To Be Continued?   作:葵_

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前回までのお話!

十六夜「やってきました、箱庭の世界! さぁて、最初のお相手は!?」
ガルド「私だ」
飛鳥「私のギフトもワンチャン行ける程度の実力よ。チュートリアルにしてはちょうどいい相手ね」
耀「私はグリーと勝負。今となっては勇気を示すのは意外と簡単だった」
黒ウサギ「囚われのお姫様を助けに行ったこともありました」
レティシア「〝姫〟というほどの年でもないのだが...」
ジン「ボンボン坊ちゃんはダメダメでしたね。十六夜さんの〝上から目線性善説()〟でイチコロでしたね」
ルイオス「あ”ぁ”ん!? 言ってくれるじゃないか、この名無し風情がァ!!」
十六夜「オイ、ウチのコミュニティメンバーに何してくれてんだ、あ?」
ルイオス「ゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさい......」
事情を知らないノーネーム一同(一体過去に何が...!?)

だいたいこんな感じ。
正直、全然執筆進んでいないけど、投下してしまうことにしました。
これからはたまに改訂とかするかもしれないです。ゴメンなさい。

では、本編どうぞ



第二章 襲来したのは黒死病だけでなく
01 ラブコメ開始の予感(笑)と新たなる訪問者


授業終了の鐘が鳴る。

それは同時に、今日の全日程が終了した合図でもある。

 

「じゃーなカイ」

「また明日!」

「うん、気を付けてねー」

 

クラスの連中からまた明日と声をかけられる。それに順次答えていると、いつの間にか教室は僕一人だけになっていた。

 

「...帰ろう...」

 

廊下に出ると、隣のクラスなどはまだ人が残っていて、仲のいい友達と話をしている。

僕のクラスは仲が悪いから皆の帰宅が早いわけではない。

むしろ他のクラスと比べても、行事の盛り上がりから考えてもクラス仲はいい方だと思うし、イジメなんていうのも僕は確認していない。

ではなぜ皆の帰宅が早いのか。簡単だ。要は皆放課後に用事があるのだ。

ウチのクラスはバイトや部活をしている者が殆どで、その両方をしていない人はごく少数派だった。

しかしその少数は少数で、帰りに寄り道をするために早く下校する人が多いため、少し時間が経てば教室には僕一人となる。

このクラスになってもうすぐ1年になろうという冬の日。

慣れてしまったとは言え、些か以上に寂しい気持ちもある。

 

「.........寒いぃ...」

 

時折吹く北風に我が身を震わせながら、学校最寄りの駅へと歩を進める。

 

「...これ...なんだろう?」

 

寒い寒いと呟きながら歩くこと10分程度か。駅への道を半分と少し歩いたところで僕の意識は地面に捨てられた紙切れへと向けられた。

今日日ポイ捨てなんて珍しくはないし、それをわざわざ拾って捨ててやる義理も人間性も持ち合わせていないので普段はガン無視するところだが、その手紙の奇妙さに意識が持って行かれたのだ。

 

その紙切れはどうやら手紙のようで、宛先には【鴉野(カラスノ) (メグル)殿】と、そう書かれている。

それは紛れも無い僕の本名だが、何故そんな物がここに落ちているのかが分からない。しかも、裏面を見ても差出人が書いていなかった。

キョロキョロと周りを見渡してみても、人らしい人も見当たらなく、誰が落としたのかさっぱり分からない。

この辺には知り合いも少なく、そもそも自分の家はここから4km以上も離れた場所にある。

 

「......?」

 

奇妙な手紙だが、僕宛なのなら読んでも構わないだろうと結論を出す。変な内容ならゴミ箱にでも捨てて忘れればいいし、差出人が中に書いてあれば後日返事を書くこともできる。

変な封蝋をなんとか剥がし、中の手紙を取り出す。

「今時封蝋?」などという感想を抱きながら、手紙の内容に目を通すと、僕の世界は流転し、逆転し、収縮し...そして世界が変貌を遂げた―――。

 

 

―――――

 

 

「うぉあ!!」

「ふぇ!? あ、きゃあ!」

 

体が捻れるような感覚を一瞬だけ味わった後、吐き出された先は数十センチ程度だが空中だったようで、着地の際にバランスを崩して前方に倒れ込んでしまった。

 

「っててて...」

 

体を起こそうと右手を地面に付けると、なんだか妙に暖かく、柔らかな感触が伝わってくる。その感触に、「そう言えばさっき、黄色い髪の子が一瞬見えた気がしたな」なんてことを思い出す。

チラッと聞こえた声の高さからしてもほぼ間違いなく女の子だと判断できる。

 

(こ、これは...いわゆるラッキースケベというやつですか!? きっとこの感触は胸に違いな――)

俺がラブコメ系主人公ならきっと『涙目の美少女』(←ここ重要)がいて、目があった瞬間は状況を理解できていないが、俺がこの右手をムニムニした瞬間に赤面、ビンタの王道展開が待っているはず。もう何も怖くないと、マミられる覚悟すら決めて右目をうっすらと開ける。

すると、自分の下敷きになっていたのは、黄色い髪に幼さの残る顔の美少女と言えないこともない――いや、確実に美少女に分類されるであろう女の子だった。

ただ、少し幼すぎる気もするが、実年齢は同じくらいなのがラブコメの王道と決め込んで、自分の右手がある場所を確認する。

 

右手には未だに人肌程度の温もりと、柔らかな感触。

これは間違いなく胸だろうと、全力でムニムニする覚悟を決めたところで、目に映ったのは―――

 

「って、尻尾なの!?」

 

黄色くてふさふさの2つの尻尾。

その片方をムニムニと、触っていただけだった。

 

「...そんな、そんなのって無いよ...あんまりだよ...」

 

少女の上で項垂れる。

僕だって健全な男子高校生。ラノベなんかじゃ定番のラッキースケベを体験してみたくもあるわけで、胸かと思ったら尻尾だったなんてオチは計算外過ぎてダメージが計り知れなかった。

 

「誰だ、お前は。ウチのリリに何をしている?」

 

そのままそうすること数秒。頭の方から声をかけられて、そちらを向くと今度は金髪のメイド服を来た少女が僕を睨んで仁王立ちをしている。

 

「え、あ...いや、別に何をしているってわけでは...」

「ほぅ、貴様は何をしているわけでもないのに、リリのような年端も行かぬ少女を押し倒すというのか」

 

それを言われてようやく少女――リリという名前らしい――を押し倒した格好でいることに気がつき、慌てて起き上がる。

 

「おい、リリ。大丈夫か?」

 

僕のことを警戒しながらもメイド服の少女が何度か呼びかけているが、完全に伸びてしまっているようで返事がない。

息はしているようだからただの屍にはなっていないのが救いか。いや、それはなんか違うか。

 

「あの、一つだけいいですか?」

「なんだ?」

 

ギロリと鋭い眼光が向けられる。

睨むのは勘弁して欲しいのだが、少女を押し倒したのも気絶させたのも間違いなく僕のせいなので、その事に文句が言える訳もない。

 

「えっと、ここ............どこ?」

 

大きな噴水に用水路。森の奥には立派な屋敷が見える。

僕が今いるこの場所は、完全無欠に知らない場所だった―――。

 

 

☆★☆★☆

 

 

朝食を終え、広場が賑わう時間まで少しゆっくりしようと談話室に居た十六夜は、年長組の子に「レティシア様が呼んでいました。貴賓室にいるそうです!」と言われて、貴賓室まで来ていた。

目の前の、『鴉野 廻』と名乗った少年の事情を一通り聞いた十六夜、ジン、黒ウサギを始めとした〝ノーネーム〟一同は、この少年の処遇をどうするかの小会議を開催していた。

 

「それで、コイツのことはどうする?」

「どうするって言われても...どうしようもないと思いますが」

「どうしようもないとは言っても、何か彼のためにやれることはあると思うけど」

 

耀の言葉に、飛鳥は「そうねぇ...」と人差し指を唇に当てて思案する。

すると背後から、申し訳なさそうな声で「あの~...」と声をかけられた。

 

「どうかした? えっと、カラス君?」

「か、カラスで合ってはいますけど、鴉野です。鴉野廻」

「悪いな、許してやってくれ鴉野。ウチのお嬢様はちょいと頭が弱いんだ」

 

十六夜がそう言うと、飛鳥は「なんですって!?」と怒号を上げる。ヤハハと笑って飛鳥の反撃を躱していると、廻が苦笑を漏らした。

 

「そ、それで? 何の用かしら?」

 

今のやり取りを無かった事にして廻の話を聞こうとするが、耳まで真っ赤に染まった顔のせいで全く誤魔化せていない。

 

「いえ、その...できればこの世界のことを色々と教えて欲しいんですけど...」

 

「僕の居た世界とは随分と違うようですし...」と、黒ウサギのウサ耳と、リリの狐耳&尻尾を順繰りに眺めながら言う。

ちなみに、真っ先にコスプレの線を疑って、黒ウサギの耳を引き抜きにかかったのは言うまでもない。近づくことすらできなかったのだが。

 

「...黒ウサギ、説明してやれ」

「は、はい! お任せ下さい!」

 

廻のそばまで走って行って、嬉々としてこの箱庭のことを説明し始める黒ウサギ。その過程で自分の耳を触ることを許可して、これがコスプレではないことと、「自分はめっちゃすごいんだぞー」ということを教え込んでいる。

 

「しっかし、これ、魔王っぽいよなー」

「うん、魔王っぽい」

「そうね。まさに魔王の手紙って感じだわ」

「僕も魔王の手紙の可能性が高いと思います」

 

十六夜はワザとおちゃらけた声を出す。彼らの中心に広げられているのは一枚の手紙。

廻がこちらの世界へと引き摺り込まれた際に握り締めていたものだ。十中八九、これが招待状なのだろう。

 

『 告げる。

  汝が持つ力はその世界に見合うものではない。

  よって我が其に見合う世界へ招待しよう。

  家族を、財産を、友を、世界の全てを捨てるのならば、

  我らは其を歓迎し、其はこの世界の王として君臨せしめるだろう。

  これはその招待状である。 』

 

何ともまあ、小難しい言葉を使っているのに加えて日本語として大分おかしな文章な気もするが、要約すると、『君の世界なんか捨てて、僕の世界の王様になってよ!』ということで大体あっているだろう。

この【王】という表現が何を意味するのかは分からないが、少なくとも良い意味ではないことは想像に容易い。

そして、そこまで分かっているからこそ、彼をどうするか簡単に決めてしまうわけには行かない。どのようなギフトを有しているかに関わらず、彼のような人間らしい人間を魔王の手の内に渡すわけにも行くまい。彼が強力なギフトを有しているならば尚更だ。

 

「ギフト、か......」

 

黒ウサギの説明を受けていた廻が自分の手を握って開いての動作を繰り返す。

ギフトの説明に何か思い当たる節があったのか、何か考え込むような表情をしている。

が、―――

 

「ふぅん......」

 

廻が一際強く手を握り締めた瞬間に、十六夜の背筋に冷や汗が流れた。

それは、ゾクリなどという擬音語では表現できないほどに冷たく、恐ろしい感覚。

それを感じた瞬間には十六夜の体は動いていた。

 

「ッ...テメェは...!!」

 

しかし、それの量が生半可なものではない。今まで冷や汗を流す機会に乏しかった十六夜だが、ソレが異常な感覚だということぐらいはなんとなく感じてしまった。

一瞬前まで何の脅威にも感じなかった少年から発せられた異常な重圧に十六夜の体は半ば反射的に動いていた。

まずは廻の目の前にいる黒ウサギを守るためにその間に体を滑り込ませた。そして、廻が何をしてもコミュニティの主力である耀や飛鳥が最低限反応できるように襟首を掴んで壁際に押し付ける。

 

「な....はッ!?」

 

背中を打ち付けた衝撃に小さく呻き声を上げる廻。彼からはもう、先ほどの嫌な感じはもうしていない。

警戒心を剥き出しにしたまま、「どういうことだ?」と内心首を傾げる。

先ほどの嫌な感じは、十六夜が反射的に動いてしまうほどに強力なものだった。にも関わらず、今の廻からは何も感じない。

力を隠してしまったと言えばそれっぽいが、怯えた表情をしている彼からは力を隠しているという様子は感じられなかった。

今の怯えた表情がもしも演技なら大したものだが、現状その確認方法はない。

 

「......」

「......」

 

その場にいた全員が沈黙する。

廻は何が何だか分からずに、迂闊に言葉を発せないだけだが、それは黒ウサギたちノーネームの面々も同じだった。

 

(........どうすればいいんだ、この空気....)

異世界から来た客人に、この世界の常識などを説明している最中に警戒心剥き出しで突っかかってしまった。

それだけならまだしも、本能が感じた危険信号に従って暴力行為に近いことまでしてしまったのである。空気が凍りつくのも当たり前だ。このまま手を離しても何を言えばいいか分からずに、誰かがこの空気を壊してくれることを祈っていると、それをしたのは意外なことに飛鳥だった。

 

「いきなりごめんなさい、鴉野君。ウチの十六夜君はちょっと頭がアレな子なのよ」

 

緊張した雰囲気から一転、室内にいた全員がポカンと呆けてしまう。その中で飛鳥だけが、さっきの意趣返しに成功したとでも言わんばかりのドヤ顔で十六夜に視線を向けている。

 

「ほぉ、言ってくれるじゃねーか」

「そうかしら? 私の時代にも『やられたらやり返せ』、『馬鹿と言ったほうが馬鹿』ぐらいの言葉はあるのよ。ここに来るまで使う機会がなかったものだから、半ばその存在を忘れていたけれどね」

 

ドヤ顔を若干崩しながら「ふっ...」と息を吐く。その目は完全に十六夜を挑発しているように見えた。

『その挑発乗った』と、十六夜は窓の外へ顎をしゃくる。

その仕草に飛鳥は首を縦に振って答えると、示し合わせるように部屋の外へと足を向けた。

 

「す、ストップ・ザ・お二方!!」

 

あまりにも綺麗な流れで出ていこうとする二人を黒ウサギは呼び止めようとするが、そんなものお構いなしにと踵を鳴らして部屋をあとにする二人。その見事なスルーっぷりに黒ウサギの髪が桜色の焔が灯る。

 

「あ、あの問題児様方はぁあああああ!!!」

「ちょ、ちょっと黒ウサギ!?」

 

どこからかハリセンを取り出して出て行った二人を追おうとする黒ウサギ。

 

「えいっ」

「フギャァ!?」

 

黒ウサギの暴走を予感した耀は、ギフトにより強化した脚力で黒ウサギとの距離を詰めると、桜色に染まったウサ耳を2本纏めて鷲掴みにする。耳を掴まれた黒ウサギは乙女にあるまじき奇声を上げ、ハリセンは黒ウサギの手を離れて遠くへと飛んでいってしまった。

 

「な、な、何をするのですか耀さん!?」

「黒ウサギの役目は廻にこの世界のことを教えることと、彼を一先ずどうするかを決めることだったはずだよ。放棄は許さない」

「そ、それはそうですが...いえ、その観点からすれば十六夜さんと飛鳥さんも役割の放棄をしていると言えるのでは!?」

「私たちのリーダーはジンだから。私たちはこの事に関してはジンに委任するから大丈夫。二人は私が探してくるから」

 

視線を向けられたジンは若干緊張した表情を見せる。

 

「それに...」

 

耀は視線を黒ウサギに戻して一拍おいた。

 

「その髪のこととか説明してあげないと、びっくりしたままだから、彼」

 

髪色のことを指摘されて冷静さを取り戻した黒ウサギは、振り返って廻へと視線を向ける。髪の色はもう青みが掛かった黒へと戻っていた。

 

「ど、どう説明すればいいでしょうか...」

 

黒ウサギを見る廻の表情は、かつて黒ウサギの髪色が変わるところを見た自分たちとは違い、興味と恐怖が半々ぐらいに見て取れた。

 

「........多分、スーパーサイヤ人でイケると思う」

「え、ちょっと、耀さん!?」

 

自分の言いたいことだけ行って部屋を出て行く耀の口から溢れた単語は『おそらく、きっと、多分、メイビー』―――黒ウサギの不安を助長するには十分で、耀の言った通りの説明をすると純粋な恐怖に染まった顔をされたのは、当然のことだと思う。

 

 

 




さて、ここでオリジナルのギフト持ちキャラクター登場です。
細かい設定はしていないのですが、まぁ、元の世界を異常者なりに楽しんでいた設定です。
ここからオリジナル展開突入ですので、暫くは説明回が続くと思いますが、所々にネタ挟んだりするので、飽きずに読んでくれると嬉しいです。

ストックが無い為、定期での更新はできませんが、最低でも月1で更新したいと思うので、今後ともよろしくお願いします。



以下、今話のネタ展開。

十六夜「これ、魔王じゃね?」
飛鳥「うん、そうっぽいわね」
ジン「召喚の文面としてはだいぶ奇抜ですけどね」

『 告げる。
  汝の剣は我が下に。我が命運は汝の剣に。
  聖杯の寄る辺に従い、この意、この理に従うならば応えよ。
  誓を此処に。
  我は常世総ての善と成る者。
  我は常世総ての悪を敷く者。
  汝三大の言霊を纏う七天。
  抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ 』

耀「魔王って言うか......無類のアニメ好きの仕業だと思うんだけど...」
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