黒死斑の魔王(ブラック・パーチャー)と共に異世界へ   作:ヴィヴィオ

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第2話

 

 

 

「サーヴァント・アヴェンジャー。召喚に応じ、参上いたしました。どうしました、その歓喜に満ち溢れた顔は。さ、契約書です」

 

 召喚された美しい少女の名前はジャンヌ・ダルク〔オルタ〕‎。本来の彼女は百年戦争にてフランスを救おうとするも、魔女として貶められた挙句、炎に焼かれて処刑された聖処女である。そんな彼女の闇落ちしたしたジャンヌ・オルタはジル・ド・レェが万能の願望機である聖杯に復活を願った。しかし、聖杯を以ってしてもジャンヌの復活が叶わないと知ったジルは、その力で自分が正しいと信じるジャンヌを新たに創造した。それこそが、彼女である。つまり、彼女は聖女ジャンヌ・ダルクの別側面、というわけではなく、ジル・ド・レェが聖杯によって創り出した存在なのだ。その為、ジルが抱いたフランスへの怒りと憎しみ、願望が強く投影されたものとなっている。ゆえに“竜の魔女”として蘇った彼女はワイバーンの群れと邪竜ファヴニール、そして召喚したサーヴァントの軍勢を引き連れ、フランス国王シャルル七世とピエール・コーション司教を殺害してフランス全土に恐怖をもたらした。討伐された。

 彼女は歴史を歪められた人類史の中で創り出した架空の存在。故に、英霊の座に本体は存在せず、彼女は再召喚されることは極小である。何せ、召喚した英霊を力尽くで支配し、唯一望んだジルも倒されたのだから。だが、極小であってもゼロではない。何故ならば、どう屈折した創造であろうとも、竜の魔女という概念が生まれた以上、存在そのものを消すことはできない。

 誰も自分の復活を望まないのならば、この世で絶対に自分を望まない「救国の聖女」の願望を引き摺り出し、力尽くで再生するまで。たとえ、自分が僅かの可能性によって生み出された紛う事なき贋作であろうとも、陰に潜むつもりはない。

 この世は嘘に塗れ、虚飾を良しとしている以上、贋作が真作を凌駕してはいけないと誰も言ってない。

 だから、自分が贋作であろうとも、世界にその存在を否定するなどと、誰も決めていない。

 多くの人間が“あんな最期を迎えた女なら復讐する権利がある”―――そう夢想して堕ちた魔女は殺意と憎悪を羊水として産み落とされ、贋作であっても確固たる意志を持った反英雄「復讐者」のサーヴァントとして現界した。

 それが、彼女だ。その彼女がキャラクターカードより召喚されたのだ。彼女はフェイト/グランドオーダーで登場するのだが、その中でも史上最高の攻撃力と虚弱性を持つ火力特化の彼女は戦争やモンスターの絶えないこの世界では優秀な護衛となるだろう。もちろん、美少女であるがゆえにあちら方面でもだ。

 

「どうしたのですか? まさか、返事すら出来ない愚物ですか? ああ、愚物でしたね。そのような幼子を手籠めにしているのですから」

「誰が幼子よ! これでも成人してるし結婚もしてるわよ!」

「おやおや、それにしては……小さいですね。どことは言いませんが」

「……殺す……」

 

 ペストが手を振るうと、彼女の服の袖から黒い風がジャンヌへと襲い掛かる。

 

「ふん」

 

 それを彼女が軽く旗を振るって弾き飛ばす。本来なら有り得ない光景だ。何せ、ペストの攻撃は死の恩恵を与えるという命あるものを殺すという事に関しては絶大な力を発揮するのだ。

 

「……能力が下がっている?」

「ふふふ、次はこちらですね。これは憎悪によって磨かれた我が魂の咆哮……」

「殺す気まんまんじゃねえかっ!?」

 

 いきなり宝具をぶっぱしようとするジャンヌを慌てて止めようとする――

 

「吼え立てよ、我が……え? ちょっ!? 何よこれっ!!」

 

 ――が、急に蹲り、旗のついた槍で身体をなんとか支えているジャンヌ。

 

「えっと?」

「あははははは、馬鹿じゃないの! 魔力切れよ、ばーか」

「なんですって!? そこの糞マスター! さっさと魔力を寄越しなさい! こいつを殺せないじゃない!」

「はっ、やれるもんなら殺ってみなさい!」

 

 バチバチと火花が散りそう感じで睨みあう二人。しかし、魔力供給か。ならば、やる事は一つだな。

 

「いいぞ、魔力を供給してやる」

「そうよ、さっさと……ちょっと、なんで近付いてきてるの?」

 

 ジャンヌを抱き上げてベッドに寝かせる。ペストも何をしようとしているのか、ニヤニヤと笑いながら服を剥いでいく。

 

「ちょっ!? やめなさいっ! 私は聖処女なのよっ!」

「魔力が欲しいんだろ? 残念ながらそこまで魔力がないんだよ。だから、こっちでたっぷりとくれてやるよ」

 

 実際、原作のフェイトでも主人公であるシロウがアルトリアに魔力を供給する為にやる事をやっている。魔力量増大・上級を所持していてもジャンヌを現界させていられるのが限度だ。そもそも、このスキルは元の魔力量を10倍にするスキルだ。元が低い俺ではたかが知れている。

 

「ふふふふ、私だけされるのは不公平よね」

「そんなの知らな……」

「コルネリウスも私より、胸の大きな貴女の方が好みでしょう。たっぷりと可愛がってもらいなさい」

 

 胸の事とか、無茶苦茶恨みに思っているようだ。憎しみを込めて揉みしだいている。

 

「ほら、さっさとしなさい」

「まあ、そうだな。じゃあ、やるか。魔力が無くなれば消えるかも知れないしな」

「まっ、まっ……待ってっ!?」

 

 迫る俺に余裕が無いのか必死になっているジャンヌ。

 

「わかったわ。するのはいいの。消えたくないし、受け入れるわ。でも、せめて二人っきりでしましょう。ね?」

「駄目よ。アンタがちゃんとその無駄な脂肪で奉仕する所を見せて貰うんだから」

「わかった。なら、三人ですればいいんだな」

「ちょっ!?」

「……そうね、それがいいわ」

 

 急いで逃げようとするペストをジャンヌが腕を掴んで引きずり寄せて抱きしめて拘束する。

 

「離せっ、このっ!」

「ふふふ、一人だけ逃がすなんてする訳ないじゃない」

「馬鹿なのっ!? アタシが逃げればアンタは二人だけで……」

「よく考えたら、贋作である私は別にレイプされようが必要とされるならいいのよ。でもね、一人で堕ちるのは寂しいでしょ?」

「こいつ、最悪ね!」

「そう、私は災厄の魔女だから当然ね」

「まあ、裸の付き合いも親睦を深めるにはいいだろう。二人纏めて可愛がってやる。妻である二人には仲良くして欲しいからな」

「あら、私も妻になるの?」

「そうだ」

「結婚して直ぐに浮気とか、最低ね」

「別に愛ある結婚でもないだろ。俺はペストの事が好きだが」

「ふん。それもそうね。アタシは売られたんだから、好きにしなさい」

 

 資金援助や伯爵家との縁を繋ぐ為に嫁に差し出されたんだから、ペストが俺を愛しているなんて事は有り得ない。それはこれから紡いでいくものだ。

 

「マスター、先ずは……」

「キスからだろ」

 

 ジャンヌと口付けを交わし、そのまま二人への魔力供給を開始する。しかし、ジャンヌが簡単に俺を受け入れる辺り、隷属だけでは無く好意を抱くようになっているのかも知れないな。

 

 

 

 

 

 

 目覚めた後、布で身体を拭いていく。二人も目覚めたので軽くおはようのキスをする。スキンシップは大切だと思うからな。とりあえず、ベッドから出て窓を開けて換気をする。その間に二人はさっさと服を着てしまった。俺も着替えていく。それが終われば椅子やベッドに座る。

 

「さて、これからどうするかだ」

「この家を乗っ取るのよ」

「あっさりと言ったわね。家族じゃないの?」

「別に売られたのだし、どうでもいいわ」

「まあ、乗っ取るかは別としても、どうせなら発展させないといけないしな。ガチャを回すのに金がかかる」

「そう」

 

 ランダムガチャは魔晶石一個で一回となっていた。この魔晶石というのは膨大な魔力を蓄積された物で、モンスターが体内に持つ魔石を結晶化させた物だ。金額すると小さな奴でも100万はする。つまり、ガチャをするにはお金を溜めて魔晶石を買うか、モンスターを狩って魔石を集めて魔晶石にするしかない。極稀にモンスターやダンジョンの宝箱から魔晶石が手に入る場合もある。なので、モンスターを積極的に狩る方がいい。

 

「私としてはどうでもいいので、マスターの好きになさってください」

「そうか。ペストは乗っ取りたいのか?」

「ここが発展して住民が安全に過ごせるなら別に構わないわ」

「そんなに民が大事なのですか?」

「そうよ。彼らは友なのよ」

「あらあら」

「なによ?」

「べっつに~」

「ちっ」

「喧嘩するな。それは禁止する」

「わかったわよ」

「ええ、仕方ありませんね」

 

 とりあえず、発展させる為にはやらなければいけない事が多いな。

 

「リーゼンフェルト領の生産はライ麦が主流よ」

「それだけだと不味いな」

「どういう事?」

「何れ小麦に喰われる事になる」

「それは……」

 

 嫌そうな顔をするペスト。彼女もペストとしてインストールされて知識があるのだろう。産業革命が起これば一発だ。いや、そもそも魔術があるのだから既に市場は縮小傾向に有るのかも知れない。

 

「なら、別の産業を考えてはどうですか? ライ麦はとりあえず食べれたらいいでしょう」

「まあ、戦争もあるだろうし食料はいくらあってもいいし、放置しておこう。それよりもモンスターを狩りたい。何処か近場にないか?」

「あるわよ。ここが辺境と呼ばれているのは魔の領域が存在するからよ」

 

 魔の領域はモンスター達の住処であり、強力なモンスターが存在している場所だ。

 

「西に魔の森が有り、南には山脈が有るわ。山脈の上の方にワイバーンとかが出るからとても危険ね。森には動物型を初めとしたモンスターが蠢いているわ。こちらは街を防衛しながら開拓して生存圏を広げていっているの。まあ、それも森から出て来るモンスターで思うようには言っていないのだけれど」

「モンスターを狩れば金になるか?」

「それはもちろん。その為にハンターが居るのだし」

「ハンターか」

 

 ハンターは冒険者とかと一緒だ。だが、問題は結構な額が中間マージンとして取られる上に辺境であるここにはそんなものが無い。普通はもっと北の都会やダンジョンがある街に作られている。

 

「出来たら狩りたいわ。害獣駆除と同時に食料確保も出来るのだから」

「そうだな。食事は質素な物しか出ないし、食料の確保は大事だ」

「なら、ワイバーンが出るという山脈にいきませんか? ワイバーンなら操る事ができます」

「それはそうだが、他にも強いのが居るんだよな?」

「もちろん」

「なら、山脈に行く前に森でレベル上げだな」

「そうね。それがいいわ」

「まあ、いいわ。どちらにしろ、いたぶれる獲物が居るのだし」

「じゃあ、飯を食べたら向かうとするか」

「なら、私は消えているわ」

 

 そう言って、ジャンヌが霊体となって空間に溶けるようにして消えていった。

 

「消えたけれど?」

「直ぐ近くに居るさ」

「便利ね」

「そうだな」

 

 俺はペストと共に食堂へと移動する。もっとも、食堂といっても辺境にある男爵家の家ではリビングみたいな物だが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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