「だあああああ!!もう!!」
セミが鳴き、強い日差しが照りつける中。
俺、
...が。
俺がしたくてしてることじゃない...。
親父が無理やり...なぁ...。
そのことにうんざりし、さっきの奇声を上げたって訳だ。
「車の免許も取ったのにさ〜...。」
そう。
車の免許をついこの間取ったのだ。
教官には "スジが良い" と言われ、狂喜乱舞していたのだが...。
「親父め...!」
親父が家の車に乗るのを許してくれない。
俺は認められなかったが故、理由を聞いてみた。
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「ボコボコにされるのがヤダ。」
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「するわけねーだろ!!!」
免許を取ったばかり。
だからと言って運転させないのはダメ、絶対。
しかも初心者なら余計に慎重な筈。
大丈夫じゃねぇの?
この旨を親父に伝えたが無視された。
ホーリーシット。
「あー...。シミュレーターだと最高評価だったのになぁ...。」
あくまでシミュレーター。されどシミュレーター。
あと、レース用のシミュレーターも体験。
これまた一位。
だから大丈夫だ。
...とても典型的な慢心である。
「もーーーーう!」
「おーい、隼人!ちょっと降りてこーい!」
「なんだよもーーーう!」
「...牛かお前は?」
「酪農ってか!?」
「...何が?」
俺もわからない。
何が酪農だ。普通じゃないか。
「...とりあえず、ついて来い...。」
呆れた様子で歩き出す親父。
なんだよも...もう!
危ない危ない...。
ついて行くと外へ連れ出された。
そして車庫の方へどんどん歩いて行く。
「これを見ろ。」
「これ....ってぇ!?」
そこには小さい車。
確か...。
"スズキ カプチーノ" だったかな...。
「どうしたんだよこれ!?」
「カプチーノだよカプチーノ。おいしそう。」
「そっちこそ何が!?」
急なボケをかます親父に素早くツッコミを入れる。
「知り合いがもういらなくなったみたいでな。
お前にやるってよ。」
「金は?」
「貰ったしなぁ...。請求してきたら俺が払っとくよ。」
「マジか!!」
念願のマイカーを意外な形でゲット。
よっしゃ!これで心置きなく...
「あ、維持費はお前持ちな。」
「アッハイ。」
...高いだろうなぁ...。
だが、これで運転出来る!
そう心を躍らせながら車に乗り込む。
するとシートに違和感。
「...これ、バケットシート!?」
バケットシート。
軽自動車に付けるのも稀かもしれないが...。
窪みにお尻がスッポリハマるようになっている。
そのお陰で急ハンドルで曲がっても、体がズレる事がない。
だがこのシートが付いてるということは、何かしらのチューニングが成されている筈。
エンジン等をチューンし、馬力を上げると、必然的に "G" と呼ばれる体への負荷も増加していく。
これに対抗するのが、このバケットシート。
普通の車は、ノンチューンを想定している。
ということは、それ以上の性能になってしまうと想定外になる。
改良された加速やハンドリングのせいで、シートからはみ出るのがオチだ。
これに対抗するのが、バケットシート。
...大切なことだから2、3回言ったぞ?
...だが興奮は収まらない!
落ち着かず、周囲を見渡す。
「...うおっ!ロールバー!?」
ロールバーとはボディの剛性を強くするためのもの。
付けるメリットはいくつかある。
もし、速いスピードでコーナリングを行ったとしよう。
もちろん、強い遠心力がかかる。
するとボディが歪んでしまうのだ。
...ボディが歪んだらどうなるか?
操作性が悪化し、一直線に事故ルートだろう。
そしてもう一つ理由がある。
もし、事故を起こした時。
ましてやハイスピードで走っているサーキットで事故をすれば、運転席が圧迫。
...運転手は圧死する。
ロールバーは、剛性を強くしているが故、それを防ぐことが出来るのだ。
サーキットを走る車は基本的に、ロールバーが付いている。
「めっちゃ本格的だ...!!」
「そうだろ?あいつレースが好きだったからな...。」
「へぇ...。」
驚きだ。
仮にも軽自動車でサーキットを走っていたなんて。
「俺も走りたいな...サーキット...。」
「走ってきたらどうだ?」
「えっ!?いいのかよ!?」
「ああ、今日は休日だし。近くのサーキットが開放されてる筈だ。」
「おしっ!じゃあ行ってくる!」
「おう、気をつけてな。...あ、サーキットなんだから、"ヒール&トゥ" を忘れんなよ?」
「わかってるって!行ってくる!!」
そしてギアをファーストへ。
...初めてのサーキット。
期待を胸に、走るのだった。
こんな感じです!
カプチーノはいい車だゾ。
バケットシート:お尻がハマる。全然ズレない。
ロールバー:ボディ剛性上げるやつ!
ヒール&トゥについては次回で!