黒死斑の魔王(ブラック・パーチャー)と共に異世界へ 作:ヴィヴィオ
さて、新たな仲間を迎え入れた訳だが……これからが大変だ。まずは一気に増えた戦力を改めて考えよう。まず、近衛がセニアで陸軍はセシル。海軍。ソーニャとメアリー。そして北方棲姫ことほっぽちゃん。ソーニャとメアリーは従順で海軍でも問題無く働いてくれるだろう。問題はほっぽだ。彼女は現在、特別室に閉じこもっている。
「どうだ?」
「カエレ、カエレ!」
扉を開けて部屋の中に入ると、即座に声が返ってくる。部屋を見渡せば隅っこの方にベッドを盾のように立てかけて壁にし、布団や毛布を使って隠れ家というか、秘密基地というか、そんな感じの場所にほっぽが入り込んでこちらを睨んでいる。
「何故そんなに嫌うんだ」
「ニンゲン、キライ!」
「何故嫌う?」
「……ニンゲン、ホッポノ……タイセツナモノ、トッタ」
「なんだ? 何を取られた?」
「ホッポノプレゼント、ウバワレタ!! コナイデッテ、イッタノニ! ヒシモチ、ウバワレタ! コナイデ、ヤメテッテイッタノニ!」
「提督~!」
「チョコモ……クルナ、イッタノニ」
「……すまん。本当にすまんかった」
イベントでドロップするからと、幼女である北方棲姫からクリスマスプレゼントや菱餅やチョコレートを奪っていったんだ。ほっぽからすればぼこぼこにされて持っていかれるのだ。それも何度もくるのだから。
「直にプレゼントを用意するからな」
「ホント?」
「ああ、ちょっと待っていろ」
「ン、マツ」
急いで戻り、お菓子を用意する。それからほっぽに渡す。しばらくは彼女のご機嫌取りが必要なようだ。だが、これはある意味では戦闘経験が豊富な事を意味するのでよしとしよう。
さて、俺は会議室の一室で皆と会議をしている。エレオノーレとルサルカの報告を元に高性能な地図と海図を作製した。これでこの辺り一帯の調査は完了し、より優れた戦略が立てられる。
「エレオノーレ、連中とはここで接敵したのだな」
「はっ。この場所で攻撃を受けました」
海図の上に赤い駒がエレオノーレの手で置かれる。
「ルサルカ、連中の事は判明したか?」
「もちろんよ。まず連中が言う国の名前はベルニエ王国。そこの軍船と乗組員ね」
「隣国ね」
「隣国か。面倒な事になったな。やはり、海賊として処理するか」
「駄目でしょ。まあ、仮想敵国だから問題無いかも知れないけれど」
「ほう……エレオノーレ。こちらのことはバレておらんな?」
「当然です。目は全て潰しました」
「よし、ならばしらばっくれるぞ。キャロルに言って船は改修させるか」
さて、これで色々と問題があるが、放置するとしよう。
「仮想敵国ならば何れ戦争になるだろう。その準備もせねばならん。エレオノーレ、前線基地に良さそうな場所はあるか?」
「あります。海賊共がアジトとして使っていた場所ですが、整備すれば使えるかと思われます」
「そうか。では前線基地を造ろう。ついでに内陸部の土地は手に入らないから、これからは海に進出する。ちょうど海軍に使える者達も増えて来た。後は海底資源を採取できるほっぽも居るからな」
「では、そのように。ルサルカは配下の者達に商隊の護衛として出てくれ」
「おっけー」
「海軍は全員で資材を運んでくれ」
「はっ。それと一部部隊は海賊になって貰おう」
海賊として敵の勢力を減らせばいいだろう。同時に物資を奪えばいい。そう、討伐した海賊連中の代わりになるのだ。そして、罪は全て海賊にかぶってもらう。
数日後、準備が整った。そして、同時に初期から手に入れていた艦の初航海でもある。
「タルタロス、始動!」
「エンジン始動!
「浮上開始!」
タルタロスの巨体が浮き上がり、海へと入っていく。
「目標はE43だ」
「進路確定! 出ます!」
この軍艦タルタロスは660人まで乗れる。今回はバカンスも兼ねているのでこの艦は改造されている。そんな訳で、ガチャで出た水着に着替えて甲板に作ったプールで遊ぶ。
「パパ、泳ぎに来た教えてくれ」
「ああ、いいぞ」
キャロルの手を握って泳ぎ方を教える。いつの間にか他にも泳げない娘達も居たので纏めて教えることにする。逆に泳げるほっぽ達は好き勝手に泳いでいる。更にほっぽは海に入って魚を取ってきたりしている。
そんな風にバカンスを楽しみながら航海し、アジトが有った島に着いたら過ごしやすいように改造していく。もちろん、転移陣を設置して港町とも行き来出来るようにしておいた。