黒死斑の魔王(ブラック・パーチャー)と共に異世界へ   作:ヴィヴィオ

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第4話

 

 

 

 

 ペスト(アーデルハイト・リーゼンフェルト)

 

 

 

 

 命令通りに空を飛んで森を目指す。前の自分では信じられない事だけれど、実際に空を飛んでいる。それに私は彼女であり、彼女は私である事が理解出来る。でも、本当はジャンヌみたいな贋作である。でも、偽者が本物を超える事だってあるのだから頑張るだけ。それに彼女の境遇は私と同じだから自分だと信じ込める。それは弱い私と決別出来るという事にほかならない。

 

「私は、アタシはペスト。黒死斑の魔王(ブラック・パーチャー)。だから、空だって飛べる」

 

 空を自由自在に駆けて魔の領域である森へと向かう。身に纏うのは斑模様のワンピースだけれど、風圧すら気にならずどんどん速度が上がっていく。気が付けば森の縁を超えて内部まで飛んでいた。慌てて止まると、遠くの方に大きな水の塊が見えた。その先はなんだか線のようになっていて、太陽が輝いている。

 

「むかつく太陽ね」

 

 見てるだけでイライラしてくる。腕を組みながら耐えていると、身体から勝手に黒い霧みたいなのが出てくる。

 

「なにこれ?」

 

 不思議がっていると、森から巨大な鳥がこちらに高速で突っ込んできた。

 

「っ!?」

 

 慌てて回避すると、相手も通り過ぎてから軌道を変えて再度突撃してくる。

 

「邪魔よ」

 

 手を振るうだけで、黒い霧が黒い風となって巨大な鳥に襲い掛かり、その身体を真っ二つに切断してしまった。

 

「これ、凄い。これが、私達、8000万の力……」

 

 両手を上げて袖で口元を隠す。両手は大きな袖の中に隠れて見えない。この袖の中から黒い霧や黒い風を出せるみたいで、適当に地面に放つとそれだけで地面に裂け目が出来てしまった。

 

「ん?」

 

 私の攻撃を受けてか、森から沢山の鳥が飛び上がって来る。それらは一斉に私に向かって突撃してくる。

 

「性能を試す糧となりなさい」

 

 腕を振るい、死の恩恵を黒い風の無数の刃へと変化させてばら撒く。それだけで掠った鳥達は墜落していく。中には魔法を放ってくる者も居て私に雷や炎が迫って来る。

 

「ふふふ、何これ。凄く面白いわ」

 

 黒い霧を操作して攻撃を防ぐ。こちらの視界が外れた瞬間、死角へと回っていた鳥が突撃してくる。本来は速いのかも知れないけれど、スイッチの入った私には遅く見える。なので、横にずれて避けながら蹴りを放つ。すると鳥は吹き飛んで地面に激突し、クレーターを作り出した。

 

「害虫駆除は大事よね。誰が支配者か、しっかりと教育してあげるわ」

 

 私の風は自由自在に思い描くように形を変えていく。全方位から協力して突撃してくる鳥達に対しては、自分の回りを黒い風の球体で覆って塞ぐ。それから範囲を広げて纏めて殲滅する。

 

「? 力が増えた?」

 

 戦っているうちにどんどん威力が増しているのに気付いた。使えば使うほど、力は私の身体に馴染んでいく。

 

「まあ、気にしなくていいわね」

 

 踊るように敵を殺して回る。次第に翼の生えた人型のモンスター、ハーピィも動き出した。彼らは互いに身体を抱きしめながら私を見てガタガタと震えている。地上を見れば、私が殺したモンスターを別のモンスターが咥えて逃げようとしている。

 

「お前達」

「ぴぃっ!?」

「タスケテ、タスケテ……」

「殺されたくなければ、あいつらから私が殺したモンスターを取り返しなさい。そうしたら助けてあげる」

「ワカッタッ!」

「トリカエス!」

 

 ハーピィ達が一斉に森へと降下して死体を回収して来てくれる。ハーピィ達が手に負えそうに無いモンスターは私が殺せばいい。しかし、鶏肉の確保は出来たから、今夜は御馳走になりそうね。

 

 

 

 

 

 

 馬車で進む事、二時間半。無事に魔の領域であるリーゼンフェルトの森へと到着した。本来はもっと早くに着けたが……お荷物が居るので仕方がない。

 

「さて、ペストは……」

「あそこね」

 

 ジャンヌが空を指さす。その先では空を飛ぶペストがハーピィ達に指示を出してモンスターの死骸を運ばせていた。

 

「全く、この私を差し置いて随分と派手にやってくれたようですね」

「みたいだな」

 

 森の縁へと到着し、馬車から降りると盗賊共は恐怖に震えていた。それだけ、大量のモンスターの死骸が積み上げられていたのだ。

 

「ようやく来たのね」

「これは?」

「……少し身体の調子を確かめていただけよ」

 

 そっぽを向いて答えるペスト。

 

「それだけじゃないですよね」

「大方、速度を出し過ぎて森の中にでも入ったんだろ」

「うっ、うるさいっ!」

「図星か」

「図星ね」

「ふん。そんな事よりも仕分けを手伝いなさい」

「この鳥もどきはどうするのですか?」

「配下にしたわ。便利でしょう?」

「そうだな」

 

 とりあえず、仕分けと解体を行うか。

 

「お前達、今から縄を外してやるが、逃げようと思うじゃないぞ」

「へっ、へいっ!」

「ああ、わかってるよっ!」

「じゃあ、解体して貰う。見張りはハーピィ達とジャンヌが頼む」

「また私ですか?」

「ああ。ペストには木を切り倒して貰いたいからな。簡単でもいいからさっさと家を作らないと野宿になっちまう」

「仕方ありませんね」

「わかったわ」

 

 まあ、帰ってもいいんだが……ペスト達がドミニクになにをするかわからないからな。それなら、ここでさっさと拠点を作った方がいい。

 

「じゃ、行くぞ」

「ええ」

 

 ペストと共に森へと入って木を倒してスペースを作って貰う。

 

「切り倒すのは簡単だけれど、運ぶのが大変ね。乗せて運ぶのって今一なのよ」

「それなら風で作った手をイメージしたり、すればいいんじゃないか?」

「ありがとう。やってみる」

 

 次々と斬られた丸太が持ち運ばれていく。

 

「ついでに切り株も邪魔だから退けてくれ」

「人使いが荒いわね」

「それは仕方ないだろう」

 

 生憎、俺にはまだ武器も力も無い。というか、8千万あるんだし、ガチャを回して能力を増やすか。家形のアイテムが当たれば儲けものだしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

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