一夏サイド
箒の言葉を背に、勢い良くピットから出た俺は既に停止位置で待機しているオルコットの正面で止まり、彼女を真っ直ぐ見据える
フォーマットとフィッティングの進行度は両方漸く50%を超えた所で、まだまだ心許ない
それにピットからアリーナに出た直後から何故か頭の中に小さな騒めきを感じるが、今は そんな事を気にしている暇はなさそうだ
「あら、逃げずに来ましたのね?」
まだ軽く顔の青いオルコットが俺に向け相変わらずの態度で言って来たので
「お前こそ、顔の色が悪いぞ?なんなら棄権しても良いんだぜ?」
逆に挑発してやると、見るからに怒りの表情を浮かべ自身の得物のライフルを構え その安全装置を外して俺をロックオンしてくる
その意識の外で試合開始のブザーが鳴る
「さて、わたくし は慈悲深いですから?貴方に最後のチャンスを上げますわ」
隙もなく此方へ銃口を向けながらオルコットは既に勝ちを収めたつもりらしく余裕の笑みを浮かべて
「わたくし が一方的な勝利を収めるのは必然、ボロボロの惨めな醜態を晒したくなければ、今ここで謝ると言うならば、許してさしあげてもよろしくってよ?」
「おいおい、人にバカでかいライフルの銃口向けといて言うセリフじゃ無いだろ。それはチャンスじゃない、脅しって言うんだ。知ってるか?」
俺はウーノから借りたGNソードⅠをブレードモードにしてオルコットへ切っ先を向ける
さっきより頭の中の騒めきが酷くなった気がしてならないが、やっぱり今は考える余裕はない と眼前のオルコットの挙動に集中する
俺と彼女の距離は約10m
昨日の座学でウーノがオルコットのメインは光学狙撃銃、つまりレーザー式のスナイパーライフルだと言っていた
フレキシブルと言うレーザーを曲げる技術が有るらしいが、先程の試合を見た感じ彼女はフレキシブルをマスターしていない様だ
つまり10mの距離なんて無いのも同じ、だが フレキシブルをマスターしていないオルコットの初弾は真っ直ぐ銃口の直線上を来るという事だ
だから見極める
オルコットの視線から、銃口から、トリガーを引く指から
「あら、残念ですわ。ならば・・・お別れですわ」
オルコットがトリガーを引き、その刹那の後 俺の構えたGNソードⅠの刃が、当たれば俺の左肩へ命中していた彼女の初弾を切り裂き僅かな光子を散らし消え、コンマ0秒後にキュインッと言う独特の射撃音が耳を刺激する
「なっ?!」
「はああああっ!!」
起きた出来事に驚き一瞬だけ隙ができたオルコットに向け一気に近付きGNソードⅠを振り下ろし斬り付け、何とか一撃を与える事が出来たが、直ぐに距離を取られレーザーライフルで牽制されてしまい近付けなくなる
「まさか、初弾を斬る人がいようとは・・・」
今度は充分な距離を取り苦情を言ってくるオルコットに
「たまたまだよ、次もやれって言われたら多分無理だ」
そう偶然だ、何でか左肩を撃たれそうな気がしただけだ
だから2度目は万が一程度の確率しかない
俺に分が有る内に決着を着けたいけど、難しいだろうな・・・
思ったより筆が乗ったので、分割にします