仮面ライダーアマゾンズ -HUNDRED's-   作:どんぐりあ〜むず、

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皆さん、お久しぶりです、エロ本平凡オレボンボン♨️どうも、どんぐりです。活動報告と小説更新の件、大変申し訳ありません。最近、文字を書くのが苦痛になっている所為で書く気力が起きませんでした、本当にごめんなさい…。

箒「謝るくらいなら書くこったな、デブどんぐり…」

わーっ‼︎やめてーっ‼︎触手近づけないでー‼︎

箒「書くのか?書かないのか?」

書くううぅ‼︎書きますから其れどけてぇぇぇ‼︎

箒「ふむ。よかろう。で?バカどんぐり、今度はどんなバカをやらかす気だ?」

あの、今度は最近巷で噂の、今年4月から始まった「仮面ライダーアマゾンズ」と、同じく今年4月からアニメがスタートした箕崎准原作、pixiv族の大熊猫介先生がイラストを手掛けるライトノベル「ハンドレッド」のクロスオーバーです、ハンドレッドは特撮や東映と結構共通点が多いの、エミリア・ハーミット役の声優さんは初の小学生プリキュアだし、クレア・ハーヴェイの声優さんなんて元ゴーカイイエローだし(アレっ?どっちも黄色い…)、ハンドレッドの音楽担当はあの平成仮面ライダーシリーズの音楽担当で有名な鳴瀬シュウヘイさんだし、話の展開ですら「仮面ライダーカブト」に似ているし、しかもイラスト担当の大熊猫介先生が所属しているのはあのまどマギや仮面ライダー鎧武の脚本を手掛けたあの虚淵玄がいるニトロプラスだし…etc。

箒「ふむ。沢山あるな。だが捌けるのか?」

そりゃあ、そっちに比べたらね。だって難しいもんそっちは…ってあの、箒さん、雨月とギガ波動砲をこっちに向けないでね❓ね❓

箒「知らん。」

ほちゃあああああああっ⁉️(始まります♨️)




(p.s.因みに、今回から暫くは普通に原作通りに進みますが、本作に限り、現在進行形で進んでいる精神状態の悪化な作者の日頃のストレス発散の為に、相当オリジナル設定や展開、原作キャラ死亡やアンチヘイト(但し、飽くまで今後の予定です♨️)など、かなり過激なドス黒展開がてんこ盛りな作風となっています。ひょっとするとR18スレスレな展開もあるかもしれません。今回はそのようなことは一切ありませんが、もし其れでも其れが嫌だという方は今直ぐ此処からブラウザバックをお願い致します。其れでも読みたいという方がいるのならどうか自己責任でお願い致します。この過激な「黒どんぐり炸裂、ブラックでビター、尚且つデッドヒート」な本作についてこられるかは、読者の貴方次第です‼︎)





ヴァリアント覚醒/AMAZONS
プロローグ/BEGINS OF AMAZONS


…アマゾン、其れは未知の生命体。

 

……そして、全ての始まり…。

 

///////////////////////

 

 

「なんで、どうして、こんなことに……」

 

少年はそう呟いた。先程まで自分のいるこの街は、多くの教会や寺院などの歴史的建造物や、近代的な造りの高層ビルが乱立し、観光客や礼拝を終えた僧侶や聖職者らや、通勤或いは通学途中の人々が行き交い、活気を帯びていた。

 

が。

 

それが今ではどうだろう?

 

突如放たれた眩い光と、全身に響き渡る程の爆音と衝撃波を伴った爆発によって街は一瞬にして地獄絵図と化してしまったのだった。

 

 

 

そして今も、断続的に光が迸り、爆発音が鳴り響いているというのがこの街の現状だった。

 

既に街の大半は、地面の上に積み上がった土埃の舞う瓦礫の山➖一応鉄骨などの骨組みを露出、或いは其れだけという状態で辛うじて建っている建物は僅かながら存在していたが、原型をとどめているものがあるかという話となると、其れはほぼ皆無に等しかった➖と成り果てていた。

 

「なんなんだ、なんなんだよ、いったいッ!」

 

少年は再び鳴り響いた爆音と、序でに起きた爆風に身を小さく屈めながら叫んだ。

 

少年には分からなかった。一体この街で何が起きているというのだろう?テロか、事故か、其れとも何か他の要因でもあるのか?

 

少年の周りにいた生き残っていた人々も其れは同じらしく、ある者は悲鳴をあげ、またある者は気を動転させて混乱し、またある者は逃げ回るか、崩れた店舗から商品を略奪するか瓦礫に埋もれた人間達を懸命に救出しようと試みる者達などが、慌ただしく動き回っていた。

 

少年も、何が起きたのか、そして今自分がどのような状況に置かれているのかを確認しようと立ち上がった時だった。

 

直ぐ近くで、またもや爆発が起きた。

 

「うわっ⁉︎」

 

巻き起こった爆風により、少年の身体はまるで木枯らしの中の枯葉のように宙を舞った。そしてその数秒後には、少年は瓦礫の山の上にたたきつけられていた。

 

(なんで、どうしてこんなことに……)

 

よろめき、キインとした耳の痛みをこらえながらもなんとか立ち上がろうとした少年の目に、真っ黒で幾何学的な黄色く輝く模様と、出来の悪い裁ちバサミを思わせるような巨大な鋏を持った二階建て一軒家ほどの大きさの怪物が、燃え盛る瓦礫の中から姿を現し、混乱していた人々に襲い掛かる光景が飛び込んできた。だが少年には、あの怪物の正体が何なのか、そしていったい何が起きたのかを理解することができた。

 

「うわあぁぁぁぁぁッ⁉︎」

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁッ‼︎」

「逃げろぉぉぉッ、《サベージ》だぁぁぁぁぁッ‼︎」

 

《サベージ》。

 

かつて3年前、第一次遭遇(ファーストアタック)と呼ばれる事件が起きた。南極大陸に幾つもの小型隕石が落下したのだが、よりにもよってその中にこの謎の「異種生命体」、つまりサベージ達がいたのだった。サベージとは、個体によって違いがあるものの、概ね鋼のような皮膚に黄色く輝く幾何学的な模様や、昆虫や甲殻類などの節足動物を思わせるような目や長い触角、鋭い牙や幾つもの脚を持った、恐ろしい人食いの怪物のことだった。「だった」というのは、本来ならば国連や各国によって結成された連合軍や 民間軍事会社(PrivateMilitaryCompany)、はたまた警察機関やその他企業によって駆逐、殲滅されたはずだったからだ。

 

だが、目の前の怪物と今の状況を見る限り、どう見てもサベージだと考えざるを得なかった。

 

少年は疑問に思った。何故こんなところに殲滅された筈のサベージがいるのだろう?国連や政府はタチの悪い「ウソ」でもついたのか?ウソか誠かといえば、今のこの街の状況もそうなるのであるが…。

 

少年が一瞬そう考えた時、目の前でサベージの巨大なハサミに捕まり、断末魔の悲鳴をあげて頭から、パキッパキッ、という音を立ててサベージに食われる男の姿が目に映った。其れを見た瞬間、少年の思考は一瞬にして疑問や猜疑から恐怖へと入れ替わった。

 

サベージの恐ろしさは、学校や本にニュース、はたまた両親や学校の先生などの大人達やインターネットなどから得た情報から痛い程分かっていた。そのうえ目の前で人が喰われるという世にもおぞましい光景を目にしてしまったのだ、恐怖で腰を抜かして尻餅をつくなと言われる方が、どだい無理な話だった。

 

だが、それでも少年はこんなところで腰を抜かして死ぬわけにはいかなかった。とても大切な約束を、其れも絶対に破る訳にはいかない約束を、”あの子”としていたからだ。

 

ー其れを果たすまでは、オレは、恐れたり、死んだりすることなんて、出来ない…。出来る筈が、無いんだ…!

 

少年は走り出した。約束を果たす為に、行かねばならぬ場所へと向かう。死の恐怖はアドレナリンや、火事場の馬鹿力で明後日の方向へと追いやった。此れで暫くはサベージに出くわしても上手く撒いて逃げ切って、あの場所に辿り着けるだけの時間は稼げるだろう。もしかすると、上手くこのサベージの作り出した地獄から”あの子”と共に逃げ切れるかもしれない。

 

少年の心に、僅かながらも光が差してきた。”あの子”と共に此処から生き延びて帰るのだと、自分に言い聞かせ、己を奮い立たせていた。今は何としても、此処から生きて帰るのだと、己に希望を持たせた。

 

少なくとも、今は。

 

 

 

///////////////////////

 

やがて少年は目的地である、この街の中心部に位置する公園にやって来た。何時もであれば多くの市民や観光客で賑わっているのだが、やはり付近での騒ぎを聞いたのか、殆どの人間は公園から姿を消していた。

 

少年は祈った。願わくはもし人々がサベージから避難したというのならどうか”あの子”も一緒に避難していてくれますように、と。

 

だが、其れも公園の奥にあるベンチの上で、座ったままスヤスヤと寝息を立てる銀髪の少女の姿を見て、其れは甘い考えだったと認識した。

 

何時ものように、フリル付きドレスを着、何時ものように、公園の奥のベンチに座り、然し何時もと違い座ったまま寝息を立てて寝ている、銀髪の”あの子”。

 

先程まで、昼寝をするには最高な陽気だっただけに、少年を待つ内に眠ってしまったのだろう。少年には、その様子が絵本に出てくる白雪姫などの眠り姫を思わせた。出来ればもう少しその様子を見ていたかったが、今は非常事態だ、早急に此処から離れなくては。

 

少年は少女の元に駆け寄り、両肩を掴んで身体を揺すって呼び掛けた。

 

「起きて!ねえ、早く起きて!」

 

すると、少女は目を覚まして、

「あ、おはよう。やっと来たんだ。」

 

と、にこりと笑顔を浮かべた。が、直ぐに少年の気配や周りの様子から、何やら切羽詰まった状況だな、ということに気づいたのだろう。彼女は不思議と不安の混ざった表情で首を傾げ、少年に訊いた。

 

「……どうしたの?」

「大変なことになってるんだ!サベージが、この街に現れて!」

 

其れを聞いた少女の顔から不思議そうな表情が消え、あっと言う間に顔面蒼白したのと、少年達を巨大な影が覆ったのは同時だった。

 

サベージが、少年を追い掛けてきたのだ。

 

「逃げよう!」

 

未だにサベージが街に現れたことが実感出来ないで戸惑っている少女の手を引いて、少年は走り出した。だがその行く手も、空から降ってきたもう一体のサベージによって阻まれてしまった。

 

公園の池から水が溢れる程に、大地が揺れた。

 

「……ッ、くそっ!」

 

前門のサベージ、後門のサベージ。

 

退路を完全に失ってしまった。

 

そのうえだいたい3〜4m➖普通の二階建て家屋ぐらいか?➖くらいの大きさの巨体だ、両側から迫る壁に押し潰されそうな気分に陥るくらいその圧迫感は尋常なものではない。

 

おまけに目の前のサベージがギョロリとした双眸を少年達に向け、立ち上がってきた。明らかに少年達に狙いを定めているのは目に見えていた。

 

少年は少女の手を引いたまま大地を蹴り上げた。早く逃げなければ、あの男のように2人揃ってパキパキと喰われてしまう!

 

「こっちだ!」

 

少年の咄嗟の判断で、どうにかサベージのハサミ攻撃を交わすことは出来た。ハサミが地面に突き刺さり、砂埃が舞う。然し再び走り出した時、少年は、「きゃっ⁉︎」という悲鳴を聞くのと同時に、背後から思い切り腕を引っ張られ、握っていた手が離れる感覚に気がついた。振り返ってみれば、少女が瓦礫に足を取られて転び、地面に倒れてしまったのが見えた。

 

「大丈夫かっ⁉︎」

「う、うん……、大丈夫……。」

 

そう言って少年に助けて貰いながら少女がその身体を起こそうとしたまさにその時だった。

 

パカリ、と背後のサベージの頭が開き、其処へ白い光が集まり始めたのだ。少年は思い出した。サベージはただ人喰いをしたり、ハサミで攻撃してくるだけではない、頭部からも破壊光線を放つということを聞いたことがあったのだ。もし情報が正しければ、此れまでの爆発や強烈な光は、全部此れのせいだった筈だ。

 

「伏せろっ!」

 

勢いよく少女と共に身を屈めた瞬間、強烈な日光にも似た光が迸り、辺り一面が真っ白に染まった。

 

「くあっ……!」

 

轟音と共に爆風が起き、瓦礫や砂埃がまう。

 

其れは少年達も例外ではなく、2人はあっという間に吹き飛ばされてしまった。

 

だが少年がすぐ傍の瓦礫に打ち付けられたのに対して、少女の方は別の方向にいるサベージの足元へゴロゴロと転がってしまった。

 

サベージも其れに気が付いて、ハサミの狙いを少女に定めて、遂には少女のその華奢な身体は大地を離れ、サベージのハサミによってクレーンゲーム宜しく引き上げられてしまう。

 

「やめろぉおーーーッ!」

 

少年は絶叫した。サベージの頭がパカリ、と開いて少女が喰われそうになるのを見ながら、少年は焦燥と絶望に襲われた。どうすればいいんだ?最早、此れまでなのか?俺たちは此処で、終わってしまうのか?

 

少年は少女が喰われるところを見ぬよう、顔を背けた。

 

 

 

 

 

「グゥオアァアアアァァァァッッッ!」

 

 

 

 

 

何かの雄叫びと共に、ズバァッ、ドサリ、ドシャアアアッ、という音が聞こえた。

 

何事かという思いで、少年は少女を捕食しようとしていたサベージの方を向いた。見ると、少女の身体を挟んでいた方のハサミの腕が無くなり、代わりに黄色い体液がまるで噴水のように噴き出していた。無くなったハサミの腕は地面に落ちていて、サベージは金切り声を上げて、自分の腕を斬り落とした犯人を探していた。もう一体のサベージも、何が起きたのか理解出来ないでいるようだ。

 

「なん、だと…。い、いったい、何が…。」

 

少年も、今何が起きたのか分からぬ身であった為、辺りを見回した。そういえば、サベージのハサミの中にいた”あの子”は何処だ?サベージの片腕はあってもあの子だけはいなかった?まさか…。

 

その時だった。

 

「グゥオワアァアアアァァァァァァァァァァァッッッ!」

 

先程よりも迫力のある、鼓膜を切り裂き、腹から奈落の底にまで響きそうな野太い咆哮がこだました。

 

その咆哮のした方へ目を向けた時、少年は思わず己が目を疑った。

 

 

 

まず目に入ったのは、毒々しいエメラルドグリーンを思わせる新緑だった。そして全体的なシルエットは人間と変わらないようにも見えたが、似ているのはシルエットだけだ。後は黒いトゲの生えた腕や足、赤い背鰭に赤い複眼、小さな鼻の穴や緑色の角が3つ、頭に生えていて尚且つ額にも角が一本生えていた。そして何よりも、人間ならば耳まで裂けているであろう、ギザギザの顎。そして何よりもその怪物は、全身から猛烈な蒸気を放っていた。少し近寄っただけでも、火傷しそうな様子だった。

 

 

 

どう考えても、人間の筈がなかった。かといってこんなにも特徴がサベージとも違い過ぎるから間違いなくサベージでもない。少年は困惑した。この怪物は一体何なんだ、どう考えても都市伝説とかに出てきそうな、所謂「トカゲ人間」としか呼べ様のない奴じゃないか、と。

 

その時、少年は怪物の手が、サベージの体液で濡れていることと、その腕の中に”あの子”がいることに気がつき、あの怪物が少女を助けたのだということを瞬時に理解した。

 

「あっ⁉︎」

 

少年が驚愕のあまり声を上げ、怪物に少女のことや、サベージのことを訊こうとした時には、既に怪物は、崩れた噴水から少年の直ぐそばにまで来ていた。

 

其れまでに、1秒もかからなかった。

 

怪物はその赤い目で少年を見た。少年は間近で見る怪物の姿に恐怖しながらも、何とか一句一句言葉を紡いだ。

 

「助け…て、くれた、のか…?」

 

すると怪物はその腕の中の少女を少年に託した。そして自らはサベージへと向かって飛び掛かった。

 

「グワァアァアアアアァアアアァッッッ!」

 

その様子を尻目に、少年は腕の中の少女を見た。が、其処で彼は一瞬にして青ざめた。何故なら胸元が、ドレスごとハサミに引き裂かれていたからだ。肌には、一筋の赤い線が引かれていた。サベージは、少女の美しくも華奢なその身体に、傷を残していた。

 

「おいっ、大丈夫か⁉︎」

 

声をかけると、苦痛に喘ぎ、掠れた声を喉から漏らしつつも、ゆっくりと頷いた。まだある程度の意識はあるようだ。

 

(くそっ、早く血を止めないと……)

 

少年はサベージが怪物によって足止めされている今しか、この状況から抜け出す方法は無いと考え、少女の身体を抱えて、全速力で走り出そうとした。だが、

 

「くあっ、はあっ……んうぅっ……」

 

その時だった、少女の口元から苦悶の声が漏れた。呼吸も先程よりも浅くなり、玉のような脂汗まで掻き始めた。

 

「……って、なんだ、これ……」

 

其れに気付いた少年は、少女の切り裂かれた胸元からを中心に、皮膚が浅黒く変色し始めたことに気がついた。然も、変色の範囲は留まるところを知らないようだった。

 

(まさかこれって…、毒か……?)

 

少年は頭を巡らせた。もし此れが毒ならこれ以上少女の命が持たないのは明白だった。どうすれば…。

 

その時、少年の脳裏に昔の思い出が蘇った。遊んでいた時に蜂に刺されてしまった時、母親が傷口の近くを縛り上げて毒がまわらないようにし、口で吸い出してくれたのだった。然し、あの時は腕だから良かったものの、今回は胸元だ。縛り上げるようなことは出来ないから、吸い出すなら一刻も早く吸い出さなければならないだろう。

 

(傷口から、毒を……)

 

他人の、其れも異性の肌に唇で吸い付くなど、此れまでに一度もない。ましてや、人の命を救ったことすらもない。

 

其れだけのことであるから、息が詰まり、心臓の鼓動も早まり、喉も渇く。然もそれ以上に、命が懸かっているのだ。少年は自問した。出来るのか、この俺に?彼女の肌に唇を吸い付けることは愚か、そんなことで彼女を救うことが、本当に出来るのか?、と。

 

だが、もう一刻の猶予もない。迷っている暇など無いのだ。

 

(ごめんっ!)

 

心の中で少女に謝罪し、少年は少女の傷口に吸い付いた。

 

「んっ……ふうっ……んんっ……」

 

少年は必死に唇を窄めて毒を吸い出しながら、錆びた鉄の味とその中に混じる異質な、苦味のある味を感じた。

 

「ん➖はあっ!」

 

ペッ、と口から吐き出した浅黒い液体がコンクリートにべちゃりと付着した。

 

其れでも少年は、めげることや恐れることなく、再び少女の胸元に吸い付いた。2回、3回…。そして3度目だった。

 

「あり、がと…。」

 

漸く少女の呼吸が落ち着いてきた。少年は安堵のあまり噎せ返った。

 

だが、安堵も長くは続かなかった…。

 

(なんだ、これ…?)

 

いきなり目の前がぼやけてきた。おまけに視界も揺らぎ、頭もふらつき始めた。

 

目を擦ってもそれは治らない。

 

(くそっ、どうなってんだよ!)

 

首も重くなり、身体も地面に吸い寄せられ始めた。意識も朦朧としてきていた。そこで少年は、この症状が吸い出した毒によるものではないかと考えた。サベージの毒は思った以上に強力なものだったようだ。

 

(ちくしょう…、こん、な、ところ、で……)

 

少年は悔しさを表情に滲ませた。だが、少女の方は既に小康状態にまで落ち着いているように見えた。

 

➖願わくは助かりますように…。

 

少年はそう念じ、最早自分は助からぬ、と覚悟を決めた…、

 

 

 

 

 

「グワアアァアアアアアアアアアアアアアアアァアアアアアアアアアアアアッッッッッ‼︎」

 

 

 

 

 

 

その時だった、すざましい程の雄叫びと、側に核爆弾でも落ちたのかと思うくらいの爆音が響いた。

 

見れば、あの怪物が空高く舞い上がって、瀕死のサベージに飛び掛かり、とどめを刺していた。飛び上がり、サベージの上に叩き潰すように着地すると、すざましい衝撃波が襲いかかった。

 

 

「「うわあああぁっ⁉︎」」

 

 

悲鳴こそ上げはしたが、朦朧としながらもその場にあったコンクリート片の内側に身を置いた為、今度は吹き飛ばされずに済んだ。その時、少年達は気絶しかける程のふらつく思考の中で、漸くサベージが現れたことよりも異常な事態が起きているのでは、と考えるようになっていった。本当なら其処まで気にしていられる程、今の自分達の状態ではそんな余裕はなかった。だが、気絶する五分前に達していた彼らは見たのだ。

 

 

 

 

怪物が、サベージを”生身で、然も素手で殺し、然もその肉を喰らっていた”、ということを。

 

 

 

 

だが、そんな怪物も五体満足にはいかなかったらしい。ぼやけて、然も意識も混濁している少年と少女の目には、怪物は片腕を失って、全身から緑黒い体液らしき液体を流して苦しそうにしているように見えた。だが其れでも一心不乱に怪物はサベージを喰らっていた。其れは最早、見た目同様、「獣」としか呼べ様のない有り様だった。

 

 

 

だが、不意に怪物が”食事”をパタリと辞めた。そして、ゆっくりと少年達の方へ向く。

 

 

 

 

 

「……え?」

 

 

 

 

少年の間の抜けたような声が漏れた瞬間には、怪物は彼の肩に食らいついていた。

 

 

 

 

 

「あああぁああああああぁぁあぁあああああああああぁぁぁぁぁッッッッッ‼︎」

 

 

 

 

 

先程迄のふらつき、ぼやけて見えた視界や思考は、暫くは続いた長い絶叫とすざましい激痛と共に、明後日の方向へ飛んでいってしまった。然も、少年は気づかなかったが、少年の身体の中に侵入してくるものがあった。サベージの毒とは違う、何かだ。”それ”は少年の細胞を包んだ。そして”それ”は急速に広がっていく。だが少年は其れに気づかず、このままこの怪物に喰われて死ぬのだと考えていた。このまま、自分は激痛に苦しみ、この怪物に貪り食われて死んでいくのか?サベージの毒の方がまだマシに思える、こんなとんでもない殺され方をして?彼女共々、この怪物の餌にされて?

 

少年がそう考えたとき、「けほっ、けほっ…」と咳き込む声が聞こえた。見ると、先程の衝撃波で気絶していたと思われた少女が、息を吹き返して咳をしていた。だが其れを見た怪物は、少年の肩を咥えていた口を離し、ゆっくりと少女に近づき始めた。其れを見た少年は、息も絶え絶えに、肩の痛みとぶり返してきたふらつきを堪えながらも、血相を変えて怪物に飛び掛かろうとした。

 

「やめろ、其れだけは、其れだけは…、絶対に…、やめろぉおおぉ!」

 

うわあああぁっ、と声を上げて少年は怪物に向かった。だが怪物は後ろ回し蹴りを少年のこめかみに命中させた。

 

少年は盛大に吹っ飛ばされ、近くの瓦礫の山に突っ込んだ。哀れ、少年は虫の息に陥った。今度こそ死ぬかもしれない、少年はそう考えて暗闇の中に落ちていった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に、怪物が少女の傷口に噛み付く光景を、網膜に焼き付けて…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

///////////////////////

 

「……はっ⁉︎」

 

如月ハヤトは其処で目を覚ました。先程まで眠っていた彼は、またしても何時も見る”あの子”が出てくる夢を見たのだ。幼い頃から見るようになった、ブリタニア連邦、グーデンブルク王国で起きた、第二次遭遇(セカンドアタック)の最中で起きた、ハヤトと、謎の少女、そして…。

 

「うぐっ…‼︎」

 

ハヤトは其処まで考えて、思い出そうと、考えようとしていたことが、自分にとっては想像しただけでかなり不味いことになるものだったことを発作による心臓の痛みで思い出し、直ぐに考えないよう被りをふり、太陽の光が差す窓へと顔を向けて、呼吸を整えた。危ないところだった、もう少し遅ければ今頃は…。

 

「いや、其れも考えねえ方がいいな…。」

 

まだ呼吸が乱れてはいたが、空の景色を眺めて何とか体調を整えた。

 

耳に付くのは、この輸送機のジェットエンジンと、気流の音だけだ。ハヤトは今、とある目的の為に、とある場所へと向かっていた。

 

海上学園都市艦、リトルガーデン。

 

病弱な彼の妹、如月カレンが入院している病院がある、巨大民間軍需企業「ワルスラーン社」と、共に世界のトップに立つ医療企業、「野座間製薬」によって運営されている対サベージ用拠点にして、武芸者(スレイヤー)育成機関も兼ねた、総面積4平方キロメートル以上もある、街を持つ巨大な空母。天候や出国手続きの問題で、前日の夜から入学式当日に到着する予定になってしまったものの、もう少しすれば着いてしまうだろう。

 

(然し、またあの子の夢を見たな…。)

 

ハヤトは、あの少女のことが知りたいと考えていた。グーデンブルク王国がセカンドアタックに見舞われた際、彼は両親を亡くし、自身も頭への怪我や、”その他諸々”の要因で大半の記憶を失っていた。

 

何故詳しく言えないのかというと、彼自身や彼の周りの命に関わるからだ。其れは、彼の左腕の、腕輪型の機械が全てを物語っている。幾らこの腕輪が、彼の中にいる「モノ」を抑制できるとある「特殊な薬剤」を投与しているとはいえ、夢の最後を想像すると自分の意思とは関係無く服を破いて勝手に「変身」してしまうのだ。此ればかりは、彼にはどうにもならなかった。

 

「……そーいや、駆除班の皆、どうしてるかな…。」

 

ハヤトは、今頃は自分とは別の場所にて待機している仲間達のことを思った。出来ればカレンと共に早く会いたい。自分にとって、彼らは実妹のカレン、同じ施設で暮らしたセカンドアタックの孤児達と同じくらいかけがえのない、両親を失って以来出来た「家族」なのだから…。

 

(ま、兎に角先ずはカレンに会うのが先だな…。時間が時間だから、入学式より前に会えれば良いんだが…。)

 

そう考えた矢先、輸送機が雲間に入った。そして見れば、巨大な空母が目に入ってきた。

 

漸くリトルガーデンに着いたらしい。ハヤトはやっとかという思いで、シートに凭れ掛かった。

 

そして目を閉じて、リトルガーデンにて自分がしなければならないことを反芻し始めた。

 

 

 

幼い頃から病弱な妹により良き治療を行うために。

 

共に施設を過ごした、困窮した生活を送る仲間達を救う為に。

 

そして…。

 

(俺の、夢の答えを、探す…。)

 

あの夢の中に出てくる少女が誰なのか。そう考えるのは、初めてハンドレッドに触れた日と、当てのない駆除班の日々を過ごすうちに昔の記憶が蘇りつつあるのだ。勿論、あの夢の中に出てくる、怪物のことも…。

 

(ヤバイヤバイ…。まだ想像するのは無理みたいだな…。けど…。)

 

ハヤトはもう一つ、自分がリトルガーデンに向かわねばならぬ理由を思い出した。彼の所属する野座間製薬の子会社に当たる、害虫駆除企業「ノザマペストンサービス」の調査班が、大量の”虫”がリトルガーデンに侵入したらしいこと、そして、とある人物の要請により必ず補充要員として保護して欲しいという”虫”がいる、という情報をリークしたのだ。だが”虫”達のことをリトルガーデンの住民に知られる訳にはいかない。例えその上層部である「生徒会」にも…。

 

よって、ハンドレッドの反応数値が驚異的に高く、注目の集まりやすいハヤトは、元の駆除班のメンバー達とは別行動となったのだった。

 

「リトルガーデン…。今日から俺、いや”俺たち”の暮らす場所。俺の夢の答えのある、”あの子”に会えるかもしれない場所。そして…、俺たちの、サベージと…、”虫”…、”アマゾン”達と、戦う場所…。」

 

 

 

ハヤトはそう独りごちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

此れは、アマゾンと、サベージ。そしてスレイヤー。三つ巴の戦い。この物語は、其々の残酷な運命に立ち向かった人々の物語。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、同時に、この世界の命運を掛けた戦いの物語…。

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、彼らはまだこの先に何が待ち受けているのかは分かっていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まだ、何も、分かっていない…。

 

 




詳細な設定はまた後日アップ致します。此処まで読んで下さり、ありがとうございます。

感想、評価、誤字脱字報告等を、宜しくお願い致します。

では、此れにて。
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