろう。出来る頃には上がりを迎えておるかもしれぬ。じゃが、出来る様になれば、どんな的でも撃ち抜ける様になるのじゃ」
「すごいね、リーネちゃん!」
「う、うん」
結音の事は信じているけれど、リーネは半信半疑だった
「まずは吾が作ってみよう。リーネの銃弾を貰ってきたのじゃ」
そう言って、懐から数発の弾丸と筆を取り出した
「書く物は何でも良いのじゃ。魔力で書くからの」
そう言って結音は弾丸の一つに魔力を込めながら術式を書き始めた
「欧州でもかつてはドルイド式等の術式が存在しておったのじゃが、今は失われて残っておるのは扶桑だけじゃ。欧州人は扶桑式の術式に慣れておらぬからあまり精度が出ていない様じゃ」
作業を続けながらも結音は話続ける
「アフリカ式なら残っておるかもしれぬが、人材確保の方が問題じゃ。ミサイルを理解出来ないかもしれぬ。ふう、出来たのじゃ」
そう言って、銃弾をリーネに渡す
銃弾から放たれる魔力にリーネは感動していた
「凄い……」
「誘導術式を組み込んだのじゃ。ロックオンして撃てば当たるじゃろう。威力は撃つ時のリーネの魔力次第じゃ。これを作れる様になるのじゃ。吾は幼い頃より修行しておったからの、これ位は造作もないのじゃ。謹慎が解けたら試し撃ちをしておくのじゃ。後でマガジンを3セット程作っておくのじゃ。活用すると良い。式神じゃから本人が作った方が魔力の通りが良い、狙撃ならなおさらじゃ」
そうして結音は残りの銃弾を全て誘導弾に変えていった
「まずは基礎からじゃな。さて芳佳、この札を持つのじゃ」
そう言って懐から今度は札を取り出した
「これは魔力符じゃ。あらゆる式神の動力源として使っておる。これに魔力を込めるのじゃ」
「は、はい」
札を貰い、魔力を込め始めると突然パンと弾けた
「わわっ!」
「魔力の込め過ぎじゃ。ストライカーと一緒じゃ。そうっと優しく。95±3%位が理想じゃ。大ざっぱなリベリアンでは±10~15%位なので、大抵弾けておるな。のう芳佳、学校でやらなかったか? 女学校のカリキュラムに入っておるはずなのじゃが」
「あ、はい。戦巫女の方が来て教官をしてました。私、いつも弾けちゃって。魔力を込め過ぎだって。制御ってあんまり得意じゃないんです」
芳佳はその時の事を思い出したのか、顔を伏せた
「制御の難しい治癒魔法が使えるのに、これしきで音を上げるとは芳佳らしくないの。しっかりするのじゃ。今度は優しくな」
そう言うともう一枚札を出し芳佳に渡した
芳佳は今度は優しく魔力を込め始めた
「もうこれ以上入らないと言う所が100%じゃ。それを寸止めする要領じゃ」
「うーん、もう少し…… わっ!」
パンとまた弾けた
「ああー。もうちょっとだったのに」
「よし、要領は分かったじゃろう。リーネもやってみるのじゃ」
今度は札を二枚取り出し二人に渡した
「まずは感覚を掴む事じゃ。制御はそれからで良い」
初めは何度も失敗していた二人だが、やがて慣れて来ると弾ける事はなくなっていった
「今までどうして出来なかったんだろう?」
芳佳は不思議に思った
どれ程練習しても出来なかったのに、制度は良く無いにしても今は作れる様になっている
「無理に制御しようとするからじゃ。自然に任せるのじゃ。治癒魔法はどうしておった? 治るに任せてはおらぬか?」
はっとした芳佳は結音を見た
「思い当たる事があったようじゃな。それで良いのじゃ」
「はい!」
「恐らくじゃが、芳佳は制御の訓練の途中でブリタニアに来てしまったのではないか? もうしばらく続けておれば出来るようになっておったかもしれぬ。戦巫女が気が付かないはずがないのじゃ。才能を見越して丁寧に育てるつもりでおったのじゃろう」
「そう言えば訓練の途中でブリタニアに来ちゃってました!」
「扶桑では学校の授業でそんな事してるんですね」
リーネが羨ましそうに言った
「人材確保の一環じゃ。今後沢山のウィッチが必要になる。ウィッチの保護と育成を父様に頼んでおいたのじゃ」
「ええっ! 結音ちゃんが考えたの!」
「うむ。ネウロイに対抗するためじゃ。今世界中でウィッチが不足しておる。次世代の人材育成無くして未来は来ないのじゃ」
静かな情熱を持って結音は宣言した
「さて二人には課題を出しておくぞ。まずは扶桑の術式を覚えるのじゃ。そして芳佳は魔力符とプローブ、それに飛翔体を作るのじゃ。リーネは魔力符を練習して、消耗したバリアを自分で作るのじゃ。自分の命を繋ぐ大事な物じゃ。しっかり作るのじゃぞ。師匠として凪を連れてくる。謹慎中にしっかり学んでおくのじゃ。任務が始まってしまえば、時間は余り取れぬであろうからな。今の内じゃぞ?」
結音は二人にイタズラっぽく笑った
リーネと芳佳は結音の静かな熱意に胸を打たれていた
結音は次世代のウィッチ達の描く未来にわくわくしていた
リーネが“ロックオン 狙い撃つ”が出来るようになりましたw
しかも弾道が曲がるw
式神の講義
矛盾が無いと良いなぁ