黒死斑の魔王(ブラック・パーチャー)と共に異世界へ 作:ヴィヴィオ
ドラゴンから飛び降りた私達はそのまま地上へと
「ジャンヌっ!?」
マスターの声にドラゴンを注視すると、ドラゴンの身体から光る物が見えた。それを槍で打ち払って防ぐ。
「っ!?」
光物の正体はドラゴンを貫いて高速で飛来する光を纏っただけの
「なるほど。この世界の敵は全てが塵芥かと思いましたが、少しは出来るようですね」
「ドラゴンを、
「私にとって、ドラゴンとは手足であり、従えるべき者、ペットですから」
「そうか。では、どうする?」
「当然、私のペットを傷物にしてくれた借りは返さないといけませんね」
殺したのは私達ですが、そこは関係有りません。
「ふむ……また来たぞ」
敵の砦から飛来してくる槍をマスターが防ぎます。
「多少のクールタイムが有るようですが……厄介ですね」
「今度は矢か」
「煉獄の業火に燃えなさい」
数百にも及ぶ大量の雨のような矢を片手を振るって爆炎を放ち、焼き尽くします。しかし、矢の次に大量の槍が飛ばされて来ました。明らかに槍の方が威力が高いです。
「ち、厄介だな。ならば……」
「マスターっ!?」
マスターは何を思ったのか、私をお姫様のように抱っこして来た! 凄く嬉し……じゃないっ!
「マスター?」
「このまま敵陣に突入するぞ。煉獄の業火を背後に放て」
「正気ですか!?」
「無論」
『いいからマスターの言う通りになさい。さもないと、殺すわよ』
マスターの腰に下げられた本から不快な声が聞こえてくるわ。
「はっ、やれるものならやってみなさい! アンタは羨ましいだけでしょ、この駄本。最初っからずっと殺気を放ちやがって、鬱陶しいのよ!」
『上等よ』
「やめぬか」
「「しかし、マスター!」」
「二度は言わぬ。それよりも急げ。エセルドレーダに防御を任せる」
「……ええ、わかったわ……」
「イエス、マスター」
マスターに抱き着き、両手を後ろにやって煉獄の業火で敵陣に向かって加速する。
『ン・カイの闇よ、マスターを守りなさい。ついでにこの女も』
前方には禍々しい障壁みたいなのが展開されて私達を援護してくれる。
「ジャンヌ、もっと加速せよ」
「どうなっても知らないわよ!」
「構わぬ」
「なら、全力よ!」
身体を起こして首に抱き着きながら、背後に向かって炎を全力で放つ。加速を得る中、マスターは私のお尻に手をやって支え、空いた片方の手で槍を構えた。
「槍の返礼には槍であろう。行け、スピア・ザ・ロンギヌスランゼ・テスタメント」
そう言って
「ふむ。やはり、威力過多であったか」
「まあ、当然ですね」
『流石はマスターです』
砂煙が張れて視界が回復すると、先の方に兵士の集団が居る事がわかった。驚いた事に殆どが軽傷ね。その中には無傷の奴まで居る。
「ほぅ、我が一撃を受けて無事とは驚いたぞ」
マスターが身体を傾け、地面に刺さった
「それはこちらの台詞だ」
彼方側から一目で強力なマジックアイテムだとわかるような鎧を着た銀髪の青年騎士と青い長髪の剣士の少女。その二人を引き連れた初老を迎えたような鎧を着た男性がこちらにやって来ているわ。
「我が名はルーカス・フォン・バルテンである! 貴公は何者だ!」
「私はコルネリウス・フォン・リーゼンフェルトだ。つまり、卿等の敵である」
「はははははっ! これが無能と言われていたシュタインフェルトの倅か!」
「むっ」
無能と言われた上に片手を頭に当てて大笑いする男に槍を握る力が増す。
『殺しましょう。今すぐ塵も残さずに……』
「珍しく気が合いますね。ええ、塵も残さず消失させましょう」
私達も笑いながら魔力を高めていく。それに伴い、後ろの騎士と剣士も武器を構える。
「ヒポグリフがグリフォンを産んだか。これは面白い」
「そうか。しかし、我等にはどうでも良い話である。投降されよ。さすれば命だけは助けて差し上げよう」
「断る!」
「そうか。では……」
「だが、この二人を降せば考えてやらんでもない」
「ほう……」
「2対2で勝負しようではないか。勝利した方が相手の条件を飲むという事でな」
「良かろう」
「「マスター!?」」
そんな事をせずとも、私達が滅ぼしてやるのに。
「被害を出さない方がありがたいのだ」
「ちっ。ならば、私が出ます」
「もとよりそのつもりだ」
『マスター、私も出ます!』
「そうか」
エセルドレーダも出るみたいね。
「良かろう。そちらの提案を飲もう。ただし、3対3でならだ」
本の姿から人の姿に変わったエセルドレーダに一瞬驚きの表情を浮かべるが直に真剣な表情に戻った。
「精霊か……構わんぞ。では、ルーカスよ、行け」
「はい、父上」
出て来たのは走竜と呼ばれるドラゴンに騎乗した青年の騎士。その手には槍が握られていて、私達を襲ったのはおそらくこいつでしょう。
「では……」
「マスター、私が出ます。よろしいですね?」
「良かろう。任せるぞ」
「ええ、任せて」
「負けたら承知しないわよ」
「黙って見てなさい」
「戦闘を始める前に場所を変えぬか?」
「それもそうであるな」
移動してから草原で互いに対峙する。
「私はルーカス。ルーカス・フォン・バルテンだ」
「特別に教えてあげる。私の名はジャンヌ。ジャンヌ・ダルクよ」
「馬鹿な……」
こいつ、私を知っているのかしら? まあ、どうでも良い事ね。
「始めっ!」
「ドラゴンハウリング!」
「GYRUUUUUUUUUUUUU!!」
即座に咆哮を上げさせ、聞こえる者に恐怖を与えて動けなくしてから駆け抜けて来るルーカス。
「無駄よ」
幻影の槍を放ち、串刺しにしてやる。
「コンセントレイト、オーラブレイド、パリィング!」
片手に一つずつ持った槍を高速で振るって槍を破壊する。
「ソニックウェーブ!」
更に衝撃波を放って来る。それを槍で吹き飛ばし、煉獄の業火で作り出した弾丸を放つ。
「くっ、ウォータドラゴンブレス!」
ドラゴンから強力な凍てつく吐息を放ち、炎を消火していく。水蒸気が発生し、視界が埋め尽くされる。その中から槍が飛んでくる。
「無駄よ」
槍を弾くと一瞬で視界が切り替わり、いつの間にかルーカスが目の前に居た。
「なんでっ!?」
「ヘッドクラッシュ、ジョイントビート、スパイラルピアース、ハンドレッドスピア!」
驚く暇も無く、的確に急所を狙って来る回転させて貫通力を強化した槍の連続突きを槍でさばいていく。後ろに飛ぶ事で距離を取る。
「逃がさんっ!!」
「ちぃっ!」
「宝具など使わせんぞっ!」
「やっぱり、こっちを知ってるわねっ!」
「無論! ブランディッシュスピア、ハンドレッドスピア!」
スキルの重ね掛けにより、一撃一撃の攻撃範囲が一気に広がった上で連続攻撃を仕掛けて来る。避ける事も防ぐ事も崩された体勢では不可能でダメージを負っていく。
「なにやってるの!」
「ジャンヌ!」
マスターの目の前で醜態を晒す? あり得ない。この私がよ? もう、許さない。
「その程度の攻撃でこの私を抜けると思うなぁっ!!」
「なにっ!?」
攻撃を自らの身体で受け止め、槍の軌道を見極めて脇と両手で握り絞めて防ぐ。ダメージ? そんなもの、ルーラーの特性も持っている私には大した事はありません。痛いですけれど。ええ、痛いですけれど!
「ちぃっ!?」
相手は槍を手放し、即座に別の槍を
「報復の時は来た!」
「っ!?」
相手の槍を捨て、再度呼び出した自らの旗を地面に突き刺す。
「これは憎悪によって磨かれた我が魂の咆哮……
周囲の怨念と聖痕を通してマスターの中にある魂を燃やして魔力変換して焚きつけ、相手の不正や汚濁、独善を骨の髄まで燃やし尽くす。
「ぐっ、しまったっ!」
ルーカスの足元から魔法陣が現れ、炎が噴き出して火柱を形成し焼き尽くしていく。
「これで私の勝ちでしょうが、まだね」
そのまま炎の中に突撃して槍を突き刺す。しかし、変な手ごたえがしたわね。
「っ!?」
即座に下がった場所に剣が振り下ろされる。
「まだだ」
炎の中から出て来たのは深紅の鎧を身に纏った氷の剣を片手に一つずつ持つルーカス。
「ちっ、しぶといわね」
「火属性耐性が100%でなければ死んでいた」
「出鱈目ね」
「そちらもだ、サーヴァント」
「これは少し不味いわね」
「ならば降参するのだな」
「誰が……するもんですか! なめんじゃないわよ!」
瞬時に接近して槍を振るう。相手は剣で防いでくる。
「ツーハンドクイッケン」
「ちぃっ!?」
スキルを使った瞬間。二本の剣速が数倍の速度となり、一秒間に何度も斬りかかってくる。それに対して、幻影の黒槍を召喚して対応するしかない。こちらも剣を抜いて槍を完全に盾にしながら剣と幻影の黒槍で攻撃する。
「バーサーク、イグニッションブレイク!」
地面に叩き付けられた剣によって爆発が起きて吹き飛ばされる。空中で回転しながら幻影の黒槍を放ち、自身は体勢を整えて着地する。
「く……」
「手こずっているようね」
「五月蠅いわよ! 相性が悪いのよ!」
「ジャンヌ。無理は止めてくれ。最優先はジャンヌの身の優先だ」
「……ざ……」
「ジャンヌ?」
「ざけんじゃないわよぉぉぉぉっ!! もう怒った! 絶対にぶっ殺す!」
「おい!?」
ふふふ、そうよ。絶対に殺してやる。だいたい、この私が手段を選んで正々堂々とやってやる必要なんてないじゃない。
「ふふふ、そう、私は竜の魔女よ」
「何を言っている?」
掌を差し出し、マスターから魔力を、魂を貰っていく。
「呼んであげるわ。今すぐ来なさい! ええ、今すぐ来なさい! ファフニール!」
「「おいっ!?」」
聖杯を使う代わりに魂を直接魔力に変換して召喚魔法を行使してやる。上空に巨大な魔法陣が展開され、黒き竜が召喚される。
「ちぃっ!?」
「そうよ、炎が封じられたなら物理で殴り殺したらいいのよね!」
「た、確かに……真理だな」
舐めて貰ったら困るわ。これはただの時間稼ぎ。本気でやってやるんだから。そう、オルレアンを落とした時のように!
「物理で殴ると言っておきながら距離を取っただと!?」
距離を取った私は地面に手をつく。
「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。祖には我が大師シュバインオーグ。降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」
「待て、貴様はサーヴァントだろう!」
「知った事ですか!
「くそ、させるか!」
「お兄様っ!」
「ルーカス!」
上の連中もファフニールの召喚に呆然としていたのが回復したみたいね。更に召喚しようとしている事で危機感が芽生えたのでしょう。ですが、もう遅い。
「繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する―――――Anfang(セット)」
「おい、これって間接的に俺が召喚する事になるのか?」
「イエス、マスター。私もあの女もマスターの使い魔みたいな者ですので」
「告げる。告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の……いえ、私の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。誓いを此処に。我は常世総ての悪と成る者、我は常世総ての憎悪を敷く者。汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、我が守り手よ―――!」
ファフニールが倒され、地面に横たわる。私は彼女を撫でてあげる。
「時間稼ぎご苦労様でした。事は成りました」
「しまったっ!?」
駆けて来るルーカス。だけど、もう遅い。
「しかし、ジャンヌの守り手か……贋作英霊か?」
「え? ちょ、ちょっとたんまっ!」
マスターの言葉で嫌な予感がして、急いで召喚を解除しようとする。だけれど、無常にも召喚は成ってしまった。
「食らえっ!」
私に振るわれたルーカスの剣は
「やっぱりか」
しかも、直に私を抱きしめてきた。
「うわぁ……やっぱりこいつか……」
「私の愛するお姉様に何をしようとしているのかしら? 殺すわよ。さあ、お姉様。あんな奴は放っておいて、私と良い事をしましょう」
「い・や・よ! 鬱陶しいから離れなさい!」
「あふんっ!? はぁはぁっ、いいですっ、
「場所と時を考えなさい、この変態女! だいたいっ、そういう! 愛は! 求めて! ない! っつーの!」
無理矢理引きはがしてやる。本当になんでこうなったのかしら? ただ、私は同性でフランクな友達がほしかっただけなのに……いえ、違うわ。配下に一人くらい女がいてもいいって思っただけよ! ええ、そうよ! こんなのなんて、絶対に求めてないんだから!
「そんな……変態だなんて……情熱的すぎます……ぽっ」
「ああ、もう、鬱陶しい! 後で虐めてあげるから、さっさとアイツを倒すわよ!」
蹴り飛ばし、転がしてやる。
「ひゃん!? わかりました、お姉様っ!」
「火はだめだから物理で殴り殺すわよ、ブリュンヒルデ」
「畏まりました。しかし、うらやましいですね!」
「もうやだ……絶対後で送還してやるっ!」
立ち上がったド変態の女、ブリュンヒルデと共に殺しに掛かる。
あのイベントはチョー楽しかった。ジャンヌ・ダルク・オルタを5万くらいでジャックとドレイクと一緒にお出迎え出来た。こちらに居るジャンヌとジャンヌ・オルタを愛でながらジャンヌ・オルタ対ジャンヌ・オルタをやりました。
しかし、おかしいぞ! 最初はペストにジャックを召喚させるはずだったのに。それより早く、ジャンヌ・オルタがブリュンヒルデを召喚しちゃったよ!