黒死斑の魔王(ブラック・パーチャー)と共に異世界へ   作:ヴィヴィオ

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第22話

 

 

 

 

 徴発した家のベッドで目覚めた私は身体を起こす。すると布団がずれて素肌が曝されると同時に寒さからか、隣から非難めいたうめき声が聞こえる。ベッドから出て布団を私と同じように一糸まとわぬ姿で寝ているペストとアリエッタに掛けなおす。昨日は三人で互いのアソコを舐めあったりして満足してから眠りについた。アリエッタが魔力供給の為に持ち込んでいるご主人様のアレを別けて貰ったりもしてスッキリした。お蔭で衝動的に殺す事は無くなったわね。

 

「今日はなんの下着にしようかな~? 黒い服だから白ね」

 

 白い下着を選んで履いて、ガーダーベルトを設置。白いニーソックスを履いて軍服を着こむ。部屋から出てリビングに持ち込んだ鏡の前で軽く化粧をして身嗜みをチェックして終わり。私の軍服はマレウスと同じ物だから、しっくりとくる。他はちゃんとしてあるんだけどね。

 

「うし、今日もルサルカちゃんは元気! 今日も一日頑張るぞー!」

 

 気合いを入れたら朝食とお弁当の用意をする。といっても、ペストが昨晩に用意してくれているので少しの手間で終わる。パンを焼いて卵とマヨネーズを混ぜてからサンドイッチを手早く作成していく。タマゴサンドにレタスサンド。お肉は駄目。朝から重たいし、脂肪は天敵よ。後は果物と野菜を魔術で粉砕して野菜ジュースを作成。水筒に入れてサンドイッチはバスケットに。これでお弁当は完成。朝食は卵焼きを焼いたトーストに乗せて後はサラダだけ。手早く食べて外に出る。

 

 

 外に出た私は軽く準備運動を行う。あの、地獄の訓練所に居た時、これをしないと大変な事になったから習慣として行っている。まあ、やっても大変な事になるんだけどね。そんな事を考えながら食料を仕舞ってある徴発した家へと向かう。

 

「准尉、おはようございます」

「うん、おはよう。炊き出しはどう?」

 

 部下の人達が挨拶をしてくれる。階級はまだ制度として出来ていないけれど、一応私は准尉で、お姉ちゃんは大隊長という事になっている。100人しか居ないのだから仕方ない。まあ、私は長年の経験値があるし、お姉ちゃんはちゃんと士官学校を卒業した経験もある左官だからね。そのお姉ちゃんが認めた教本が有るので、それで勉強中。ナチスドイツの物だけれど、そこは色々と修正して使用するのよね。

 

「問題ありません。本部からの物資も届いております」

「そう。夜勤だけど何か問題は? 疲労とか大丈夫?」

「疲労は問題ありません。この程度、あそこと比べれば全然ですから」

「まあ、そうよね。瞬間回復が体質として刻まれちゃってるか」

「その分、食事量が多くなりますが……」

「そこは我慢よ」

 

 食事の量は他の人達より増えている。私はマレウスをインストールして融合したから、そんな事は無いけれどね。

 

「それと、報告したい件が二件有ります」

「面倒事?」

「はい。それが、炊き出しでは無く食料配給を希望するという者が居ます。また、騎士の一部が食料を徴発しようと来ましたので追い返しました。それから食料配給を希望する者が増えました」

「そう、わかったわ。食料配給は無しよ。希望する者には理由を聞いて、動けない人が居るという事ならこちらで確認してから持っていって直接本人に渡すようになさい」

「了解です」

「騎士は再三警告しても聞かないなら排除していいわ」

「よろしいので?」

「ええ、ただし殺したり骨を折ったりしないように」

「通達しておきます」

「お願いねー」

 

 炊き出しを作るのを手伝ってから領主館へと作戦会議の為に向かう。ペストはあくまでも交渉の為だし、アリエッタは武装テストの為に着いて来ただけ。軍事に関しては私が代表だしね。

 

 

 

 案内された作戦会議室にはまだ誰も居なかった。言われた通りの時間に来たんだけど、早めに伝えられたようね。でも、これは予想通りである意味ではラッキーな事よね。

 

「だって、調べたい放題だしね」

 

 口元に指をあてて笑う。それから色々と物色していく。見つけた地図とこちらの地図を示し合わせる。圧倒的にこちらの地図の精度が高いけれど、細々と書かれた現地に行かないとわからないような情報も書かれている。それらを見つけた報告書などと吟味して書き写して行く。それと紅茶をポケットから取り出して自分で入れて飲む。この軍服のポケットは倉庫と繋がっているから非常に便利なのよね。この倉庫も個人用と軍事用の場所に繋がっているから、紅茶はもちろん個人用よ。

 

「さて、と」

 

 軍事用からインカムを取り出して耳に装着する。

 

「こちら、ルサルカちゃんですよー。そっちはどんな感じかな~?」

『敵軍の規模は約3365人。誤差は有ります。騎兵は380騎。残りは歩兵ですが、その殆どは農民のようですね。それと……』

「何?」

『遠目ですが、黒い斑模様をした者達が多数見受けられます。中には行軍中に倒れる者もしばしばいるようで、数は更に減ると思われます』

「そうね。それで、倒れた者はどうなっているのかな?」

『放置されていますね』

「そう……それじゃあ、回収しちゃおっか♪」

『よろしいので?』

「ええ。回収して治療を施して貰うわ。そうね、回収は航空部隊を使いましょう。助けた恩義を着せて我が領の領民になって貰いましょう。これから人手は沢山欲しいからね」

『了解しました。続いて進軍速度と地理からそちらへの到着時間は……』

 

 報告を聞いてあちらの地図の上に敵の駒を置いて街にはこちらの駒を配置してから、しばらくゆっくりしていると扉が開いてようやく彼らが入って来た。時間は三時間後くらいか。

 

「もう来ていたのか」

「感心ですわね」

 

 ペストの兄と姉が入って来るなり、そう言うけれど無視して紅茶を飲む。うん、いい味。高いだけあるわねー。

 

「お構いなく、有意義な時間でしたから」

 

 紅茶を飲み終わったので、一応返事をする。

 

「礼儀のなっていない小娘だな……」

「平民ですから、仕方ありませんわお兄様」

「そうだ。流石は……」

「ですが、呑気に会議している時間は無くなったわよ」

「っ!?」

 

 私の言葉で驚くけれど、知った事ではないわね。

 

「どういう事だ?」

「敵軍は直ぐそこまで迫って来ているからよ」

 

 そう言いながら地図を指さす。

 

「残り時間は二時間くらいでしょうね」

「何故そんな事がわかる!」

「何故って、偵察を出しているからに決まっています。まさか、偵察隊も出していなかったの?」

「それは……」

 

 図星のようね。本当、軍事のぐの字も知らないんじゃないかしら?

 

「はぁ……とりあえず、敵軍の規模は約3365人騎兵は380騎。残りは歩兵よ。騎兵だったらすぐに迫って来るわね」

「う、嘘よっ!」

「とりあえず、街の門を閉めましょう」

「待て、それでは打って出れないではないか!」

「打って出るって、正気なの? こっちは防衛戦で相手は数倍の戦力を持っているのよ」

「その為にお前達が居るのだろう! いいから打って出て俺に勝利を寄越せ!」

 

 いや、まあ約3365人くらい訳ないけどね? というか、何。こっちの勝利を自分の手柄にするつもりなの?

 

「本当に打って出るのでいいの?」

「むろんだ!」

「ところで、領主様はどうしたのかしら?」

「体長不良で寝込んでいる。故に次期領主であるこの俺が全軍の指揮を執るのだ!」

「カッコイイですわ、お兄様」

「うむ!」

「はぁ~それじゃあ、さっさと準備なさい。直に出ないと開戦の位置が致命的になるわ」

「何を言っている。門の前の平原でいいではないか」

「ちょっと待ちなさい。森も使わないで勝てるつもりなの?」

「当然だ! お前達は魔の領域の魔物を支配したのであろう。ならば容易かろう!」

「そうよ、指揮官のお兄様に従いなさい!」

「そうだぞ! 俺が総司令官なんだからな。お前も今夜相手をするなら好待遇を……」

「お断りよ。こちらは準備が有るからこれで失礼するわ」

「おい待て!」

「勘違いしているようだから言ってあげる。私は私の部隊の指揮権まで渡したつもりは無いわ。やるのは援軍としての援護だけよ。精々頑張りなさい」

「まっ、待て!?」

 

 さっさと片付けて部屋から出て行く。後ろで何を喚こうが知った事じゃないのよ。

 

「本当、無能な上司って最悪よね。敵より、味方の無能が恐ろしいって本当ね」

 

 まあ、中世くらいならこれが普通なのかも知れないのだけれどね。

 

「さて、整列」

 

 戻った私は部下を食料警備の一人を除いて全員呼び出し、机に広げた地図の前に整列させる。

 

「これから戦争が始まる訳だけれど、4人はアリエッタと共に森に入って敵軍を迂回。背後を取りなさい」

「はっ」

「残り五人は街の警護よ。防壁の上と下から敵兵を一切通しちゃ駄目だからね」

「准尉はどうされるのですか?」

「嫌だけれど、お守かしらね」

「ご愁傷さまです」

「本当よ、まったく……ねぇ、戦場じゃ流れ弾なんてよくある事よね?」

「ありませんね。少なくともこの世界では」

「ちっ」

 

 銃が無いし、魔法だけなのよね。守るのは自分だけにして後は放置がいいかな~? でも、民兵を助けないとペストが五月蠅そうだし……そうか、そっちはペストに守らせればいいのよね。そうしましょう。

 

「うん、そもそも私には守るとか合わないのよね~」

「ですね」

「どう考えても殲滅とか虐殺ですね」

「拷問とかも……」

「へぇ~そんな事言っちゃうんだ?」

「「「失礼致しました。失言です」」」

「まあ、事実だからいいんだけどね。ああ、命令(オーダー)は捕獲だから、殺し過ぎないようにね」

「「「イエス、マイロード!」」」

「あ、24時間勤務で休憩は一人一時間半だから、ご飯はお弁当があるから、はい」

「ありがとうございます」

「戦場にしては休憩、多く無いですか?」

「ぶっちゃけ、こんだけでも余裕だしね。ああ、一応ご主人様、元帥閣下より命令が下るまで殲滅したり逃走に追い込むのは駄目だから、適当に相手をしてあげなさいよ」

「「「イエス、マイロード」」」

 

 本当に面倒よね。殲滅だけなら三十分くらいで終わるんだけどね。

 

 

 

 

 

 

 

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