To Be Continued?   作:葵_

13 / 14
細かいことは、あとがきにて。


05 不穏な空気

――火龍誕生祭運営本陣営、謁見の間――

 

 煌焔の都の破壊行為について、強制連行された十六夜と黒ウサギ。彼らを招いた主催者(ホスト)として、半ば強制的に出頭させられた白夜叉を順繰りに眺める一人の少女。此度"火龍誕生祭〟主催者の一人にして、"北〟の新階層支配者(フロアマスター)であるサンドラは、重々しく口を開く。

 

「.........随分と、派手に暴れてくださいましたね...」

 

 こめかみを押さえつつ、白夜叉へとジト目を向けるサンドラ。

 

「私は悪くない私は悪くない、悪いのは全部十六夜と黒ウサギなんだ!」

 

 と、言えるのならば言ってしまいたい心境ではあるが、彼らをこの地へと招いたのは紛れもない白夜叉自身であり、これ以上式典の主催者に迷惑をかけないための配慮はしなければならない。故に、ジト目を向けられた白夜叉は、冷や汗を流しながら「うぐぅ...」と呟くのが精一杯だった。

 そして、それは十六夜たちとて同じこと。誰かに罪をなすりつけられるならばそうしたいのは山々だが、今回は確実に自分が悪いことを自覚しているため、それもできない。二人共、申し訳なさそうな顔をして俯くことしか出来ないでいる。

 しかし、今回はその姿勢がサンドラ――北のフロアマスターに反省している印象を与えたようで、小さな溜息をついた後に、「まぁ、よい...」と呟いた。

 

「今回は破壊の規模に比べて人的被害の報告は、かすり傷を含めても一件も報告されていません。建物類に関しては、白夜叉様が修繕してくださるということで、重い罰を与えることはしません」

 

 その言葉を聞いた黒ウサギは、沈んでいた表情を一転させ嬉しさを顕にすると、「ありがとうございます」と頭を下げた。サンドラはそれに小さく頷くことで返事として、「だが」と続けた。

 

「何も罰を与えないというのはこちらの体裁にも関わる故な、多少の罰は覚悟してもらうぞ」

「俺たちに出来ることならば喜んで、と言いたいところだが...」

 

 十六夜の口から出たあまり前向きとは言えない言葉に、「不服か?」と言葉をかける。

 

「いや、不服じゃない。アレだけの被害を出しておきながら、多少の罰で済むというのなら願ったり叶ったりだ」

「なら何を迷う必要がある。肯けばそれで済む話ではないか」

「それがそうも言えないのさ。俺たちは"名無し〟といえども、ジン=ラッセルをリーダーに担いでいる。その罰の内容によっては、リーダーにも話をしてくれないとってことさ」

「なるほど。だが、それを心配する必要はない」

 

 なにっ? と、問おうとしたそのタイミングで、謁見の間の扉を叩く音が聞こえた。

 

「ちょうど良い、入れ!」

 

 観音開きの扉を開け入ってきたのは、十六夜たちがリーダーと仰ぐ少年、ジン=ラッセルと、サンドラの兄であるマンドラだ。先程の心配ないと言うのは、ジンも直にここへ来るから話をこの場で判断できるぞ、という意味だったのだろう。マンドラは、十六夜と黒ウサギを拘束していた憲兵を目配せで下がらせる。今この場に残っているのは、"サラマンドラ〟の頭首であるサンドラと彼女の実兄にして側近であるマンドラ。コミュニティ"サウザンドアイズ〟所属の白夜叉。それと、"ノーネーム〟のリーダー、ジン=ラッセル、逆廻十六夜、黒ウサギの6人。暫くの沈黙の後、それを破ったのは白夜叉だった。

 

「取り敢えずは、現状の説明をしなければならんかの」

 

 いましたが到着したばかりのジンへ、白夜叉から今がどういう状況なのかの説明がされる。諸々の説明を聞き終わったジンは、真っ先にサンドラへと頭を下げた。

 

「私たちの同志が多大なる迷惑をおかけして申し訳ありませんでした!」

「よい。白夜叉様からの説明にもあった通り、物的被害のみで、人的被害が皆無であったこと、その壊れた建物類も白夜叉様が修復してくださるとのことで、今回は軽めの罰で許そうかと思う。こちらが抱える厄介事の処理を手伝って欲しいというだけのこと。聞くところによれば、其方らはそれを専門としているのであろう?」

「あ、はい。それならば、私たちは全面的にサラマンドラに協力させていただきます」

 

 厄介事、自分たちが専門としているというところから、彼女が何をさせようとしているのかを察したジンは、即座にそれを引き受けた。

 だが、そこでまた白夜叉が口を開く。今度はなんとも言い辛そうに。

 

「あー、そのことに関してなんだが...実は先ほど、やつから追加の封書が届いてな...」

 

 懐から取り出した、ハガキ大程度の一枚の封書を、サンドラの後ろに控えるマンドラへと投げて渡す白夜叉。それを難なく受け取り、自分で一瞥した後にサンドラへと手渡す。軽く目を通したあと、十六夜へと向けて同じように投げ渡す。くるくると回転するそれを取り、そこに書かれた文言を確認する。そこには、

 

【女神に気を付けろ】

 

 と、そう書いてあった。

 

 

 * * * 

 

 

 洞穴内にて開催されている創作系ギフトの展示会。そこの奥にポッカリと空いた場所で飛鳥は棒立ちになっていた。

 そこはかつて、紅い鋼の巨人が鎮座していた場所。しかし、そこに飾られているのは紅と蒼の宝玉。

 

「作品名...炎氷の宝玉(へイムズ・ジェム)、製作..."ユグドラシル〟のコミュニティ!?」

「ほぉ、これがあの有名なユグドラシルの作品か...」

 

 ユグドラシルのコミュニティ。北欧神話に登場する、九つの世界を内包されるという樹をベースとした生産系コミュニティの名前だ。

 

「自らが内包する世界の一部を切り出し、強力な恩恵を生成するコミュニティ。噂には聞いていたが、実物を見るのは初めてだ...」

「因みに、作るだけではなくて、気に入った子にはそれをあげちゃったりもしてるんですけどねー」

 

 突如レティシアにかけられた、妙に間延びした声。声のした方へ視線を向けると、そこには一人の少女がこちらを――いや、飛鳥を見ていた。レティシアとは対照的な綺麗な銀髪。長さは腰ほどまであるストレートだ。

 

「これは君が作ったのかい?」

「うん、そうだよー。これはボクの作品さ」

 

 レティシアの問いに、彼女は飛鳥のことを見つめたまま答えを返す。

 

「ついでに自己紹介をするんだよ。ボクは生産系コミュニティ"ユグドラシル〟頭領、名はユグドラシル。よろしくねー」

「私の名前は久遠飛鳥。一応戦闘系コミュニティに該当するとは思うのだけれど、あいにくと"ノーネーム〟なの。よろしくね」

「同じく、レティシア=ドラクレアだ。職業はメイド。よろしくたのむ」

 

 と、そこでようやく彼女――ユグドラシルは飛鳥からレティシアへと視線を向けた。

 

「ヴァンちゃんがメイド、戦闘系、"ノーネーム〟...なるほど! 君たちがあの"ジン=ラッセル率いるノーネーム〟か!」

「ヴァ、ヴァンちゃん!?」

「うん? ヴァンパイアのヴァンちゃん。変かな?」

「いや、なんでそんなドラキュラのドラちゃんみたいな名付け方を...」

「ドラキュラのドラちゃん!? いいね、そっちのほうがカワイイや! んじゃあ、これからはドラちゃんって呼ぶよー」

「......そうか、好きにしろ...」

 

 レティシアは本能的に悟る。こいつは相手にしたらいけない相手だと。我が主殿と同等か、それ以上にめんどくさい相手であることを本能で理解した。

 と、そこで飛鳥が「ちょっといいかしら?」とユグドラシルへと話しかける。

 

「貴方、さっき"ジン=ラッセル率いるノーネーム〟って言ったけれど、私たちを知っているの?」

「そりゃーもちろんだよー。"打倒魔王〟を掲げたコミュニティってだけでも話のタネになるし、それに――」

 

 一呼吸入れるユグドラシルの顔に浮かぶ、少しだけ薄気味悪い笑顔。

 

「こんなに面白い時間を生きている人たちがいるコミュニティだもんね。話題にならない理由がないよ」

「―――っ!?」

 

 飛鳥の顔に、驚愕が浮かぶ。面白い時間を生きているというのは、多分、過去に呼ばれた現状を指しているのだろう。こいつは一体何を知っているのか、自分たちはこれからどうするべきなのか。そんな考えがぐるぐると飛鳥の頭の中で渦巻いている。

 

「君たちの参謀に伝えておくれ。自分の知識ではなく、今、君が見ていることを信じろと。君自身が体験している今が、紛れもない真実だってさ」

 

 彼女は、飛鳥のそばまで歩み寄ると、右手で飛鳥の左の肩を掴み、引き下ろす。大した力はかかっていなかったものの、飛鳥は膝を付かされた。

 

「えっ...!?」

 

 何が起こったのか分からないといった様相の飛鳥の耳元へ口を近づけて、今日一番の打撃力のある言葉を口にする。

 

「アスカ、君のことが気に入ったよ。だから、ボクの一部を――"炎氷の宝玉〟を譲ってあげる。ただし、()()()()()()()()()()()()()

 

 そのセリフに驚いた飛鳥が、彼女へ視線を向けようと首を左へ向けたが、既に彼女の姿はそこにはなかった。

 

 

 

 * * *

 

 

 

 まず最初に相手にするのは自分と同じくらいの身長をした焔を操る女の子。彼女のギフトを無効化するのは、耀の"生命の目録〟の力を持ってすれば、実に容易なことだ。

 収集した遺伝子を目録内から呼び起こす。正直、予選程度では自分の相手は務まらない。膨大な数収集した遺伝子から目当てものもを見つけ、それを我が身にまとう。

 

「"生命の目録〟、モード"水蛇〟」

 

 トリトニスの大滝の主である蛇神を顕現した。掌に収束される水分子を極限まで圧縮し、撃ち出す。その一撃で彼女は場外まで吹き飛ばされた。

 

「春日部さん、後ろっ!!」

 

 その声に導かれるままに後方宙返りを決める。すると、今まで耀がいた場所に、岩の巨人の腕が突き刺さる。その腕に着地し、もう一度宙返りで巨人の頭へと着地を決める。

 再び、掌に水を集める。今度は撃ち出しての場外は狙わない。キチンと仕留めて終わりにする。

 集めた水を、槍の形に整えながら圧縮、圧縮、圧縮。更に、分子レベルで互を結合させる。電子レベルで動きを止める。すると、どうなるか。

 

「この強度なら...!!」

 

 手にした長大な氷の槍を2本、巨人の足に突き刺し、動きを止める。

 

「これで......」

 

 今度は両手に氷の剣を握る。

 

「終わりっ....!!」

 

 巨人の頭から背中側へと高く飛んだ。水蛇はそのままに、グリフォンのギフトを身にまとい、体を独楽のように回転させ、彼のうなじから背中にかけてを一気に削り取った。

 

『勝者、"ノーネーム〟春日部耀ッ!! 現在は主催者が両名ともに不在のため、決勝戦の詳細は後日、追って発表いたします。それでは――――』

 

 盛大なる歓声の中、耀はステージの脇自分を見守る人影に向かって、ピースを向け、一言。

 

「びくとりー」

 

 

 

 

 軽い表彰と連絡事項が告げられ、選手と観客は揃って退場することとなった。予選を見事通過し、翌日の決勝戦へと駒を進めた耀は、しかし少し申し訳なさそうに廻の元へと戻る。理由は簡単。サポート役が付けられるのは決勝のみで、予選は一人で戦わなければいけなかったからだ。自分から誘っておいてルールを見間違えていたとなると、合わせる顔がない。試合前に謝ってはおいたが、それでもあまり気が晴れることはなかった。戦闘中はまだしも、こうして冷静になると、余計に気まずい思いがする。

 しかし、それは耀だけのようだ。当の廻本人は全く気にした様子もなく、少しだけ愉快そうな視線を向けてくる。

 

「5m級の巨人の強さはどうだった?」

「全然よゆー。あれじゃあ、何体いっぺんにこられても、一匹残らず駆逐してやれるよ!」

 

 答えながら、廻の評価を上方修正する。こいつは出来る奴だと、自分の脳内に刻む。自分のやったネタにキチンと対応してくれるかどうか。それが現在の自分にとって唯一の楽しみといっても過言ではないなと思う。そのうち夜通し語り合おうと、脳内のスケジュールに書き込み、もう一度廻に頭を下げた。

 

「やっぱり、ごめん。私から誘ったのに、ルールもロクに確認してなくて...」

「それは構わないって。どのみちこうして決勝まで上がったんだもん、それで大丈夫だよ」

「でも、」

「デモもストライキもなしだよ。その代わり、明日は存分に楽しませてもらうからね」

 

 そう言って差し出された手を、「ありがとう」の代わりに少しだけ微笑みながら、握る。

 造物主たちの決闘。その決勝戦。黒死斑の魔王――ペストが襲来する日。今度こそ、今度こそ皆と一緒に戦うんだ。

 ―――胸の内に静かに焔を灯した。

 




さて。随分と久々だったせいもあってか、文章がひどい気がする。
しっかし、こういう喋りっぱなしのシーンは苦手だ...早くバトらせたい...。
ま、次回はきっとvsアーシャだし、存分に戦えるね、((ヤッター

さてさて、なにやら不穏な空気の流れ出した箱庭ですねェ...
女神の正体がわかった人には何かプレゼントでも((
答える場合は、メールか何かでよろしくデス。間違っても、感想欄には書かないでねー((笑

ふぅ、飛鳥ちゃん、何があるんだろうねー。
この辺は原作読みながら後付けサクサク役牌バックで行きましょかーってことで。((ナニイッテンダオイ



では、このへんで。
あでゅー♪
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。