仮面ライダーアマゾンズ -HUNDRED's- 作:どんぐりあ〜むず、
どうも、暫くは本作に専念しようと考えてるどんぐりです。
今回は前より長めにしております。誤字脱字、評価や感想、たっぷり送って下さい。返信する余力は、ありますからね〜♨️
では、第3話、行ってみよう❗️
ハヤトが入学式でエミール・クロスフォード達と邂逅していた頃、発着場に一機の大型輸送機が降り立った。
機体に「野座間製薬」と書かれた其れは、人知れずリトルガーデンの発着場に降下した。そして、そのタラップから、ぞろぞろと白い防護服姿の人間達が現れ始めた。
彼らこそ、如月ハヤトが所属している野座間製薬の子会社である害虫害獣駆除業者、「ノザマペストンサービス」だった。
やがて、多くの防護服の人間達が降りると、その奥から野座間製薬のマークを付け、屋根に小さなスピーカーを載せた一台のバンが現れた。
バンは、輸送機から降りると、そのまま他の防護服の集団が乗り込んだ、リトルガーデン側の迎えのトラックの後に続いた。
だが、その中の誰一人として
そんな彼らの直ぐ近くを、ノザマペストンサービスのコンボイが通り過ぎる。エアポートにその船団が到着したのを見届けると、最後尾にいた彼女は、気づかれぬよう一団から抜け出し、エアポートに到着し、最後尾で停車していたバンの屋根に向かって、隠し持っていたパチンコで何かを打ち出した。物体はそのまま放物線を描いてバンの屋根の上にくっついた。四角い箱のような物体で、中央にあるランプが青く点滅している。
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その頃、何処かのビルの一室の、オリエンタルで生活感溢れるその部屋に、その赤毛の少女はこたつテーブルの中で眠っていた。こたつテーブルには携帯や昨日の夕飯の後の食器やトニックウォーターの空き瓶などが置かれている。
その時、突然携帯のバイブ音が鳴り響き、少女は眠りから覚めなければならなくなった。
携帯を手に取り、たった今届いたメールの内容と、其処に映し出されたリトルガーデンの地図と座標を確認すると、少女は、こたつテーブルの上にあった、まだ瓶の中に残っていたトニックウォーターを全て飲み干し、棚の角に足の小指をぶつけて悶えながらも、欠伸をして玄関を通り過ぎると、そのまま直ぐそばのビルの屋上へと繋がる階段を上っていった。
屋上には、鶏小屋や鶏を放し飼いにする際に荒らされないよう温室小屋となっている菜園などがあった。少女は迷わず、何時ものように鶏小屋の扉を開けた。中の鶏達はかなり驚いて翼をばたつかせ、羽を飛び散らせたが、構うことなく少女は目当ての卵を4個程手に取る。
そして少女はまた来た道を戻ろうと階段へと繋がる扉へ向かう。が、其処で彼女は卵を一個落としてしまった。
だが、分厚い緑色の塗装が施されたコンクリートの上に、グシャリと半ば潰れかかった卵を見た赤毛の少女は、気にすることなく、そのまま割れた卵を拾い上げて扉の奥へと消えていった…。
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「すまない、ハヤト。私が大声を出したせいで…。」
「そうだレイティア。反省しろよ?」
「⁉︎フリッツ!良い加減、子供扱いするなと言っているだろう⁉︎頭を撫でるな‼︎」
「丁度良いところに頭があるのが悪いんだ。」
そういって、金髪の青年が小さな少女の頭を叩いて、撫で回した。
ハヤトとエミールの2人は、入学式会場のある建物内の講堂への入り口で、先程の金髪の青年と、同じく大声でハヤトの名前を呼んでハヤトが周りから注目されてしまう原因を作ってしまった、橙がかった茶髪のサイドテールで、小学生に見間違えられそうな程の身長➖ハヤトには其れが、笑点でよく見かける、赤服の座布団運びの落語家を思わせた➖とスタイルの、少年のような性格をした少女と出会っていた。
美しい金髪に長身、甘いマスクの青年が、”フリッツ・グランツ”。
対する橙茶髪の少女が、”レイティア・サンテミリオン”。
何方もリベリア合衆国出身の武芸科一年生だった。2人は、幼馴染らしく➖然しレイティアだけは、「ただの腐れ縁」だと必死に否定している➖、とても仲が良さ気だった。聞いた話では、フリッツは今年の武芸科男子の一年代表を務めるとのことだった。
「2人は幼馴染なんだってさ〜♪ホンット、仲良いよね〜♪」
そう言って、エミールが嬉しそうにハヤトの腕に抱きつく。男に抱きつかれて、ハヤトは少し狼狽えた。
「あ、ああ…。」
其れを見たフリッツとレイティアはハヤトにこう言った。
「お前達こそ、あったばかりだと言うのに仲が良いな。」
「うむ。とても男同士とは思えんくらいだ。」
「ええっ⁉︎」
ハヤト思わずギクリと身体を震わせた。まさか、ホモと思われた?
「エヘッ、そうかなぁ〜?どうしよう、ハヤトぉ♪?」
だが其れでも御構い無しにエミールが嬉しそうに言ってくる。ハヤトは戸惑いながらも、果たして俺の此れから先の学園生活は大丈夫なのか?、と考えた。
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やがて、入学式の開始時刻になり、ハヤト達は案内された通りに整列した。講堂の中はまるでオペラ座のような雰囲気と広さを誇っていた。
整列が終わると直ぐさま式典が始まった。先ずは舞台袖から現れた、凛々しい瞳をした緑がかったポニーテールの女性と、赤縁のアンダーリムの眼鏡を掛けた、真面目そうなショートカットの女性からの挨拶だった。何方も武芸科の制服を着用し、年齢もハヤト達に近く、まだ少女と呼んでも過言ではなかったが、何処かベテランを思わせる雰囲気を放っていることや、そもそも武芸科の制服のカラーが、ハヤト達のオリーブドラブのタイプではなく、南の島の海を思わせる鮮やかな紺色からして、普通の生徒ではないのは明らかであった。
「新入生の皆さん、入学おめでとうございます。司会を務めます、リトルガーデン武芸科二年、生徒会副会長のエリカ・キャンドルです。」
「同じく、リディ・スタインバーグだ。では先ず、このリトルガーデンの艦長であり、生徒会会長のクレア・ハーヴェイ様より、ご挨拶がある。」
2人の副会長、エリカとリディがそう切り出すと、ざわついていた講堂内はあっと言う間に静まり返った。
やがて、その静まり返った講堂内に、ハイヒールの音がこだまし始めた。音は段々近づいていき、遂にそのハイヒールの音源が姿を現した。
「あれが…、生徒会長…?」
ハヤトは神妙な面持ちで、彼女を見た。縦巻きにカールしたブロンドの髪を左右の耳元から垂らした、如何にもお嬢様然としつつも、何処か厳しさを湛えた、美しい少女。
その女性こそが、クレア・ハーヴェイだった。
「ああ、
フリッツがそう補足した。やがて壇上についたクレアが、マイクに向かって此れから何を語るのかと、誰もが固唾を飲んで見守り、聞き入ろうとしていた時だった。
いきなり、出入り口の扉が勢いよく開かれた。
「すみませんっ‼︎」
「遅れて申し訳ありません‼︎」
聞き覚えのある、二つのソプラノが、講堂内に木霊した。舞台上のクレアは勿論のこと、講堂内にいる全員の視線が講堂の入り口へと殺到する。見ると其れは、ハヤトがエアポートに到着した際に、ハヤトを歓迎する垂れ幕を掲げた、東洋人らしい顔立ちの、あの2人の少女達だった。
「あの2人って、確か…。」
ハヤトは、エアポートに到着する寸前まで、彼女達が自分を探しているのを知っていたが、あれから入学式に遅れてまで自分を探し続けてくれていたことに、罪悪感を覚えた。
(ずっと俺を探してくれてたんだ…。ありがとう…、そして、ごめんな。こんな俺の所為で…。俺を探してくれてたのに、それなのに俺は…。もう、「仲間思い」なんて、口が裂けても言えねぇな…。)
こんなことになるくらいなら一緒に会って会場に行っておけば良かった。そう考えた時だった。
「…入学式に遅れるとは。良い度胸をしていますわね。」
クレア・ハーヴェイの、冷たく怒気を孕んだ声が講堂内に響いた。
「す、すみませんっ‼︎」
「エアポートまで如月君を迎えに行っていて…、如月君が見つからなくて、其れで…。」
「言い訳はよせ!」
副会長のリディが一喝した。エアポートに行っていたことを説明していた、後ろ髪で三つ編みにした黒髪の少女は、その一喝で小さくなる。
「お前達の探していた如月ハヤトなら、其処にいる。」
そういって、リディはハヤトのいる席に向かって指をさした。
2人の少女は、失望したような面持ちでハヤトを見つめた。
ハヤトは、そんな彼女達から顔を逸らした。自分が悪いのは分かってはいるが、流石にその視線だけは耐え難かった。
「ノア・シェルダン。リュウ・シュエメイ。」
クレアが2人の少女、ノア・シェルダンとリュウ・シュエメイの名を呼んだ。
「このリトルガーデンでは、規律を守れない者に居場所はありません。よって…。」
次の瞬間、クレアは衝撃的な言葉を口にした。
「直ぐに荷物をまとめて、出て行きなさい。」
栗色のロングヘアーの少女、ノア・シェルダンと、長い黒髪を三つ編みにした少女、リュウ・シュエメイの2人の顔が真っ青になる。同時に、先程まで静かだった講堂内が慌ただしくなる。
ハヤトは焦った。不味い、理由は分からないがこのままではあの2人が俺の所為でこのリトルガーデンから追放されてしまう。何とかしなくては。そう考えた時、あの夢の光景が蘇ってきた。あの夢の中で、俺はあの少女を救えなかった。今この状況も、有る意味似たようなものだ。もうあんなのは2度とごめんだ。そう考えて、ハヤトは勢いよく立ち上がった。
「あのっ‼︎」
「…そーいうのは横暴なんじゃないかなっ‼︎」
が。
ハヤトが言葉を紡ぐより先に、エミールも立ち上がって、やや喧嘩腰にクレア達に向かって詰問した。
「エミール⁉︎どうして?此れは俺の問題なんだぞ、だからお前は…。」
だがエミールは御構い無しに続けた。
「生徒会長だか何だか知らないけど、一度のミスで退学を言い渡すなんて、可哀想じゃないか‼︎」
「おい!エミール‼︎」
耐えかねたハヤトは、エミールを叱咤した。此れ以上関係の無いエミールのような人間を巻き込む訳にはいかなかった。
「止めないでよハヤト!僕はああやって権力を振るう奴が許せないんだ‼︎」
「いいや、絶対に止める。そもそもお前が言う必要なんて無いだろ!あの2人は、俺の所為で入学式に遅れて来たんだ‼︎其れも、ずっとこの俺を探して。なのに俺は、あの2人がずっと探していただなんて気づきもしないどころかこれっぽっちも考えもせずに、自分のことしか考えずにこっちに来ちまった。だがその俺の所為で、あの2人が退学にならなきゃいけないなんて、この俺が納得する訳にはいかないんだよっ…‼︎」
「ハ、ハヤト…。」
「エミール、頼む。頼むから此れは俺に言わせてくれ。此れは、彼女達やお前よりも、俺自身の問題なんだ。だから…。」
ハヤトは其処で口を噤んだ。何を言えばいいのか、やり場のない怒りが邪魔をして思うように口が開けない。
「お前達!場をわきまえろ‼︎」
その時、リディの怒号が飛んだ。
「すみません。…でもエミールの言う通りだ。入学式に遅れて来ただけで退学というのは、流石にどうかと思うのですが…。」
ハヤトは、立ったまま率直に自らの意見を述べた。遅刻しただけであの2人に退学処分を言い渡す程だ、余程重大なことなのだろう。
「…如月ハヤト。」
少しばかりの沈黙の後、クレア・ハーヴェイが口を開いた。
「いえ。この場にいる全員に言っておきます。貴方方はただの学生ではありません。命をかけてサベージと闘う、
確かにそうだ、命令とは絶対に従わねばならないもの。自分だってそうだ、自分達ノザマペストンサービス駆除班の上司で、野座間製薬で特殊研究開発本部長を務める水澤玲華の厳命により、他の駆除班メンバーに「アマゾン」のことを伝えることだけは止められている。だが此れはそんな次元の話ではない。そのうえ戦場だからといって、必ずしも命令が絶対であるという訳ではない。戦場とは、常に状況が変わるのだ。2年間アマゾン狩りを経験した自分なら分かる。どれだけ命令を固持しても、周りまではそうはいかない。だから、負けじとハヤトはこう言った。
「ですが、戦場とは常に状況が変わるもの。自分達は良くても、周りの環境や敵までは其れに合わせたり、待ってくれたりはくれません。たった一つの命令を固辞し過ぎた所為で、多くの犠牲を払うことになった話は、良く耳にしますが?」
再び、講堂内がざわつき始めた。其れはそうだろう、「あの」如月ハヤトが、リトルガーデン生徒会長にして、”クイーン”クレア・ハーヴェイに刃向かったのだ。誰もが固唾を飲んだ。エミールも、「ハヤト…。」と、不安げにハヤトを見上げる。
「良い加減になさい、如月ハヤト!武芸科のクイーンであるクレア様の命令は絶対です。」
エリカ・キャンドルの檄が飛んだ。だがハヤトは続けた。
「…分かりました、では其処まで仰られるのなら退学処分には従いましょう。でも、退学するは彼女達じゃない…。」
一つ間を空けて、ハヤトは其れを口にした。
「…この俺だ。」
再び、講堂内に衝撃が走った。あの、如月ハヤトが、ハンドレッド反応数値が歴代1位の如月ハヤトが、たった2人の少女の為に、リトルガーデンへの入学を拒否するというのだ。隣のフリッツやレイティアも、呆れたような声をあげる。
「そんな⁉︎ハヤト、何も其処までしなくても…。」
当然ながら、エミールが反論してきた。だがハヤトは、
「言っただろう。此れは俺の問題だ。」
そう言ってエミールを黙らせ、クレアへと向き直った。
「ですから、その代わり是非とも彼女達や、勿論エミールにも寛大な処置をお願いしたいのです。其れで宜しいでしょう、生徒会長。」
すかさず、リディが声を荒げた。
「如月ハヤト、良い加減立場をわきまえろ!」
だが、その時、クレアが手を挙げて荒ぶるリディを宥めた。
「…良いでしょう、如月ハヤト。貴方のその心意気に免じて、彼女達の退学処分は取り消しましょう。」
またしても、会場内が騒ぎ出した。当然、彼女の隣にいた、リディとエリカの2人も。
「会長!」
「幾ら何でも其れは…‼︎」
「ですが。」
クレアがその場を制すように口を開いた。再び、ハヤトとクレアに注目が集まる。
「…反応数値の件はさることながら、仲間を思い遣るその心意気に免じて、貴方にこのリトルガーデンに残るチャンスを与えましょう。如月ハヤト…、」
一拍を置いてクレアが放った言葉は、会場全体を騒然とさせるものだった。其れも、リトルガーデン創立以来の衝撃であったと言っても、過言ではなかった。其れは…、
「…私、クレア・ハーヴェイは、貴方に
その場にいた全員は、最初クレアが何を言っているのか分からなかった。が、クレアが突如提案してきた内容に、会場が騒ぎ出した。まだ、一通りの適正検査や試験を受けただけで、当然大会一つすら出ていない新入生が、いきなり
「私に勝てたら、貴方の退学処分を取り消しましょう。日時は明日の午後、場所はメインコロシアムですわ。」
ハヤトはどう言えばいいのか、全く検討もつかなかった。
回答に戸惑っていると、リディが代弁するかのようにクレアに問うた。
「クレア様、正気ですか?本当にそのようなことを申されるのなら私は貴方の人となりを見直さねばならなくなるのですが…。」
「何を仰いますの?もちろん、本気ですわよ。エリカもリディも、わたくしの記録を塗り替え、歴代第1位の反応数値を持つ、彼の実力を見てみたいでしょう?勿論、ここに居る新入生の全員も。其れに、新入生達はわたくし達生徒会の実力を間近で目にすることも出来る、とてもいい機会ですわ。どのみち、そのような場を近々設ける予定ではありましたからね…。其れとリディ、後で部屋に来なさい。」
そう言い終わると、再びクレアはハヤトに向き直った。
「どうしますの?如月ハヤト。折角の挽回のチャンスです、受けますか、受けませんか?」
ハヤトは思案した。現在の自分は2人の少女、ノア・シェルダンとリュウ・シュエメイの2人の処分を被って、退学の危機にある。そんなことにでもなれば、駆除班と合流出来ないばかりか、妹カレンの治療も出来ず、はたまたこのリトルガーデンは愚か世界中にアマゾンが溢れてしまうことにもなる。其れに、万一受けずに退学を言い渡されたが野座間製薬側からの圧力によってリトルガーデンに残れたとしても、今度はあの勘の鋭そうなリトルガーデン生徒会のメンバーが黙っていない筈だ。そうなれば、最悪アマゾンのことが露呈してしまう可能性もある。
(……背に腹は変えられないか…、全く、面倒なことになったなぁ……)
そして、考えた上で望ましい答えを出した。
「……………受けます。この
ハヤトは決意した。最早なるようにしかならないなら其れ迄だ、相手が喧嘩を売って来たなら此方も其れを買ってやろう。
「そんなっ!ハヤト、本当に良いの⁉︎何だったら僕が身代わりに…。」
エミールはハヤトにそう食って掛かった。余程彼を退学にさせたくないらしい。その様子に、ハヤトは少しばかり、元気づけられた。
(気に入られてるな…。可愛い割にやたらと喧嘩早いし、余計な事を言うし…。何考えてるか知らないけど、つくづく何処か憎めない不思議な奴なんだよな…。)
そう考えて、ハヤトはエミールを諭した。
「エミール、そう言ってくれるのは嬉しい。俺の為に本気なって言えるのは本当に嬉しいよ。けど、此れは俺の問題なんだ。俺の問題は俺自身の手でケリをつけなきゃいけない。ただでさえまだ出会ったばかりのお前に、こんなことを押しつけるなんて、出来ないよ…。けじめは、自分でつけないといけないから…。」
「ハヤト………、分かった。なら、其処まで言うならもうこの件については何も言わないよ。けどサポートくらいはさせてよ。僕も、ある程度ハンドレッドについて予習はしてるから、キミと練習することくらいなら出来る筈だからさ。其れで良いよね、生徒会長!」
エミールが、壇上のクレアに向き直った。
「……良いでしょう、其れくらいはハンデとして許可します。では…、2人とも、この条件で宜しいですわね?」
「ええ。」
「あったりまえだよ!」
「ああっ、おい‼︎」
再びエミールがクレアにタメ口を聞いた事にハヤトが怒るのを尻目にして、クレアは隣にいたリディ・スタインバーグとエリカ・キャンドルを見やりながら、
「以上で、この件についての話題は終わりとします。2人は入学式の後に
「はっ、はい!では皆さん、静粛に!入学式はまだ途中ですので、私から校舎の説明及び今後のスケジュールについて話をさせて頂きます…、」
簡素な説明をエリカがしている中、リディは顔や視線を新入生側に向けたまま、クレアに耳打ちした。
「何故あのような事を…。退学にするなら退学にすると如何して…。」
「あの男、ただハンドレッドの反応数値が高いだけではありませんわ。経歴にも、セカンドアタック以降の記録にやや不自然な点もあるでしょう?その上、彼がかつてアルバイトをしていたという企業は、貴方も知っている筈よ…。」
リディは其処で、ハッとしたような顔になる。
「…”ノザマペストンサービス”…。」
「そう。あの野座間製薬の下請けである、正体不明の害虫駆除業者ですわ。今日彼らがこのリトルガーデンに本拠地を移すとの連絡を、この前受け取りましたわよね?」
「ええ。我々としては、最初は業務内容が不明な企業の、此方への移転には賛成出来ないと反対しましたが、野座間側からの圧力により、仕方なく…。まさか、彼がその野座間製薬側からの手先だと…?」
「理由はどうあれ確かめねばなりませんわ。彼が我々にとって有益かどうか…。…私の気の所為であって欲しいのですが、彼の目や雰囲気から、並大抵のものではないものを感じ取りました。アレは、一介の人間にしては異常ですわ。恐らく、幾分か死地を潜り抜けている…。其れを確かめる為にも、今回の件を利用したのですわ。」
「そんな…、幾ら何でも危険過ぎます。良ければ私が…。」
「その必要はありませんわ。此れは様々な考えを巡らせた結果です。このリトルガーデンを治める身、生徒会長である以上、リトルガーデンの平和の為にも私がやらねばなりません。全ては、”ノブレス・オブリージュ”の名の下に…。」
クレアは、観客席にいるハヤトとエミールを見た。相変わらず、2人揃って腕を組んでいる。
「…ですからリディ、万一の場合はお願い致しますわ。」
「……了解致しました。」
溜息をついて、リディはクレアの命令に従う意思を伝えた。
「…其れとリディ。先程の件と今の溜息、聞き捨てなりませんわね。後でわたくしの部屋に来なさい。宜しいですわね?」
「も、申し訳ありません…///。」
顔を赤らめながら、リディはクレアに謝罪した。
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一方、ノア・シェルダンとリュウ・シュエメイも、自分達の所為でハヤト達が迷惑を被ったとして、深く落ち込んでいた。
「…どうしよう。私達の所為で大変なことになってしまいましたね…。」
「如月君、私達の為にあんなことを…。本当に申し訳ないよ…。」
「ええ、此れは後で謝罪とお礼を言いに行かないといけませんね…、って、大丈夫ですか⁉︎ノア?気分でも悪いのですか?」
そういったのは、突然ノアが床に座り込んでしまったからだ。顔を見てみると、少しばかり蒼白としていた。
「あ、ううん。大丈夫。少し、貧血気味みたい…。でも、平気平気。さ、私達も、空いている私達の席を捜しに行きましょう。入学式の後に如月君に会いに行けばいいし!さ、早く早く‼︎」
そう言ってリュウを促して、入り口にいた2人は自分達の席へと急いだ。
(危なかった…。逃げ出して以来、ずっと、”戦え、戦え”、”喰え、喰え”って…。でも、きっと大丈夫。如月君達が居て、”彼女”がいる。だからきっと、生きていけるよ!絶対に、”人間”として、生きていけるよ…、きっと、きっと…‼︎)
そうは問屋が卸さない(←ヒドぃ…)♨️
てな訳で、第3話無事に終了しました。
ネタバレになりますが、冒頭での謎の少女達は「新妹魔王の契約者」を読んだり見たりしたことのある方なら、容易に理解出来るものと思います。但し、飽くまで「別世界にいる、本人だが別人」であるという点には、どうか御注意下さいませ。
次回は、カレン&駆除班メンバー登場回になると思われます。
どうか、お楽しみに。
では、感想、評価、誤字脱字報告を宜しくお願い致します。
其れでは、また。