IS ー血塗れた救世主達ー   作:砂岩改(やや復活)

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第二十九革 切られる火蓋 -black side-

世界会議から数日、敵施設の攻撃隊が参加国内で組まれ参加隊員に命令が下された。当然、各国の総戦力であるが故に軍属扱いの代表候補生たちにも通達か行われた。

 

「これより作戦ブリーフィングを行う」

 

ドイツ軍は保有するISの全てと航空戦力、MS1機にある程度の地上戦力とかなりの戦力を投入されることとなった。

 

「フォルガー大隊副隊長、クラネルである…この作戦は、我が軍と日本、ロシア、イギリスなどのその他4カ国との臨時連合軍による大規模合同作戦だ!なおこの作戦は天候に左右されることなく決行される」

 

クラネルの言葉と共に部屋が暗くなり作戦区域の地図を空中に映し出す。

 

「本作戦の第一目標は敵基地の無力化、第二に敵機体《MS》の捕獲及び可能な限りの情報収集である。これにより敵の戦力の低下と機体性能的優位を覆すのが目的である。」

 

ーーーー

 

日本の海上自衛隊が保有する空母2隻とその護衛艦隊は出撃準備を着々と進めていた。

日本の出す戦力はISのみだがIS学園の協力により各国の代表候補生たち含む合計25機のISと1機のMSを投入する日本は本作戦の最高戦力だ。

時を同じくして自衛隊の戦闘における総指揮を執る楠木中佐直々に作戦内容を伝える。

 

「目的の基地は、鉱山を利用した本格的な要塞でありその内部には坑道を利用した複雑かつ、広域な構造であると予測できる。敵の資源確保の拠点である可能性が高く、今後の戦況を大いに影響すると思われる」

 

ちなみに地上戦力の八割は地元のタイ軍が担当することとなった。その代わり敵機体捕獲の暁には最優先で獲得の権利を得ている。ISを持っていないタイにとっては少しでも機動兵器が欲しいところだろう。

 

ーーーー

 

ロシアは主に航空戦力、ロシアの保有しているISも全て空輸で行い合流地点に辿り着き次第降下し作戦の第一フェーズの主翼を担う。

 

「では作戦の概要を説明します。我がロシア軍はISを合流地点に降下させた後、付近の基地に帰還と同時に鉱山基地山岳部一帯に絨毯爆撃を開始します。その後、敵鉱山都市まで一気に進撃し陣地を作成。敵が迎撃のために対空、対地砲とMSを展開後すかさず付近に存在する巨大湖より海上戦力による面制圧で鉱山都市手前から鉱山一帯の敵施設を排除します。」

 

「「「おぉ……」」」

 

ブリーフィングに参加していた兵士たちは思わず感嘆の声を上げる。これほど大規模な攻撃は中々見られない。これだけで自身の軍がどれほど本気なのかが分かる。

しかも念入りに爆撃の後、海上戦力による砲弾の雨を降らせるのだ。完全に山の形を変えに来ている。

 

作戦内容を伝えていたシャネラはその反応に満足そうに頷くとブリーフィングを続ける。

 

「この時点において、敵の対空、対地施設と機動部隊の損害は甚大でしょう。その後、自衛隊を前面にIS及び地上戦力は残存の敵を掃討…ISの援護のもと陸戦隊を送り込み基地施設を占拠するものであります」

 

これだけの戦力投入と立て直す隙を与えぬ作戦、正規の軍隊であろうともこの猛攻は防げないだろう。世界経済の実権を握りつつある女性主義団体に歯向かったのだ。この作戦の失敗は国の威信どころか存続が危うくなる。まさに決死の作戦だ。

 

ーーーー

 

イギリス派遣軍の総指揮を執ることになったイルフリーデは並ぶ兵たちを睨みつけ宣言した。

 

「作戦内容の通り、我々は全力で敵を殲滅する覚悟で作戦を遂行するが敵は諸君らの知るとおりISを遙かに上回る性能を持った兵器を保有している」

 

イタリア軍基地の壊滅、ロシアの情報施設の制圧…どちらもテロリストが行える芸当ではない。奴らはテロリスト等ではない、軍隊…いや、それ以上の集団なのだ。

 

「参加国は実に8カ国、抽出できる限りの戦力を投入した作戦に失敗は許されない、だが戦場に確実などない、戦いは熾烈を極めるものだろう…身支度はしっかりとすませておけ…以上」

 

海上戦力の主翼はイギリス、まるで運河のような巨大な川を経由して敵基地付近に存在する湖から支援砲撃を開始すると共にISを中心とする主力部隊の補給と回収も行う。

相手との性能敵戦力を考えれば二割は削られると判断される作戦。死にに行くようなものだが怖じけるものは誰も居ない、母国を戦火に巻き込ませないために…。その目には覚悟の火が灯っていた。

 

ーー

 

「どうだった?」

 

ドイツ、ブリーフィングを終えたフォルガーは報告に来ていた衛生兵に問いかけたがその表情は重い。

 

「はい、2日ほど川に流されかなり衰弱しています、肺炎も酷く話せる状態では…」

 

「そうか…」

 

世界会議直後に偵察隊の通信途絶が確認され救助に向かった部隊が連れ帰ってのはたった一人、付近に流れる川から流れていたのを発見したらしい。

 

「総数二十名のうち一人しか帰還できないかぁ…」

 

「心中お察しします…」

 

「とりあえず、会うだけ会うぞ」

 

「ハッ!」

 

ーーーー

 

革命軍本部、司令室。そこにはやっと帰還したユイトの姿があった。

 

「総帥、日本、イギリス、ロシア、ドイツ、タイ、フィリピン等の軍隊が不穏な動きを見せています。恐らく、ラサ基地に向かうものかと」

 

「ラサ基地のハルトに通達しておけ、猟犬は足跡を見つけたと…」

 

「ハッ!」

 

「それより、各運河の制圧部隊はどうか?」

 

「現地の部隊は既に待機しています」

 

「敵のラサ基地攻撃と同時に制圧作戦を決行する、そのまま待機と伝えろ」

 

「了解しました」

 

作戦は順調、これで作戦の第三段階の開始が確実となる。あまり気乗りはしないが彼女達の強力のおかげでかなりの戦力増強となったのは幸いだ。

 

帰ってきたときは本当に驚いた、精魂尽き果てそうな程に疲れ果てていたリョウの姿があったのだから。どうやらまわらない舌で"あの子たちを"説得してくれたらしい。

小さい子供は何とか言い聞かしてスイスにある児童養護施設に送るつもりだ。作戦が終了するまでは送れないがその方がいいだろう。

それとリョウの必死の説得によってほぼ中、高校生ぐらいまでの年頃の子の半分がこちらの戦力として加わる事になった。

 

「なんでこっちに加わるんだ、作戦の最終目的は伝えているはずなのに…」

 

「私達は戦う事しか出来ない、我々がお前たちに出来る恩返しは戦う事だけだからな…」

 

「クリア…」

 

独り言のつもりだったのだがクリアに聞かれてしまったようだ。人間誰しも幸せを願うものだ、戦いに赴くのもその先の幸せを掴むためだからだ。

そんな先のビジョンが見えない彼女たちが自ら戦いに赴く、それが感謝の気持ちだからというのも分かるが…。

 

「それでも俺は静かに、安らかにある幸せを見つけて欲しかったんだ…」

 

「そんなこと言っても彼女達の意思を尊重したお前は素晴らしいと私は思うがな…」

 

「そうか…」

 

ーーーー

 

本部、機体開発エリア。そこには新たに加入した二十七名の適性検査を行っていた。

 

「お疲れだったすね、リョウ」

 

「あぁ、口を動かすより体を動かした方が俺はちょうどいいな」

 

「そりゃそうっすよ…」

 

複数のモニターに表示された大量のデータを解析しその者たちの検査結果を精査しているカゲト。その後ろでコーヒーを啜るリョウは実に弱々しくなっていた。そんな彼を見て"水でもかければ元気になりそう"なんてズレた考えをマドカは浮かべていた。

 

「で、配属はどうするんだよ…」

 

「うちの親衛隊がいないっすからそれにまわして後は一番隊に隊を追加して終わりっすね」

 

「機体は?」

 

「……」

 

突然黙り込むカゲトに疑問を覚えるリョウだが言葉を発するまで待つことにする。しばらくして言葉を発したのは有名な機体名。

 

「デスティニー……」

 

「は?まさか……」

 

「デスティニーガンダムっすよ、まさかコイツが出てくるとは思いはしなかったっすね」

 

デスティニーガンダム、前代機であるインパルスのデータを基に開発された機体で主に対艦、対MAに向いている機体だ。個人的には顔のデザインが血涙を流しているようなダークヒーロー的な感じが大好きな機体である。

 

「随分ヘビーな奴が来たな」

 

「戦力としてはかなり期待出来るっすけどね」

 

新設された一番隊、第五部隊の隊長機はシナンジュスタイン、副隊長機はリバウと言った感じで技術長親衛隊《ウルフ隊》は隊長をケイニのGエグゼス、副隊長機はデスティニーを置いて他はドーベン・ウルフと中々なメンバーだ。

 

「ハルトはしくじるとは思えねぇが、もうすぐだなぁ」

 

「俺たちの命運を左右する戦いっすね」

 

カゲトの声に妙な薄ら寒く感じたリョウは静かにため息をつくのだった。

 

 

 




なぜ参加国以外の代表候補生たちが作戦に参加するかは次回にします。
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